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グンドゥルック・コ・ジョルGundruk ko Jhol レシピ

गुन्द्रुकको झोलグンドゥルックコ・ジョル

地域
ネパール(ネパールの丘陵地帯)
分量
4人分
公開
真鍮の器に入ったグンドゥルック・コ・ジョル。濃い緑のグンドゥルックの汁に、炒った大豆、じゃがいも、トマト、青唐辛子、パクチーが入っている。奥に真鍮の皿のご飯

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グンドゥルック・コ・ジョルは、青菜を発酵させて乾かした保存食「グンドゥルック」を、湯でもどして煮た汁物です。汁はさらりとしていて、レモンも酢も入れないのに、はっきりとした酸味があります。この酸味は、青菜を発酵させたときにできた乳酸のものです。

マスタードオイルで大豆をこんがり炒り、同じ油でフェヌグリーク(ネパール語でメティ)とにんにくの香りを出してから、じゃがいもとトマトと一緒に煮ます。炒った大豆は最後にのせて、歯ざわりを残します。

グンドゥルック・コ・ジョルとは

ネパール語では「गुन्द्रुकको झोल」と書きます。コは「〜の」、ジョルは汁やスープのことで、「グンドゥルックの汁」という意味です。

グンドゥルックの作り方

グンドゥルックは、からし菜(ネパール語でラーヨ)、なたね菜の葉(トリ)、大根の葉(ムラ)、カリフラワーの葉などを発酵させて乾かしたものです。塩は使いません。ネパールの食品技術・品質管理局の上級研究員フマ・ボキムがニュースサイトのハロカバルで説明している作り方は、おおむね次のとおりです。

  1. 青菜をきれいな水で洗い、日なたで1〜2日しおれさせる(熱湯で2〜3分ゆでて冷ます方法もある)
  2. 臼やすりこぎでたたいてつぶす
  3. 素焼きの壺やふたつきの容器に、すき間なくぎっしり詰めてふたをする
  4. 日の当たる場所に2〜3週間おき、強い酸っぱいにおいがしたらできあがり
  5. 取り出して切り、むしろやシートに広げて、すっかり乾くまで干す

かかる日数は、情報源によって違います。オンラインカバルに寄稿した、ホテル・ソルティー・クラウンプラザのスーシェフは、毎朝30℃ほどのぬるま湯を足して10〜12日としています。ネパールの健康情報サイト「サーダナ」で、医師のケダル・カルキは1週間から10日ほどで酸っぱくなるとし、4〜5日たっても酸っぱくならなければぬるま湯を少し足す、長く置くと腐ることもある、と書いています。シッキムの家庭の味を書いたクシ・プラダンの記事では、7〜14日ほど発酵させ、色がくすんだオリーブ色になり、つんと酸っぱいにおいがしたら干します。干したグンドゥルックは、ぎっしり詰めて涼しく乾いた場所で保存する、とプラダンは書いています。

2026年4月には、ネパールの農業・畜産開発省がグンドゥルックの品質の基準と決まりを初めて定め、官報で告示した、とオンラインカバルが伝えています。記事によれば、基準ではグンドゥルックを、ラーヨ、トリ、大根の葉などアブラナ科の青菜をきれいにしてしおれさせ、塩を加えずに乳酸発酵させたもの、としています。乾いたグンドゥルックの水分は12%以下、酸は乳酸として0.8%以上と決めています。

山の食べ物から、町の食べ物へ

グンドゥルックの始まりには、いくつかの説があります。カンティプル紙の別冊「コセリ」で、ガナシャム・カドカは、13世紀ごろシムラウンガドの王ハリシン・デーヴがバクタプルを攻めたとき、逃げる人びとが穀物や青菜を穴に埋め、戻ってみると青菜が酸っぱくなっていた、という言い伝えを紹介しています。ただし、ガナシャム・カドカ自身は、この話を裏づける書かれた記録がないので、そのとおりだとは言えないと書いています。同じ記事で、ダランの中央工科キャンパスで食品技術を教えるダンバル・カドカ教授は、書かれた記録は見つからなかったとしたうえで、少なくとも1000〜1200年前には生まれていたと推測できる、と話しています。作家のアルン・グプトは、グンドゥルックは丘陵の食べ物だとし、南部の平野タライでは食べられていない、とも話しています。

