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チキン・ビリヤーニー日本では「チキンビリヤニ」ともChicken Biryani レシピ

مرغ بریانیムルグ・ビリヤーニー

地域
南インド(ハイダラーバード)
分量
4人分
公開
ステンレスの皿に山盛りにしたハイダラーバードのチキン・ビリヤーニー。白とサフラン色の米に揚げ玉ねぎとミント、骨付きの鶏肉。奥に玉ねぎのラーイター

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ビリヤーニーは、スパイスで下味をつけた肉とバースマティー米を鍋の中で重ね、ふたを密閉して蒸し上げるインドの米料理です。南インドの都市ハイダラーバードでは、生の鶏肉を漬け汁ごと鍋底に敷き、7割ゆでた米をのせて、一度に火を通す「カッチー」という作り方が代表的です。

ここでは、テルグ語のテレビ局や料理家のレシピにならって、鶏肉をヨーグルトと揚げ玉ねぎとミントで漬け、鍋をアルミホイルとふたで密閉して、家庭のコンロで仕上げます。鍋を開けると、上はサフランの黄色がまだらに入った白い米、底はスパイスの染みた鶏肉の二層になっています。

チキン・ビリヤーニーとは

ウルドゥー語では「ムルグ・ビリヤーニー」(مرغ بریانی)と呼ばれます。ムルグは鶏という意味です。テルグ語では英語と同じく「チキン・ビリヤーニー」と呼ばれています。

ビリヤーニーという名前は、ペルシャ語の「ビリヤーン」(炒める、焼く)から来たとされています。「ビリンジ」(米)と合わせた「ビリンジ・ビリヤーン」という言い回しが元になった、という説明もあります。

カッチーとパッキー

ビリヤーニーの作り方は、大きく二つに分けられます。「カッチー」は「生の」という意味で、生の肉に下味をつけて鍋底に敷き、米をのせて一緒に火を通します。「パッキー」は「火を通した」という意味で、肉と米をそれぞれ先に調理してから重ねます。ウルドゥー語版ウィキペディアは、ハイダラーバードのビリヤーニーにはこの二つがあるとしています。

どちらも最後は「ダム」で仕上げます。ダムは、鍋の口を小麦粉の生地などでふさいで密閉し、中にこもった蒸気で、弱火でゆっくり火を通す調理法です。

ニザームの台所で育った料理

ハイダラーバードのビリヤーニーは、18世紀からこの地を治めたニザーム(藩王)の宮廷料理として知られています。ウルドゥー語版ウィキペディアは、ムガル料理やペルシャ料理をもとに、ニザームの台所で手が加えられて生まれたとしています。地元には、初代ニザームのアーサフ・ジャー1世の料理人が、狩りの遠征中に考えたという言い伝えもあります。

ハイダラーバードの新聞「スィヤーサト」の記事は、ビリヤーニーがムガル帝国のデカン地方への進出とともに伝わり、ニザームの時代(18〜19世紀)にカッチーの作り方が完成されたとしています。同じ記事は、2世紀ごろのタミル語の古典文学に、米を肉やターメリック、ギーと炊いた「ウーン・ソール」という料理が出てくることにも触れています。ただし、これはビリヤーニーとは別の料理だとする研究者もいます。

ビリヤーニーそのものの起源にも諸説があります。食の歴史家リジー・コリンガムは、16世紀後半のムガル宮廷の台所で、インドの米料理とペルシャの料理が合わさって生まれたとしています。ムガル帝国より前にペルシャから伝わったとする説や、中世インドの軍隊の一鍋料理から発展したとする説もあります。2009年には、ハイダラーバードのビリヤーニー業者の団体が地理的表示(産地の名前を名乗る権利)を申請しましたが、歴史的な起源を示す記録を出せず、認められませんでした。

鶏肉ならカッチーで

ウルドゥー語版ウィキペディアによれば、ハイダラーバードではヤギ肉のビリヤーニーが好まれます。鶏肉はヤギ肉より早く火が通るので、30分あまりのダムのあいだに、米と同時に仕上がります。参考にしたテルグ語のレシピも、多くがカッチーでした。

カッチーは、肉に火が通る時間と温度の見極めが難しい作り方とされています。そこで、この記事では最後に温度計で鶏肉の火の通りを確かめます。

チキン・ビリヤーニーのレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 3時間(漬け込みを含む) 加熱 1時間15分

スパイスの配合 4人分で計24.1g
  • 赤唐辛子9g
  • シャーヒー・ジーラー4g
  • ガラム・マサーラー2g
  • シナモン2g
  • スターアニス2g
  • グリーンカルダモン1.6g
  • ターメリック1.5g
  • クローブ0.9g
  • メース0.5g
  • ベイリーフ0.4g
  • サフラン0.2g

