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アール・ターレコAloo Tareko レシピ

आलु तारेकोアール・ターレコ

地域
ネパール(ネパール各地)
分量
4人分
公開
真鍮の皿に盛ったアール・ターレコ。赤い皮つきのくし切りのじゃがいもが揚げ焼きで色づき、スパイスとジンブの葉がまぶされている。奥に真鍮の器の汁物

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アール・ターレコは、じゃがいもを多めの油で揚げ焼きにして、スパイスをからめたネパールの料理です。外はこんがりと香ばしく、中はほっくりしています。表面には、ターメリックの黄色と、粗く刻んだしょうがとにんにくがまとわりつきます。

この記事の配合は、インドの食の雑誌に英語で載った、ネパールのラナ家のレシピがもとです。マスタードオイルとギーを合わせた油で皮つきのじゃがいもを揚げ焼きにし、残した油でフェヌグリークとジンブを炒めて香りを移します。ジンブは、ヒマラヤの高地に育つネギの仲間の葉を乾かしたものです。

アール・ターレコとは

ネパール語では「आलु तारेको」と書きます。アールはじゃがいも、ターレコは「油で揚げた」という意味です。カンティプル紙の記事にも、ゆでた(ウシネコ)、揚げた(ターレコ)、火を通した(パカーエコ)じゃがいもという言い方で、じゃがいもの料理のしかたを表す言葉として出てきます。

ネパールのじゃがいも

ネパールのニュースサイト、オンラインカバルの記事は、じゃがいもは西ベンガルからネパールの東部に入り、そこからチベットへ伝わったと推測できる、としています。同じ記事は、ネパールで育てられている品種として、皮の赤いクフリ・シンドゥリやデジレー、皮の白いクフリ・ジョーティなどを挙げています。

カンティプル紙によると、ガンダキ州バグルン郡の標高2,600mの村ムタチャウルでは米もとうもろこしも育たず、朝夕の食事にじゃがいもを料理し、小麦や大麦、そばの粉のロティ(平たいパン)にもじゃがいもを合わせるといいます。

ラナ家の台所とムスタンのじゃがいも

この記事のもとにしたのは、インドの食の雑誌アッパークラストに英語で載った、ロヒニ・ラナの『The Rana Cookbook』のレシピです。インドの出版社ペンギン・ランダムハウス・インドの紹介によると、著者はインドで生まれ、1977年にネパールで、ネパール陸軍の参謀総長を務めたガウラブ・ラナ将軍と結婚しました。この本は、ラナ家の歴代の首相の家に伝わる料理を、家族の協力を得て集めたものだとされています。同じ紹介は、ラナ家の料理を、軽いネパールの料理にくらべて、インドの影響を受けた豊かな味だと説明しています。ネパールのビジネスニュースサイトB360は、約30年にわたる調べものをまとめた本だと伝えています。

アッパークラストに載ったこの本のレシピによると、アール・ターレコはラナ家のどの家でも少しずつ違う作り方で作られ、ほとんど毎食のように出てくる料理だそうです。赤いじゃがいもが欠かせず、昔はネパール北部の寒い高地ムスタンから運んだものがいちばんおいしいとされていた、とも書かれています。

つまりこの記事の配合は、ネパールの家庭に広く伝わる作り方そのものではなく、ラナ家という一つの家の系統のレシピを、英語の記事から組み立て直したものです。そのレシピはじゃがいも6個分で、揚げる時間は数分ほどとあるだけで、塩の量も決めていません。この記事の分量(4人分に減らし、26cmのフライパンに合わせて油も減らした量)、揚げ焼きの時間、塩の量は、生のじゃがいもを浅い油で中まで火を通すための、この記事の目安です。マスタードオイルを煙が出るまで熱する工程と、じゃがいもをいったん取り出してから油を減らす工程も、この記事で足したものです。

オンラインカバルの記者リトゥ・カフレの記事によると、カトマンズやポカラのホテルやレストランのメニューには「ムスタン・アール」という揚げたじゃがいもの料理が並んでいます。ただし記事は、店の経営者や料理人の話として、使っているのは地元の市場のじゃがいもで、「ムスタン」はメニューの名前にすぎないと伝えています。カンティプル紙のシーマ・タマンも、それより前の2022年に同じことを伝えています。

アール・ターレコのレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 40分(水にさらす時間を含む) 加熱 30分

スパイスの配合 4人分で計12.7g
  • コリアンダー4g
  • クミン4g
  • 赤唐辛子2.5g
  • フェヌグリーク1g
  • ターメリック1g
  • ジンブ0.2g