ネパールの新聞ナガリクでアチュトマンシン・プラダンは、グンドゥルックを主に冬に食べる食べ物とし、かつて食べ物に困ったときには、ディロ(雑穀やとうもろこしの粉を練ったもの)とグンドゥルックが空腹を満たした、と書いています。いまは町のホテルやレストランでも出される、とプラダンは書いています。オンラインカバルは、ディロとグンドゥルックが町や幹線道路沿いのホテル・レストランの売れ筋で、海外のネパール料理店でも出されていると伝えています。ナガリクの記事は、チベット、ブータン、シッキム、ダージリンでも食べられていると書いています。

名前の由来について、クシ・プラダンの記事は、研究者タマンの2022年の論文を引いて、ネワール語のグンヌ(乾かしたサトイモの茎)から来たと考えられている、と書いています。この記事ではタマンの論文そのものは確かめておらず、プラダンの記事からの孫引きです。

大豆とじゃがいもを入れる

オンラインカバルの記事は、グンドゥルックの汁を大豆とトマトで作ってご飯と食べる、と紹介しています。ナガリクのプラダンは、汁には先に大豆を炒ってもよく、ひと握りの大豆でグンドゥルックの味ががらりと変わる、と書いています。じゃがいもを入れるときは、じゃがいもに先に火を通してからグンドゥルックを入れる、とも書いています。オンラインカバルの記事で、俳優のボララージ・サプコタは、ディロにはグンドゥルックと大豆の汁が欠かせないと話しています。

このレシピは、クシ・プラダンの記事(アンシュ・チェトリによるネパール語訳)にある、おばのグンドゥルック・コ・ジョルをもとにしています。マスタードオイルで大豆を炒り、フェヌグリークと赤唐辛子を油で炒めて、じゃがいも、ターメリック、クミン、コリアンダー、トマトと煮る作り方です。おばは圧力鍋で煮ますが、この記事では普通の鍋で、ナガリクのプラダンが書いた順にじゃがいもを先に煮ます。にんにくと青唐辛子は、ネパールのレシピサイトのサイト・ネパールや、ネパール料理のブログ「ザ・グンドゥルック」にならって加えました。炒った大豆を最後に加えるのも、この2つのレシピと同じです。

グンドゥルック・コ・ジョルのレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 30分(浸水を含む) 加熱 40分

スパイスの配合 4人分で計4.6g
  • フェヌグリーク1g
  • ターメリック1g
  • クミン1g
  • コリアンダー1g
  • 赤唐辛子0.6g

グンドゥルックをもどす

  • グンドゥルック(青菜を発酵させて乾かしたもの)(楽天)30g
  • ぬるま湯(浸し用)(40℃前後)250ml

炒る・炒める

  • マスタードオイル(Amazon|楽天)27g(30ml)
  • 大豆(乾燥)(ネパール語でバトマース)30g(大さじ2と1/2)
  • フェヌグリークシード(ホール)(ネパール語でメティ)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/4)
  • 赤唐辛子(ホール)(乾燥したもの)(Amazon|楽天)2本(0.6g)
  • にんにく(薄切り)15g(3片)
  • しょうが(みじん切り)5g

煮る

  • じゃがいも(1.5cm角)150g(中1個)
  • ターメリック(パウダー)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/3)
  • 塩9g(小さじ1と1/2)
  • クミン(パウダー)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)
  • コリアンダー(パウダー)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)
  • 水600ml
  • トマト(1cm角)150g(中1個)
  • 青唐辛子(縦に切り目を入れる)1本(5g)

仕上げ

  • パクチー(コリアンダーの葉)(刻む)5g

道具

  • 厚手の鍋(直径20cm前後)
  • 穴あきおたま(大豆を引き上げる。網じゃくしでもよい)

作り方

  1. グンドゥルックをもどす

    グンドゥルック30gをボウルに入れ、ぬるま湯250mlを注いで20分おく。両手で軽く絞ってボウルの上で水気を切り、長いものは2cmに切る。浸し水はそのままおいて、砂やくずを底に沈ませる。

