マール・アンブル・ティヤルMalu Ambul Thiyal レシピ
මාළු ඇඹුල් තියල්マール・アンブル・ティヤル

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マール・アンブル・ティヤルは、カツオやマグロを、ゴラカーという酸っぱい果実の干した皮と、黒こしょうと塩のペーストで煮詰めた、スリランカ南部の魚のカレーです。この記事では、シンハラ語のレシピにならってココナッツミルクも唐辛子も使いません。汁けがほとんどなくなるまで煮るので、ゴラカーとこしょうの黒っぽいペーストをまとった、魚の塊に仕上がります。
鍋の底にはランペー(パンダンリーフ)とカレーリーフを敷き、その上に魚を1段に並べて、混ぜずに弱火で煮ます。酸味と塩けがしっかりした、ごはんのおかずです。
マール・アンブル・ティヤルとは
シンハラ語でマール・アンブル・ティヤル(මාළු ඇඹුල් තියල්)と書きます。単にアンブル・ティヤルとも呼ばれます。料理名の意味は、この記事で読んだ情報源には説明がありませんでした。シンハラ語でマールは魚、アンブルは「酸っぱい」を意味する言葉で、これはこの記事による語釈です。ティヤルの意味は確かめられませんでした。
酸味のもとのゴラカーは、ガルシニア属の木の実の皮を干したものです。この記事で読んだアンブル・ティヤルのレシピ5件は、どれもゴラカーで酸味をつけています。
南部の保存食
シンハラ語の雑誌「マハメーガ」のサイトは、このレシピを南部州のマール・アンブル・ティヤルの作り方として紹介し、魚を保存する方法でもあると書いています。スリランカの家庭料理ブログ「ハングリー・ランカン」の書き手ロシャニ・ウィクラマシンハも、スリランカの南部で生まれた、魚を保存する伝統的な方法としています。水分が少ないので、傷まずに長くもつ、とも書いています。
マハメーガは、アンブル・ティヤルを、祝いの席やダーナ(僧侶や人々に食事をふるまう布施)の家に欠かせない料理としています。シンハラ語のブログ「サンカルパナ」に転載された、僧侶への布施の食事に出す12品の作り方にも、アンブル・ティヤルが入っています。シンハラ語のサイト「スマートレディ」は、スリランカの人にとても人気のある料理のひとつとしています。
本場の作り方
この記事で読んだシンハラ語のレシピ3件(マハメーガ、スマートレディ、サンカルパナ)は、どれもゴラカーと黒こしょうと塩をペーストにして魚にまとわせて煮ます。3件とも、材料にココナッツと唐辛子は入っていません(スマートレディは、青唐辛子やシナモンを加えると風味が増す、と書き添えています)。マハメーガとスマートレディは土鍋で煮ます。使う魚として、マハメーガとサンカルパナはカツオ(バラ)やキハダマグロ(ケラワッラー)を、スマートレディとサンカルパナはバショウカジキ(タラパット)を挙げています。
ゴラカーの量は、魚1kgに50g(マハメーガ)から100g(サンカルパナ)までと幅があります。マハメーガは、ゴラカーを先にゆでてからつぶすと、ペーストにしやすく種も除きやすいと書いています。鍋の底にランペーやカレーリーフを敷くのはマハメーガとサンカルパナ、カレーリーフをペーストに混ぜるのはスマートレディとサンカルパナです。
この記事の配合は、マハメーガのレシピを土台にしています。ゴラカーは魚500gに25gと、マハメーガと同じ割合にしました。こしょうはスマートレディ(魚500gに小さじ1)とハングリー・ランカン(約680gに大さじ1)の間をとっています。カレーリーフをペーストに混ぜるのはスマートレディとサンカルパナに、シナモンを加えるのはサンカルパナとハングリー・ランカンにならいました。
塩は、本場のレシピより控えめにしています。マハメーガの割合なら魚500gに小さじ1〜1.25(約6〜7.5g)、ハングリー・ランカンの割合でも約6gですが、この記事では4.5gにしました。そのぶん本場の作り方ほどは日もちしないので、冷蔵庫で保存します(下の「保存」を参照)。
マール・アンブル・ティヤルのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 50分(漬け込みを含む) 加熱 40分
- 黒こしょう5g
- シナモン1.5g
魚
- カツオ(さく。キハダマグロでもよい)500g
