ビーフ・ウラルティヤトゥBeef Ularthiyathu レシピ
ബീഫ് ഉലർത്തിയത്ビーフ・ウラルティヤトゥ

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ビーフ・ウラルティヤトゥは、スパイスをまぶして柔らかく煮た牛肉を、ココナッツオイルで汁気がなくなるまで炒りつけたケーララの料理です。こんがり揚げ焼きにしたココナッツの薄切りと、カレーリーフ、たっぷりの黒こしょうが入ります。ガルフ・ニュースに載ったレシピは、この料理を「ビーフ・ロースト」とも呼んでいます。
煮てから炒るので、二段階の料理です。この記事のために読んだレシピ8件のうち5件は、最初の段階に圧力鍋を使います。この記事でも圧力鍋で牛肉を柔らかくしてから、厚手のフライパンで濃い茶色になるまで炒りつけます。
ビーフ・ウラルティヤトゥとは
マラヤーラム語では「ビーフ・ウラルティヤトゥ」(ബീഫ് ഉലർത്തിയത്)と書きます。「ビーフ」は英語の beef をそのまま使った言葉です。マラヤーラム語のニュースサイト「アジアネット・ニュース」のビーフ・ウラルティヤトゥのレシピは、煮た牛肉を、水気がすっかりなくなり、肉が鍋にくっつかずにばらばらになるまで混ぜ続けて仕上げます。
作り方の近い料理は、別の名前でも紹介されています。マラヤーラム語の女性誌「ヴァニタ」の料理欄は、ほぼ同じ作り方の料理を「ビーフ・ヴァラッティヤトゥ」という名前で載せています。ケーララ州観光局の英語のページには「ビーフ・フライ」のほか、マラバール(ケーララ北部)の料理として「ビーフ・クルムラキッタトゥ」という料理が載っています。クルムラク(കുരുമുളക്)は黒こしょうのことで、ヴァニタの材料欄でも黒こしょうをこの言葉で書いています。
ケーララのどこの料理か
ケーララ州観光局の英語のページは、ビーフ・ウラルティヤトゥを中央トラヴァンコール地方(ケーララ州中部)でとても人気のある肉料理で、特別なごちそうとされている、と紹介しています。
ケーララと牛肉
ケーララで誰が牛肉を食べてきたかについては、書き手によって説明の重心が違います。
- アウトルック誌:インドの週刊誌アウトルックの2023年の記事で、書き手のシャーヒナ・K・K は、ケーララの人々を結びつけているのは、政治や宗教の違いにかかわらず共有されている、ポロッタ(層になった薄焼きパン)と牛肉の組み合わせへの愛着だ、と書いています。記事の中で、アルヴァのユニオン・クリスチャン・カレッジで歴史を教えるハヌ・G・ダースは、バラモンの人々が菜食を取り入れたあとも、ほかの人々は牛肉を食べ続けたと述べています。書き手は、OBC(その他の後進諸階級)、ダリト、イスラム教徒、キリスト教徒の人々は、おおむねあらゆる肉を食べてきた、と書いています。
- ヴァイス:アメリカのメディア「ヴァイス」の2016年の記事で、書き手のバーバラ・ウールジーは、ケーララの一部の地域には、ナスラーニー(シリア・キリスト教徒)の食事はビーフ・フライがなければ完成しない、という意味の言い回しがあると紹介しています。同じ記事で、コッタヤムで育った料理人のプリマ・クリエンは、子どもの頃は少なくとも週に3〜4回は牛肉が食卓に出たと話しています。書き手は、クリエンの話として、ケーララの牛肉は宗教に関係なく誰もが食べる料理だと書いています。
- ケーララ州観光局(マラヤーラム語):「ケーララのイスラム」という項目にあるポロッタのページで、ポロッタにいちばん合うのはビーフ・カレーかビーフ・ローストだ、と書いています。
アウトルックの記事では、家畜と牛肉の事業「バッファロー・マート」を手がけるサンジュ・ムハンマドが、ケーララで好まれている「ビーフ」は牛ではなく水牛の肉だ、と話しています。インドでは牛肉をめぐる政治的な議論もありますが、この記事では料理の話にとどめます。
この記事の配合
