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料理名のヒンディー語

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スパイスと基本
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金属のターリーに並べた北インドの食事。アールー・ゴービー、ラーイター、クミンと赤い油のタルカーをかけたダール、アチャール、焼き目のついたローティー。奥に玉ねぎとレモン

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インド料理の名前には、材料と作り方を並べただけのものがたくさんあります。アールー・ゴービーはじゃがいもとカリフラワー、キーマー・マタルはひき肉とグリーンピースという意味です。言葉をいくつか覚えておくと、メニューを見ただけで、どんな料理か見当がつくようになります。

この用語集では、北インドとパキスタンの料理の名前によく出てくる言葉を、ヒンディー語の文字(デーヴァナーガリー文字)とウルドゥー語の文字、意味、現地の発音に近いカタカナで並べました。語源は、ウルドゥー語の辞書サイト Rekhta Dictionary と、同じサイトに収められている Platts の辞書(A Dictionary of Urdu, Classical Hindi, and English)で確かめた範囲だけを書いています。

表の見かた

  • 言葉:現地の発音に近いカタカナです。かっこの中は、料理名などでよく見かける書き方で、発音とずれている言葉にだけ付けました。たとえば「マサーラー(マサラ)」は、ヒンディー語では2つめと3つめの母音をのばして発音します。
  • 文字:左がヒンディー語のデーヴァナーガリー文字、右がウルドゥー語の文字です。ヒンディー語とウルドゥー語で形が少し違う言葉は、両方を書きました。ウルドゥー語の文字を辞書で確かめられなかった言葉は「-」にしています。
  • 語源:辞書が示している言葉の出どころです。Rekhta の表示と Platts の表示が違うときは、両方を書きました。どちらにも書いていないものは「-」にしています。

発音のカタカナについて、いくつか補足します。

  • ड़ と ढ़ は、舌先を反らせて軽くはじく音です。辞書のローマ字では ṛ(Platts)や .D(Rekhta)と書かれ、英語の綴りでは d とも r とも書かれます。この記事のカタカナでは、ラ行で書きました。英語で Tadka とも Tarka とも綴られるタルカーがその例です。
  • ज़ は z の音です。カタカナではザ行で書きました。
  • ヒンディー語の綴りでは、語の途中の短い「ア」が発音されないことがあります。Rekhta は मखनी を makhnii とローマ字で書いていて、「マクニー」に近い発音です。

肉と魚

言葉 文字 意味 語源
ムルグ मुर्ग़ / مرغ 鶏。Rekhta は鳥、鶏、めんどりの意味を挙げる ペルシア語(Rekhta)
ゴーシュト गोश्त / گوشت 肉 ペルシア語(Rekhta)。Platts は中世ペルシア語(パフラヴィー語)の gosht を挙げる
キーマー(キーマ) क़ीमा / قیمہ ひき肉 Platts は、アラビア語の qīmat から来た語とし、さらにギリシア語にさかのぼるだろうとする
マチリー मछली / - 魚 -
ジーンガー झींगा / - えび -

ムルグは、バター・チキンのヒンディー語の名前「ムルグ・マクニー」や、アチャーリー・ムルグ・ティッカーに入っています。ゴーシュトはアールー・ゴーシュト(じゃがいもと肉の煮込み)に、キーマーはキーマー・マタルやメーティー・キーマーに入っています。マチリーとジーンガーは、タンドゥーリー・マチリー、タンドゥーリー・ジーンガー、カラーイー・ジーンガーの名前に出てきます。

