チャート・マサーラーChaat Masala レシピ
चाट मसालाチャート・マサーラー

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チャート・マサーラーは、果物やゆでたじゃがいも、焼き上がったタンドゥーリー・チキンに、食べる直前に振るインドのミックススパイスです。煎ったクミンの香ばしさ、アムチュール(乾燥マンゴーの粉)の酸味、カーラー・ナマク(ブラックソルト)のゆで卵のような香りが一度に来ます。
市販品も手に入りますが、家で作ると煎りたてのクミンの香りを生かせます。ホールのスパイスを弱火で煎り、冷ましてから挽いて、煎らない粉と塩を合わせます。重さのおよそ4割が塩なので、使う量の目安もあわせて書きます。
チャート・マサーラーとは
チャート・マサーラー(चाट मसाला)は、「チャート」に使う「マサーラー(ミックススパイス)」という意味です。
「チャート」という言葉
チャートは、北インドを中心に食べられている軽食の一群です。揚げたせんべいやゆでたじゃがいも、豆、ヨーグルトなどを組み合わせ、仕上げにチャート・マサーラーを振ります。
ヒンディー語版のウィキペディアは、チャートを「味わう」という意味の言葉から来た名前としています。英語版のウィキペディアは、ヒンディー語の「チャート」(味わうこと、ごちそう)が「チャートナー」(なめる。指までなめるほどおいしい、という意味合い)から来た、と説明しています。
シャー・ジャハーンの時代の言い伝え
チャートの始まりには、よく語られる話があります。英語版のウィキペディアとインドの新聞フリー・プレス・ジャーナルの記事によると、料理人類学者のクルシュ・ダラールは、ムガル帝国のシャー・ジャハーン(17世紀の皇帝)の時代に、いまのウッタル・プラデーシュ州にあたる北インドで、いまのチャートのもとになる料理が生まれたと考えています。フリー・プレス・ジャーナルの記事は、ヤムナー川の水が急にアルカリ性になり、その対策として王の医師たちが辛い揚げ物とヨーグルトを食べるよう人々に勧めた、という話を紹介しています。
チャート・マサーラーそのものがいつ頃から作られたのかは、この記事で読んだ情報源には書かれていませんでした。
家庭の配合と、パキスタンの配合
この記事では、ヒンディー語のレシピ4件と、パキスタンの料理テレビ局マサーラーTVの料理家のレシピ2件(英語)を読み比べました。6件すべてに入っていたのは、煎ったクミン、コリアンダー、黒こしょうです。カーラー・ナマクは6件中5件の材料欄にありました(Archana’s Kitchen は「カーラー・ナマクまたは岩塩」)。入れていないレシピサイト Hebbar’s Kitchen も、市販品の多くには入っていると書き添えています。
酸味のもとは、ヒンディー語の4件はどれもアムチュールでした(ニシャー・マドゥリカーは、酸味料の結晶も少し加えています)。マサーラーTVの2件は、レモンソルト(クエン酸の結晶)やクエン酸を使い、うち1件はカターイー(アムチュールのこと)も加えています。ヒング(アサフェティダという植物の樹脂を粉にしたもの。玉ねぎやにんにくに似た強い香り)は、ヒンディー語の4件すべてに入っていました。
この記事の配合は、インドのニュース局アージ・タクのサイトのヒンディー語のレシピを骨格にしました。手順は、ヒンディー語の料理サイトを運営するニシャー・マドゥリカーのレシピにならい、クミンとコリアンダーを先に、黒こしょうと唐辛子をあとから煎ります。塩の量は、どちらのレシピよりも控えめです。
チャート・マサーラーのレシピ:材料(できあがり約60g)
下ごしらえ 15分(冷ます・挽く時間を含む) 加熱 5分(から煎り)
- アムチュール16g
- クミン12g
- コリアンダー5g
- 黒こしょう3g
- ドライジンジャー1g
- ヒング0.7g
- 赤唐辛子0.5g
煎るスパイス
一緒に挽くもの
作り方
スパイスを確かめる
クミン12g、コリアンダー5g、黒こしょう3gを皿に広げ、小石や殻が混じっていないか確かめる。赤唐辛子1本はヘタを取り、2〜3つにちぎる。
クミンとコリアンダーを煎る
