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チキン65Chicken 65 レシピ

சிக்கன் 65チキン・シックスティファイブ

地域
南インド(チェンナイ)
分量
4人分
公開
金属の皿に盛ったチキン65。赤く揚がった鶏肉に、揚げた青唐辛子とカレーリーフがからんでいる。横に薄切りの紫玉ねぎとレモン、奥にご飯の入った鍋

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チキン65は、スパイスをもみ込んだ鶏肉に衣をつけて揚げ、カレーリーフと青唐辛子をからめた、南インドの鶏の揚げ物です。タミル・ナードゥ州の州都チェンナイ(旧マドラス)のブハーリ・ホテルで生まれたとされ、いまでは前菜(スターター)の定番として、屋台でも売られています。

レシピは、タミル語の料理ブログ「スパイシー・インディアン・キッチン」と、インドのウェブメディア「ボールドスカイ」のテルグ語版のレシピを骨格にしています。骨なしの鶏もも肉にスパイスとレモン汁をもみ込み、卵とコーンスターチの衣をつけて、2回に分けて揚げます。読んだタミル語・テルグ語のレシピ7件のうち4件は赤やオレンジの食用色素を使っていましたが、この記事では使わず、カシュミーリー・チリで色をつけます。

チキン65とは

タミル語では「சிக்கன் 65」と書きます。テルグ語でも同じ名前で呼ばれます。英語の Chicken をそのまま使った名前です。インドのニュースサイト「ワンインディア」のタミル語版の記事のように、見出しで「コーリ(鶏)65」と書いた例もあります。

ブハーリ・ホテルで生まれたとされる

ワンインディアのタミル語版の記事(2014年)は、チキン65を最初に出したのはチェンナイのブハーリ・ホテルで、経営者のA・M・ブハーリが始めた料理だとし、1965年にこのホテルで初めて出されたと伝えています。同じ記事によると、ホテルは1951年にアンナー・サーライ(チェンナイの大通り)で開業しました。記者は、店のテーブルに置かれていたホテルの宣伝紙にそう書かれていたことと、店の監督者に確かめるとそのとおりだと答えたことを、根拠として書いています。

インドのニュースサイト「ETVバーラト」のテルグ語の記事(2026年)も、チキン65はブハーリ・ホテルで生まれたとし、1965年に作ったのでこの名前になったと、ホテルの経営者たちから伝わっている、と書いています。インドのウェブメディア「ザ・ベター・インディア」の記事は、ブハーリを元マドラスのシェリフ(市の名誉職)として紹介し、コロンボで学んでいた頃に料理が好きになったと書いています。

英語版のウィキペディアは、インドの新聞「ザ・ヒンドゥー」の2013年の記事を出典に、A・M・ブハーリが考えたことはよく知られているとしています。インドの新聞社マラヤーラ・マノーラマの英語のサイト「オンマノラマ」は、ブハーリ・ホテルが1965年に出したという話を、広く語られている食の言い伝えとして紹介しています。

「65」の由来の諸説

「65」が何を意味するのかには、いくつもの説があります。

  • 1965年に作られたから:ETVバーラトの記事は、ホテルの経営者たちの話として紹介しています。ボールドスカイのタミル語版の記事(2016年)は、1965年の新年に、ブハーリが特別に作った鶏料理を客に出したのが始まりだとしています。ザ・ベター・インディアも、作られた年(1965年)からとする人がいる、と説の一つに挙げています。
  • メニューの65番目だったから:ワンインディアの記事は、1965年、チェンナイの軍の食堂のメニューで65番目の料理だったという話を、言い伝えとして紹介しています。ヒンディー語しか読み書きできない北インドの兵士が、タミル語のメニューを読めず、「65番」と番号で注文したのが名前になった、という話です。タミル語の料理ブログを書くジャリーラ・カマルは、ホテルのメニューで65番目に並んでいたからだと書いています。ザ・ベター・インディアの記者も、チェンナイの食堂の常連だった兵士の一人が、メニューの65番の鶏の揚げ物を食べたのだろうと、推測として書いています。
  • 生後65日の鶏を使うから:ボールドスカイのタミル語版の記事は、一部の人の説として紹介しています。オンマノラマは、この説は食の歴史家や常識によってほぼ退けられているとしています。
  • ほかの説:オンマノラマは、唐辛子を65本使うという説を、ザ・ベター・インディアは、材料の数、65日漬け込む、鶏肉を65切れ使う、という説を挙げています。英語版のウィキペディアは、1965年に兵士のための簡単な食事として生まれた、唐辛子を65本使う、生後65日の鶏を使う、鶏肉を65切れ使う、という説を、料理が人気になったことから生まれた作り話として並べています。