野菜・豆・乳製品

言葉 文字 意味 語源
アールー आलू / آلو じゃがいも Rekhta はペルシア語とサンスクリット語の両方を挙げる。Platts はサンスクリット語の आलु を挙げ、ペルシア語の ālū は、すももという別の意味として載せる
ゴービー गोभी / گوبھی キャベツ、カリフラワー サンスクリット語(Rekhta)。Platts は疑問符をつけてサンスクリット語の語を挙げる
サーグ साग / ساگ 青菜、葉物の野菜 Platts はサンスクリット語の शाक を挙げる
パーラク पालक / پالک ほうれん草(Platts はほうれん草の一種とする) Platts はサンスクリット語の पल्यङ्क を挙げる
メーティー मेथी / میتھی フェヌグリーク サンスクリット語(Rekhta)
マタル मटर / مٹر えんどう豆、グリーンピース Platts はプラークリット語(サンスクリット語から生まれた中世の言葉)とサンスクリット語の語を挙げる
チャナー(チャナ) चना / - ひよこ豆 -
ダール दाल / دال 割った豆。それを煮た料理も指す Platts は、割るという意味のサンスクリット語の語根 दल् を挙げる
パニール पनीर / پنیر チーズ ペルシア語(Rekhta、Platts)
マラーイー(マライ) मलाई / ملائی 牛乳を煮たときに表面にできる膜、クリーム Rekhta はヒンディー語とする。Platts は、おそらくプラークリット語・サンスクリット語から来たとする
マッカン मक्खन / مکھن バター サンスクリット語(Rekhta)。Platts はサンスクリット語の म्रक्षण を挙げる
マクニー(マカニー) मखनी / مکھنی Rekhta は、油気のある、なめらかな、白いなどの意味を挙げる -
サブズィー(サブジー) सब्ज़ी / سبزی 野菜、野菜のおかず。Platts は緑であること、青物、野菜の意味を挙げる ペルシア語(Rekhta、Platts)

Rekhta のヒンディー語の説明は、ゴービーには主にフール・ゴービー、ガーント・ゴービー、パッター・ゴービーの3つの種類があるとしています。同じ辞書は、フール・ゴービー(花のゴービー)をカリフラワー、バンド・ゴービーをキャベツとしています。このサイトのアールー・ゴービーとゴービー・マンチューリヤンでは、カリフラワーを使っています。

メーティーの干した葉は、カスーリー・メーティー(Amazon|楽天)と呼ばれます。パーラクとパニールが入った料理にはパーラク・パニールが、マタルとパニールが入った料理にはマタル・パニールがあります。パニール(Amazon|楽天)は、冷凍のものも売られています。

ダールとマクニーが入った料理にはダール・マクニーが、マラーイーとメーティーとパニールが入った料理にはメーティー・マラーイー・パニールがあります。チャナーはチャナー・チャートに入っています。大粒の白いひよこ豆とその煮込みは「チョーレー」とも呼ばれ、このサイトではチョーレーの名前で作り方を載せています。サブズィーは、アールー・ゴービー・キー・サブズィー(じゃがいもとカリフラワーのサブズィー)のように、料理名の最後に付くことがあります。

スパイスと香味野菜

言葉 文字 意味 語源
マサーラー(マサラ) मसाला / مسالا、مسالہ 香辛料、調味料、料理の材料 アラビア語(Platts)。Platts は maṣlaḥat の複数形とする
ジーラー(ジーラ) जीरा(ज़ीरा) / زیرہ クミン ペルシア語(Rekhta)。Platts はサンスクリット語の जीर を対応する語として挙げる
ミルチ मिर्च / مرچ 唐辛子、こしょう Platts はサンスクリット語の मरिच を挙げる
ピャーズ प्याज़ / پیاز 玉ねぎ ペルシア語(Platts)

マサーラーは、ビンディー・マサーラーやチキン・ティッカー・マサーラーのように、スパイスで調理した料理の名前に付きます。スパイスを合わせたミックスも、ガラム・マサーラー(Amazon|楽天)やチャート・マサーラーのようにマサーラーと呼びます。

ウルドゥー語の綴りは、ヒンディー語と発音が少し違うことがあります。クミンは、ヒンディー語では जीरा(ジーラー)とも書き、Rekhta は z の音の ज़ीरा を載せています。ウルドゥー語の綴り زیرہ は zīra(ズィーラ)と読みます。玉ねぎは、Platts のウルドゥー語の綴りでは piyāz(ピヤーズ)です。このサイトでは、料理名もヒンディー語の発音に合わせて、ムルグ・ドー・ピャーザーのように書いています。