厚手のフライパンを油をひかずに弱火で温め、クミン12gとコリアンダー5gを入れる。木べらで絶えず混ぜながら1〜2分、香りが立ってクミンの色がひと回り濃くなるまで煎る。黒くなるまで煎らない。
黒こしょうと唐辛子を加える
黒こしょう3gと赤唐辛子1本を加え、さらに1分ほど、唐辛子がぱりっとするまで混ぜながら煎る。唐辛子から刺激のある煙が出るので、換気扇を回しておく。
すぐに移して冷ます
火を止め、すぐに大きめの皿に広げて移す。フライパンに残すと余熱で焦げる。手でさわって温かさを感じなくなるまで、10分ほどおく。
塩と一緒に挽く
冷めたスパイスと塩6gをスパイスミルに入れ、細かい粉になるまで挽く。粉が舞うので、止めてから1分ほど待ってふたを開ける。
残りを加えて挽き、ふるう
カーラー・ナマク20g、アムチュール16g、ジンジャーパウダー1g、ヒング0.7gを加え、10秒ほど挽いて混ぜる。目の細かいざるでふるい、ざるに残った粗い粒をもう一度挽いてふるい、全体をよく混ぜる。
びんに詰める
乾いた密閉できるガラスびんに移し、ふたをしっかり閉める。
小さじ1(約2.5g)で、塩およそ1gぶんの塩気がつきます。
料理科学:カーラー・ナマクのゆで卵の香り
においのもとは硫化水素
カーラー・ナマクは、ヒンディー語で「黒い塩」という意味です。英語版のウィキペディアによると、塩を炭やハラド(ミロバランという木の実)などと一緒に密閉した壺に入れ、窯で24時間ほど焼いて作ります。ハリヤーナー州のヒサール県が主な産地です。
英語版のウィキペディアは、できあがった塩には塩化ナトリウムのほかに、硫化物や硫化水素など硫黄を含む成分がわずかに含まれるとしています。ヒンディー語版・英語版のウィキペディアは、どちらもにおいの主なもとを硫化水素としています。硫化水素は、ゆで卵のにおいのもとでもあります。カーラー・ナマクがゆで卵に似た香りになるのはこのためです。かたまりの濃い紫がかった色は硫化鉄によるもの、と英語版のウィキペディアは説明しています。ヒンディー語版のウィキペディアによると、挽くとピンク色の粉になります。
煎らずに最後に加える理由
ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、2003年の見解でカーラー・ナマクの硫化水素を取り上げています。ドイツの検査機関がイギリスから輸入されたカーラー・ナマク1検体を調べたところ、1kgあたり200mg前後の硫化水素が見つかりました(おおよその量を見る測定です)。どの成分から硫化水素が出てくるのかはわかっていない、と BfR は書いています。同じ見解は、塩に含まれる硫化物が胃の酸と反応して硫化水素になること、調理のあいだに、量はわからないものの一部が気体になって抜けることも書いています。
この記事で読んだレシピのうち、カーラー・ナマクを使う5件は、どれもカーラー・ナマクを煎らずに、スパイスを煎ったあとで混ぜていました。調理中に抜けていく香りなので、手順でもカーラー・ナマクは火にかけず、冷ましたスパイスに加えます。料理に使うときも、加熱の最後か、器に盛ってから振ります。
BfR は、硫化水素を口から取ったときの毒性のデータが少なく、確かなことは言えないとしています。そのうえで、ときどき少量を使うインド料理での本来の使い方なら、調理中に一部が抜けることも考え合わせて、健康を害するおそれはないと見ています。また、カーラー・ナマクは少しの量でねらった味になり、多すぎると好ましくない味になる、とも書いています。
ホールで煎ってから挽く理由
ニシャー・マドゥリカーは、煎る目的を水分を飛ばすことだとし、煎りすぎないように書いています。黒くなるまで煎ると、焦げた苦みが出ます。
煎ったスパイスは、Hebbar’s Kitchen とニシャー・マドゥリカーのレシピにならい、冷ましてから挽きます。アムチュールやジンジャーパウダー、ヒングは、もとから粉なので煎りません。
使う量の目安
このミックスは重さのおよそ4割が塩です。料理に振るときは、小さじ1(約2.5g)につき料理の塩を約1g減らします。
- タンドゥーリー・チキン(4人分):焼き上がりに2.5g(小さじ1)を振ります。