アジアネット・ニュースのレシピ(牛肉1kg)は、粒の黒こしょう大さじ1を、シャロット、しょうが、にんにく、カレーリーフと一緒にすりつぶして下味にします。ガラム・マサーラーは、シナモン、クローブ、カルダモン、フェンネルを同じ量ずつからいりして挽いた自家製です。素焼きの土鍋で牛肉を水と一緒に煮て、別に炒ったココナッツの薄切りと合わせて炒りつけます。ヴァニタのレシピ(牛肉1kg)は、黒こしょう大さじ1、フェンネル、スターアニス、カルダモン、シナモンを粉のスパイスと一緒にすりつぶして牛肉にまぶし、圧力鍋で煮ます。ココナッツの薄切りはしょうが、にんにくと一緒に炒めます。
ケーララの新聞マラヤーラ・マノーラマの英語版「オンマノーラマ」に載ったレシピ(牛肉1kg)は、少しの水で牛肉を圧力鍋にかけ、笛を5〜6回鳴らします。ココナッツの薄切りを先に油で揚げ焼きにして取り出し、同じ油でマスタードシードをはじかせてから玉ねぎとシャロットを炒め、粉の黒こしょう大さじ1を加えます。最後にココナッツオイルを足して、弱火で濃い茶色になるまで炒りつけます。
この記事では、自家製ガラム・マサーラーはアジアネット・ニュースにならい、圧力鍋の使い方と炒る順番はオンマノーラマにならいました。黒こしょうは、アジアネット・ニュースやヴァニタのように下味に入れ、ケーララ州観光局のビーフ・クルムラキッタトゥのように仕上げにも加えて、2回に分けます。牛肉500gに対して黒こしょうは合わせて5gで、読んだレシピの中では多めの側です。玉ねぎは使わず、シャロットだけにしました。
ビーフ・ウラルティヤトゥのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 50分(漬け込み30分を含む) 加熱 1時間30分(圧力鍋の圧が下がるのを待つ時間を含む)
- コリアンダー6g
- カシュミーリー・チリ5g
- 黒こしょう5g
- フェンネル2g
- マスタードシード2g
- シナモン1g
- ターメリック0.8g
- グリーンカルダモン0.6g
- クローブ0.3g
ガラム・マサーラー
牛肉の下味と圧力鍋
ココナッツと香味野菜を炒める
炒りつけて仕上げる
作り方
ガラム・マサーラーを作る
小さなフライパンにフェンネル2g、シナモン1g、クローブ4粒、カルダモン3粒を入れ、弱火で1〜2分、香りが立つまでからいりする。皿に広げて冷まし、スパイスミルで細かい粉にする。半分(約2g)ずつに分けておく。
下ごしらえをする
牛すね肉500gは2cm角に切る。下味用の黒こしょう2.5gをスパイスミルかすり鉢で粗く挽く(仕上げ用の2.5gは手順9で挽く)。ココナッツ50gは厚さ2〜3mm、長さ1.5〜2cmの薄切りにする。シャロット120gは縦に薄切り、しょうが10gはせん切り、にんにく10gは薄切りにし、青唐辛子3本は縦に切り目を入れる。
牛肉に下味をつける
圧力鍋に牛肉を入れ、ターメリック0.8g、カシュミーリー・チリパウダー5g、コリアンダー6g、黒こしょう2.5g、ガラム・マサーラーの半量(約2g)、しょうがのすりおろし15g、にんにくのすりおろし15g、塩5g、カレーリーフ10枚を加えて手でよくもみ込む。ふたをせずに30分おく。
圧力鍋で煮る
水200mlを加えて混ぜ、ふたをして強火にかける(圧力鍋の説明書に最低水量が書かれているときは、それを下回らないようにする)。圧がかかったら(おもりが動く、または圧力表示ピンが上がったら)弱火にして20分加熱し、火を止めて圧が自然に下がるまで待つ(10〜15分)。インドの笛が鳴るタイプの圧力鍋なら、中火で5〜6回鳴らしてから火を止める。圧力表示ピンが下がりきる前にふたを開けない。
火の通りと柔らかさを確かめる
ふたを開け、いちばん大きい1切れを取り出して半分に切る。中まで赤い部分がなく、竹串がすっと通れば煮えている。かたいときは、ふたをして再び圧をかけ、弱火で5分加熱し、同じように圧が下がるのを待って確かめる。煮汁が鍋底から1cm以上残っていれば、ふたをせずに中火で10〜15分、ときどき混ぜながら煮詰め、大さじ3(45ml)ほどにする。
マスタードシードとココナッツを揚げ焼きにする
フライパンにココナッツオイル39gを中火で熱し、マスタードシード2gを入れる。はじけて油がはねるので、すぐにふたをかざす。はじける音がおさまったらココナッツ50gを加え、3〜4分、全体がきつね色になるまで炒める。穴あきお玉ですくい、油はフライパンに残す。