オンマノラマは、こうした説の多くを裏づける確かな証拠はほとんどなく、話して楽しいから残っているのだ、としています。

チキン78、82、90

ワンインディアの記事によると、チキン65の人気のあと、1978年にチキン78、1982年にチキン82、1990年にチキン90が出されました。ザ・ベター・インディアも、ブハーリ・ホテルのメニューにチキン78、82、90が並んでいると書いています。ボールドスカイのタミル語版の記事は、ブハーリではこれらも出しているが、チキン65ほどの人気にはならなかったとしています。

この記事の配合

分量の書いてあるタミル語・テルグ語のレシピ6件(タミル語のボールドスカイ、スパイシー・インディアン・キッチン、ジャリーラ・カマルのブログ、ETVバーラトの2件、テルグ語のボールドスカイ)を比べると、次のようになります。

  • 衣:コーンフラワー(コーンスターチ)は6件すべてに出てきます。ただし、ジャリーラ・カマルのブログが載せる作り方のうち2つ目は、粉を使いません。卵は、ジャリーラ・カマルのブログを除く5件が使い、テルグ語のボールドスカイは卵白だけを使います。タミル語のボールドスカイは、米粉とマイダ(精製した小麦粉)も合わせます。スパイシー・インディアン・キッチンは、米粉を小さじ1ほど足すとよりかりっとすると書いています。
  • ヨーグルト:下味に入れるのは、タミル語のボールドスカイと、テルグ語のETVバーラトの「マドラス・スタイル」の2件です。スパイシー・インディアン・キッチンは、卵の代わりに濃いヨーグルト1/4カップを使ってもよいとしています。
  • 仕上げ:ジャリーラ・カマルのブログを除く5件は、カレーリーフ(多くは青唐辛子も)を揚げたり炒めたりして、揚げた鶏肉に合わせます。

この記事では、鶏肉500gで作るスパイシー・インディアン・キッチンとテルグ語のボールドスカイの配合を土台にしました。唐辛子の粉は、スパイシー・インディアン・キッチンにならって2種類にし、そのうち1つを、タミル語のボールドスカイが使う色の濃いカシュミーリー・チリにしています。衣は、両方のレシピにある卵とコーンスターチに、タミル語のボールドスカイとスパイシー・インディアン・キッチンにある米粉を加えています。ヨーグルトは入れていません。

衣にコーンスターチを使う点は、インド中華のゴービー・マンチューリヤンと同じです。ただし、チキン65は醤油やトマトケチャップのソースではなく、スパイスの下味と、カレーリーフと青唐辛子の香りで食べる料理です。

赤い色はカシュミーリー・チリで

お店のチキン65の鮮やかな赤は、食用色素でつけていることがあります。今回読んだレシピでは、ETVバーラトの2件(マドラス・スタイルとレストラン・スタイル)が赤い食用色素をひとつまみ入れ、タミル語のニュースサイト「マニタン」のアーンドラ風のレシピはオレンジと赤の色粉を使います。ジャリーラ・カマルのブログは、ケーサリー(オレンジ色)の色粉を使う作り方と、色粉を入れてもよいとする作り方を載せています。

一方、タミル語のボールドスカイ、スパイシー・インディアン・キッチン、テルグ語のボールドスカイのレシピには、食用色素は入っていません。この記事でも食用色素は使わず、色が濃く辛さが穏やかなカシュミーリー・チリパウダーで色をつけます。揚げ上がりは、お店のような鮮やかな赤ではなく、濃い赤茶色になります。インドで合成着色料の使用が問題になった例は、タンドゥーリー・チキンの記事で紹介しています。

チキン65のレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 1時間15分(漬け込みを含む) 加熱 40分

スパイスの配合 4人分で計14.2g
  • カシュミーリー・チリ5g
  • 赤唐辛子2.5g
  • コリアンダー2g
  • ガラム・マサーラー2g
  • クミン1g
  • 黒こしょう1g
  • ターメリック0.7g

鶏肉の下味

  • 鶏もも肉(皮なし・骨なし)500g
  • 塩4g(小さじ2/3)
  • しょうが(すりおろし)5g(小さじ1)
  • にんにく(すりおろし)5g(小さじ1)
  • カシュミーリー・チリパウダー(Amazon|楽天)5g(小さじ2)
  • レッドチリパウダー(唐辛子だけの粉)(Amazon|楽天)2.5g(小さじ1)
  • ターメリックパウダー(Amazon|楽天)0.7g(小さじ1/4)
  • コリアンダーパウダー(Amazon|楽天)2g(小さじ1)
  • クミンパウダー(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)
  • 黒こしょう(粉)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)
  • ガラム・マサーラー(Amazon|楽天)2g(小さじ1)
  • レモン汁15ml(大さじ1)