揚げ玉ねぎ

  • 玉ねぎ400g(中2個)
  • 油(サラダ油など)200ml

鶏肉の下味

  • 鶏もも肉(骨付き・ぶつ切り・皮を除く)800g
  • 塩12g(小さじ2)
  • しょうが(すりおろし)10g(小さじ2)
  • にんにく(すりおろし)10g(小さじ2)
  • レッドチリパウダー(唐辛子だけの粉)(Amazon|楽天)9g(大さじ1と1/2)
  • ターメリック(パウダー)(Amazon|楽天)1.5g(小さじ1/2)
  • ガラム・マサーラー(Amazon|楽天)2g(小さじ1)
  • シャーヒー・ジーラー(ホール)(Amazon|楽天)2g(小さじ1)
  • グリーンカルダモン(ホール)(Amazon|楽天)3粒(0.6g)
  • クローブ(ホール)(Amazon|楽天)3粒(0.3g)
  • シナモン(ホール)(Amazon|楽天)1本(3cm・1g)
  • 青唐辛子(縦に切り込みを入れる)4本(20g)
  • レモン汁22ml(大さじ1と1/2)
  • ミントの葉15g
  • パクチー(コリアンダーの葉)15g
  • プレーンヨーグルト(無糖)250g
  • 揚げ玉ねぎ(手順1で作ったものの半量)約45g
  • 玉ねぎを揚げた油40g(大さじ3)

米の下ごしらえ

  • バースマティー米(Amazon|楽天)500g
  • 水(米を洗う)1.5L(500ml×3回)
  • 水(米を浸す)1L

米の下ゆで

  • 水3L
  • 塩45g(大さじ2と1/2)
  • グリーンカルダモン(ホール)(Amazon|楽天)5粒(1g)
  • クローブ(ホール)(Amazon|楽天)6粒(0.6g)
  • シナモン(ホール)(Amazon|楽天)1本(3cm・1g)
  • ベイリーフ(ホール)(ローリエでよい)(Amazon|楽天)2枚(0.4g)
  • スターアニス(ホール)(八角)(Amazon|楽天)1個(2g)
  • メース(ホール)(Amazon|楽天)1片(0.5g)
  • シャーヒー・ジーラー(ホール)(Amazon|楽天)2g(小さじ1)

重ねて仕上げる

  • サフラン(Amazon|楽天)0.2g
  • 牛乳45ml(大さじ3)
  • ギー(Amazon|楽天)39g(大さじ3)
  • 揚げ玉ねぎ(手順1で作ったものの残り)約45g
  • ミントの葉5g
  • パクチー(コリアンダーの葉)5g

道具

  • 厚手の鍋(ふたつき・直径22〜24cm・容量4L前後。鋳物のほうろう鍋が向く)
  • 下ゆで用の大きな鍋(容量5L以上)
  • ざる
  • アルミホイル
  • 厚手のフライパン(ガス火で鍋の下に敷く)
  • 料理用の温度計(Amazon|楽天)

作り方

  1. 揚げ玉ねぎを作る

    玉ねぎ400gを縦半分に切り、繊維に沿って2〜3mm幅の薄切りにする。フライパンに油200mlを中火で熱し、玉ねぎを入れて、ときどき混ぜながら15〜20分、濃いきつね色になるまで揚げる。色づき始めると一気に焦げるので、混ぜる回数を増やす。網じゃくしで取り出してキッチンペーパーに広げる(冷めるとカリッとする)。揚げた油は下味に使うので取っておく。

  2. 鶏肉に下味をつける

    大きめのボウルに鶏肉800g、塩12g、しょうが10g、にんにく10g、レッドチリパウダー9g、ターメリック1.5g、ガラム・マサーラー2g、シャーヒー・ジーラー2g、カルダモン3粒、クローブ3粒、シナモン1本、青唐辛子4本、レモン汁22mlを入れてもみ込む。ミント15gとパクチー15gを刻んで加え、揚げ玉ねぎ約45g(半量)を手で砕いて加える。ヨーグルト250gと玉ねぎを揚げた油40gを加えてよく混ぜ、ラップをして冷蔵庫で2時間〜一晩おく。

  3. 米を浸し、サフランを浸す

    鶏肉を冷蔵庫から出し、室温に30分おく。そのあいだにバースマティー米500gをボウルに入れ、水500mlを注いで指先で軽く混ぜ、水を捨てる。これを3回くり返す(計1.5L)。水1Lに30分浸す。牛乳45mlを人肌に温め、サフラン0.2gを指先でもみながら加えて浸しておく。

