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タンドゥーリー・チキン日本では「タンドリーチキン」ともTandoori Chicken レシピ

तंदूरी चिकनタンドゥーリー・チキン

地域
北インド(ペシャーワル、デリー)
分量
4人分
公開
ステンレスの皿に盛った骨付きのタンドゥーリー・チキン。赤い衣に焦げ目がつき、紫玉ねぎの輪切りとレモンを添えている。奥にナーン

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タンドゥーリー・チキンは、ヨーグルトとスパイスに漬けた鶏肉を、タンドゥール(炭火で熱する壺型の窯)で焼いたパンジャーブの料理です。皮を除いた骨付きの鶏肉に深い切り込みを入れ、2回に分けて下味をつけ、高い温度で一気に焼き上げます。分離独立の前のペシャーワルで生まれ、デリーのレストラン「モーティー・マハル」から広まったとされています。

家庭では、タンドゥールの代わりにオーブンを最高温度にして焼きます。部位は、ヒンディー語やウルドゥー語のレシピにも多い骨付きのもも肉です。色は食用色素ではなくカシュミーリー・チリでつけ、焼き上がりは肉の温度で確かめます。

タンドゥーリー・チキンとは

ヒンディー語では「タンドゥーリー・チキン」(तंदूरी चिकन)と書きます。タンドゥーリーは「タンドゥールで焼いた」という意味です。英語の「チキン」がそのまま料理名として使われています。

ペシャーワルで生まれたとされる

デリーのモーティー・マハルの説明では、創業者のクンダン・ラール・グジュラールは1920年ごろから、ペシャーワル(現在のパキスタン北西部)でモーカー・シン・ランバーが営む小さな食堂「モーティー・マハル」で働いていました。サウジアラビアの会社が発行するウルドゥー語のニュースサイト、ウルドゥー・ニューズは、それまでパンを焼くためだけに使われていたタンドゥールで、グジュラールがヨーグルトに漬けた鶏肉を焼いたのが始まりだと伝えています。

ただし、細かい話は伝える人によって違います。インドのヒンディー語のニュース局アージ・タクは、グジュラールが1920年代にペシャーワルで自分の店「モーティー・マハル」を開いた、と書いています。ウルドゥー・ニューズは、体調を崩したモーカー・シンからグジュラールが店を買い取り、モーティー・マハルと名づけた、という話も紹介しています。また、英語版ウィキペディアには、タンドゥールのような窯で鶏肉を焼くこと自体はインダス文明の頃からあった、とする記述もあります。

1947年のインドとパキスタンの分離独立のあと、グジュラールはデリーに移り、旧市街のダリヤガンジにモーティー・マハルを開きました。英語版ウィキペディアなどによると、ペシャーワル時代の仲間だったクンダン・ラール・ジャッギーらとの共同の店でした。この店のタンドゥーリー・チキンは、初代首相のネルーに出されて、公式の宴会の定番になったと伝えられています。

この店からは、残ったタンドゥーリー・チキンをトマトとバターのソースで煮たバター・チキンも生まれたとされています。こちらは、グジュラール家とジャッギー家のどちらが考えたのかをめぐって、2024年にデリー高等裁判所に訴えが起こされました。

本場の作り方

インドの料理家サンジーヴ・カプールのレシピと、ヒンディー語・ウルドゥー語のレシピの多くは、次のような流れです。骨付きの鶏肉(丸ごと、半身、脚)に深い切り込みを入れます。1回目は塩とレモン汁(と唐辛子)、2回目はヨーグルト(多くは水切りしたもの)にしょうが、にんにく、スパイスを混ぜた衣で漬けます。焼くときや焼いたあとに油やバター、ギーを塗り、レモンと玉ねぎを添えます。カプールのレシピでは、仕上げにチャート・マサーラー(黒塩や乾燥マンゴーの粉などを混ぜた、酸味と塩気のあるスパイス)を振ります。

この記事では、カプールの配合を土台に、ヒンディー語のレシピにあるコリアンダーと黒こしょう、ウルドゥー語のレシピにあるクミンを少し加えています。ウルドゥー語のレシピにあるパパイヤのペーストや、ヒンディー語のレシピにあるアムチュール(乾燥マンゴーの粉)は入れていません。

赤い色はカシュミーリー・チリで

お店のタンドゥーリー・チキンの鮮やかな赤やオレンジ色は、食用色素でつけていることがあります。2024年には南インドのカルナータカ州が、州内で集めたカバーブ39検体のうち8検体から合成着色料が見つかったとして、鶏肉のカバーブ、魚料理、野菜料理に合成着色料を使うことを禁じました。