衣

  • 卵(Mサイズ。溶きほぐす)1個(50g)
  • コーンスターチ12g(大さじ2)
  • 米粉(上新粉でもよい)9g(大さじ1)

揚げる

  • 揚げ油(植物油。直径18cmの鍋で深さ約4cm)1L

仕上げ

  • 植物油13g(大さじ1)
  • 青唐辛子(生のもの。縦に切り目を入れる)4本(12g)
  • カレーリーフ(Amazon|楽天)20枚

添えるもの

  • 玉ねぎ(薄切り)50g(1/4個)
  • レモン(くし形に切る)1/2個

道具

  • 揚げ物用の温度計(揚げ油の温度を測れるもの。なければ菜箸の泡で目安を見る)(Amazon|楽天)
  • 中心温度計(肉に刺して中心の温度を測るもの。なければ切って確かめる)(Amazon|楽天)
  • 厚手の鍋(揚げ用。直径18cm前後で深さのあるもの)
  • 網じゃくし(穴あきおたまでもよい)
  • 網つきのバット(キッチンペーパーを敷いた皿でもよい)
  • フライパン(直径24cm前後)

作り方

  1. 鶏肉を切る

    鶏もも肉500gの余分な脂と筋を除き、3cm角に切る。キッチンペーパーで表面の水気をふく。

  2. 下味をつける

    ボウルに鶏肉、塩4g、しょうが5g、にんにく5g、カシュミーリー・チリパウダー5g、レッドチリパウダー2.5g、ターメリックパウダー0.7g、コリアンダーパウダー2g、クミンパウダー1g、黒こしょう1g、ガラム・マサーラー2g、レモン汁15mlを入れ、手で1分ほどもみ込む。ラップをかけて冷蔵庫で1時間おく。生の鶏肉を触った手とボウルのまわりは、ほかの食材に触れる前に洗う。

  3. 衣をからめる

    鶏肉を冷蔵庫から出し、溶きほぐした卵1個(50g)を加えて混ぜる。コーンスターチ12gと米粉9gを加え、粉気がなくなるまで混ぜる。衣が肉にねっとりとまとわりつき、ボウルの底に水っぽい汁がたまらない固さが目安。

  4. 仕上げと添えるものを用意する

    青唐辛子4本は縦に切り目を入れる。カレーリーフ20枚は茎から外し、キッチンペーパーで水気をよくふく。玉ねぎ50gは薄切りにし、レモン1/2個はくし形に切る。

  5. 揚げ油を熱する

    換気扇を回す。厚手の鍋に揚げ油1Lを入れる。油は鍋の深さの半分までにする。中火にかけ、揚げ物用の温度計の先を油の中ほどに入れて(鍋底に当てない)、170℃にする。温度計がないときは、乾いた菜箸の先を鍋底に当て、箸全体から細かい泡がすぐに勢いよく上がってくれば、170〜180℃の目安。煙が出たらすぐに火を止める。揚げている間は鍋のそばを離れず、水やぬれた布巾を鍋の近くに置かない。万一火が出たら、水をかけずにふたをして火を止める。

  6. 1回目を揚げる

    鶏肉の1/3量(8切れほど)を、1つずつ油面の近くから静かに入れる。衣は水分を含んでいて油がはねることがあるので、鍋から顔を離す。入れてから30秒ほどは触らず、衣が固まってから、ときどき返しながら4〜5分揚げる。温度計(または菜箸の泡)を見ながら火加減を調整し、165〜175℃を保つ。表面が固まって薄く色づいたら、網じゃくしで取り出し、網つきのバットにのせる。油の温度を170℃に戻してから次を入れ、あと2回揚げる。

  7. 火の通りを確かめる

    1回目に揚げたうち、いちばん大きい1切れの中心に温度計を刺し、75℃以上になっていれば火が通っている。温度計がないときは、いちばん大きい1切れを半分に切り、中心にピンク色や生の透明感が残っておらず、出てくる汁が透明なことを確かめる。衣が赤いので、外側の色では判断しない。足りないときは、その回の鶏肉を170℃の油に戻して1分ずつ揚げ、そのつど確かめる。

  8. 2回目を揚げる

    1回目を揚げ終えて5分ほどおいたら、油を180℃に上げる。鶏肉を半量ずつ入れ、1〜2分、衣が濃い赤茶色になってかりっとするまで揚げる。網じゃくしで取り出して油を切る。揚げ終えたら火を止め、油が冷めるまで鍋を動かさない。