  4. 鍋に鶏肉を敷く

    下味をつけた鶏肉を漬け汁ごと厚手の鍋に移し、底全体に平らにならす。

  5. 米を7割までゆでる

    下ゆで用の鍋に水3L、塩45g、カルダモン5粒、クローブ6粒、シナモン1本、ベイリーフ2枚、スターアニス1個、メース1片、シャーヒー・ジーラー2gを入れて強火で沸かし、3分煮立てて香りを出す。米の水をきって加え、再び沸騰してから4〜6分ゆでる。米を1粒取って指で押し、二つに割れて中心に白い芯が残っていれば(7割)、すぐにざるにあげる。スパイスは米と一緒に残してよい。

  6. 鶏肉の上に米を重ねる

    ゆでた米が熱いうちに鶏肉の上に広げ、表面を平らにならす(押さえつけない)。残りの揚げ玉ねぎ約45g、刻んだミント5gとパクチー5gを散らし、サフランを浸した牛乳を数か所に回しかける。ギー39gを溶かして全体に回しかける。

  7. 鍋を密閉する

    アルミホイルを2枚重ねて鍋の口にかぶせ、縁に沿ってぴったり折り込み、すき間をなくす。上からふたをする。

  8. ダムで火を通す

    鍋を中火にかけ、8〜10分、鍋の中でぐつぐつと煮立つ音がしてくるまで加熱する。ガス火なら鍋をいったん下ろして厚手のフライパンをコンロにのせ、その上に鍋を戻して弱火で25分加熱する。フライパンの取っ手はコンロの外に向けず、鍋がぐらつかないことを確かめる。IHなら鍋を直接のせたまま弱火で25分加熱する。火を止め、ホイルとふたを開けずに15分おく。

  9. 鶏肉の火の通りを確かめる

    ホイルを開け、米の上から温度計を差し込んで、鍋の中央にある一番大きな鶏肉の、骨の近くの厚いところ(骨には当てない)で測る。75℃以上あればよい(火を止めてから15分おいているので、1分以上保たれている)。届いていなければホイルとふたを戻し、弱火で5分加熱してから5分おき、もう一度確かめる。

  10. 底からすくって盛る

    平たいへらを鍋の縁から底まで差し入れ、米と鶏肉を一緒に大きくすくって皿に盛る。全体を混ぜない。

ヨーグルトのチャトニーや玉ねぎのラーイター、青唐辛子のカレー「ミルチー・カー・サーラン」を添えて食べます。

料理科学:浸水と7割の下ゆで

浸水で芯まで水を届ける

水は米粒の外から少しずつしみ込みます。乾いた米をいきなり熱湯に入れると、中心がやわらかくなるまでに時間がかかり、そのあいだに外側が煮くずれます。30分浸水しておくと、加熱の前に中心まで水が入るので、ゆで時間が短くなり、外と中の火の通りがそろいます。参考にしたテルグ語のレシピやガルフ・ニュースのレシピも、ゆでる前に米を水に浸しています。細長いバースマティー米は折れやすいので、洗うときも浸すときも、指先で軽く混ぜるだけにします。

7割で引き上げる理由

ゆでた米は、ダムのあいだにもう一度蒸されます。ここで中心まで火を通すので、下ゆでは中心に白い芯が残る7割ほどで止めます。完全にゆでてから蒸すと、水を吸いすぎて粒が割れ、べたつきます。芯が多すぎると、硬い粒が残ります。

参考にしたテルグ語のレシピでは、下ゆでの加減は5割から8割まで幅がありました。鶏肉から水分が出るカッチーでは7割が多く、この記事もそれにならいます。

米に塩味がつくのは、米が吸い込んだ湯に含まれる分だけです。そのため、ゆで湯には塩をしっかり入れます。湯は捨てるので、入れた塩の多くは米に残りません。テルグ語のレシピには、湯を海水くらいの塩加減にするよう書いたものもあります。

料理科学:ダムのあいだに鍋の中で起きていること

鶏肉の水分が米を蒸す

ふたをした鍋を火にかけると、まず鍋底の鶏肉とヨーグルトの漬け汁が温まります。鶏肉からは肉汁が出てきます。この肉汁とヨーグルトの水分が沸騰して蒸気になり、上の米の層を通り抜けて、米を芯まで蒸し上げます。英語版ウィキペディアは、カッチーのビリヤーニーを、食材自身の水分で蒸される作り方と説明しています。

鍋の口をアルミホイルや生地でふさぐのは、この蒸気を逃がさないためです。すき間があると蒸気が外に抜け、上の米は乾いて硬いまま残り、鍋底の漬け汁は先に煮詰まって焦げます。

