ゴービー・マンチューリヤンGobi Manchurian レシピ
गोभी मंचूरियनゴービー・マンチューリヤン

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ゴービー・マンチューリヤンは、衣をつけて揚げたカリフラワーを、醤油とトマトケチャップ、唐辛子、にんにくのソースでからめた料理です。インドで生まれた中華料理、いわゆる「インド中華」の定番です。レシピサイト「ヘッバールズ・キッチン」のヒンディー語版は、屋台の人気料理で、菜食の人のパーティーの前菜としても好まれていると書いています。
レシピは、ヘッバールズ・キッチンのヒンディー語のレシピにある屋台風ドライ(ソースの少ない型)を骨格にしています。カリフラワーを2分だけ下ゆでしてから衣をつけて揚げ、強火で炒めたソースに手早くからめます。屋台では赤い食用色素を使うこともありますが、この記事では色素を使わず、カシュミーリー・チリパウダーで赤みをつけます。
ゴービー・マンチューリヤンとは
ヒンディー語では「गोभी मंचूरियन」と書きます。英語では Gobi Manchurian と綴ることが多く、サンジーヴ・カプールは Gobhi Manchurian と書いています。
料理名の意味
ゴービーは、カリフラワーやキャベツを指す言葉です。料理家のニシャー・マドゥリカーとシェフのランヴィール・ブラールは、材料欄でカリフラワーを「フール(花)・ゴービー」と書いています。料理家サンジーヴ・カプールには、キャベツ(パッター・ゴービー)で作る「パッター・ゴービー・マンチューリヤン」もあります。この料理のゴービーは、カリフラワーです。
マンチューリヤンは、英語の Manchurian(「満州の」「満州の人」という意味)から来た名前です。英語版のウィキペディアの「マンチューリヤン(料理)」の項目は、カルカッタ(現コルカタ)の中国系社会について書かれた本の章を引いて、この料理は満州の料理や中国東北部の料理とはほとんど似ていないと説明しています。
インド中華とコルカタの中国系の人々
インドの旅行誌「アウトルック・トラベラー」のピヤーリー・セーンの記事によると、英国統治時代に、客家(はっか)や広東などさまざまな地域の中国の人々がコルカタに移り住みました。記事は、一時は約2万人が暮らしたとし、市の中心部のティレッタ・バザール(チーナーパーラー)を、インドに残る唯一のチャイナタウンと紹介しています。
同じ記事では、ソースや調味料のブランド「ポウ・チョン」の3代目ジャニス・リーが、チリ・チキンはこの町で生まれたと話しています。この記事は、マンチューリヤンには触れていません。
マンチューリヤンとネルソン・ワン
マンチューリヤンの由来として、今回読んだインドの雑誌やウィキペディアが挙げるのは、ムンバイの中華料理店「チャイナ・ガーデン」を開いたネルソン・ワンの話です。媒体ごとに、説明の細かいところが少しずつ違います。
インドの食の雑誌「アッパー・クラスト」は、ワンが1974年7月にカルカッタからハウラー急行でボンベイ(現ムンバイ)に着いたとき、所持金は27ルピーだったと書いています。クリケット・クラブ・オブ・インディア(ムンバイの会員制クラブ)で中華のケータリングをしたのが転機になり、マンチューリヤン・チキンはワンが生んだものだとしています。にんにく、しょうが、醤油、コーンフラワー(コーンスターチ)、骨なしの鶏肉を炒めた料理だと説明しています。
インドのウェブマガジン「ホームグロウン」のアヌーシュカー・アグラワールの記事は、1975年に、クラブの客がメニューにない新しい料理を頼んだのが始まりだとしています。ワンは鶏肉にコーンスターチをまぶして揚げ、にんにく、しょうが、青唐辛子、醤油のソースにからめた、と書いています。材料の基本はインドのものだったとも書いています。この記事は出典を示していません。
英語版のウィキペディアの「ネルソン・ワン」の項目は、2つの記事を引いています。CNNの旅行サイト「CNN Go」の記事(2010年)を引いて、ワン本人の話として、1975年、クラブで料理人をしていたワンに、客がメニューにない新しい料理を頼んだと書いています。インドの記者ラシーダ・バガットの新聞記事(2007年)を引いて、ワンはにんにく、しょうが、青唐辛子を刻み、ガラム・マサーラーを入れる代わりに醤油を入れ、そこにコーンスターチと鶏肉を加えた、とも書いています。この2つの記事そのものは読めなかったので、ここではウィキペディアの記述として紹介しています。
インドの料理か、パキスタンの料理か
