アヒ・デ・ガジーナAjí de Gallina レシピ
Ají de gallinaアヒ・デ・ガジーナ

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アヒ・デ・ガジーナは、ゆでてほぐした鶏肉を、黄色い唐辛子のソースでからめたペルーの料理です。ソースは、炒めた玉ねぎと唐辛子に、牛乳に浸したパン、くるみ、パルメザンチーズを合わせて作ります。色は明るい黄色で、口当たりはクリームのようになめらかです。
作り方は、ペルーの新聞ペルー21、ラ・レプブリカ、エル・コメルシオに載ったレシピを中心に組み立てました。参考にしたこれらの新聞のレシピは、どれもゆでたじゃがいも、ゆで卵、オリーブを添えています。
アヒ・デ・ガジーナとは
スペイン語で「Ají de gallina」と書きます。アヒはペルーなどで唐辛子のこと、ガジーナは雌鶏(めんどり)のことです。リマのスペイン語では ll を「ジ」に近い音で読むので、日本語では「ガジーナ」と書きます。
ペルーの唐辛子にはいくつも種類があり、この料理に使うのは「アヒ・アマリージョ」です。アマリージョは黄色という意味です。これを干したものは「アヒ・ミラソル」と呼ばれ、ソースに加えるレシピもあります。
雌鶏から鶏むね肉へ
名前のとおり、もとは雌鶏の肉で作る料理です。ペルーの新聞ペルー21は、20世紀の初めのリマでは若い鶏は特別なごちそうに使うもので、ふだん食べるのは雌鶏だったと書いています。のちに鶏の大量生産が広まって、若い鶏の肉が一般的になったとしています。この記事で参考にした5つのレシピは、どれも鶏むね肉を使っています(ペルー21は雌鶏1羽でもよいとしています)。
甘い「マンハル・ブランコ」から生まれたという説
よく紹介されるのは、中世のスペインの料理から生まれたという説です。ペルーの新聞コレオのコラムで、料理ライターのヒメナ・アゴイスは、リマの料理の本『Bitute, el sabor de Lima』の共著者ハビエル・マシアスの話を紹介しています。マシアスは調べるうちに、アヒ・デ・ガジーナとペルーの甘いミルクのお菓子「マンハル・ブランコ」がいとこ同士だとわかったといいます。コラムは、どちらも「メンジャル・ブラン」という料理に行き着くようだとし、メンジャル・ブランは14世紀のカタルーニャの料理書『Llibre de Sent Soví』に出てくると書いています。
同じコラムは、この説を裏づけるものとして、研究者で社会学者のイサベル・アルバレスが1999年に書いた「La dulce historia del ají de gallina(アヒ・デ・ガジーナの甘い歴史)」を挙げています。コラムによると、アルバレスはもとの料理を、鶏むね肉、米、アーモンド、砂糖で作る、少し甘くて濃いクリームのようなものだったと説明しています。
アゴイスは、植民地時代(スペインの副王領の時代)に、メンジャル・ブランの一方の流れが砂糖と牛乳と卵黄のお菓子マンハル・ブランコになった可能性が高いとしています。ただし、書かれた記録はないと断っています。もう一方の流れは、鶏むね肉とナッツを残したまま、アーモンドがピーカンナッツに代わり、アヒ・アマリージョが加わって、甘さが少しずつ消えていったと考えられている、と書いています。
ペルー政府の輸出・観光振興機関プロムペルーのサイトも、アルバレスの本を引いています。それによると、鶏むね肉を入れるものと入れないものの2つの形が、16世紀に「メンジャル・ブラン」の名でリマに伝わり、一方は菓子職人のもとに残り、もう一方がアヒと合わさったといいます。
植民地時代の「ミガス」から生まれたという説
ペルー21は、別の見方を示しています。古い料理書には、アヒ・デ・ガジーナのレシピはないものの、「ミガス」という煮込みのレシピがあるといいます。牛乳に浸したパン、ナツメグ、炒めた玉ねぎとにんにく、アヒ・ミラソルで作り、チーズ、オリーブ、卵を添える料理です。ペルー21は、ミガスを植民地時代のリマで好まれた煮込みとし、これにリマの女性たちが雌鶏の肉とゆで汁を加えて、アヒ・デ・ガジーナになったのではないかと考えています。くるみやパルメザンチーズ、じゃがいもとご飯を添えるのは、さらに後のことだとしています。