鍋の下に厚手のフライパンを敷く理由

鶏肉は鍋底に直接ふれているので、火が強いと焦げます。テルグ語のレシピでは、途中から鍋の下に鉄のタワ(平らな鉄板)を敷いています。厚い金属は熱を横に広げるので、炎の当たるところだけが熱くなるのを防げます。ガス火なら、厚手のフライパンがタワの代わりになります。

火を止めてから15分待つ理由

参考にしたレシピの多くも、火を止めてから15〜30分、ふたを開けずにおいています。そのあいだも、鍋の中にこもった蒸気で米が蒸らされます。ここで鍋を開けてしまうと蒸気が抜け、上の米が乾きます。

鶏肉は骨の近くで75℃を確かめる

カッチーでは、生の鶏肉が米の下に隠れているので、火の通りが見えません。鶏肉の中心が75℃で1分以上を目安にします。骨のまわりは最後に火が通るので、骨の近くで測ります。温度計の先が骨に当たると正しく測れないので、骨には当てません。

ヨーグルトの漬け汁の役目

漬け汁は、スパイスを肉の表面にとどめるとともに、ダムのときに蒸気のもとになる水分を鍋底に用意します。

地域による違い

ラクナウのアワディー様式

北インドのラクナウを中心とするアワド地方のビリヤーニーは、パッキーの作り方が中心です。バースマティー米を先にギーとスパイスで炊いてピラフにし、別に作った肉のカレーと重ねてから、ダムで仕上げます。ダムという調理法そのものも、アワドの料理人たちが育てたとされています。

肉と米をそれぞれ仕上げてから重ねるので、肉の火の通りを心配しなくてすみます。そのかわり、鍋が二つ要り、工程も長くなります。

コルカタのじゃがいも入り

東インドのコルカタのビリヤーニーには、じゃがいもが入ります。1850年代に、アワドの最後の王ワージド・アリー・シャーがコルカタに移ってから生まれたとされています。

ハイダラーバードの中でも

同じハイダラーバードのビリヤーニーでも、鶏肉を先に半分ほど加熱してから重ねる作り方(テルグ語のNTVのレシピ)や、鶏肉をスパイスと10分煮てから重ねる作り方(料理家サンジーヴ・カプールのレシピ)があります。肉に先に火を通すと、ダムの時間は15〜20分に短くなります。

手に入りにくい材料の代用

  • バースマティー米:日本の米は粘りが強く、ゆでて蒸すと粒がくっついてつぶれます。タイのジャスミンライスでも作れますが、バースマティー米よりやわらかく、粘りが出やすくなります。また、バースマティー米より早く火が通るので、手順5のゆで時間を1〜2分短くし、芯の残り方で判断します。
  • シャーヒー・ジーラー:クミンに似た細くて黒っぽい種です。インドのレシピでもキャラウェイと訳されることが多く、キャラウェイシードを同じ量で代用できます。クミンシードで代用するときは半量にします。
  • レッドチリパウダー:唐辛子だけを粉にしたもので、カイエンペッパーを同じ量で代用できます。日本で「チリパウダー」として売られている、クミンやオレガノを混ぜた粉とは別のものです。
  • 青唐辛子:生のものがなければ、冷凍の青唐辛子を使うか、レッドチリパウダーを1g増やします。ししとうでは辛みがつきません。
  • 揚げ玉ねぎ:インド食材店で売っている揚げ玉ねぎ(ビリスタ)90gで代用できます。日本のスーパーのフライドオニオンは、塩や小麦粉を含むものが多いので、原材料が玉ねぎと油だけのものを選びます。
  • ギー:食塩不使用バターを溶かして使います。
  • メース:ナツメグの種を包む、網目状の赤い膜(仮種皮)を乾かしたものです。ナツメグパウダー小さじ1/8で代用できます。
  • サフラン:香りの代わりになるものはありません。色だけなら、ハイダラーバードでも使われる黄色の食用色素で代わりになります。
  • 骨付きの鶏もも肉:骨なしのもも肉を一口より大きめに切っても作れます。火の通りが早いので、手順8の弱火を20分にし、手順9で同じように温度を確かめます。
  • アルミホイル:本来の密閉には、小麦粉の生地を使います。強力粉100gに水60mlを加えてこね、ひも状にのばして、鍋の縁とふたのすき間に押しつけて貼ります。

保存

  • 冷蔵:粗熱を取ったらすぐ保存容器に入れて2日。1人分に水15mlを振り、ラップをして電子レンジで温めます
  • 冷凍:1人分ずつラップで包んで1か月。凍ったまま、同じように水を振って電子レンジで温めます

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。