  9. カレーリーフと青唐辛子をからめる

    フライパンに植物油13gを中火で熱し、青唐辛子4本とカレーリーフ20枚を入れる。葉の水分で油が強くはねるので、顔を離し、腕を伸ばして入れる。30秒ほど、葉が透き通ってぱりっとするまで炒める。揚げた鶏肉を加え、30秒ほど全体を返してからめ、火を止める。器に盛り、玉ねぎ50gとレモン1/2個を添える。

揚げたてに玉ねぎとレモンを添えて、前菜として食べます。

料理科学:2回に分けて揚げ、中心温度で確かめる

1回目で中まで火を通し、2回目で衣を仕上げる

ETVバーラトのマドラス・スタイルは、中火で半分以上火が通るまで揚げていったん取り出し、少し冷ましてからもう一度揚げて、2回揚げるとおいしくなると書いています。テルグ語のボールドスカイも、中火で揚げて取り出したあと、油を熱し直してもう一度揚げ、最後は強火で2分揚げます。

この記事では、1回目を170℃前後で4〜5分揚げて、鶏肉の中まで火を通します。2回目は180℃で1〜2分と短くし、衣の色づきとかりっとした食感を仕上げます。2回目を短くするのは、中まで火の通った肉をさらに長く揚げて、かたくしないためです。

1回に1/3量ずつ揚げるのは、冷たい鶏肉を一度にたくさん入れて、油の温度を大きく下げないためです。衣の水分が熱い油に入ると、一気に水蒸気になって油を飛ばします。手順3で、衣がボウルの底に水っぽくたまらない固さにするのはそのためでもあります。揚げ油の温度の測り方は、パコーラーの記事でも詳しく紹介しています。

赤い衣では、色で火の通りを判断しない

衣が赤いので、外から見ても中の肉の色はわかりません。手順7では、いちばん大きい1切れの中心に温度計を刺して、75℃以上になっていることを確かめます。温度計がないときは、切って中心の色と汁を見ます。もも肉は、むね肉より脂肪が多く、2回揚げてもぱさつきにくい部位です。

地域や作り手による違い

  • アーンドラ風:マニタンのアーンドラ風のレシピは、卵白とコーンフラワーなどで漬けた鶏肉を揚げたあと、カレーリーフと青唐辛子を炒め、クミンパウダーやガラム・マサーラーを混ぜたヨーグルトを加えて、鶏肉と数分煮からめます。
  • レストラン風:ETVバーラトのレストラン・スタイルは、卵とマイダ、コーンフラワーをソーダ水で溶いた衣にくぐらせて揚げます。仕上げに、マスタードシード、粗く砕いた黒こしょう、赤唐辛子、カレーリーフ、青唐辛子を油で炒め、揚げた鶏肉にのせます。
  • 衣にヨーグルトとベーキングパウダー:タミル語のボールドスカイは、ヨーグルトを入れた下味で1時間漬けたあと、卵、米粉、マイダ、コーンフラワーを混ぜます。材料にはベーキングパウダーも入っています。
  • にんにくと唐辛子だけ:ジャリーラ・カマルのブログの2つ目の作り方は、すりつぶしたにんにく、唐辛子の粉、塩、色粉だけで漬けて揚げる、粉の衣を使わないものです。
  • ほかの材料で:英語版のウィキペディアは、パニール(インドのフレッシュチーズ)で作るパニール65や、カリフラワーで作るゴービー65もあるとしています。

手に入りにくい材料の代用

  • カシュミーリー・チリパウダー:色が濃く、辛さは穏やかな唐辛子の粉です。パプリカパウダーを同じ量使います。
  • レッドチリパウダー:唐辛子だけの粉です。一味唐辛子を同じ量使います。辛さを抑えたいときは、量を半分にします。
  • カレーリーフ:さわやかな香りのある、ミカン科の木の葉です。生の葉がなければ冷凍の葉を同じ枚数使います。乾燥した葉は香りが弱くなります。代わりになるものはないので、手に入らなければ省きます。
  • 青唐辛子:生の青唐辛子が手に入らないときは、手順9で省き、手順2の下味に一味唐辛子0.5g(小さじ1/4)を足します。
  • 米粉:上新粉を同じ量使えます。なければ、コーンスターチを9g(大さじ1と1/2)増やします。

保存

  • 揚げたてがいちばんおいしい料理です。時間がたつと、衣が湿ってかりっとした食感がなくなります。
  • 冷蔵:冷めてから保存容器に入れて2日。温め直すときは、オーブントースターで5〜6分、中心が75℃になるまで温めます。カレーリーフは焦げやすいので、温め直す前に取り除きます。
  • 下味をつけた生の鶏肉は、その日のうちに揚げます。

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。