香味野菜を炒める
同じ油に、シャロット120g、しょうが10g、にんにく10g、青唐辛子3本、カレーリーフ10枚を入れる(カレーリーフは油がはねるので、ふたをかざして入れる)。中火で6〜8分、シャロットのふちが茶色くなるまで炒める。残りのガラム・マサーラー(約2g)を加え、30秒炒める。
牛肉を加えて汁気を飛ばす
圧力鍋の牛肉を煮汁ごと加える。中火で5〜8分、底から返しながら、煮汁がなくなるまで炒める。
炒りつける
ココナッツオイル13gを回し入れ、弱めの中火にする。1分おきに底から返しながら、10〜15分、牛肉の表面が濃い茶色になり、スパイスが肉にからみつくまで炒りつける。煙が出やすいので換気扇を回す。焦げつきそうなときは火を弱める。炒りつけているあいだに、仕上げ用の黒こしょう2.5gを粗く挽いておく。
黒こしょうとココナッツで仕上げる
残りの黒こしょう2.5g、手順6のココナッツ、カレーリーフ10枚を加え、1分炒め合わせて火を止める。
ポロッタやご飯、アッパム(米粉の発酵生地の薄焼き)と一緒に食べます。
料理科学:圧力鍋で牛肉を柔らかくする
すね肉は、煮る温度を上げて短い時間で柔らかくする
すね肉のようによく動かす部位は、筋や膜が多く、かたい肉です。長く煮れば柔らかくなりますが、ふつうの鍋では、煮汁は100℃前後より熱くならないので、時間がかかります。圧力鍋は、中の圧力を高めて水の沸点を上げるので、ふつうの鍋より高い温度で煮ることができます。手順4の20分で柔らかくなるのはこのためです。
煮ているあいだに、肉からは汁が出てきます。オンマノーラマのレシピは、肉から汁が出るので水は少なめにする、としています。この記事では、ケーララ州観光局のビーフ・フライのレシピと同じ200mlにして、出てきた汁ごと手順5と手順8で煮詰めて、肉にからめます。
火の通りと柔らかさを確かめる
圧がかかった状態で20分煮れば、2cm角の牛肉は中心まで火が通ります。ただし、ふたのパッキンがずれていたなどで圧が十分にかからなかったときは、火の通りが足りないことがあります。そこで手順5では、火が通ったかどうかと、柔らかくなったかどうかの2つを確かめます。1切れを切って中まで赤い部分がないことと、竹串がすっと通ることの両方を見ます。牛肉の部位や圧力鍋の種類によって柔らかくなるまでの時間が違うので、かたければ5分ずつ足します。
料理科学:炒りつけて香ばしくする
汁気がなくなってから色がつく
肉の焼き色と香ばしい香りは、アミノ酸と糖が反応するメイラード反応によるものです。肉の表面に水分があるうちは、表面の温度は100℃前後にとどまり、焼き色はつきにくくなります。
手順8で煮汁を飛ばし、手順9で油を足して炒りつけるのは、肉の表面を乾かして、濃い茶色の焼き色と香ばしさをつけるためです。オンマノーラマのレシピも、水気を飛ばしてから油を足し、弱火で濃い茶色になるまで炒りつけます。煮汁に溶けていたスパイスは、汁気が飛ぶにつれて肉の表面にからみついていきます。
ココナッツの薄切りを先に揚げ焼きにして取り出しておくのは、オンマノーラマのレシピにならったものです。水分の多い牛肉と一緒に炒めると、ココナッツは色づきにくくなります。先に油だけで色づけて取り出し、最後に戻すと、こんがりした色と歯ざわりが残ります。
黒こしょうを2回に分ける
下味の黒こしょうはアジアネット・ニュースやヴァニタのレシピに、仕上げの黒こしょうはオンマノーラマのレシピやケーララ州観光局のビーフ・クルムラキッタトゥにならいました。手順3で下味に入れた黒こしょうは、長く煮るうちに肉と煮汁になじみます。手順10で加える黒こしょうは、加熱が1分ほどなので、挽きたての香りが残ります。仕上げ用を手順9で挽くのはそのためです。
地域・家庭による違い
- 圧力鍋を使わない作り方:ケーララ州観光局のビーフ・ウラルティヤトゥのレシピは、スパイスのペーストで漬けた牛肉に、シャロット、しょうが、にんにく、カレーリーフ、ココナッツ、酢小さじ1/2を加えて弱火でじっくり煮ます。最後にココナッツオイルでマスタードシード、カレーリーフ、シャロット、つぶしたにんにくを炒めて加えます。アジアネット・ニュースのレシピは、素焼きの土鍋で煮て炒ります。
