マース・コ・キマMasu ko Kima レシピ
मासुको किमाマースコ・キマ

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マース・コ・キマは、ひき肉をマスタードオイルで炒め、肉から出た水分がなくなるまで炒りつけてから、スパイスとしょうが、にんにくをからめたネパールのひき肉料理です。玉ねぎもトマトも入れません。汁気のない、ぽろぽろとした仕上がりで、ご飯のおかずにします。
レシピは、ネパールのニュースサイト「ラトパティ」がダサイン(秋の祭り)に向けて紹介した、料理人ビマラ・シュレスタの作り方を骨格にしています。フェヌグリーク(ネパール語でメティ)を香らせた油で、ひき肉にターメリックと塩だけを加えて先に炒め、水分がとんでからクミンなどのスパイスを加えて10分ほど炒めます。
マース・コ・キマとは
ネパール語では「मासुको किमा」と書きます。マースは肉、コは「〜の」、キマはひき肉という意味で、直訳すると「肉のひき肉」です。ラトパティの記事は、この名前でレシピを載せています。ネパール語では「キ」を短く読みます。インドの料理名に使われるキーマーという言葉については、キーマー・マタルの記事で紹介しています。
ダサインの山羊の料理として
ラトパティは2016年のダサインに合わせて、山羊の肉を耳から足まで料理するという見出しで、12品の肉料理を紹介しました。セクワ(炭火の串焼き)やチョイラ、内臓の炒めもの、足のスープなどと並んで載っているのが、このマース・コ・キマです。記事はこれらを、その年のダサインに向けたビマラ・シュレスタの料理として紹介しています。
記事によると、シュレスタはカトマンズの五つ星ホテル「ヤク・アンド・イエティ」の中で、ニレシュ・タパが経営するレストラン「ラールダルバール」の料理人です。タナフン郡の村からカトマンズに出てきて、料理は母親から学んだとされています。皿洗いから始めて、首都のカフェや宴会場で経験を積みました。ふだんは地元の家庭で使うスパイスを使い、本人は、料理にスパイスをごく少ししか使わないと話しています。
栄養士のプラティマ・セン・KCは、ニュースサイト「オンラインカバル」で、カシ(去勢した雄の山羊)の肉で作るパックをダサインの特別な料理とし、家庭ではほかにも多くの山羊の料理を作ると書いています。そのうえで、肉は1日80〜100gほどにし、油とスパイスを控えめにして食べるよう勧めています。
この記事の配合
ラトパティのレシピは、山羊のあばら(カラン)の肉1kgを、たたいてひき肉にして使います。流れは次のとおりです。
- 油を熱してフェヌグリークをはじけさせる
- ひき肉、ターメリック、塩を入れ、弱い火で混ぜながら炒める
- 肉から出た水分がすっかりなくなるまで炒る
- 残りのスパイスをすべて加えて10分ほど炒め、パクチーを散らす
この記事では、次のように決めました。
- 分量の単位:ラトパティは分量を、大きさを書かない「チャムチャ(スプーン)」で書いています。この記事では、スプーン1杯を小さじ2(10ml)とみなし、肉を半分の500gにしました。こうすると、スプーンの数がそのまま小さじの数になります。ターメリック小さじ1、クミン小さじ2という量は、ネパールの文化や料理を英語で紹介するサイト「ImNepal」で、ジテンドラ・サハヨギが書いたレシピ(ひき肉500g)と同じです。
- 肉:日本では山羊のひき肉はほとんど手に入らないので、ラムひき肉を使います。
- シナモン、カルダモン、クローブ:ラトパティは、この3つの粉を合わせて使います。この記事では、ホールを家で挽いて使います。
- マスタードオイルの熱し方:ラトパティは、油を熱するとだけ書いていて、煙が立つまでとは書いていません。この記事では、同じサイトのほかのネパールの記事と同じく、薄い煙が立つまで熱してから少し冷まして使います。
- 塩とパクチー:ラトパティは、塩は味をみて加え、パクチーはひとつかみとしています。この記事では、塩4g、パクチー15gにしました。
- ティムルとジンブ:ラトパティのレシピにはないので、使っていません。
マース・コ・キマのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 15分 加熱 45分
- クミン4g
- ターメリック3g
- 赤唐辛子2.5g
- フェヌグリーク2g
- コリアンダー1g
- シナモン0.4g
- グリーンカルダモン0.4g
- クローブ0.2g
作り方
下ごしらえ