ミルチは、Platts の辞書では、こしょうと唐辛子の両方の意味が載っています。カーリー・ミルチ(黒いミルチ)は黒こしょう、ラール・ミルチ(赤いミルチ)は赤唐辛子、ハリー・ミルチ(緑のミルチ)は青唐辛子です。バルワーン・シムラー・ミルチ(詰め物をしたピーマン)のシムラー・ミルチはピーマンのこと、ミルチー・カー・サーランのミルチーは唐辛子のことです。

作り方を表す言葉

言葉 文字 意味 語源
タルカー(タルカ) तड़का / تڑکا 熱した油やギーにスパイスを入れ、香りを移して料理に加えること Rekhta はヒンディー語とサンスクリット語とする。Platts は、もとの意味を割れること、裂けることとする
ブナー भुना / - 炒めた、焼いた Rekhta は、もとの動詞 भुनना(炒められる、焼かれる)をサンスクリット語とする
ダム दम / دم 息。料理では、弱火でゆっくり煮ること Rekhta はアラビア語とペルシア語とする
コールマー क़ोरमा / قورمہ スパイスで煮込んだ肉の料理 トルコ語(Rekhta)。Platts はトルコ語の qawurma から来たとする
カバーブ कबाब / کباب 焼いた肉。串に刺して焼いた肉 ペルシア語(Rekhta、Platts)
ティッカー(ティッカ) टिक्का / تکہ ひと切れ。小さく切った肉 ペルシア語(Platts)
コーフター(コフタ) कोफ़्ता / کوفتہ たたいた肉を丸めたもの ペルシア語(Rekhta)。Platts は、たたくという意味の動詞 koftan の過去分詞とする
タンドゥール(タンドール) तंदूर / تندور 粘土で作った窯 Rekhta はヒンディー語とする。Platts は tannūr がなまった形とする
カラーイー、カラーヒー कढ़ाई、कड़ाही / کڑاہی 揚げ物や炒め物に使う金属の鍋 Rekhta はヒンディー語とする。Platts はサンスクリット語の कटाह を挙げる
タリー तरी / تری 汁、水気 ペルシア語(Rekhta)。Platts は tar から来た語とする

タルカー

Rekhta の辞書には、तड़का の意味として夜明けだけが載っていて、料理の意味はありませんでした。ヒンディー語版ウィキペディアは、この方法を「チャウンク」(छौंक)の項で説明しています。ギーや油を熱してホールスパイスを入れ、香りの成分を油に移す方法で、西の地方ではタルカー、南の地方では「バガール」(बघार)とも呼ぶとしています。Platts も、バガールを、熱した油やギーで玉ねぎとスパイスをよく炒めて色づけたものとし、同じ意味の言葉にチャウンクを挙げています。

同じウィキペディアの記事によると、チャウンクは料理の始めに加えることも、最後に加えることもあります。最後に加えるものは、ダールやサーンバールなどに使うとしています。ダール・タルカーは、煮た豆に最後のタルカーを流しかける料理です。

ブナーとダム

ブナーは、炒めた、焼いたという意味の形です。Rekhta によると、もとの動詞 भुनना は炒められる、焼かれるという意味で、他動詞の भूनना は焼く、炒る、炒めるという意味です。

ダムは、Rekhta では息や、炉や窯から吹きつける熱などの意味が載っています。Platts は料理の意味として、弱火でゆっくり煮ることを挙げ、ダム・プフト(ふたをぴったり閉じた鍋で煮た料理)も載せています。料理名では、カシュミーリー・ダム・アールーに入っています。チキン・ビリヤーニーは、鍋の口をふさいで、こもった蒸気で弱火でゆっくり火を通す仕上げの工程をダムと呼んでいます。

コールマー、カバーブ、ティッカー、コーフター

Platts はコールマーを、スパイスで味つけした茶色の煮込みとし、ターメリックを使わず、汁気はほとんどないか少ない、と説明しています。このサイトのチキン・コールマーは、ヨーグルトと揚げた玉ねぎのソースで鶏肉を煮ます。