マンチューリヤンがどこの料理かをめぐって、SNSで言い合いになったこともあります。インドのテレビ局「ジー・サラーム」のヒンディー語のニュースサイトによると、2023年3月、米紙ニューヨーク・タイムズがSNSの投稿で、チキン・マンチューリヤンをパキスタンの中華の定番として紹介しました。ジー・サラームの記事は、1990年代にラホールの中華料理店で広まったという話も、出どころを示さずに載せています。
これに対してインドの利用者がSNSで反論し、ネルソン・ワンが1975年に考えた料理だ、カルカッタから来た料理だ、などと投稿したと、ジー・サラームは伝えています。ジー・サラームは見出しで、ニューヨーク・タイムズの情報を誤りだとしています。今回読んだ情報源には、ラホールの話とワンの話を突き合わせて確かめたものはありませんでした。
カリフラワーのマンチューリヤン
同じウィキペディアの「マンチューリヤン(料理)」の項目は、シンガポールの新聞ストレーツ・タイムズの記事を引いて、鶏肉の代わりにカリフラワーを使った菜食版がゴービー・マンチューリヤンと呼ばれるとしています。タミル語の雑誌社ヴィカタンの英語版サイトは、ゴービー・マンチューリヤンの起源を、1970年代のワンのチキン・マンチューリヤンにさかのぼるものとしています。ホームグロウンも、野菜やカリフラワーのマンチューリヤンが人気になったと書いています。今回読んだ情報源には、いつ、誰が最初にカリフラワーで作ったのかを書いたものはありませんでした。
屋台の赤い色とゴアの禁止
ヘッバールズ・キッチンは、ヒンディー語と英語のどちらのレシピでも、色を鮮やかにしたいときは赤い食用色素を加えてもよいと書いています。ヴィカタンの英語版サイトは、2024年2月の記事で、ゴア州のマプサの市議会が、屋台や祭りでのゴービー・マンチューリヤンの販売を禁止すると決めたと伝えています。記事は、合成着色料と衛生への懸念に対応したものだとしています。同じ記事は、2022年に同じゴア州のヴァスコの祭りで、食品医薬品局(FDA)がモルムガオ市議会に、ゴービー・マンチューリヤンの屋台を制限するよう指示したとも伝えています。
ゴービー・マンチューリヤンのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 25分 加熱 30分
- カシュミーリー・チリ2.5g
- 黒こしょう1g
カリフラワーの下ゆで
- カリフラワー(小房に分けた正味)400g(中1株)
- 水1L
- 塩3g(小さじ1/2)
- 氷水(氷と水を合わせて)500ml
衣
揚げる
- 揚げ油(植物油。直径18cmの鍋で深さ約4cm)1L
ソース
とろみ
- コーンスターチ3g(小さじ1と1/2)
- 水80ml
仕上げ
- 青ねぎ(仕上げ用)10g
作り方
カリフラワーを下ゆでする
カリフラワー400gを、1つが3〜4cmの小房に分ける。鍋に水1Lと塩3gを入れて強火で沸かし、カリフラワーを入れて2分ゆでる。ゆですぎると揚げたあとに柔らかくなりすぎるので、2分で上げる。ざるに上げて氷水500mlに入れ、冷めたら再びざるに上げる。キッチンペーパーで、房のすき間まで水気をふき取る。
衣を作ってからめる
ボウルに中力粉60g、コーンスターチ30g、カシュミーリー・チリパウダー2.5g、しょうが5g、にんにく5g、醤油5ml、塩1.5gを入れる。水90mlを3回に分けて加え、そのつど泡立て器で混ぜて、ダマのない衣にする。すくうと、とろりと流れ落ちる濃さが目安。固くて流れないときは、予備の水15mlを加える。混ぜ終えたら、それ以上は混ぜない。カリフラワーを入れ、全体に衣をからめる。
ソースの野菜を切る
ソースのにんにく10gとしょうが10gはみじん切りにする。青唐辛子2本は縦に切り目を入れる。玉ねぎ50gはみじん切り、炒める分の青ねぎ30gと仕上げ用の青ねぎ10gは小口切りにする。ピーマン70gは種を除き、2cm角に切る。とろみ用のコーンスターチ3gを水80mlに溶いておく。
揚げ油を熱する
換気扇を回す。厚手の鍋に揚げ油1Lを入れる。油は鍋の深さの半分までにする。中火にかけ、揚げ物用の温度計の先を油の中ほどに入れて(鍋底に当てない)、170〜180℃にする。温度計がないときは、乾いた菜箸の先を鍋底に当て、箸全体から細かい泡がすぐに勢いよく上がってくれば、170〜180℃の目安。煙が出たらすぐに火を止める。揚げている間は鍋のそばを離れず、水やぬれた布巾を鍋の近くに置かない。万一火が出たら、水をかけずにふたをして火を止める。
カリフラワーを揚げる
衣をつけたカリフラワーの1/3量を、1つずつ油面の近くから静かに入れる。衣は水分が多く、油がはねることがあるので、鍋から顔を離す。ときどき返しながら3〜4分、衣がきつね色になってかりっとするまで揚げる。温度計(または菜箸の泡)を見ながら火加減を調整し、170〜180℃を保つ(下がったら火を強め、180℃を超えたら弱める)。網じゃくしで取り出してキッチンペーパーにのせ、油を切る。3回に分けて揚げる。揚げ終えたら火を止め、油が冷めるまで鍋を動かさない。