  2. 下ごしらえ

    じゃがいも150gは皮をむいて1.5cm角に切り、水にさらしておく。トマトは1cm角、にんにくは薄切り、しょうがはみじん切りにする。青唐辛子は縦に切り目を入れる。

  3. マスタードオイルを熱する

    換気扇を回し、鍋のそばを離れない。鍋にマスタードオイル27gを入れて強めの中火にかけ、表面がゆらいで薄い煙が立ちはじめるまで2〜3分熱する。煙が見えたらすぐ火を止め、30秒おいて温度を下げる。

  4. 大豆を炒る

    大豆30gを入れて弱めの中火にし、ときどき混ぜながら5〜7分炒る。皮がはじけて全体がこんがりした茶色になったら、1粒を割って、中まで薄く色づいて歯切れよく割れるか確かめる。豆がはねるので、ふたを半分かぶせて顔を近づけない。穴あきおたまで油を切って皿に取り出す。

  5. グンドゥルックを炒める

    同じ鍋の油に、絞ったグンドゥルックを入れ、中火で1〜2分、酸っぱい香りが立つまで炒める。水気が残っているので油がはねる。ボウルに取り出す。

  6. ホールスパイスと香味野菜を炒める

    鍋に残った油を中火で熱し、フェヌグリークシード1gを入れて、濃い茶色になるまで10〜15秒炒める。黒くなる前に赤唐辛子2本を加えて5秒炒め、にんにく15gとしょうが5gを加えて、にんにくが薄いきつね色になるまで1分ほど炒める。

  7. じゃがいもを炒める

    じゃがいもの水気を切って加え、ターメリック1gと塩9gを加えて2分炒める。クミン(パウダー)1gとコリアンダー(パウダー)1gを加え、焦がさないように30秒炒める。

  8. じゃがいもを先に煮る

    水600mlを加えて鍋底をこそげ、煮立てる。ふたをして弱めの中火で10〜12分、じゃがいもに竹串がすっと通るまで煮る。

  9. グンドゥルックとトマトを煮る

    炒めたグンドゥルック、トマト150g、青唐辛子1本を加える。手順1の浸し水を、底の砂やくずが入らないように静かに傾けて、上澄み(約200ml)だけを鍋に注ぐ。ふたをせずに中火で10分煮る。じゃがいもとトマトを数切れ、木べらで鍋肌に押しつけてつぶし、汁に軽くとろみをつける。

  10. 仕上げる

    火を止めて器に盛り、炒った大豆30gとパクチー5gをのせる。大豆は食べる直前にのせて、歯ざわりを残す。

ご飯にかけて食べます。ディロに添えても食べます。

料理科学:塩を使わない乳酸発酵

酸っぱくなるしくみ

グンドゥルックの酸味は、乳酸菌(糖から乳酸を作る細菌)が作る乳酸によるものです。しおれさせた青菜をたたいて、空気が入らないようにぎっしり詰め、暖かい場所におくと、乳酸菌が増えて酸っぱくなります。

微生物学者のブッディマン・タマンとジョティ・プラカシュ・タマンは、グンドゥルックの発酵は、ラクトバチルス・ブレビスとペディオコッカス・ペントサセウスが始め、最後はラクトバチルス・プランタルムが優勢になったと報告しています。ダージリン、カリンポンなど北ベンガルの各地とシッキムで集めたグンドゥルック5点を調べた別の研究では、pH(酸性の強さを示す値。小さいほど酸性)は4.0〜4.8でした。

塩を使わず、干して保存する

キャベツのザワークラウトや白菜のキムチは、塩を加えて漬けます。グンドゥルックは塩を使いません。そのぶん置く日数の見きわめが大切で、サーダナのカルキも、長く置くと腐ることもあると注意しています。

発酵が終わったら、干して水分を抜き、保存がきくようにします。ネパールの基準も、乾いたグンドゥルックの水分を12%以下と決めています。

塩を使わないので、グンドゥルックそのものには塩分がありません。このレシピでは、汁の塩味はすべて手順7で加える塩でつけます。

もどし汁も使う理由

もどしたときには、グンドゥルックの酸味が浸し水にも溶け出します。クシ・プラダンのおばのレシピは、この浸し水も鍋に加えています。手順9で上澄みを使うのは、酸味と香りを汁に戻すためです。底に沈んだ砂やくずは入れません。