カバーブは、Platts によると、焼いた肉や、串に刺して焼いた肉の切れを指します。Platts は sīkh-ke kabāb(シークのカバーブ)を、串で焼いた肉の切れとしています。ティッカーも Platts ではペルシア語の言葉で、ひと切れ、小さな肉の塊という意味です。チキン・ティッカー・マサーラーやパニール・ティッカーに入っています。

コーフターは、Platts ではたたいた、つぶしたという意味の形容詞で、名詞としては、たたいた肉を丸めて汁で煮たもの、とされています。チキン・コーフターやマラーイー・コーフター、ゆで卵をひき肉で包んだナルギスィー・コーフターに入っています。

タンドゥールとカラーイー

タンドゥールは、粘土で作った窯です。タンドゥーリーは、タンドゥールで焼いたという意味で、タンドゥーリー・チキンの名前になっています。ヒンディー語の綴り तंदूर の2つめの母音は長い ū なので、料理名でよく見る「タンドール」「タンドーリー」ではなく、「タンドゥール」「タンドゥーリー」と書きました。

カラーイーは、揚げ物や炒め物に使う、両手の付いた鍋(楽天)です。Platts は कड़ाही(カラーヒー)と कढ़ाई(カラーイー)を同じ意味の言葉として載せています。このサイトでは、ヒンディー語の文脈ではカラーイー、ウルドゥー語の文脈やパキスタンの料理ではカラーヒーと書きます。料理名のローマ字でも、Kadai と Karahi の両方の綴りを使っています。パキスタンのチキン・カラーヒーは、この鍋で作る料理です。

器・食べ方・添えもの

言葉 文字 意味 語源
ターリー थाली / تھالی 金属などの平たい大皿 Platts はサンスクリット語の स्थाली を挙げる
ラーイター(ライタ) रायता(राइता) / رائتا ヨーグルトに野菜などを混ぜたもの ヒンディー語(Rekhta)
アチャール अचार / - 漬物 Platts はペルシア語とヒンディー語の両方の印を付ける
チャート चाट / چاٹ スパイスを効かせた軽食 Rekhta はペルシア語とする。Platts は、なめるという意味の動詞 चाटना から来た名詞とする
ナーン(ナン) नान / نان パン Platts は中世ペルシア語(パフラヴィー語)などの語を挙げる

Platts は、ターリーに、祝いの日に親類や友人が贈る菓子や果物という意味も載せています。キーラー・ラーイターは、きゅうり(キーラー)のラーイターです。アチャールは、アチャーリー・ムルグ・ティッカーのように、アチャーリー(アチャール風の)という形で料理名に入ることもあります。

Rekhta はチャートを、果物や、ゆでたじゃがいも・えんどう豆・ひよこ豆・緑豆などで作る、スパイスの効いた軽食と説明しています。チャート・マサーラー(Amazon|楽天)は、チャートに振るミックススパイスです。

言葉をつなぐ言葉

言葉 文字 意味
ワーラー वाला / والا 〜の入った、〜のある
カー、キー、ケー का、की、के / - 〜の
ドー दो / - 2

ワーラーは、Rekhta によるとサンスクリット語から来た言葉で、名詞の後ろに付いて、〜を持つ、〜に関わるという意味を表します。タリー・ワーラー・チキンは汁(タリー)のある鶏、シルケー・ワーレー・ピャーズは酢(シルカー)の入った玉ねぎという意味です。後ろに来る名詞によって、ワーラーがワーレーやワーリーに形を変えます。

カー、キー、ケーも、後ろの名詞によって形が変わります。ミルチー・カー・サーラン(唐辛子のサーラン)、アールー・ゴービー・キー・サブズィー(じゃがいもとカリフラワーのサブズィー)がその例です。サブズィーは、Platts の辞書で女性名詞とされているので「キー」になります。

ドーは数の2です。ムルグ・ドー・ピャーザーの名前には、2と玉ねぎが入っています。

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。