クク・ワ・クパカKuku wa Kupaka レシピ
Kuku wa kupakaクク・ワ・クパカ

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クク・ワ・クパカは、下味をつけて焼いた鶏肉を、ココナッツミルクのソースで煮た東アフリカの海岸の料理です。ケニアの海岸の町モンバサの料理として紹介されることがあり、タンザニアのスワヒリ語の新聞や料理サイトにもレシピが載っています。
この記事では、タンザニアの新聞「ムワナンチ」のスワヒリ語のレシピを土台にします。にんにくとしょうが、レモン汁で下味をつけた鶏肉を焼き、玉ねぎ、ピーマン、にんじん、トマトをココナッツミルクで煮詰めたソースと合わせます。鶏肉は伝統的には炭火で焼くとされますが、家庭ではオーブンの最高温度で焼きます。
クク・ワ・クパカとは
スワヒリ語で、クク(kuku)は鶏のことです。今回読んだスワヒリ語のレシピ2本(タンザニアの新聞と料理サイト)は、どちらもこの料理を「クク・ワ・クパカ」(Kuku wa kupaka)と書いています。ケニアの新聞「ザ・スタンダード」の女性向けサイト「イヴウーマン」にレシピを寄せたシェフのアリ・マンドリーも、英語の記事の中で、伝統的な料理をこの名前で呼んでいます。
一方で、ケニア生まれの料理家サビハ・コーカルの英語のサイトや、米国の新聞ニューヨーク・タイムズの記事、英語版ウィキペディアは、縮めた「クク・パカ」の名前を使っています。ニューヨーク・タイムズの記事(カタールの新聞カタール・トリビューンに転載されたもの)は、クク・パカはクク・ワ・クパカを縮めた呼び名で、おおよそ「ソースに入った鶏」という意味だとしています。英語版ウィキペディアは、パカを「塗る、広げる、つける」という意味としていますが、この記述には出典が示されていません。英語版ウィキペディアは、「クク・ナ・ナジ」(ナジはココナッツ)という別名も挙げています。
東アフリカの海岸の料理
この料理がどこの料理とされているかは、情報源によって書き方が少しずつ違います。
- サビハ・コーカル:ケニア生まれでロンドンに住む、本も出している料理家です。自分のサイトで、クク・パカはケニアのモンバサと切っても切れない料理だとし、モンバサに住む友人から教わったレシピを紹介しています。
- ニューヨーク・タイムズ:クク・パカのルーツはインド洋に面した港町モンバサにあるとしています。モンバサは何世紀にもわたって、東アフリカのほかの地域や中東、インドから来た人々が集まる町で、クク・パカはそうした多様な影響が形づくったケニアの海岸の料理のひとつだ、という説明です。
- ジコポイント:タンザニアのデジタルメディア企業ヌクタ・アフリカが運営する、料理とクリーンな調理用エネルギーの情報サイトです。クク・ワ・クパカは、東アフリカの多くの人にとても好まれている、おいしいおかずのひとつだとしています。
インド系の人々との関わり
英語版ウィキペディアは、クク・パカにはアフリカ、インド、アラブの影響があるとし、東アフリカの海岸のほか、ケニア、タンザニア、ウガンダのインド系の人々のあいだでも人気があるとしています。
ニューヨーク・タイムズの記事によると、ニューヨークに住む俳優で料理書の著者でもあるマドゥール・ジャフリーは、この料理のレシピを2つ発表しています。2003年の料理書に載せた1つ目は、英国でレストランを営んでいたケニア系インド人の移民のレシピをもとにしたもので、鶏肉を熱いオーブンで焼きます。のちに別の本に載せた2つ目は、インド西部のグジャラート州からケニアに移り住んだイスラム教徒の一家のレシピをもとにしたもので、皮を除いた鶏肉を焼かずに煮ます。
スワヒリ語の情報源では、トルコの公共放送 TRT のアフリカ向けニュースサイト「TRT アフリカ」のスワヒリ語版が、モンバサの海岸料理のレストラン「ビン・アギル」を紹介しています。記事は、モンバサの町にはアフリカ、アラブ、インド、ペルシャの文化が重なり合っていて、それがスワヒリの味そのものをかたちづくった、と描いています。店を営むフセイン・ビン・アギルは、スワヒリの料理の秘訣はココナッツとにんにくとレモンだ、と話しています。今回読んだスワヒリ語の情報源には、クク・ワ・クパカという料理そのものの起源を書いたものはありませんでした。
焼いてから、ソースで煮る
アリ・マンドリーは、ラマダン(断食月)の日没後の食事、イフタール向けに、フライパンひとつで作る簡単なレシピを紹介しています。その記事の中で、伝統的なクク・ワ・クパカは鶏肉を炭火で焼き、ソースは別に作る、と説明しています。