ゴラカーのペースト
下ゆで用
- 水(ゴラカーをゆでる)300ml
煮る
作り方
ゴラカーをゆでる
ゴラカーをさっと洗い、小鍋に入れて水300mlを注ぐ。中火にかけ、沸騰したら弱火にして10分、指でつぶせるくらい柔らかくなるまでゆでる。ざるに上げてゆで汁を捨て、粗熱をとる。種が残っていたら除く。
ペーストを作る
ミキサーにゆでたゴラカー、黒こしょう5g、塩4.5g、カレーリーフ10枚、水100mlを入れ、こしょうの粒がほぼ見えなくなるまで1〜2分回す。黄土色のどろりとしたペーストになる。
魚を切って漬ける
カツオ500gを水でさっと洗い、キッチンペーパーで水気を拭く。4cm角、厚さ2〜2.5cmに切る。ボウルに入れてペーストを加え、身を崩さないように手でやさしく全体に塗る。ふたをして冷蔵庫で30分おく。
鍋に葉を敷いて魚を並べる
厚手の鍋の底にランペー2枚を敷き、その上にカレーリーフ10枚を散らす。魚を1切れずつ、1段に並べる。ボウルに残ったペーストを魚の上に広げ、シナモン5cmを2〜3つに折ってのせる。ボウルに水50mlを入れてすすぎ、鍋の縁から注ぐ。
ふたをして弱火で煮る
ふたをして弱火にかけ、20分煮る。途中で混ぜない。魚から水分が出て、鍋底に汁がたまってくる。ときどき鍋の取っ手を持って軽くゆすり、底にくっつかないようにする。
火の通りを確かめる
いちばん厚い1切れの横から、中心まで温度計を刺し、63℃以上になっていれば火が通っている。温度計がないときは、いちばん厚い1切れを半分に切り、中心まで白っぽく不透明で、身が層に沿ってほぐれればよい。中心が赤く半透明なら、ふたをしてさらに3分煮て、もう一度確かめる。
ふたを取って煮詰める
ふたを取り、弱めの中火にする。ときどき鍋をゆすり、スプーンで汁を魚にかけながら10〜15分、汁がほとんどなくなって、ペーストが魚にからみつくまで煮詰める。焦げやすいので、鍋底のペーストが色づき始めたら火を止める。シナモンとランペーは食べないので、盛り付けるときに除く。
ごはんに、パリップ(レッドレンズ豆のココナッツミルク煮)や野菜のカレー、ポル・サンボル(ココナッツと唐辛子の和え物)を添えて食べます。
魚を混ぜずに煮る
魚の身は崩れやすい
煮た魚の身は、ほろほろと崩れやすくなります。アンブル・ティヤルは、ふたをしてから汁がなくなるまで、合わせて30分以上煮ます。この記事で身の締まったカツオやマグロを使い、厚さ2〜2.5cmに切るのは、長く煮ても形を保つためです。手順5と7で、混ぜずに鍋をゆするだけにしているのも同じ理由です。ハングリー・ランカンも、魚を重ねずに1段に並べ、どの切り身も鍋底につくようにと書いています。サンカルパナも、魚をへらで混ぜないようにとしています。
水を少ししか入れなくても汁が出る
最初に加える水は、ペーストの100mlとすすぎの50mlだけです。それでも手順5で汁がたまるのは、加熱した魚から水分が出てくるからです。マハメーガも、ふたをして煮ると鍋の中の水分が少しずつ出てきて、汁のようになると書いています。
汁けがなくなるまで煮詰める
味をペーストにして魚にからめる
手順5で出た汁には、ゴラカーの酸味と塩とこしょうが溶け出しています。ふたを取って水分を飛ばすと、それがペーストになって魚の表面に戻り、からみつきます。汁を魚にかけながら煮詰めるのはそのためです。
保存食としてのアンブル・ティヤル
マハメーガとハングリー・ランカンは、アンブル・ティヤルを、魚を保存する方法として紹介しています。ハングリー・ランカンは、水分が少ないので傷まずに長くもつと書いています。スマートレディは、正しく作れば冷蔵庫に入れなくても数日もつと書いています。ただし、この記事は塩を本場より控えているので、作ったら冷蔵庫で保存します(下の「保存」を参照)。
スマートレディは、にんにくを入れるとアンブル・ティヤルを長くもたせられなくなるので、入れるのは必要なときだけにと書いています。ハングリー・ランカンも、生のにんにくを入れると長くもたせにくくなるとしています。この記事でにんにくを入れないのは、この考え方にならったものです。
魚の火の通りを確かめる