1839年に広まったという話
ペルーの新聞ラ・レプブリカは、料理の研究と教育に携わるロドルフォ・タフル・セバージョスの文章を紹介しています。タフル・セバージョスによると、この料理は1839年にリマで人気を得ました。その文章には、リマの食堂やレストランを見回った警察官の報告として、雌鶏の肉を裂いて、玉ねぎ、にんにく、アヒ、小さく切ったパンと合わせ、じゃがいもを添えた料理が出てきます。プロムペルーのサイトにも、研究者の名前は挙げずに同じような話が載っています。
アヒ・デ・ガジーナのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 20分 加熱 1時間40分(鶏肉を冷ます時間を含む)
- クミン1g
- 黒こしょう0.5g
- ナツメグ0.3g
- ローリエ0.2g
鶏肉をゆでる
じゃがいもと卵をゆでる
- じゃがいも(黄色い肉のもの)500g(4個)
- 卵2個
- 水1500ml
パンを浸す
- 食パン(8枚切り)(耳を除く)3枚(耳を除いて100g)
- エバミルク(無糖練乳)200ml
アヒのソース
- サラダ油60ml(大さじ4)
- 赤玉ねぎ200g(1個)
- にんにく(みじん切り)15g(3片)
- アヒ・アマリージョのペースト(黄色い唐辛子のペースト。塩の量は、食塩相当量を100gあたり2.5g前後と仮定して決めている)(Amazon|楽天)150g(大さじ9と1/2)
- アヒ・ミラソルのペースト(アヒ・アマリージョを干したもののペースト。塩分はアヒ・アマリージョのペーストと同じ仮定)(Amazon|楽天)30g(大さじ2)
- クミン(パウダー)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)
- 黒こしょう(パウダー)(Amazon|楽天)0.5g(小さじ1/4)
- 塩3g(小さじ1/2)
- くるみ(ピーカンナッツでもよい)25g
仕上げ
盛りつけ
- 黒オリーブ(種入りでもよい)8粒
作り方
鶏肉をゆでる
鍋に水1200ml、玉ねぎ100g、セロリ100g、にんじん75g(どれも大きめに切る)、にんにく2片、ローリエ1枚、塩3gを入れて中火にかける。煮立ったら弱火で10分煮る。鶏むね肉600gを入れ、再び小さな泡が上がってきたら、表面がときどき揺れる程度のごく弱火にし、ふたをして15〜20分ゆでる。いちばん厚いところに中心温度計を刺して75℃以上になっているか、切って中までピンク色の部分がないことを確かめる。火を止め、ゆで汁につけたまま30分おいて冷ます。
鶏肉をほぐし、ゆで汁をこす
鶏肉を取り出し、繊維に沿って手で太めに裂く。ゆで汁を目の細かいざるでこし、300mlを取り分ける。残りのゆで汁と野菜は使わない。
じゃがいもと卵をゆでる
手順1と並行して進める。別の鍋に水1500mlと皮つきのじゃがいもを入れて中火にかける。煮立ってから10分たったら、卵2個をおたまで静かに入れ、さらに12分ゆでる。じゃがいもに竹串がすっと通ればよい。卵は冷水にとって殻をむき、縦半分に切る。じゃがいもは皮をむいて厚さ2cmの輪切りにする。
パンをエバミルクに浸す
食パンの耳を除いて100gを細かくちぎり、エバミルク200mlに10分浸す。
玉ねぎとにんにくを炒める
赤玉ねぎ200gを5mm角のみじん切りにする。厚手の鍋にサラダ油60mlを中火で熱し、赤玉ねぎを8〜10分、透き通ってふちがうっすら色づくまで炒める。にんにく15gを加えて1分炒める。
アヒのペーストを炒める
換気扇を回す。アヒ・アマリージョのペースト150g、アヒ・ミラソルのペースト30g、クミン1g、黒こしょう0.5g、塩3g(ペーストの食塩相当量を100gあたり2.5g前後と仮定した量。違うときは「手に入りにくい材料の代用」を参照)を加える。ペーストが熱い油に触れてはねるので、鍋から顔を離して加える。弱火にし、鍋底をこそげるように混ぜながら10分炒める。ペーストの色が少し濃くなり、ふちに油がにじんでくればよい。
パンを加えて火を通す