にんにく10gとしょうが10gはすりおろす。パクチー15gは刻む。グリーンカルダモン2粒はさやを割って中の種を出し、さやは除く。シナモン1cmは手で小さく割る。カルダモンの種、シナモン、クローブ2個をすり鉢に入れ、細かい粉になるまですりつぶす。
マスタードオイルを熱する
換気扇を回し、鍋のそばを離れない。厚手のフライパンにマスタードオイル18gを入れて強めの中火にかけ、表面がゆらいで薄い煙が立ちはじめるまで1〜2分熱する。煙が見えたらすぐ火を止め、30秒おいて温度を下げる。
フェヌグリークを炒める
中火に戻し、フェヌグリークシード2gを入れて、泡が立って濃い茶色になるまで10〜15秒炒める。黒くなるまで焦がすと苦みが強く出る。
ひき肉にターメリックと塩を加えて炒める
フェヌグリークが黒くなる前に、ラムひき肉500gを加える。ひき肉の水分で油がはねるので、顔と手を離して入れる。ターメリック3gと塩4gを加え、弱めの中火にして、木べらでかたまりをつぶして細かくほぐしながら炒める。
水分がなくなるまで炒る
しばらくすると肉から水分が出て、煮えているような状態になる。弱めの中火のまま、ときどき鍋底から混ぜながら15〜20分(この記事の目安)炒め続ける。鍋底の水分がすっかりなくなり、炒める音が高くなって、肉から出た透明な脂でひき肉がぱらぱらと炒められる状態になればよい。時間より、鍋底に水分が残っていないかで判断する。
スパイスと香味野菜を加えて10分炒める
弱火にし、レッドチリパウダー2.5g、クミン(パウダー)4g、コリアンダー(パウダー)1g、手順1で挽いたスパイス、にんにく10g、しょうが10gを加える。にんにくとしょうがの水分で油がはねるので、顔を離して加える。弱火〜弱めの中火で10分ほど、鍋底からこそげるように混ぜながら、にんにくとしょうがの生のにおいが消え、粉っぽさがなくなって全体がこげ茶色になるまで炒める。粉が鍋底で焦げそうなら火を弱める。
ひき肉の火の通りを確かめる
ひき肉の大きめの粒を2〜3個割り、中まで色が変わって赤い部分が残っていないことを確かめる。料理用温度計があれば、鍋の中央のひき肉に刺して75℃以上あることを確かめ、そのまま混ぜながら1分以上加熱する。足りなければ、混ぜながら2〜3分加熱して、もう一度確かめる。
仕上げる
火を止め、パクチー15gを散らす。シナモンやクローブのかけらは、よけながら食べる。
ラトパティは、主な食事と一緒に食べられる料理としています。ご飯のほか、サハヨギが挙げるように、チウラ(米を平たく押しつぶして乾かしたもの)やロティを添えてもよいです。
料理科学:水分がとんでからスパイスを炒める理由
手順4でひき肉を入れると、しばらくして肉から水分が出てきます。鍋に水分が残っているあいだは、その水分が蒸発するのに熱が使われ、鍋の中の温度は水の沸点の100℃前後にとどまります。
水分がすっかりなくなると、ひき肉は油と肉から出た脂だけで炒められるようになり、温度が100℃を超えて上がっていきます。炒める音が高くなるのはそのしるしです。ラトパティのレシピも、水がすっかりなくなってから残りのスパイスを加えるとしています。手順5で水分がなくなるまで炒ってから、手順6で残りのスパイスを加えるのは、スパイスを水で煮るのではなく、油で炒めるためです。
この料理は玉ねぎもトマトも使わないので、肉の脂とスパイスの香りがそのまま味の中心になります。手順6では、粉のスパイスが鍋底で焦げないように火を弱め、鍋底からこそげるように混ぜ続けます。
料理科学:ひき肉は中まで火を通す
日本の厚生労働省は家庭向けの資料で、ハンバーグを例に、ひき肉に付いている病原体は料理の中心部まで入ってしまうと説明しています。そのため、ひき肉は中までしっかり加熱する必要があります。ラトパティのレシピのように、家で肉をたたいてひき肉にする場合も同じです。
マース・コ・キマは、ほぐしたひき肉を合わせて25〜30分炒めるので、ふつうは中まで火が通ります。ただ、手順4でかたまりが残ると、その中心が生に近いまま残ることがあります。手順4でかたまりをよくつぶし、手順7で大きめの粒を割って確かめます。温度計を使うときは、厚生労働省が食中毒予防の目安としている、中心部75℃で1分以上の加熱を確かめます。
オンラインカバルで、食品研究官のプラティク・ジョシも、ダサインの肉は中までよく火を通し、真ん中に赤やピンクの部分が残らないように気をつけるよう書いています。
家庭や料理人による違い