じゃがいも

  • じゃがいも(皮つき。できれば皮の赤い品種)600g(中4個)
  • 水(さらす用)1000ml

揚げ焼き用の油

香りづけ

  • フェヌグリークシード(ホール)(ネパール語でメティ)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/4)
  • ジンブ(ヒマラヤに育つネギの仲間の乾燥した葉)(Amazon|楽天)0.15g(小さじ1/2)
  • しょうが(すり鉢か包丁でたたいて粗くつぶす)20g(大さじ2)
  • にんにく(すり鉢か包丁でたたいて粗くつぶす)20g(大さじ2・4片)

粉のスパイスと塩

  • ターメリック(パウダー)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/3)
  • コリアンダー(パウダー)(Amazon|楽天)4g(小さじ2)
  • クミン(パウダー)(Amazon|楽天)4g(小さじ2)
  • レッドチリパウダー(唐辛子だけの粉)(Amazon|楽天)2.5g(小さじ1)
  • 塩5g(小さじ1弱)

道具

  • 厚手のフライパン(直径26cm前後。カラーイ(両手の中華鍋に似た鍋)でもよい)
  • 揚げもの用温度計(なくてもよい)(Amazon|楽天)
  • 油はねガード(なくてもよい)
  • 穴あきおたま
  • 耐熱のボウル(熱い油を移すための金属製のもの)

作り方

  1. じゃがいもを切って水にさらす

    じゃがいもは皮つきのままよく洗い、芽と緑色の部分を取り除く。縦に4つ割りにし、大きいものは6つ割りにする。ボウルに水(さらす用)1000mlを入れ、じゃがいもを30分さらす。

  2. 水気をしっかりふく

    ざるに上げて水を切る。清潔なふきんかキッチンペーパーに広げ、表面に水滴が残らないように1切れずつふく。水気が残っていると、熱い油に入れたときに激しくはねる。

  3. マスタードオイルを熱する

    換気扇を回し、鍋のそばを離れない。フライパンにマスタードオイル110gを入れて強めの中火にかけ、表面がゆらいで薄い煙が立ちはじめるまで3〜5分熱する。煙が見えたらすぐ火を止め、30秒おいて温度を下げる。ギー110gを加えて溶かし、中火に戻して160〜170℃にする(温度計がなければ、乾いた菜箸の先を入れて、細かい泡が絶えず上がる状態)。

  4. じゃがいもを揚げ焼きにする

    じゃがいもを1切れずつ、油の表面の近くで、手前から向こうへすべらせるように入れる。重ならないように1段に並べ、入りきらなければ2回に分ける。油はねガードがあれば上にかざし、ふたはしない。中火で15〜20分(この記事の目安)、4〜5分ごとに返しながら、全体がきつね色になり、竹串がすっと通るまで揚げ焼きにする。時間より竹串の通り方で判断する。油から煙が上がりはじめたら火を弱める。

  5. じゃがいもを取り出して油を減らす

    火を止める。じゃがいもを穴あきおたまで取り出し、バットに広げる。フライパンの油は、おたまで少しずつ耐熱のボウルに移し、大さじ4(60ml)だけ残す。フライパンを持ち上げて油を流しに捨てたり、熱い油に水をかけたりしない。

  6. フェヌグリークとジンブを炒める

    フライパンを中火にかけ、手前を少し持ち上げて傾け、残した油を奥に集める。油がゆらいできたらフェヌグリークシード1gを入れ、濃い茶色になるまで10〜15秒炒める。続けてジンブ0.15gを入れ、泡が立って葉の色が濃くなるまで5〜10秒炒める。黒くなる前に次へ進む。

  7. しょうがとにんにくを炒める

    フライパンを平らに戻し、しょうが20gとにんにく20gを加える。水分ではねるので顔を離す。中火で1分、香りが立ち、生のにおいが消えるまで炒める。

  8. じゃがいもを戻してスパイスをからめる

    弱めの中火にし、じゃがいもを戻し入れる。ターメリック1g、コリアンダー(パウダー)4g、クミン(パウダー)4g、レッドチリパウダー2.5g、塩5gを全体に振る。じゃがいもがくずれないように、フライパンをゆすりながら1〜2分、スパイスの粉っぽさがなくなって全体にからむまで炒める。すぐに器に盛る。

ラナ家のレシピは、できれば揚げたてをすぐに食べるのがいちばんおいしいとしています。

料理科学:水にさらして、水気をふいてから揚げ焼きにする理由

切ったじゃがいもを水にさらす

ラナ家のレシピも、この記事で紹介するムスタン・アールの2つの作り方も、切ったじゃがいもをまず水に浸けています。切り口のでんぷんが洗い流されるので、揚げ焼きにしたときに、じゃがいもどうしやフライパンにくっつきにくくなるとよく言われます。手順1で30分水にさらすのは、ラナ家のレシピにならったものです。