ムワナンチのレシピ(エリザベス・エドワード、2012年)も、ソースとは別に、鶏肉を15分ほど、返しながら火で焼きます。そのあと鶏肉を鍋に入れて濃いソースをかけ、ふたをして、ご飯を炊くときと同じようにふたの上に炭をのせ、10分ほどおきます。英語版ウィキペディアも、鶏肉に直火で焼き目をつけてからソースに入れることで燻したような香りがつき、それがこの料理の特徴だとしています。
一方で、焼かない作り方もあります。ジコポイントに載ったファトゥマ・フセインのレシピは、下味をつけた鶏肉を圧力鍋の中で炒めてから、ソースで煮ます。サビハ・コーカルのレシピは、鶏肉をトマトやしょうがと一緒に煮て、別に煮詰めたココナッツミルクと合わせます。ニューヨーク・タイムズの記事も、鶏肉は炭火で焼くほか、香味野菜と蒸したり、煮込んだりと、いくつもの作り方があると書いています。
この記事の配合
ムワナンチのレシピは、丸鶏1羽に、にんにくとしょうがを1つずつ、ピリピリ・ンブジと呼ばれる辛い唐辛子2本、ライム2個(またはレモン)、ターメリックさじ半分、玉ねぎ2個、ピーマン2個、トマト4個、にんじん1本、塩さじ2杯を使います。ココナッツミルクの量は書かれていません。この記事では、丸鶏の代わりに骨付きの鶏もも肉1kgを使い、野菜の種類はムワナンチと同じにします。
ムワナンチの材料には、ピリピリ・ホホ(ピーマン)とピリピリ・ンブジ(辛い唐辛子)の2つの「ピリピリ」があり、下味の手順にはただ「ピリピリ」とだけ書かれています。この記事では、これを辛い唐辛子のことと読み、青唐辛子を下味に加えました。ターメリックは材料にあるだけで入れる時点が書かれていないので、この記事ではジコポイントのレシピにならって、トマトの前に炒めます。
ムワナンチのレシピのスパイスはターメリックだけです。この記事では、ジコポイントのレシピにならってコリアンダーとクミンも加えました。ジコポイントは2つを合わせてさじ2杯とだけ書いていて、さじの大きさはわかりません。コリアンダー4gとクミン2gという量は、この記事で決めたものです。仕上げのパクチーは、アリ・マンドリーとサビハ・コーカルのレシピにならったものです。サビハ・コーカルのレシピが最後にレモン汁を加えるのにならい、レモン汁の一部を仕上げに回しています。
今回読んだ4本のレシピ(ムワナンチ、ジコポイント、アリ・マンドリー、サビハ・コーカル)は、どれもココナッツミルクを1回で加えています。2回に分けるのは、この記事の判断です。同じサイトのケーララの料理、ムッタ・ポリッチャ・カレーと同じ方法で、すりおろしたココナッツを2回搾り、薄い二番搾りで野菜を煮てから、濃い一番搾りを加えて煮詰めます。缶のココナッツミルクでも作れます(「手に入りにくい材料の代用」の節を参照)。
クク・ワ・クパカのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 30分(ココナッツミルクを搾る時間を含む。漬け込みはソースを作るあいだに) 加熱 1時間10分
- コリアンダー4g
- クミン2g
- ターメリック1.5g
ココナッツミルク
- ココナッツ(すりおろし)(生または冷凍)(Amazon)200g
- ぬるま湯(一番搾り用)100ml
- ぬるま湯(二番搾り用)330ml
下味
- 骨付き鶏もも肉(ぶつ切り・皮つき)1kg
- にんにく20g(4片)
- しょうが20g
- 青唐辛子2本(6g)
- レモン汁30ml(大さじ2)
- 塩6g(小さじ1)
- サラダ油13g(大さじ1)
ソース
仕上げ
- レモン汁15ml(大さじ1)
- パクチー(コリアンダーの葉)(刻む)5g(大さじ2)
作り方
一番搾りをとる
ミキサーにココナッツ200gとぬるま湯100mlを入れ、1分回す。さらしで包んで固く搾り、濃いココナッツミルク(一番搾り、約150ml)をとる。使うまで冷蔵庫に入れておく。
二番搾りをとる
搾りかすをミキサーに戻し、ぬるま湯330mlを加えて1分回す。同じように搾り、薄いココナッツミルク(二番搾り、約300ml)をとる。搾りかすは使わない。
下味をつける
にんにく20g、しょうが20g、青唐辛子2本をざく切りにし、すり鉢でなめらかになるまでつぶす。骨付き鶏もも肉1kgの水気をキッチンペーパーでふいてボウルに入れ、つぶしたにんにくとしょうがと青唐辛子、レモン汁30ml、塩6g、サラダ油13gを加えて、全体によくもみ込む。ソースを作るあいだ、冷蔵庫で30分以上おく。
