トップ / スパイスと基本

ガラム・マサーラー日本では「ガラムマサラ」ともGaram Masala レシピ

गरम मसालाガラム・マサーラー

地域
スパイスと基本(パンジャーブ)
分量
できあがり約50g
公開
打ち出し模様の真鍮の器に山盛りにしたガラム・マサーラー。まわりにグリーンカルダモン、ブラックカルダモン、クローブ、シナモン、スターアニス、テージ・パッターが散らばっている。奥にガラスびん

この記事はAmazonアソシエイト・楽天アフィリエイトのリンクを含みます。

ガラム・マサーラーは、北インドの料理の仕上げに欠かせないミックススパイスです。カレーや豆の煮込みに少量を振るだけで、カルダモンやクローブ、シナモンの甘く温かい香りが立ちます。瓶入りの粉は日本のスーパーでも手に入りますが、インドの料理書の著者タルラー・ダラールのサイトは、市販品は家で挽きたてのものにかなわないと書いています。

ここでは北インド・パンジャーブの家庭のように、コリアンダーとクミンを土台にして、甘い香りのスパイスを重ねます。スパイスを大きさごとに分けて弱火で煎り、冷ましてから挽いてふるいます。できあがりは約50g。4人分のカレーに1〜2gずつ使うなら、25回分ほどになる量です。

ガラム・マサーラーとは

ヒンディー語では「गरम मसाला」と書きます。ブリタニカ百科事典によれば、名前はヒンディー語・ウルドゥー語で、熱い(ホットな)スパイスという意味です。ただし、唐辛子のような辛さのことではありません。同じ百科事典は、シナモン、カルダモン、クミン、こしょうが中心で、甘い風味と、甘くない料理らしい風味(英語でいうセイボリー)の釣り合いをとった配合で、辛さは比較的弱いと説明しています。また、アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)では、体温を上げるものや、かぜの手当てに使われるとしています。

決まった配合はない

ヒンディー語版ウィキペディアは、ガラム・マサーラーをインドの伝統的なスパイスの混ぜ合わせとし、地域によって好みが違うので「パンジャービー」「カシュミーリー」「ケーララ」などの名で呼び分けると書いています。カルダモン、黒こしょう、クミン、シナモン、クローブはどの地域のものにも入り、そこに地域や家の好みでほかのスパイスを足す、という説明です。

タルラー・ダラールのサイトのヒンディー語の解説も、家ごとに自分の配合があるとしています。インドのレシピサイト Archana’s Kitchen の書き手も、パンジャーブ式の配合を紹介しながら、どの家でも割合が少しずつ違うと書いています。UAEの新聞ガルフ・ニュースの記事で、ドバイのタージ・ホテルの料理長ヴィカース・ミルホートラーも、決まった公式はないと話しています。

北インド・パンジャーブの家庭の配合

ガルフ・ニュースの記事でミルホートラーが「北インド、特にパンジャーブの家庭」の配合として挙げるのは、コリアンダー、クミン、黒こしょう、シナモン、メース、ブラックカルダモン、グリーンカルダモン、フェンネル、クローブ、ベイリーフ(インドではテージ・パッター)です。量がいちばん多いのはコリアンダーで、次がクミンです。シェフのハルパール・シングのレシピ(ヒンディー語学習ブログ Transparent Language で紹介)や、シェフのランヴィール・ブラールのレシピも、コリアンダーをいちばん多く使います。

一方、タルラー・ダラールのサイトと Archana’s Kitchen の「パンジャービー・ガラム・マサーラー」は、クミンとカルダモンがいちばん多い配合です。どちらも乾燥しょうがの粉を加えます。ヒンディー語版ウィキペディアも、パンジャーブのガラム・マサーラーにはコリアンダー、テージ・パッター、乾燥しょうがも入ると書いています。

この記事では、ミルホートラーの配合を土台にし、コリアンダーとクミンの量は同じ大さじ4と大さじ2にしました。甘い香りのスパイスはハルパール・シングとミルホートラーの比を目安にしています。スターアニスはミルホートラーのパンジャーブ式には入りませんが、ハルパール・シングとランヴィール・ブラールのレシピにならって1個だけ加えました。また、タルラー・ダラールのサイト、Archana’s Kitchen、ヒンディー語版ウィキペディアがパンジャーブ式の材料に挙げる乾燥しょうがを少し加えています。ランヴィール・ブラールのレシピは塩を少し入れて煎りますが、この記事では入れません。使う料理の側で塩を決められるようにするためです。