一方、カプールのレシピにも、モーティー・マハルが公開しているレシピにも、食用色素は入っていません。色をつけているのは、色が濃く辛さが穏やかなカシュミーリー・チリです。この記事でも食用色素は使わず、カシュミーリー・チリパウダーを1回目と2回目に分けて多めに使います。焼き上がりはお店のような鮮やかな赤ではなく、焦げ目の入った濃いれんが色になります。

タンドゥーリー・チキンのレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 5時間(漬け込みを含む) 加熱 55分

スパイスの配合 4人分で計20.5g
  • カシュミーリー・チリ10g
  • ガラム・マサーラー3g
  • チャート・マサーラー2.5g
  • コリアンダー2g
  • クミン1g
  • 黒こしょう1g
  • カスーリー・メーティー1g

鶏肉

  • 骨付き鶏もも肉(皮をはがして使う)4本(皮を除いて約1kg)

下味(1回目)

  • 塩5g(小さじ1弱)
  • カシュミーリー・チリパウダー(Amazon|楽天)5g(小さじ2)
  • レモン汁15ml(大さじ1)

下味(2回目)

  • ギリシャヨーグルト(水切りした濃いヨーグルト)150g
  • しょうが(すりおろし)15g(大さじ1)
  • にんにく(すりおろし)15g(大さじ1)
  • カシュミーリー・チリパウダー(Amazon|楽天)5g(小さじ2)
  • ガラム・マサーラー(Amazon|楽天)3g(小さじ1と1/2)
  • コリアンダーパウダー(Amazon|楽天)2g(小さじ1)
  • クミンパウダー(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)
  • 黒こしょう(粉)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)
  • カスーリー・メーティー(Amazon|楽天)1g(大さじ1)
  • マスタードオイル(Amazon|楽天)20g(大さじ1と1/2)
  • 塩1g(小さじ1/6)

焼く

仕上げ

  • チャート・マサーラー(Amazon|楽天)2.5g(小さじ1)
  • レモン(くし形に切る)1個
  • 紫玉ねぎ(薄い輪切り)1/2個(100g)

道具

  • 網つきの天板
  • 料理用温度計(肉に刺して中心の温度を測るもの)(Amazon|楽天)

作り方

  1. 鶏肉に切り込みを入れる

    鶏肉の皮をはがし、関節のところで太ももとすねの2つに切り分ける(8切れになる)。それぞれの表と裏に、骨に届く深さの切り込みを2〜3cm間隔で2〜3本ずつ入れる。キッチンペーパーで水気をふく。

  2. 1回目の下味をつける

    鶏肉に塩5g、カシュミーリー・チリパウダー5g、レモン汁15mlを、切り込みの奥まで指で広げるようにもみ込む。冷蔵庫で30分おく。

  3. 2回目の下味をつける

    ボウルにギリシャヨーグルト150g、しょうが15g、にんにく15g、カシュミーリー・チリパウダー5g、ガラム・マサーラー3g、コリアンダーパウダー2g、クミンパウダー1g、黒こしょう1g、マスタードオイル20g、塩1gを入れ、カスーリー・メーティー1gを手のひらでもみながら加えて混ぜる。鶏肉を加え、切り込みの中まで衣を塗り込む。冷蔵庫で4時間〜一晩おく。

  4. オーブンを予熱して並べる

    換気扇を回し、オーブンを最高温度(250℃前後)で15分以上予熱する。天板にアルミホイルを敷いて網をのせる。鶏肉の余分な衣を軽く落とし、皮があった面を上にして、間隔をあけて網に並べる。ギー26gを溶かしておく。

  5. 焼いて、返してギーを塗る

    上段で15分焼く。取り出して鶏肉を裏返し、溶かしたギーの半量(13g)を塗って、さらに10分焼く。

  6. もう一度返して焼き上げる

    鶏肉を皮があった面が上になるように戻し、残りのギー13gを塗る。ところどころに黒い焦げ目がつくまで5〜10分焼く。いちばん厚い部分の骨の近くに温度計を刺し(骨には当てない)、75℃以上になっていれば焼き上がり。