- トマトを入れる:ガルフ・ニュースに載った、ムンバイに住み、ケーララの伝統的な料理を動画で紹介しているソーバ・ヴァルギースのレシピは、圧力鍋に牛肉とトマト、玉ねぎ、シャロットを入れ、水を加えずに煮ます。ガラム・マサーラーはフェンネル、カルダモン、スターアニス、クローブ、シナモンで作ります。
- フェンネルの粉を加える:オンマノーラマに載った料理人アルン・ヴィジャヤンのレシピは、ゆでた牛肉をフェンネルの粉、黒こしょうの粉、ガラム・マサーラーと一緒に弱火で20分ほど炒め、乾いて色が濃くなるまで仕上げます。
- ココナッツを炒めて加える量:ケーララ州観光局のビーフ・ウラルティヤトゥは牛肉500gにココナッツ100g、オンマノーラマとヴァニタは牛肉1kgに1/2カップです。
- 肉を柔らかくする工夫:オンマノーラマのレシピは、皮ごと刻んだ青いパパイヤを牛肉にまぶして30分おく方法や、パイナップルの果汁を使う方法を挙げています。どちらも肉のたんぱく質を分解する酵素を含みます。
手に入りにくい材料の代用
- ココナッツ(生):無糖の乾燥ココナッツチップス30gで代用できます。焦げやすいので、手順6では弱火で1〜2分、うっすら色づいたらすぐに取り出します。
- シャロット:赤玉ねぎ120gを縦に薄切りにして使えます。
- カシュミーリー・チリパウダー:色が濃く、辛さは穏やかな唐辛子の粉です。パプリカパウダー4gと一味唐辛子1g(小さじ1/2)で代用できます。
- カレーリーフ:さわやかな香りのある、ミカン科の木の葉です。代わりになるものはないので、手に入らなければ入れずに作ります。
- 青唐辛子:ししとう3本で代用できます。辛みはほとんどなくなります。
- ココナッツオイル:サラダ油で代用できます。ココナッツの香りは弱くなります。
- 圧力鍋:厚手の鍋で、手順4の水を500mlにし、ふたをして弱火で2時間前後、竹串がすっと通るまで煮ます。途中で煮汁が肉の半分の高さより少なくなったら、水を100mlずつ足します。そのあと手順5と同じように、煮汁を大さじ3(45ml)ほどまで煮詰めます。
保存
- 冷蔵:保存容器に入れて3日。フライパンで炒め直して温めます
- 冷凍:1か月。ココナッツの歯ざわりは少し弱くなります
南インドのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Asianet News「സ്പെഷ്യല് ബീഫ് ഉലര്ത്തിയത് മണ്പാത്രത്തിൽ തയ്യാറാക്കാം...」(マラヤーラム語)
- Vanitha「തനി നാടൻ ബീഫ് വരട്ടിയത്, വായിൽ കപ്പലോടും രുചി!」(マラヤーラム語)
- Kerala Tourism(Islam in Kerala)「പൊറോട്ട」(マラヤーラム語)
- Kerala Tourism「Beef Ularthiyathu」(英語)
- Kerala Tourism「Beef Fry」(英語)
- Kerala Tourism「Beef Kurumulakittathu」(英語)
- Onmanorama「Ah, this is what a proper Kerala beef fry tastes like. Try it this way」(英語)
- Onmanorama「Stir fried spicy beef: A versatile dish for special days and meals」(英語)
- Gulf News「Video recipe for Kerala-style beef ularthiyathu」(英語)
- Outlook「Where The Divisive Politics Of Holy Cow Has No Place」(英語)
- VICE「The Indian State Where Everyone Eats Beef」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。