ガラム・マサーラーのレシピ:材料(できあがり約50g)

下ごしらえ 5分 加熱 35分(冷ます時間を含む)

スパイスの配合 できあがり約50gで計56g
  • コリアンダー20g
  • クミン12g
  • 黒こしょう6g
  • ブラックカルダモン4g
  • グリーンカルダモン3g
  • シナモン3g
  • クローブ2g
  • フェンネル2g
  • スターアニス1g
  • テージ・パッター1g
  • メース1g
  • ドライジンジャー1g

先に煎るスパイス(全体でできあがり約50g)

  • コリアンダー(ホール)(種子)(Amazon|楽天)20g(大さじ4)
  • クミン(ホール)(Amazon|楽天)12g(大さじ2)

あとから煎るスパイス

  • 黒こしょう(ホール)(Amazon|楽天)6g(小さじ2)
  • ブラックカルダモン(ホール)(Amazon|楽天)4個(4g)
  • グリーンカルダモン(ホール)(Amazon|楽天)15粒(3g)
  • シナモン(ホール)(インドで一般的なカシアでもよい)(Amazon|楽天)10cm(3g)
  • クローブ(ホール)(Amazon|楽天)25粒(2g)
  • フェンネル(ホール)(Amazon|楽天)2g(小さじ1)
  • スターアニス(ホール)(Amazon|楽天)1個(1g)
  • テージ・パッター(インドのシナモンの仲間の葉)(Amazon|楽天)3枚(1g)
  • メース(ホール)(Amazon|楽天)2片(1g)

挽いたあとに混ぜる

  • ドライジンジャーパウダー(乾燥しょうがの粉)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)

道具

  • 電動のスパイスミル(Amazon|楽天)
  • 厚手のフライパン(直径24cm前後)
  • 目の細かいざる(茶こしでもよい)
  • ふたつきのガラスびん(清潔で乾いたもの)

作り方

  1. スパイスの下準備をする

    スパイスと道具に水気がないことを確かめる。シナモン10cmは手で2〜3cmに折る。ブラックカルダモン4個はめん棒で軽くたたいて、さやに割れ目を入れる。テージ・パッター3枚は3〜4つにちぎる。煎ったスパイスを広げる大きな皿を用意する。

  2. コリアンダーを煎る

    換気扇を回す。厚手のフライパンを弱めの中火で1分温め、油をひかずにコリアンダー20gを入れる。木べらで絶えず混ぜながら3〜4分、香りが立って色がひと色濃くなるまで煎る。煎る時間はこの記事の目安で、火加減やフライパンで変わるので、香りと色で判断する。皿に広げて取り出す。

  3. クミンを煎る

    弱火にし、同じフライパンにクミン12gを入れる。絶えず混ぜながら1分30秒〜2分、香ばしい香りが立って色が少し濃くなるまで煎り、コリアンダーの皿に広げる。煙が出はじめたら、すぐにフライパンを火から下ろす。

  4. 残りのスパイスを煎る

    弱火のまま、同じフライパンに黒こしょう6g、ブラックカルダモン4個、グリーンカルダモン15粒、シナモン10cm、クローブ25粒、フェンネル2g、スターアニス1個、テージ・パッター3枚を入れ、絶えず混ぜながら2分煎る。メース2片を加えて、さらに30秒〜1分、クローブの頭がふくらみ、グリーンカルダモンのさやにうっすら焼き色がつくまで煎る。皿に広げる。

  5. 冷ます

    皿に広げたまま15〜20分おき、手で触って温かさが残らないところまで冷ます。

  6. 挽く

    スパイスミルに2回に分けて入れ、5〜10秒回しては止めるのをくり返して、細かい粉にする。続けて回さず、ミルが熱くなったら少し休ませる。挽いた粉をボウルに集め、ドライジンジャーパウダー1gを加えてよく混ぜる。