野菜を切る
玉ねぎ200gは縦に薄切りにする。ピーマン150gは種を除いて細切り、にんじん100gは細切りにする。トマト400gは1cm角に切る。パクチー5gは刻む。
玉ねぎを炒める
鍋にサラダ油26gを中火で熱し、玉ねぎ200gを入れる。ときどき混ぜながら6〜8分、しんなりして薄く色づくまで炒める。
野菜とスパイスを炒める
ピーマン150gとにんじん100gを加えて3分炒める。ターメリック1.5g、コリアンダー4g、クミン2gを加え、焦げないように混ぜながら30秒炒める。トマト400gと塩10gを加え、5〜6分、トマトが崩れてどろりとするまで炒める。
二番搾りで煮る
二番搾り(約300ml)を全量加えて、底からひと混ぜする。煮立ったら火を弱めの中火にし、ふたをせずに10分煮る。煮ているあいだに、換気扇を回し、オーブンを最高温度(250℃前後)で予熱しはじめる。
一番搾りを加えて煮詰める
冷蔵庫から出した一番搾り(約150ml)を全量加える。ふたをせず、弱めの中火で8〜10分、ときどき底から混ぜながら、木べらで鍋底をなぞると跡が少し残るくらいまで煮詰める。ソースがはねやすいので、顔を近づけない。火を止めておく。
鶏肉を並べる
オーブンが15分以上予熱できていることを確かめる。天板にアルミホイルを敷いて網をのせる。鶏肉を皮の面を上にして、間隔をあけて網に並べる。ボウルに残った下味は、鶏肉の上に塗る。
鶏肉を焼く
上段で8分焼き、取り出して裏返し、さらに7分焼く。ところどころに焦げ目がつけばよい。中まで完全に火が通っていなくてよい(ソースで煮て仕上げる)。焼き上がったら、置いておかずにすぐ次の手順に進む。
ソースで煮る
ソースの鍋を中火にかけ、ふつふつしてきたら、焼いた鶏肉を天板の焼き汁ごと加えて、ソースをからめる。ふたをして、いちばん弱い火で10分煮る。途中で1回、底から混ぜて焦げつきを防ぐ。いちばん大きい鶏肉を1切れ取り出し、骨の近くのいちばん厚いところに温度計を刺し(骨には当てない)、75℃以上になっていれば煮えている。温度計がないときは、骨まで切って、身にピンク色が残っておらず、出てくる汁が透明なことを確かめる。足りなければ鍋に戻し、同じ火加減で3分ずつ煮て、そのつど確かめる。
仕上げる
火を止め、レモン汁15mlを回し入れてひと混ぜし、パクチー5gを散らす。
ムワナンチはご飯やウガリ(とうもろこしの粉を湯で練ったもの)、麺、パン、マンダジ(揚げパン)と、ジコポイントはご飯やチャパティ、ウガリと一緒に食べるとしています。
料理科学:鶏肉を先に焼いてからソースで煮る理由
ソースの中では焼き色がつかない
肉を焼いたときの焼き色と香ばしい香りは、アミノ酸(たんぱく質を形づくる成分)と糖が反応するメイラード反応などで生まれます。この反応は、表面が乾いて100℃を超える温度になると、勢いよく進みます。
ソースの中で煮ている鶏肉は、水分がある限り100℃前後までしか上がりません。生の鶏肉をそのままソースで煮ると、火は通っても、焼いた香ばしさはつきません。ムワナンチのレシピや、アリ・マンドリーが説明する伝統的な作り方のように、鶏肉を別に焼いておくと、その香ばしさをソースに持ち込めます。家庭ではオーブンを最高温度にして、鶏肉どうしの間隔をあけ、蒸気がこもらないようにして焼きます。
焼いたあとはソースの中で火を通す
手順10では、中まで完全に火が通る前に焼くのをやめます。オーブンだけで骨のまわりまで火を通そうとすると、外側が乾きやすいからです。残りはソースの中で、ふたをして弱火で火を通します。ムワナンチのレシピで、ふたの上に炭をのせて10分おくのにあたる工程です。途中まで火を通した鶏肉は置いておかず、焼いたらすぐにソースで煮て、最後まで火を通します。
骨付きの肉で最後に火が通るのは、表面から最も遠い骨のまわりです。アメリカ農務省(USDA)の食品安全検査局は、鶏肉はどの部分も74℃(165°F)に達すれば安全だとしています。この記事では、同じサイトのタンドゥーリー・チキンの記事と同じく、余裕をみて、骨の近くのいちばん厚いところで75℃以上を目安にしています。
料理科学:ココナッツミルクを煮詰める
濃さの違う2つのココナッツミルク
すりおろしたココナッツを少ない水で搾った一番搾りは濃く、搾りかすに水を足して搾り直した二番搾りは薄くなります。
