パコーラー日本では「パコラ」ともPakora レシピ
पकौड़ाパコーラー

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パコーラーは、刻んだ野菜をベサン(ひよこ豆の粉)でまとめて、油で揚げたものです。北インドでは、町の茶店や食堂でも家庭でも作られる軽食で、雨の日にチャーイと一緒に食べるものとしても親しまれています。
レシピは、ヒンディー語で料理を紹介するニシャー・マドゥリカーの「ミックス・ベジ・パコーラー」を骨格にしています。玉ねぎ、じゃがいも、カリフラワー、キャベツ、ほうれん草を刻み、塩をもみ込んで出てきた水分を生かしてベサンをまとめ、足す水は控えめにします。この記事では、揚げ物用の温度計で油の温度を測りながら揚げます。温度計がないときに、菜箸の泡で見る目安も添えています。
パコーラーとは
ヒンディー語では「पकौड़ा」と書き、「パコーラー」と読みます。「パコーダー」と書き表されることもあります。日本では「パコラ」とも呼ばれます。
料理名の意味
インドのウルドゥー語辞典サイト「レフター」のヒンディー語のページは、「パコーリー」という言葉を、パコーラーの女性形で、小さいものを表す形だと説明しています。意味としては、ひよこ豆やえんどう豆などの粉で作る小さなかたまりを挙げ、同じ意味の言葉に「プラウリー」などを並べています。同じページの英語の説明は、油やギーで揚げたもの、としています。
英語版のウィキペディアは、R・S・マグレガーの『オックスフォード ヒンディー語・英語辞典』を出典に、パコーラーはサンスクリット語の「パクヴァヴァタ」から来た言葉だとしています。パクヴァは「火を通した」、ヴァタは「小さなかたまり」という意味です。インドのニュースサイト「ザ・クイント」の記事も、同じ語源を紹介しています。
北インドの軽食として
ヒンディー語版のウィキペディアは、パコーラーを、北インドのどの町でも村でも、朝食の店や食堂、茶店で売られている料理と紹介しています。作り方は一つではなく、ほうれん草やじゃがいもなど、好みの野菜を混ぜてよいとしています。
古い記録については、英語版のウィキペディアが、食物史家K・T・アチャヤの本を出典に、1130年ごろの料理書『マーナソッラーサ』に「パリカ」という料理が出てくると紹介しています。また、食物史家コリーン・テイラー・セーンの本を出典に、1025年ごろの『ローコーパカーラ』に、ひよこ豆の粉を魚の形の型に押し込んでマスタードオイルで揚げる料理が出てくるとしています。
2つのヒンディー語のレシピ
ニシャー・マドゥリカーのミックス・ベジ・パコーラーは、刻んだカリフラワー、じゃがいも、キャベツ、ほうれん草、メーティー(フェヌグリーク)の生の葉に、ベサン200gをまぶし、水を少しずつ加えてまとめます。水は合わせて1/2カップです。揚げたてにチャート・マサーラー(塩味と酸味のあるミックス・スパイス)を振ります。
インドのレシピサイト「ヘッバールズ・キッチン」のヒンディー語のミックス・ベジ・パコーラーは、玉ねぎなどの野菜を塩と一緒ににぎって水分を出し、水を足さずにベサンと米粉でまとめます。衣にはアジョワン(タイムに似た香りの小さな種)とターメリック、カシュミーリー・チリパウダーを入れます。同じサイトの玉ねぎのパコーラーのレシピは、水を足すとかりっと揚がらない、と書いています。
この記事では、ニシャー・マドゥリカーの野菜と分量を土台にしています。そこに、ヘッバールズ・キッチンにならって玉ねぎを加え、塩で野菜の水分を出し、米粉とアジョワン、ターメリック、カシュミーリー・チリパウダーを加えています。水は、ニシャー・マドゥリカーの1/2カップより少ない80〜100mlにしています。メーティーの生の葉は日本では手に入りにくいので、使っていません。
パコーラーのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 25分(野菜に塩をなじませる時間を含む) 加熱 40分