香味野菜を炒める
換気扇を回したまま、中華鍋に植物油20gを強火で熱する。にんにく10g、しょうが10g、青唐辛子2本を入れ、焦がさないように混ぜながら30秒炒める。玉ねぎ50gと炒める分の青ねぎ30gを加えて1分炒める。ピーマン70gを加え、色が鮮やかになるまで1分炒める。
調味料を加える
トマトケチャップ36g、チリソース10ml、酢10ml、醤油15ml、黒こしょう1gを加えて混ぜ、強火のまま1分炒め合わせる。
とろみをつける
水80mlに溶いておいたコーンスターチ3gを、底からよく混ぜ直してから回し入れる。混ぜながら煮立て、30秒〜1分、ソースに軽いとろみとつやが出て、白っぽさが消えて透き通るまで加熱する。
カリフラワーをからめてすぐに食べる
揚げたカリフラワーを加え、鍋をあおるか大きく返して、20〜30秒でソースを全体にからめる。火を止めて器に盛り、仕上げ用の青ねぎ10gを散らす。衣が柔らかくなる前に、すぐに食べる。
できたてを前菜として食べるほか、フライドライスに添えて食べます。
かりっとした衣を作る
小麦粉とコーンスターチを合わせる
今回読んだインドのレシピ5件は、どれもマイダ(精製した小麦粉)とコーンフラワー(コーンスターチ)を合わせて衣にしています。計量カップやスプーンで量った比は、ヘッバールズ・キッチンのヒンディー語のレシピが3対1、サンジーヴ・カプールが2対1、シェフのランヴィール・ブラールが1対1です。この記事では、サンジーヴ・カプールと同じ、その間の2対1(重さ)にしています。
下ゆでしてから揚げる理由
ヘッバールズ・キッチンのヒンディー語のレシピは、カリフラワーを塩を入れた湯で2分ほどゆでてから衣をつけます。あとで揚げるので、ゆですぎないように注意しています。同じサイトの英語のレシピは、ゆでることで房のすき間の汚れや虫を出せるとしています。下ゆでで中まで火が通りかけているので、揚げる時間は衣を色づけるだけの短い時間ですみます。
読んだインドのレシピ5件は、どれも揚げ油の温度を数字で書いていません(「熱した油」「中くらいに熱した油」など)。この記事では、衣を短い時間で色づけるために170〜180℃にしています。1回に1/3量ずつ揚げるのは、冷たいカリフラワーをたくさん入れて油の温度を下げないためです。
ゆでたカリフラワーの水気を手順1でふき取るのは、衣をよくつけるためと、油はねを防ぐためです。水が熱い油に入ると一気に水蒸気になって膨らみ、油を飛ばします。
とろみをつけて、すぐに食べる
水溶きのコーンスターチでとろみをつける
ソースのとろみは、水に溶いたコーンスターチでつけます。粉を熱いソースに直接入れるとダマになりやすいので、手順3で先に水に溶いておきます。コーンスターチは、煮立てるととろみがつき、白く濁っていたソースが透き通ってきます。ヘッバールズ・キッチンの英語のレシピも、混ぜながら煮立て、軽くとろみがついて透き通るまで加熱しています。手順8で、透き通るまで加熱するのはこのためです。とろみがついたら、すぐにカリフラワーを加えます。
置くと衣が柔らかくなる
揚げた衣は、ソースの水分を吸うと柔らかくなります。ヘッバールズ・キッチンも、置いておくとソースが固くなるので、すぐに出すようにと書いています。ソースにからめたら、時間をおかずに食べます。
ドライとグレービー
ゴービー・マンチューリヤンには、ソースの少ない「ドライ」と、とろみのあるソースの多い「グレービー」があります。英語版のウィキペディアも、マンチューリヤンにはドライ(またはセミドライ)とグレービーの2つがあるとしています。
- ドライ:ヘッバールズ・キッチンは、ドライを屋台で売られているかりっとした型として紹介し、大きなレストランの柔らかい型より好きだと書いています。前菜として食べます。この記事のレシピはドライです。
- グレービー:ヘッバールズ・キッチンの英語のレシピは、ドライとの違いはコーンスターチでとろみをつけたソースだと説明し、フライドライスに添えるとしています。ヒンディー語のレシピでも、グレービーはフライドライスや麺と食べるのが好きだと書いています。サンジーヴ・カプールのレシピは、ソースに水1カップを加え、できたソースの半分を別の器に取り分けて添えます。ニシャー・マドゥリカーは、ドライでもグレービーでも作れると書き、このレシピはグレービーで作るとしています。
この記事のレシピをグレービーにするときは、ヘッバールズ・キッチンの英語のレシピとサンジーヴ・カプールの水の量を参考に、とろみの水溶きを、コーンスターチ9g(大さじ1と1/2)と水300mlに変えます。水が増えるぶん味が薄くなるので、この記事では、手順7で醤油5ml(小さじ1)と塩1gを足します。手順8では、混ぜながら煮立て、透き通ってとろみがつくまで1〜2分加熱します。