- チキン・マラーイー・ティッカー(4人分):串から外して1.2g(小さじ1/2)を振ります。
- 果物:りんご、バナナ、パパイヤなどを一口大に切り、1人分(150g)に1.2g(小さじ1/2)を振って和えます。英語版のウィキペディアは、屋台では切った果物や生の野菜に振ることが多く、北インドでは生の白い大根がその一例だ、と書いています。
- 飲み物とヨーグルト:Archana’s Kitchen は、バターミルク(チャース)やダヒー・ヴァダー(ヨーグルトに浸した豆の揚げ団子)に振るとしています。ニシャー・マドゥリカーは、サラダやゆでたひよこ豆、スイートコーンに使っています。
手に入りにくい材料の代用
- カーラー・ナマク:同じ重さの塩で代用できます。Hebbar’s Kitchen のレシピもカーラー・ナマクを使っていません。ゆで卵のような香りはなくなり、一般的なチャート・マサーラーとは別の味になります。
- アムチュール:Hebbar’s Kitchen は、アナールダーナー(乾燥させたザクロの種)の粉で代用できるとしています。同じ重さのアナールダーナーをスパイスミルで挽いて使います。
- ヒング:入れなくても作れます。玉ねぎに似た奥の香りがなくなります。
- 赤唐辛子(ホール):一味唐辛子0.5g(小さじ1/4)で代用できます。煎らずに、手順6でカーラー・ナマクと一緒に加えます。
- スパイスミル:すり鉢でも作れます。目の細かいざるでふるい、残った粒をすり直します。
保存
- 常温:乾いた密閉びんに入れ、直射日光と湯気の当たらない場所に置きます。アージ・タクは3〜6か月、ニシャー・マドゥリカーは6か月保存できるとしています。
- 塩は湿度が75%前後を超えると空気中の水分を吸い始めるので、日本の梅雨から夏は固まりやすくなります。取り出すときは乾いたスプーンを使い、コンロの横には置きません。固まったら、スパイスミルで数秒挽き直します。
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出典
- आज तक(Aaj Tak)「Homemade Chaat Masala Recipe: घर पर बनाएं बाजार जैसा चटपटा चाट मसाला, हर सब्जी का स्वाद होगा दोगुना」(ヒンディー語)
- Nisha Madhulika「चाट मसाला – Recipe for Chat Masala powder」(ヒンディー語)
- Archana's Kitchen「चाट मसाला रेसिपी - Chaat Masala Recipe」(ヒンディー語)
- Hebbar's Kitchen「चाट मसाला रेसिपी | chat masala in hindi | चाट मसाला पाउडर」(ヒンディー語)
- Masala TV「Homemade Chaat Masala Recipe | Shireen Anwar」(英語)
- Masala TV「Gulzar Special Chaat Masala Recipe | Chef Gulzar at Dawat」(英語)
- Wikipedia「चाट」(ヒンディー語)
- Wikipedia「काला नमक」(ヒンディー語)
- Wikipedia「Chaat」(英語)
- Wikipedia「Chaat masala」(英語)
- Wikipedia「Kala namak」(英語)
- Free Press Journal「From sev puri to momo chaat: The flavourful evolution of the Indian chaat」(英語)
- Bundesinstitut für Risikobewertung(BfR)「Vorkommen von Schwefelwasserstoff in „Schwarzsalz“」(ドイツ語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。