- チャート・マサーラー2.5g
- カシュミーリー・チリ1.3g
- アジョワン1g
- ターメリック0.7g
野菜と下味
- 玉ねぎ(薄切り)100g(中1/2個)
- じゃがいも(細切り)100g(小1個)
- カリフラワー(細かく刻む)100g
- キャベツ(せん切り)100g(葉2枚)
- ほうれん草(1cm幅に切る)30g(2株)
- パクチー(コリアンダーの葉)(刻む)6g(大さじ3)
- 青唐辛子(生のもの。みじん切り)2本(6g)
- しょうが(すりおろし)5g(小さじ1)
- 塩5g(小さじ1弱)
衣
揚げる
- 揚げ油(植物油。直径18cmの鍋で深さ約4cm)1L
作り方
野菜を切る
玉ねぎ100gは縦に薄切りにし、長さを半分に切る。じゃがいも100gは皮をむいて2mm厚さの薄切りにし、2mm幅、長さ3cmほどの細切りにする。カリフラワー100gは5mm角ほどに細かく刻む。キャベツ100gは長さ3cmのせん切りにする。ほうれん草30gは1cm幅に切る。パクチー6gは刻み、青唐辛子2本はへたを取ってみじん切りにする。
塩をもみ込んで水分を出す
大きめのボウルに切った野菜、パクチー、青唐辛子、しょうが5g、塩5gを入れ、両手で野菜をにぎるようにして1分ほどもみ込む。そのまま10分おく。ボウルの底に野菜の水分がにじみ出てくる。水分は捨てずに使う。
スパイスと粉を混ぜる
アジョワン1gを手のひらでこすって軽くつぶしながら加え、ターメリックパウダー0.7g、カシュミーリー・チリパウダー1.3gを加えて全体に混ぜる。ベサン200gと米粉27gを加え、野菜をにぎるようにして、出てきた水分を粉に吸わせながら混ぜる。水100mlのうち80mlを加えて混ぜる。それでも乾いた粉が残るときだけ、残りの20mlを加える。手で軽くにぎるとまとまり、ボウルを傾けても流れない固さが目安。水はこれ以上足さない。混ぜたら、時間をおかずに揚げる。
揚げ油を熱する
換気扇を回す。厚手の鍋に揚げ油1Lを入れる。油は鍋の深さの半分までにする。中火にかけ、揚げ物用の温度計の先を油の中ほどに入れて(鍋底に当てない)、170℃にする。温度計がないときは、乾いた菜箸の先を鍋底に当て、箸全体から細かい泡がすぐに勢いよく上がってくれば、170〜180℃の目安。先から小さな泡がゆっくり上がるだけなら、まだ低い。煙が出たらすぐに火を止める。揚げている間は鍋のそばを離れず、水やぬれた布巾を鍋の近くに置かない。万一火が出たら、水をかけずにふたをして火を止める。
1回目を揚げる
たねを24等分(1個約30g)するつもりで、手で軽くにぎって厚さ2cmほどの平たい形にまとめる。手のひらから網じゃくしにのせ、油面の近くから静かに入れる。たねは水分が多く、入れた直後は泡が勢いよく上がって油がはねることがあるので、鍋から顔を離す。1回に6個まで入れる。入れてから30秒ほどは触らず、衣が固まってから、ときどき返しながら5〜7分揚げる。温度計(または菜箸の泡)を見ながら火加減を調整し、165〜175℃を保つ。泡が小さく少なくなり、全体が濃いきつね色になって、菜箸で持つと軽く感じれば揚げ上がり。網じゃくしで取り出し、網つきのバットにのせて油を切る。
火の通りを確かめる
1回目のうちいちばん厚い1個を半分に割る。じゃがいもが柔らかく、中の衣がねっとりせず、ほろりと割れれば火が通っている。中の衣がねっとりと生っぽいときは、その回のパコーラーを油に戻して1〜2分揚げ、残りの回も1分長く揚げる。
残りを揚げる
揚げるたびに油の温度を170℃に戻してから、次のたねを入れる。手順5と同じように、1回に6個ずつ、あと3回揚げる。揚げ終えたら火を止め、油が冷めるまで鍋を動かさない。
仕上げる
熱いうちにチャート・マサーラー2.5gを全体に振り、すぐに食べる。
揚げたてに、パクチーのチャトニー(たれ)やトマトケチャップを添え、マサーラー・チャーイと一緒に食べます。
料理科学:衣がかりっとする理由
水分が抜けて、衣が乾いた殻になる