  7. ふるう

    目の細かいざるでふるう。ざるに残った粗い粒をもう一度ミルで挽いてふるい、それでも残るさやの繊維は捨てる。

  8. びんに詰める

    清潔で乾いたガラスびんに入れ、ふたをしっかり閉める。作った日付を書いておく。

できたガラム・マサーラーは、カレーや豆の煮込みの仕上げに振って使います。

スパイスを分けて弱火で煎る理由

煎ると水分が抜け、香ばしくなる

タルラー・ダラールのサイトの英語のレシピは、煎るとスパイスの余分な水分が抜けて、ガラム・マサーラーが長くもつようになるとしています。煎ったスパイスは色が少し濃くなり、香ばしい香りが出る、とも書いています。

ミルホートラーのレシピも、スパイスを弱火で煎ります。煎りすぎて焦げると、苦みが出ます。手順で弱火を使い、色がひと色濃くなったところで皿に移すのはそのためです。

大きさで火の通り方が違う

スパイスは粒の大きさや形がまちまちで、色づいて香りが立つまでの時間も違います。ランヴィール・ブラール、ミルホートラー、インドのレシピサイト ヘッバールズ・キッチン(ヒンディー語版)のレシピは、どれもコリアンダー、クミンの順に先に煎り、残りのスパイスをあとから煎ります。ヘッバールズ・キッチンは、別々に煎らないと焦げやすいと注意しています。手順2〜4でこの順に分けているのは、それぞれをちょうどよいところで火から下ろすためです。メースは薄くて焦げやすいので、この記事では最後の30秒〜1分だけ煎ります。

煎ったスパイスを冷ましてから挽くのは、タルラー・ダラールのサイトが書くように、温かいまま挽くと粉がだまになりやすいからです。

使う分だけ作り、仕上げに加える理由

タルラー・ダラールのサイトのヒンディー語の解説は、市販品は家で挽きたてのものにかなわないとしています。同じサイトの英語のレシピは、新しいスパイスを使うよう勧め、作りたてのガラム・マサーラーならではの香りと風味を挙げています。マムター・グプターは、煎って出た香りは保存するうちに抜けるので、煎って作るのはすぐ使う少量にとどめるよう勧めています。一度に作る量を約50gにとどめているのは、香りのよいうちに使い切るためです。

インドのウッタラーカンド州立オープン大学のホテル経営学の教材は、ガラム・マサーラーのような香りのミックスは、香りが湯気と一緒に逃げないように最後に加えるとしています。このサイトのカレーのレシピの多くも、ガラム・マサーラーを仕上げ(火を止める前後)に加えています。この記事でスパイスミルを続けて回さず、ときどき休ませるのは、粉が熱くならないようにするためです。

地域による違い

肉料理とビリヤーニーのマサーラー

ガルフ・ニュースの記事でミルホートラーは、ハイダラーバードやラクナウ、ウッタル・プラデーシュ州の一部、カシミールなど、インド各地のムスリムの料理で肉料理やビリヤーニーに使うマサーラーを紹介しています。パンジャーブ式と同じくコリアンダーとクミンを土台にしながら、フェンネルとメースを多めにし、スターアニス、乾燥唐辛子、ナツメグ、少しのターメリックを加えます。ミルホートラーは、フェンネルが入ることでアチャール(インドの漬物)のような風味が出ると説明しています。

カシミール

ガルフ・ニュースの記事と、マムター・グプターの家庭料理のサイト Mamta’s Kitchen は、ほぼ同じ材料のカシミールの配合を紹介しています。コリアンダーと白いクミンを使わず、代わりに「カーラー・ジーラー」(ブラッククミン、シャーヒー・ジーラーとも)を黒こしょうと同じくらいたっぷり入れます。そこにシナモン、グリーンカルダモン、クローブ、ベイリーフ、フェンネル、メース、ナツメグを合わせます。グプターは、カーラー・ジーラーはカシミールにたくさん育つ、と書いています。ミルホートラーは、カシュミーリー・チリを辛さのためではなく色のために加えることがあるとしています。

ベンガル

ベンガル料理のサイト Bong Eats は、いちばん基本のベンガルのガラム・マサーラーは、カルダモン、シナモン、クローブの3種だけで作ると書いています。料理サイト Kitchen of Debjani のベンガルのガラム・マサーラーも、グリーンカルダモン、シナモン、クローブの3種だけを挽く作り方です。