アメリカ政府の食品安全の情報サイト「FoodSafety.gov」は、魚は中心が63℃(145°F)になるまで加熱するか、身が半透明でなくなり、フォークで簡単にほぐれるまで加熱する、としています。この記事でも63℃を目安にしています。厚さ2〜2.5cmの身なら、手順5の弱火で20分煮れば、ふつうは中まで火が通ります。鍋の大きさや火加減で変わるので、手順6で必ず確かめます。ゴラカーの酸っぱいペーストに漬けても、それで中まで火が通るわけではありません。
レシピによる違い
- 唐辛子を入れる:ハングリー・ランカンはレッドチリパウダー小さじ1を、ネスレのブランド「マギー」のスリランカのサイトのレシピは大さじ1をペーストに加えます。スマートレディは、青唐辛子を加えてもよいとしています。
- しょうが・にんにく・青唐辛子を入れる:スマートレディはしょうがを、ネスレのマギーのレシピはしょうが、にんにく、青唐辛子をペーストに加えます。
- 油を使う:ハングリー・ランカンは、鍋に薄く油を塗ってから魚を並べます。くっつかないようにするためと、魚を少し焼いた香りをつけるためです。
- 長く漬ける:サンカルパナは、魚にペーストを塗って1時間おいてから煮ます。
ほかの魚のカレーとの違い
- 唐辛子をきかせたスリランカの魚のカレー:シンハラ語のブログ「ムフヌポテ・ムルタンゲ」は、「マール・ミリサタ」(ミリスは唐辛子のこと)という名前で、Facebookのグループに投稿された家庭のレシピへのリンクを、「村の味」「レストラン風」などの題で、マグロやティラピア、ナマズなどの魚ごとにたくさん集めています。
- ケーララの魚のカレー:インドのケーララのフィッシュ・モーリは、軽く焼いた魚をココナッツミルクで煮る、辛さの穏やかな白いカレーです。マラバール・ミーン・カリ(マラバール・フィッシュ・カレー)は、生のココナッツを唐辛子やコリアンダーと挽いたペーストと、タマリンドの酸味で魚を煮ます。どちらも汁けのあるカレーです。アンブル・ティヤルはココナッツを使わず、汁がなくなるまで煮詰めて、ゴラカーの酸味と黒こしょうの香りを魚にまとわせます。
手に入りにくい材料の代用
- ゴラカー:同じガルシニア属の果実の皮を干したコクムで代用できます。同じ25gを、手順1と同じようにゆでて使います。塩をまぶしてあるコクムを使う場合は、ペーストの塩を3gに減らします。コクムも手に入らなければ、タマリンド(種なしのブロック)20gを湯100mlに15分浸してもみほぐし、こして種と筋を除きます。手順1は省き、手順2の水100mlの代わりにこの汁を使います。酸味の質が変わり、甘みのある味になります。
- ランペー(パンダンリーフ):冷凍のものも使えます。手に入らなければ、サンカルパナにならって、鍋底にカレーリーフをもう10枚敷きます。
- カレーリーフ:乾燥のものを同じ枚数使えます。香りは弱くなります。手に入らなければ省きます。代わりになる香りはありません。
- セイロンシナモン:普通のシナモンスティック(カシア)なら3cmにします。カシアは香りが強いためです。
- カツオ:キハダマグロやメバチマグロのさくを、同じ重さ使えます。
保存
- 冷蔵:粗熱をとって保存容器に入れ、3日。温め直すときは、ふたをして弱火で、焦げないように水大さじ1を加えます
- 冷凍:1切れずつラップで包んで1か月。冷蔵庫で解凍してから温め直します
スリランカのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Mahamegha「මාළු ඇඹුල් තියල්」(シンハラ語)
- SmartLady「ලේසියෙන්ම ඇඹුල් තියල් හදන ක්රමේ දන්නවාද?」(シンハラ語)
- thesankalpanah(ブログ)「සාංඝික දානයක් සදහා ව්යාංජන 12ක් හදන විදිය」(シンハラ語)
- Hungry Lankan「Sri Lankan Fish Ambul Thiyal」(英語)
- Maggi Sri Lanka「Fish Ambulthiyal Recipe」(英語)
- Muhunupothe Muluthange(ブログ)「මාළු මිරිසට」(シンハラ語)
- FoodSafety.gov「Cook to a Safe Minimum Internal Temperature」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。