浸しておいたパンをエバミルクごと加える。弱火のまま、鍋底をこそげるように絶えず混ぜながら10分炒め煮にする。全体がもったりとまとまり、ふちに油がにじみ出してきたら、パンに火が通った合図。
なめらかにする
火を止め、くるみ25gを加える。ハンドブレンダーの刃をソースに沈めたまま動かし、なめらかなソースにする。ソースが熱いので、刃を沈めてからスイッチを入れ、止めてから引き上げる。
ゆで汁と鶏肉を加える
弱火にかけ、鶏のゆで汁300mlを3回に分けて加え、そのつど混ぜてなじませる。ほぐした鶏肉を加え、混ぜながら5分煮る。へらで鍋底をなぞると、筋が少しの間残るくらいのとろみが目安。
仕上げる
刻んだくるみ25g、ナツメグ0.3g、パルメザンチーズ50gを加え、チーズが溶けるまで1〜2分混ぜて火を止める。
盛りつける
皿にじゃがいもを並べ、上からアヒ・デ・ガジーナをかける。ゆで卵と黒オリーブ8粒を添える。
ゆでたじゃがいもにソースをかけ、白いご飯を添えて食べます。
作り方の要点:パンでとろみをつける理由
牛乳に浸したパンで、とろみをつける
ここで読んだ5つのレシピは、どれも牛乳やエバミルク、ゆで汁に浸したパンを加えて、ソースにとろみをつけています。ペルー21が紹介する植民地時代の煮込み「ミガス」も、牛乳に浸したパンで作る料理です。すりつぶしたくるみも、ソースにコクを足します。
「油がにじむ」までパンを炒め煮にする
コレオのコラムでは、リマの料理人エレナ・サントス・イスキエルドが、パンを加えたら油が出てきて分離したように見えるまで炒めるようにすすめ、それがパンに火が通った目安だとしています。手順7で油がにじむまで混ぜ続けるのはそのためです。
水分が減ると、ふちに油がにじみ出てきて、味も濃くなります。そのあとでゆで汁を加えて、食べやすいとろみに戻します。
仕上げのパルメザンチーズ
最後に加えるパルメザンチーズは、うま味と塩けを足します。ここで読んだ5つのレシピは、どれもパルメザンチーズを使っています(量は20〜150g)。
作り方の要点:鶏むね肉をしっとりゆでる
煮立てずにゆでる
鶏むね肉は脂が少なく、火を通しすぎるとぱさつきやすい部位です。コレオのコラムでは、リマの料理人フラビオ・ソロルサノが、雌鶏を煮立てずに4〜5時間かけて煮ると話しています。この記事でも、表面がときどき揺れる程度のごく弱火でゆでます。ただし鶏肉は、中心が75℃に達するまで必ず加熱してください。
ゆで汁の中で冷ます
ペルー21もソロルサノも、ゆでた鶏肉をゆで汁につけたまま冷ますようにすすめています。冷ましてから繊維に沿って裂くと、裂いた面にソースがよくからみます。
家庭や店による違い
ここで読んだ5つのレシピだけでも、作り方にはかなり幅があります。
- パン:5つのうち4つが食パンを使い、エル・コメルシオのレシピはペルーの小さな丸いパン「パン・フランセス」を使います。ラ・レプブリカの料理コーナー「ブエナソ」は、ソーダクラッカーで代えてもよいとしています
- パンを浸す液とつぶし方:エバミルクや牛乳に浸すもののほか、ゆで汁に浸すもの(ペルー21)があります。コレオのコラムには、パンはミキサーにかけず、くずして熱いゆで汁と混ぜるべきだという助言と、サントス・イスキエルドの、牛乳に浸した食パンを中くらいの目のざるでこすというやり方の両方が載っています
- アヒ・ミラソル:5つのうち3つ(ブエナソ、ペルー21、アクリオ)が、アヒ・アマリージョに加えて使います
- 香りづけ:クミンは5つのうち4つが使います。ナツメグはペルー21と、ラ・レプブリカのセルヒオ・エノストロサの記事の2つです。ペルーの料理家ガストン・アクリオの本のレシピは、オレガノも入れます
- 鶏肉とゆで汁:レストラン「パンチータ」のマルタ・パラシオスは、鶏肉で作るときもゆで汁は雌鶏でとると、コレオのコラムで話しています
手に入りにくい材料の代用