Bong Eats が紹介する「シャーヒー(王侯風)・ガラム・マサーラー」は、この3種にメースとナツメグで香りを、乾燥唐辛子と黒こしょうでほのかな辛みを足したものです。北インドの配合のようなコリアンダーやクミンは入りません。卵や肉のカレーに使うほか、ギーと一緒に野菜の煮物やキチュリ(米と豆の粥)の仕上げに振ります。

家庭ごとの違い

  • 季節で変える:ランヴィール・ブラールは、冬にはナツメグを、夏にはフェンネルを加えるとしています。
  • 煎らずに挽く:北インドとパキスタンの配合として紹介されているファーミダー・アシュラフのレシピ(ブログ But First Chai)や、Kitchen of Debjani のベンガルの配合は、スパイスを煎らずにそのまま挽きます。タルラー・ダラールのサイトも、煎る代わりに日に干してから挽いてもよいとしています。
  • クミンとカルダモンを主役にする:この記事の配合でクミンを20g、グリーンカルダモンを30粒(6g)にして、コリアンダーを10gに減らすと、クミンとカルダモンの香りが強くなり、タルラー・ダラールや Archana’s Kitchen の配合に近づきます。

ほかの料理での使い方

  • カレーや豆の煮込み:仕上げに、4人分で1〜2g(小さじ1/2〜1)を振って混ぜます。Bong Eats が書くように、ベンガルではギーと一緒に仕上げに振る使い方もあります。
  • 肉の下味:タンドゥーリー・チキンのような、ヨーグルトに漬けて焼く料理の漬けだれに、4人分で1〜3g(小さじ1/2〜1と1/2)を混ぜます。
  • ビリヤーニー:肉の漬け込みに混ぜて使います。このサイトのチキン・ビリヤーニーでは、4人分で2g(小さじ1)です。

このサイトのレシピでは、4人分の料理1品に0.5〜4g、多くは1〜2gを使っています。1〜2gずつなら、約50gで25〜50回分ほどになります。

手に入りにくい材料の代用

  • ブラックカルダモン:大きな黒いさやのカルダモンで、いぶしたような香りがあります。似た香りのものは日本では手に入りにくいので、省いてグリーンカルダモンを5粒(1g)増やします。
  • テージ・パッター:シナモンの仲間の木の葉です。ローリエで代用できますが、香りは違うものになります。手に入らなければ省きます。
  • メース:ナツメグの種を包む皮です。ナツメグパウダー0.5g(小さじ1/4)を、手順6でドライジンジャーパウダーと一緒に混ぜます。
  • ドライジンジャーパウダー:ジンジャーパウダーとして売られているものを使います。なければ省きます。
  • 電動のスパイスミル:コーヒー用の電動ミルでも挽けます。コーヒーの香りが移るので、スパイス専用にします。すり鉢で挽くこともできます。時間はかかりますが、ガルフ・ニュースの記事は、すり鉢で挽いたスパイスのほうが香りが強いとしています。

保存

保存期間は、香りを優先したこの記事の目安です。ヘッバールズ・キッチンは新しいスパイスで作れば数か月もつとしていますが、マムター・グプターは、煎って出た香りは保存するうちに抜けるので、煎って作るのはすぐ使う少量にとどめるよう勧めています。

  • 常温:密閉したガラスびんに入れ、直射日光とコンロの熱が当たらない場所で1か月(この記事の目安)。乾いたスプーンですくい、湿気を入れないようにします
  • 冷凍:Archana’s Kitchen は長く保存するならびんごと冷凍するとしています。この記事の目安は3か月です。使う分だけ取り出し、すぐ冷凍庫に戻します(結露を防ぐため)
  • 煎る前のホールのスパイスのほうが、粉よりも香りが長く保てます。粉にするのは使い切れる量だけにします

スパイスと基本のほかのレシピ

もっと知りたい人へ

  • ハロルド・マギー『マギー キッチンサイエンス』食材と加熱の仕組みを広く扱う、料理科学の定番Amazonで見る楽天で見る

出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。