水滴は油はねのもと

熱い油に水滴が入ると、水が一気に沸騰して、まわりの油をはね飛ばします。手順2で1切れずつ水気をふくのはそのためです。

オンラインカバルの記事によると、じゃがいもの重さのおよそ75〜80%は水分です。揚げ焼きのあいだ、じゃがいもから水分が出続けるので、細かい泡が出続けます。じゃがいもを手前から向こうへすべらせて入れるのは、はねた油が自分のほうへ飛ばないようにするためです。ふたをすると、ふたの内側についた水滴が油に落ちてはねるので、ふたはしません。

重ねずに並べる

じゃがいもの表面の水分が抜けると、メイラード反応(アミノ酸と糖が反応して、焼き色と香ばしい香りができる反応)が進み、きつね色と香ばしい香りが生まれます。重ねて入れると蒸気がこもり、表面が乾きにくくなるので、1段に並べます。

料理科学:スパイスを少ない油で炒める理由

油を集めて、少量のスパイスを浸す

フェヌグリークもジンブも、使う量はごくわずかです。フライパンを平らにしたまま入れると、薄く広がった油の中で一部だけが熱され、むらになります。ラナ家のレシピは、フライパンを傾けて油を集め、そこにフェヌグリークとジンブを入れています。油に沈めると、粒や葉がまんべんなく熱されて、香りが油に移ります。その油がじゃがいもに香りを運びます。

色の変わり目で止める

フェヌグリークの種は、油の中で色づくと香ばしい香りが出ますが、黒くなるまで焦がすと苦みが強くなります。乾燥したジンブは薄い葉なので、フェヌグリークより早く焦げます。ラナ家のレシピは2つを一緒に入れますが、この記事ではフェヌグリークを先に色づけ、ジンブはそのあと数秒だけ炒めます。

粉のスパイスも、粒が細かいぶん焦げやすいので、最後にじゃがいもと一緒に入れ、弱めの中火で短く炒めます。

地域や料理人による違い

  • ムスタン・アール(レストラン風):カフレの記事で、カトマンズのソルティー・ホテルの料理人R・B・ブダトキが紹介する作り方です。皮つきのじゃがいもを塩水に浸してから、同じ水に塩とターメリックとティムル(ネパールの山椒)の粒を入れて7〜8割ゆで、水気を切って油で揚げます。ギーできつね色に炒めたしょうがとにんにくに、塩、唐辛子の粉、ティムルの粉を合わせて、揚げたじゃがいもにまぶします。ブダトキは、寒い土地でとれたじゃがいも、とくに赤いものが向いていて、大きすぎないものがよいとしています。
  • 衣をつけて揚げる:オンラインカバルで紹介されたカトマンズのレストランの経営者アンジャナ・ヨギのムスタン・アールは、下ゆでしたじゃがいもにコーンスターチと小麦粉の衣をつけて揚げ、バターで炒めたにんにくと玉ねぎ、クミン、黒こしょう、ティムル、パクチー(コリアンダーの葉)と合わせます。
  • ティムルとジンブ:インドの食文化研究家プシュペーシュ・パントは、ロヒニ・ラナの2冊目の料理本の書評で、ティムルやジンブを使うことで、ムスタン・アールが一段上の味になると書いています。この記事のラナ家のレシピにはティムルは入っていません。ティムルを加えたいときは、手順8で粉のスパイスと一緒に、指でつぶしたティムル0.3g(小さじ1/4)を加えます。

手に入りにくい材料の代用

  • マスタードオイル:菜種油かサラダ油110g(120ml)で代用できます。生のマスタードオイルのような辛味はないので、手順3で煙が出るまで熱する必要はありません。ギーを加えてから160〜170℃にします。
  • ギー:ギーの代わりにマスタードオイル(または菜種油)110g(120ml)を使えば、油だけで作れます。ギーのナッツのような香ばしさはなくなります。バターは乳の固形分が焦げやすいので、揚げ焼きには向きません。
  • ジンブ:省いて作れます。代わりに、手順6でフェヌグリークのあとにクミン(ホール)1g(小さじ1/2)を入れ、泡が立って香りが出るまで炒めると、香りに奥行きが出ます。ジンブとは別の香りです。
  • フェヌグリークシード:省いて作れますが、ネパールらしい香ばしさとほろ苦さは弱くなります。
  • レッドチリパウダー:一味唐辛子を同じ量使えます。辛さを抑えたいときは、パプリカパウダーと半量ずつにします。
  • 皮の赤いじゃがいも:日本では、アンデスレッドやノーザンルビーなどが皮の赤い品種です。手に入らなければ、男爵いもやメークインなど、ふだんのじゃがいもで作れます。

保存

  • 冷蔵:保存容器に入れて2日。食べるときは、フライパンに油を引かずに入れ、中火で3〜4分、ときどき返しながら温め直します。揚げたてのようなカリッとした食感は戻りません
  • 取り分けた揚げ焼きの油は、冷めてから目の細かいこし器でこし、ふたつきの容器に入れて冷暗所に置き、1週間ほどのうちに炒め物などに使います

ネパールのほかのレシピ

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。