- 玉ねぎとトマトを使う:ImNepalのサハヨギのレシピは、玉ねぎをきつね色に炒めてからひき肉を加え、トマトと水を足して煮ます。黒こしょうとガラム・マサラも使います。肉は水牛、鶏、マトンなど、好みのひき肉でよいとし、グリーンピースやじゃがいも、マスタードオイルを使ってもよいとしています。
- 同じ記事の、玉ねぎとトマトを使う料理:ラトパティの記事で、骨付きの山羊の肉を玉ねぎと炒め、トマトを加えてふたをして火を通す「レド・マース」は、肉1kgに玉ねぎとトマトを500gずつ使います。同じ料理人のマース・コ・キマが玉ねぎもトマトも使わないのとは対照的です。
- ネワールのカチラ:カトマンズ盆地のネワールの人びとには、カチラというひき肉の料理があります。オンラインカバルは、カチラをカトマンズの特別な料理とし、ネワールの宴会には欠かせないものとして出されると書いています。どの動物の肉でも作れるものの、水牛のカチラがいちばんよく知られているとしています。英語版のウィキペディアによると、カチラは生のひき肉ににんにくや唐辛子、塩などを混ぜ、フェヌグリークを入れた熱い油をかけて作ります。生の肉を食べる料理なので、この記事では扱いません。
- キマ・ヌードルとモモ:オンラインカバルの記者スミトラ・ルイテルは、カトマンズでキマ・ヌードルを出す人気のレストランを紹介しています。ニュースサイト「クリックマンドゥ」は、モモ(ネパールの蒸し餃子)の具を、肉でも野菜でも「キマ」と呼び、家で作る方法を紹介しています。
手に入りにくい材料の代用
- ラムひき肉:ラムの肩肉のかたまりがあれば、包丁で細かくたたいて使います(ラトパティも、肉をたたいてひき肉にしています)。牛ひき肉や鶏ひき肉でも作れます。サハヨギは、水牛や鶏など好みの肉のひき肉でよいとしています。どのひき肉でも、手順7で火の通りを確かめます。
- マスタードオイル:菜種油かサラダ油で代用できます。生のマスタードオイルのような辛味はないので、煙が出るまで熱する必要はありません。手順2では中火で1分熱し、フェヌグリークを1粒入れてすぐに泡が立てば、ちょうどよい温度です。
- フェヌグリークシード:省いて作れますが、香ばしさとほろ苦さは弱くなります。
- シナモン、グリーンカルダモン、クローブ:3つの代わりに、ガラム・マサラ1g(小さじ1/2)を手順6で加えます。サハヨギのレシピもガラム・マサラを使います。
- レッドチリパウダー:一味唐辛子を同じ量使います。日本で「チリパウダー」として売られているものには、オレガノなどを混ぜたミックススパイスもあるので、原材料が唐辛子だけのものを選びます。
保存
- 冷蔵:粗熱を取ってすぐに保存容器に入れ、2日。プラティク・ジョシは、火を通した肉を何日も置いて食べないように書いています。買ってきた生の肉も、できるだけ早く冷蔵庫か冷凍庫に入れ、室温に2時間より長く置かないようにとしています
- 冷凍:1か月。温め直すときは、フライパンに入れて水30mlを足し、混ぜながら中火で中心まで十分に温めます
ネパールのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Ratopati「खसीको कानदेखि खुट्टासम्मः दसैंमा यसरी बनाउनुहोस् मासुका परिकार」(ネパール語)
- ImNepal「Nepali Keema Recipe – How to Make Ground Meat Curry at Home」(英語)
- Onlinekhabar「खसीको मासु : जसले नखाएकै बेस」(ネパール語)
- Onlinekhabar「दसैंमा मासु : छनोट, भण्डार र पकाएर खाँदासम्म के-के कुरामा ध्यान दिने ?」(ネパール語)
- Onlinekhabar「काठमाडौं उपत्यकाका चर्चित परम्परागत खानाहरू」(ネパール語)
- Onlinekhabar「किमा नुडल्सको पारखी हुनुहुन्छ ? यी हुन् काठमाडौंका लोकप्रिय रेस्टुरेन्ट」(ネパール語)
- Clickmandu「स्वादिष्ट र स्वस्थकर मःम बनाउने किमा यसरी घरमै बनाउनुहोस् (भिडियोसहित)」(ネパール語)
- Wikipedia「Kachilaa」(英語)
- 厚生労働省「お肉はしっかり加熱してね!」(日本語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。