たねを熱い油に入れると、表面の水分が沸騰して水蒸気になって出ていきます。たねを入れた直後に大きな泡が勢いよく上がり、揚げ上がりに近づくと泡が小さく少なくなるのは、衣から水分が出ていく様子が見えているためです。衣の水分が抜けると、色づいて、乾いた固い殻になります。手順5で、泡の様子を揚げ上がりの目安にしているのはそのためです。
ヘッバールズ・キッチンの玉ねぎのパコーラーのレシピは、水を足すとかりっと揚がらないと書いています。この記事で、水を足す前に野菜の水分で粉をまとめ、水を最大100mlにとどめているのも、衣の水分を少なくするためです。
小麦粉ではなく、ベサンと米粉を使う
小麦粉は、水を加えて混ぜるとグルテンという弾力のある網目ができます。ベサンはひよこ豆の粉で、米粉は米の粉です。どちらも小麦を含まないので、グルテンはできません。ヘッバールズ・キッチンは、ベサンに米粉を加えるのは、よりかりっとさせるためだとしています。
油の温度を保つ理由
じゃがいもやカリフラワーは、生のままたねに入っています。油の温度が高すぎると、中の野菜と衣に火が通る前に、表面だけが焦げます。インドのニュース局アージ・タクのウェブサイトに載ったカリフラワーのパコーラーのレシピも、強火で揚げると表面だけが早く色づき、中のベサンが生のまま残ると注意しています。反対に温度が低いと、衣がかりっとするまでに時間がかかります。
ニシャー・マドゥリカーは、油をよく熱してから、中火から強めの中火で、1回につき6〜7分揚げるとしています。ヘッバールズ・キッチンは中火で揚げます。この記事では、生の野菜の中まで火を通すため、170℃を目安にして5〜7分揚げています。この記事で1回に6個までにしているのは、冷たいたねをたくさん入れると、油の温度が大きく下がるからです。ヘッバールズ・キッチンの玉ねぎのパコーラーのレシピも、一度にたくさん入れるとかりっとしないと書いています。
料理科学:塩で野菜の水分を引き出す
刻んだ野菜に塩をまぶしてもむと、野菜から水分が出てきます。手順2で、刻んだ野菜に塩をもみ込んで10分おくのはそのためです。キャベツや玉ねぎ、ほうれん草から出た水分が、ベサンをまとめる水の代わりになります。ヘッバールズ・キッチンは塩を入れた野菜をよくにぎって水分を出しますが、おく時間は書いていません。10分は、水分が十分に出るようにと決めた、この記事の目安です。
ただし、粉を混ぜたあとも、野菜からは水分が出続けます。ヘッバールズ・キッチンも、水分の多い野菜を使うと、たねがだんだん水っぽくなって、かりっと揚がりにくくなるので、水分の少ない野菜を勧めています。手順3で、粉を混ぜたら時間をおかずに揚げるのはそのためです。
地域や作り手による違い
パコーラーは、インドの各地で作られ、名前も作り方もさまざまです。
- 地域の名前:ヘッバールズ・キッチンは、玉ねぎのパコーラーを、カンナダ語でイールッリ・バジェ、マラーティー語でカーンダー・バジー、タミル語でヴェンガーヤ・パコーダーと呼ぶと書いています。マハーラーシュトラ州では、パコーラーをパンにはさんだ「カーンダー・パーオ」がよく知られているとしています。
- 衣の厚さ:ヘッバールズ・キッチンは、北インドやパンジャーブの玉ねぎのパコーラーは衣が厚く、少し柔らかく作られるとしています。
- 町の名物:インドのウェブメディア「ザ・ベター・インディア」の記事は、デリーのほうれん草のパコーラー、コルカタのプローリー、チェンナイのヴェンガーヤム・パコーダー(玉ねぎのパコーダー)などを、町ごとの名物として挙げています。パンジャーブの多くの家庭では、雨が降りそうになるだけで、しょうが入りのチャーイとパコーラーを用意する、とも書いています。
- 野菜とスパイス:ヘッバールズ・キッチンのミックス・ベジ・パコーラーは、グリーンピースやスイートコーン、さやいんげんも入れ、ガラム・マサーラーやアムチュール(青いマンゴーの粉)、カレーリーフで香りをつけます。ニシャー・マドゥリカーは、なすやズッキーニ、ラウキー(ゆうがお)、ピーマンなど、好きな野菜に替えてよいとしています。