この記事では、手順7で、水分の多い二番搾りで野菜を10分煮て、そのあいだに水分を飛ばします。濃い一番搾りは手順8で加えるので、煮詰める時間が短くてすみ、脂が分かれる手前で止めやすくなります。
鍋底をなぞって跡が残るまで
ムワナンチのレシピは、ココナッツミルクを加えたら、ソースが roast(ロースト)のように濃くなるまで煮るとしています。ふたをせずに煮ると水分が蒸発し、ソースは濃くなります。さらに煮詰め続けると、脂が分かれて表面に浮いてきます。
この記事では、鶏肉にからむとろみがつき、木べらで鍋底をなぞると跡が少し残るところで火を止めます。ココナッツミルクの固形分は鍋底にこびりつきやすいので、煮詰めるあいだはときどき底から混ぜます。
家庭や店による違い
- スパイス:ジコポイントのレシピは、しょうがの粉小さじ1、ターメリックさじ2杯、コリアンダーとクミンを合わせてさじ2杯、レッドチリパウダー小さじ1/2を下味に使い、ソースにもクミンとターメリックを加えます。アリ・マンドリーのレシピは、カレー粉とパプリカで下味をつけます。
- 具材:ムワナンチのレシピは、ピーマンとにんじんを入れます。ジコポイントのレシピは、玉ねぎ、ピーマン、トマトを1個ずつ使います。ニューヨーク・タイムズの記事は、とうもろこしやじゃがいも、ゆで卵を加える人もいると書いています。記事で料理を作るキルティ・パテルのソースには、細かくひいたカシューナッツが入っています。英語版ウィキペディアは、鶏肉の代わりにえびや魚もよく使われるとしています。
- 鶏肉の火の通し方:ジコポイントのレシピは鶏肉を炒めてから、サビハ・コーカルのレシピは鶏肉を煮てから、ココナッツミルクのソースと合わせます。アリ・マンドリーは、半分に切った鶏を両面焼いてから、ライムの果汁を足し、ココナッツクリームをかけてふたをして煮ます。
- 下味のハーブ:ニューヨーク・タイムズの記事は、ナイロビの料理ブロガー、カルヒ・アダガラが下味にローズマリーを加えると紹介しています。
手に入りにくい材料の代用
- ココナッツ(すりおろし):ココナッツミルクの缶(400ml)1缶で代用できます。缶を振らずに開け、上の濃い部分150mlを一番搾りの代わりに、残り250mlに水50mlを加えて二番搾りの代わりにします。ぬるま湯100mlと330mlは使いません。乾燥したココナッツファイン(Amazon|楽天)100gを使う場合は、一番搾りのぬるま湯を熱湯180mlに替えて15分浸してから、手順1と同じようにミキサーにかけて搾ります。
- 青唐辛子:ムワナンチのレシピは、ピリピリ・ンブジと呼ばれる辛い唐辛子を使います。この記事では、サビハ・コーカルのレシピと同じ青唐辛子にしています。青唐辛子がなければ、一味唐辛子0.5g(小さじ1/4)を下味に加えます。
保存
- 冷蔵:保存容器に入れて2日。温め直すときは弱火にかけ、ときどき混ぜて、骨の近くまで熱くします
- 冷凍:ココナッツミルクのソースが分離しやすくなるため、おすすめしません
その他の地域のほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Mwananchi「Mapishi ya kuku wa kupaka」(スワヒリ語)
- Jiko Point「Jinsi ya kupika kuku wa kupaka kwa kutumia pressure cooker」(スワヒリ語)
- TRT Afrika「Bin Agil: Mapishi ya pwani na ladha asili mjini Mombasa」(スワヒリ語)
- The Standard(Evewoman)「How to make chicken in coconut sauce」(英語)
- Sabiha's Kitchen「Kuku Paka (Chicken in coconut sauce)」(英語)
- Qatar Tribune(The New York Times の配信記事)「A Kenyan pursuit: perfecting the chicken dish Kuku Paka」(英語)
- Wikipedia「Kuku paka」(英語)
- USDA Food Safety and Inspection Service「The Color of Meat and Poultry」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。