作り手による違い
- 下ゆでをしない:ニシャー・マドゥリカー、サンジーヴ・カプール、ランヴィール・ブラールは、生のカリフラワーに衣をつけて揚げます。ランヴィール・ブラールは、先に塩とコーンスターチをまぶしてから衣をつけます。
- 衣の味つけ:サンジーヴ・カプールは、衣にダークソイソース、粗びき黒こしょう、赤いチリソースを混ぜます。ランヴィール・ブラールは、黒こしょうとデギ・チリ(色の鮮やかな唐辛子の粉)を入れます。
- ソースの具:ランヴィール・ブラールはセロリを加え、ニシャー・マドゥリカーとともにパクチー(コリアンダーの葉)を入れます。ニシャー・マドゥリカーは、玉ねぎとにんにくを入れない作り方を基本にし、入れる場合も紹介しています。チリフレークと、砂糖小さじ1/2〜1も加えます。
- うま味調味料:ヘッバールズ・キッチンの英語のレシピは、店ではうま味調味料(グルタミン酸ナトリウム)を使うことが多いが、自分は使わないと書いています。
手に入りにくい材料の代用
- カシュミーリー・チリパウダー:色が濃く、辛さは穏やかな唐辛子の粉です。パプリカパウダーを同じ量使います。
- チリソース:インドの赤いチリソースは、唐辛子と酢の効いた、甘みの少ないソースです。手に入らないときは、一味唐辛子0.5g(小さじ1/4)と酢5ml(小さじ1)で代用します。甘いスイートチリソースは、味が甘くなるので向きません。
- 青唐辛子:生の青唐辛子が手に入らないときは、一味唐辛子0.5g(小さじ1/4)を手順7で加えます。
- 醤油:サンジーヴ・カプールはダークソイソース(色の濃い醤油)を指定しています。この記事では、日本の濃口醤油を使っています。
- 中力粉:マイダ(インドの精製小麦粉)に近い粉として使っています。薄力粉でも作れます。
保存
- ソースにからめたあとは、衣が柔らかくなるので、作りたてを食べます。
- 作りおくときは、揚げたカリフラワーとソースを分けて保存容器に入れ、冷蔵で1日。食べるときに、カリフラワーをオーブントースターで4〜5分温めてかりっとさせ、温め直したソースにからめます。
- 衣が柔らかくなるので、冷凍には向きません。
西インドのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Hebbar's Kitchen「गोबी मंचूरियन रेसिपी | gobi manchurian in hindi | ड्राई गोबी मंचूरियन बनाने की विधि」(ヒンディー語)
- Nisha Madhulika「गोभी मंचूरियन Gobi Manchurian or Cauliflower Manchurian」(ヒンディー語)
- Sanjeev Kapoor「Gobhi Manchurian」(英語)
- Sanjeev Kapoor「Patta Gobhi Manchurian」(英語)
- Hebbar's Kitchen「gobi manchurian gravy recipe | cauliflower manchurian gravy recipe」(英語)
- Ranveer Brar「Crispy Gobi Manchurian गोभी मंचूरियन Restaurant style Manchurian」(英語)
- Zee Salaam「चिकन मंचूरियन को लेकर न्यूयॉर्क टाइम्स ने लिखी गलत जानकारी, भारतीयों ने इस तरह सिखाया सबक」(ヒンディー語)
- Upper Crust「NELSON WANG, RESTAURATEUR」(英語)
- Homegrown「How A Cricket Club Gave Birth To India's Favourite Chicken Manchurian」(英語)
- Outlook Traveller「How India's Only Chinatown Is Celebrating The Year Of The Dragon」(英語)
- Vikatan「Gobi Manchurian Faces Ban in Mapusa, Goa: This is why?」(英語)
- Wikipedia「Nelson Wang」(英語)
- Wikipedia「Manchurian (dish)」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。