  7. 休ませて仕上げる

    器に移して5分おく。紫玉ねぎ1/2個(100g)を薄い輪切りにして添え、レモン1個をくし形に切って添える。鶏肉にチャート・マサーラー2.5gを振る。

焼きたてにレモンを搾り、紫玉ねぎと一緒に、ナーンや、ミントとパクチー(コリアンダーの葉)をすりつぶしたグリーン・チャトニーを添えて食べます。

料理科学:骨に届く切り込みを入れる理由

切り込みの奥まで衣を入れる

骨付きのもも肉は、厚いところで3〜4cmあります。表面に衣を塗っただけでは、中まで味がつきにくくなります。骨に届くまで切り込みを入れると、衣に触れる面が増え、切り込みの奥まで衣が入ります。1回目に塩とレモン汁(とレッドチリパウダー)をもみ込み、2回目にヨーグルトの衣で漬ける2段階の下味は、カプールのレシピやヒンディー語・ウルドゥー語のレシピの多くにならったものです。

切り込みは熱の通り道にもなる

切り込みには、火の通りを早める役目もあります。切り込みを入れると、熱い空気が骨の近くまで入り込み、薄い肉が集まったような形になります。そのため、骨のまわりに火が通るまでに、表面が焦げすぎにくくなります。焼くと切り込みのふちが立ち上がって焦げ目がつくので、タンドゥーリー・チキンらしい香ばしい部分も増えます。

料理科学:骨付き肉は温度で焼き上がりを確かめる

骨のまわりがいちばん最後

骨付き肉で最後に火が通るのは、表面から最も遠い骨のまわりです。アメリカ農務省(USDA)の食品安全検査局は、鶏肉はどの部分も74℃(165°F)に達すれば安全だとしています。この記事では余裕をみて、いちばん厚い部分の骨の近くで75℃以上を目安にしています。温度計の先が骨に当たると、肉の温度を正しく測れません。

骨の近くが赤くても焼けていることがある

焼けているのに、骨の近くの肉が赤っぽかったり黒ずんだりしていることがあります。USDA によれば、これは若い鶏の骨の中の骨髄の色素が、骨を通してまわりの肉にしみ出したものです。見た目の問題で、安全とは関係ありません。逆に、色だけで火が通ったかどうかは判断できない、とも書いています。焼き上がりを温度計で確かめるのはそのためです。

もも肉はしっかり焼いてもぱさつきにくい

もも肉は、胸肉より脂の多い部位です。骨のまわりを75℃以上にしっかり焼いても、胸肉ほどぱさつきません。

チキン・ティッカーとの違い

チキン・ティッカーは、骨を除いた鶏肉をひと口大に切り、串に刺してタンドゥールで焼く料理です。下味はタンドゥーリー・チキンとほぼ同じで、違うのは骨の有無と切り方です。モーティー・マハルの一家が家庭向けに紹介している「タンドゥーリー・チキン」のレシピも、骨なしの肉を4cm角に切って串に刺す、ティッカーに近い作り方です。

この記事の下味でチキン・ティッカーにするときは、皮を除いた骨なしの鶏もも肉1kgを4cm角に切り、同じ分量で手順2と3の下味をつけます。金串に刺して網にのせ、最高温度で10〜12分、焦げ目がつくまで焼きます。いちばん大きいものの中心に温度計を刺して、75℃以上になっていれば焼き上がりです。

手に入りにくい材料の代用

  • カシュミーリー・チリパウダー:色が濃く、辛さは穏やかな唐辛子の粉です。パプリカパウダーを同じ量使い、辛みを足したいときは一味唐辛子を小さじ1/4まで加えます。
  • マスタードオイル:サラダ油で代用できます。マスタードオイル特有のツンとした香りはなくなります。
  • カスーリー・メーティー:乾燥したフェヌグリークの葉です。代わりになるものがないので、手に入らなければ省きます。
  • チャート・マサーラー:クミンパウダー小さじ1/4と塩0.5gを混ぜて振ります。黒塩のゆで卵のような香りはなくなります。
  • ギリシャヨーグルト:プレーンヨーグルト300gを、キッチンペーパーを敷いたざるにのせて冷蔵庫で6時間〜一晩水切りすると、約150gの濃いヨーグルトになります。
  • ギー:食塩不使用バターを溶かして使います。
  • 骨付き鶏もも肉:手羽元16本(約1kg)でも作れます。皮をはがして切り込みを入れ、手順5と6の焼き時間を合わせて20〜25分にし、同じように温度計で確かめます。

保存

  • 冷蔵:保存容器に入れて2日。温め直すときは、アルミホイルをかぶせて200℃のオーブンで10〜15分、骨の近くが75℃になるまで温めます
  • 冷凍:手順3まで終えた漬け込んだ状態で1か月。冷蔵庫で一晩かけて解凍してから、手順4から焼きます

北インドのほかのレシピ

もっと知りたい人へ

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。