- カリフラワーだけのパコーラー:アージ・タクのレシピは、カリフラワーを2〜3分下ゆでして水気をよく拭いてから、ベサンと米粉(またはスージー〔粗挽きの小麦粉〕)の衣をからめて揚げます。
- 2度揚げ:シェフのランヴィール・ブラールは、玉ねぎのバジヤー(パコーラー)を半分ほど火が通るまで揚げていったん取り出し、4つに切ってから、もう一度きつね色に揚げています。
- 衣に熱い油を足す:ザ・クイントの記事は、衣に米粉と熱い油を少し加えると、かりっと揚がると書いています。
手に入りにくい材料の代用
- ベサン:ひよこ豆の粉です。代わりになる粉はありません。インド食材店や通販で手に入ります。
- アジョワン:手に入らないときは、香りの似た乾燥タイム0.3g(小さじ1/4)で代用できます。
- 青唐辛子:生の青唐辛子が手に入らないときは、一味唐辛子0.5g(小さじ1/4)を手順3で加えます。
- カシュミーリー・チリパウダー:色が濃く、辛さは穏やかな唐辛子の粉です。パプリカパウダーを同じ量使います。
- チャート・マサーラー:ないときは、塩1g(小さじ1/6)を振り、レモン汁を5ml(小さじ1)搾ります。
保存
- 揚げたてがいちばんおいしい料理です。時間がたつと、中の野菜の水分が衣に移って、かりっとした食感がなくなります。
- たねは作り置きしません。塩の入ったたねは時間とともにゆるくなるので、混ぜたらすぐに揚げます。
- 残ったものは、冷めてから保存容器に入れて冷蔵で翌日まで。オーブントースターで4〜5分、中まで温め直すと、衣がかりっとします。
北インドのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Nisha Madhulika「मिक्स वेज पकौड़ा - Mix Vegetable Pakoda Recipe - Mixed Vegetable Pakora」(ヒンディー語)
- Hebbar's Kitchen「वेज पकोरा रेसिपी | veg pakora in hindi | मिक्स वेज पकोड़ा | मिक्स वेजिटेबल पकोरा」(ヒンディー語)
- Hebbar's Kitchen「अनियन पकोड़ा रेसिपी | onion pakoda in hindi | अनियन पकोरा | ईरुल्ली भज्जी」(ヒンディー語)
- Aaj Tak「Gobhi pakoda: आलू-प्याज के पकौड़े बहुत खा लिए, अब चाय के साथ बनाएं गरमा-गरम गोभी के पकौड़े, बारिश का मजा होगा दोगुना」(ヒンディー語)
- Ranveer Brar「Cripsy Pakoda 3 types करारे पकौड़े का secret Kanda भजिया Palak patta pakora」(英語)
- Wikipedia「पकोड़ा」(ヒンディー語)
- Rekhta Dictionary「पकौड़ी शब्द के अर्थ | pakau.Dii - Hindi meaning | Rekhta Dictionary」(ヒンディー語)
- The Quint「Monsoon Munchies: 5 Uncommon and Delicious Pakora Recipes for the Rains」(英語)
- The Better India「While 'Pakoda' Politics Makes News, Explore the Many Wonders of This Much-Loved Snack」(英語)
- Wikipedia「Pakora」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。