料理科学:じゃがいもを先に煮る理由

ナガリクのプラダンは、じゃがいもを入れるときは、じゃがいもに先に火を通してからグンドゥルックを入れるとし、グンドゥルックを最初から入れるとじゃがいもが煮えないと書いています。グンドゥルックとトマトは、どちらも汁を酸っぱくする材料です。手順8でじゃがいもだけを先に竹串が通るまで煮て、手順9でグンドゥルックとトマトを加えるのは、プラダンの書いた順に従ったものです。

大豆は中まで炒る

生の大豆は、そのままでは食べられません。大豆を手順4で中まで色づくまで炒り、1粒割って確かめるのは、中までしっかり火を通すためです。

地域や家庭による違い

  • 圧力鍋で煮る:クシ・プラダンのおばは、材料を炒めたあと、グンドゥルックと大豆を戻して浸し水と一緒に圧力鍋で煮ます。
  • 玉ねぎやマスタードシードを加える:ザ・グンドゥルックのレシピは、フェヌグリークと一緒にマスタードシードをはぜさせ、玉ねぎ、しょうが、にんにくを炒めてから煮ます。仕上げにライムを搾ります。インドのシリグリの記者ディワシュ・ガハトラジがウェブマガジン GOYA に書いたレシピも、玉ねぎを炒めます。
  • 粉でとろみをつける:サイト・ネパールのレシピは、好みで全粒粉を炒めてとろみをつけます。コセリの記事では、栄養学者のアルナ・ウプレティが、そば粉やとうもろこしの粉を使うスープを挙げています。
  • そのまま煮る:サーダナのカルキは、グンドゥルックをそのまま煮るだけでもよく、にんにくや玉ねぎ、パクチーを加えると味がよくなると書いています。
  • 汁物以外の食べ方:もどしたグンドゥルックを、レモン、ティムル(ネパールの山椒)、唐辛子、炒った大豆、パクチー、熱したマスタードオイルであえる食べ方を、ナガリクのプラダンやオンラインカバルの記事が紹介しています。

手に入りにくい材料の代用

  • グンドゥルック:ネパール食材店や通販で「グンドゥルック」「Gundruk」の名前で売られています。手に入らないときは、酸っぱくなるまで漬けた高菜漬けや野沢菜漬け(古漬け)で、酸味のある汁に近づけられます。これはネパールの情報源にはない、この記事の工夫で、味はグンドゥルックとは同じになりません。高菜も野沢菜も、ネパールのラーヨと同じアブラナの仲間です。ただし日本の漬物は塩で漬けていて、塩分は商品によって大きく違うので、塩を減らして味をみながら決めます。古漬け120gを水に15分さらして絞り、2cmに切って手順5で炒めます。手順1は省き、手順9の浸し水の上澄み約200mlの代わりに水200mlを加えます。手順7の塩は控えめに4gにして、手順9のあとで味をみて、足りなければ1gずつ、合わせて4gまで足します。浅漬けは酸味が弱いので向きません。
  • 大豆(乾燥):ネパール語でバトマースといいます。煎り大豆(節分の豆)30gでも作れます。すでに火が通っているので、手順4は1〜2分、香りが立つまで炒めれば十分です。
  • マスタードオイル:菜種油かサラダ油で代用できます。生のマスタードオイルのような辛味はないので、煙が出るまで熱する必要はありません。手順3では中火で2分熱します。
  • フェヌグリークシード:省いても作れますが、ネパールらしい香ばしさとほろ苦さは弱くなります。
  • 青唐辛子:手に入らなければ省き、赤唐辛子を3本にします。

保存

  • 冷蔵:大豆とパクチーを除いて保存容器に入れ、2日。温め直してから、大豆とパクチーをのせます
  • 冷凍:じゃがいもの食感が変わるので向きません
  • 乾いたグンドゥルック:密閉容器に入れて、冷暗所で保存します

ネパールのほかのレシピ

もっと知りたい人へ

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。