- アヒ・アマリージョのペースト:南米の食材を扱う店や通販で、瓶入りのものが手に入ります。塩を含むかどうか、どのくらい含むかは商品で違います。この記事の塩の量は、アヒ・アマリージョとアヒ・ミラソルのペーストの食塩相当量を、どちらも100gあたり2.5g前後と仮定して決めたものです。使う商品のラベルで食塩相当量を確かめてください。100gあたり1g前後のものなら手順6の塩を6g(小さじ1)に、無塩のものなら7g(小さじ1強)にします。100gあたり4g前後のものなら、手順6の塩は入れません。冷凍のアヒ・アマリージョが手に入るときは、5〜6本のヘタを取って縦に割り、種と内側の白いわた(胎座)を除きます。エル・コメルシオのロッシネッリのレシピも、スプーンでわたと種を除いています。コレオのコラムには、アヒは水ではなく油でミキサーにかけるようにとあります。サラダ油60mlのうち15mlを使ってペーストにし、残りの45mlで玉ねぎを炒めます。冷凍のアヒには塩が入っていないので、手順6の塩は7g(小さじ1強)にします。
- アヒ・ミラソルのペースト:入れずに、アヒ・アマリージョのペーストを30g増やします。エル・コメルシオのレシピと、ラ・レプブリカのエノストロサの記事のレシピも、ミラソルを使っていません。
- アヒそのものがないとき:黄パプリカ2個(300g)を魚焼きグリルで皮が黒くなるまで焼き、皮と種を除いてペーストにし、一味唐辛子0.5g(小さじ1/4)を加えます。色ととろみは近くなりますが、アヒ・アマリージョ特有の香りは出ません。この場合も手順6の塩は7g(小さじ1強)にします。
- エバミルク:牛乳400mlを弱火で20〜30分煮詰めて200mlにしたもので代用できます。アクリオの本のレシピは、エバミルクではなく牛乳を使っています。
- 食パン:ソーダクラッカー80gで代用できます。
- くるみ:ペルーではピーカンナッツもよく使います。同じ量で入れ替えられます。
- 黄色い肉のじゃがいも:ペルー21とブエナソのレシピは、「パパ・アマリージャ」という黄色いじゃがいもを添えています。キタアカリやインカのめざめなど、黄色くてほくほくした品種を使うと近くなります。
- 黒オリーブ:ブエナソのレシピは、ペルーの紫がかった黒いオリーブ「アセイトゥナ・デ・ボティハ」を添えています。手に入らなければ、カラマタ・オリーブなどの黒オリーブで代えられます。
保存
- 冷蔵:じゃがいもと卵を除き、保存容器に入れて2日
- 冷凍:じゃがいもと卵を除き、1か月。パンのとろみで冷めると固くなるので、温め直すときは4人分につき水100mlを加えて弱火で混ぜながら温めます
その他の地域のほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Correo「El ají de gallina, historia y mucho sabor」(スペイン語)
- Perú21「Ají de gallina」(スペイン語)
- La República(Buenazo)「Receta del ají de gallina」(スペイン語)
- El Comercio(Provecho)「Ají de gallina: aprende a hacer esta receta con los tips de Nelly Rossinelli de 'El gran chef: famosos'」(スペイン語)
- La República「¿Por qué el ají de gallina es un clásico de la cocina criolla? Descubre su receta paso a paso」(スペイン語)
- La República「Ají de gallina: ¿cuál es el origen del plato peruano que está en el top 10 de los mejores del mundo?」(スペイン語)
- Perú.info(PromPerú)「Learn about the history of the legendary Ají de Gallina, a leading dish in Peruvian cuisine」(英語)
- How to Peru「Aji de Gallina: A Recipe from Gaston Acurio's Cookbook」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。