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マース・コ・ダールMaas ko Dal レシピ

मासको दालマースコ・ダール

地域
ネパール(ネパール各地)
分量
4人分
公開
打ち出し模様の真鍮の器に盛ったマース・コ・ダール。黒い皮の粒が混じる灰色がかった汁に、ギーで炒めたジンブがのっている。真鍮の皿にご飯と青菜の炒めものを添えている

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マース・コ・ダールは、黒い皮のついたウラド豆を煮た、ネパールの豆の汁です。ご飯にダールをかけて食べる「ダール・バート」の、ダールにあたります。汁はさらりとしていて、黒い皮の色が溶けた、灰色がかった茶色をしています。

豆は圧力鍋で、しょうがとターメリックと一緒に煮ます。煮えたら湯でのばし、最後にギーで炒めたジンブを、ジュッという音とともに流し入れます。ジンブは、ヒマラヤの高地に育つネギの仲間の葉を乾かしたものです。この仕上げを、ネパール語でジャーンヌといいます。

マース・コ・ダールとは

ネパール語では「मासको दाल」と書きます。マースはウラド豆(和名はケツルアズキ)、コは「〜の」という意味です。ダールは、豆、とくに割った豆と、それを煮た汁の両方を指します。皮が黒いので、カーロ・ダール(黒いダール)とも呼ばれます。

ダール・バートの汁

ネパールの食事の基本は、ダール(豆の汁)、バート(炊いたご飯)、タルカーリ(野菜のおかず)の組み合わせです。ネパールのニュースサイト、オンラインカバルのマニシャ・タパの記事は、ダールをネパールのほとんどの台所に欠かせない料理として紹介しています。同じ記事で、ソルティー・ホテルのシェフのブダトキは、ネパールではダール・フライなど20種類を超えるダールの料理が作られている、と話しています。

同じサイトで、農業・畜産開発省の共同次官のラムクリシュナ・シュレスタは、ネパールは数十年前まで豆をほぼ自給していたが、いまは需要に生産が追いつかず輸入に頼っている、と書いています。

豆の種類

ダールにする豆は、家庭や日によって替わります。タパの記事は、ラハル(キマメ)、ムギ(緑豆)、マース(ウラド豆)、ムスロ(レンズ豆)、チャナ(ひよこ豆)などを挙げています。ムスロは赤いので「赤いダール」とも呼ばれます。ラハルは消化がよいので、病気で寝込んだ人にはスープにして出す、と栄養士のウマ・コイララが話しています。

ネパールで育ち、アメリカで料理ブログ「スプーンバン」を書くジーナは、マースの黒いダールを、ときどき赤いレンズ豆のダール(ラート・ダール)に替えて作ると書いています。皮のついたマースは、皮をむいたムスロより煮るのに時間がかかります(後半で説明します)。

ジンブとタカリの人びと

ネパール語のニュースサイトのハロカバルとネパールポストカバルによると、ジンブは海抜3000mを超えるヒマラヤの高地に育ちます。産地として、ハロカバルはムスタン郡のチュサンや上ムスタンを挙げ、ネパールポストカバルはそれに加えて、カルナリ州のドルパ郡、フムラ郡、ムグ郡を挙げています。ネパールの暦でアサールからシュラワン(6月中旬〜8月中旬ごろ)に摘み、乾かしてから売るそうです。おもな使い道はダールのジャーンヌだとしています。

環境ニュースサイトのモンガベイは、ジンブの学名を Allium przewalskianum としています。乾かしたジンブはギーで炒めて、煮ているダールに注ぐのがふつうだと書いています。記事で話すクンチョク・テンジン・ラマによると、山の村では、ジンブはおもに頭痛や痛みに使う薬草だったそうです。マナン地方のプー谷では、標高約4000mの村で、2022年から野生のジンブを畑で育てる取り組みが始まったと伝えています。

ジンブのダールは、タカリ料理と強く結びついています。オンラインカバルの記事によると、タカリは、ムスタン郡の南部のタク・コーラ(タク川の流域)を祖先の地とする人びとで、その名もタク・コーラから来ているとされています。同じ記事は、タカリの定食の一品に、ジンブでジャーンヌした黒いダールを挙げています。カンティプル紙の別冊「コセリ」は、ポカラのタカリの団体の会長テジェンドラ・トゥラチャンの話として、昔のタカリの台所の食事には、ヒマラヤの薬草のジンブがあり、チャウリ(ヤクや、ヤクと牛のかけ合わせ)のギーでジャーンヌしたダールがあったと伝えています。同じ記事には、カトマンズのタカリ料理店の定食の一品として、しょうがと純粋なギーで風味をつけたマースの黒いダールも出てきます。

このレシピは、ジーナの黒いダールの配合をもとにしています。ジーナはしょうがとにんにくのペーストで豆を煮ますが、この記事では、コセリの記事にあるしょうがとギーの組み合わせに合わせて、しょうがだけを使います。仕上げは、ジーナやオンラインカバルのダールのスープと同じく、ギーとジンブだけです。

マース・コ・ダールのレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 35分(浸水を含む) 加熱 45分(圧が下がるのを待つ時間を含む)

スパイスの配合 4人分で計1.1g
  • ターメリック0.8g
  • ジンブ0.3g

豆を煮る

  • ウラド豆(皮付きの挽き割り)(ネパール語でマース。黒い皮のついた割り豆)(Amazon|楽天)150g
  • 水(浸水用)500ml
  • 水600ml
  • しょうが(すりおろし)5g(小さじ1)
  • ターメリック(パウダー)(Amazon|楽天)0.8g(小さじ1/4)
  • ギー(泡よけ)(Amazon|楽天)4.5g(小さじ1)

のばす

  • 熱湯450ml
  • 塩10g(小さじ1と2/3)

ジャーンヌ(仕上げの香りづけ)

  • ギー(Amazon|楽天)13g(大さじ1)
  • ジンブ(ヒマラヤに育つネギの仲間の乾燥した葉)(Amazon|楽天)0.3g(小さじ1)

道具

  • 圧力鍋(容量3L以上。笛のつくタイプでもよい)(Amazon|楽天)
  • 小さなフライパン(ジャーンヌ用。小鍋でもよい)

作り方

  1. 豆を洗って浸水する

    ウラド豆を水を替えながら3〜4回洗い、浮いた皮のかけらやごみを取り除く。水(浸水用)500mlに30分浸し、ざるに上げる。

  2. 圧力鍋で煮る

    圧力鍋に豆、水600ml、しょうが5g、ターメリック0.8g、ギー4.5gを入れる。豆と水が、取扱説明書にある豆を煮るときの上限を超えないようにする。ふたをして強火にかけ、圧力がかかったら(おもりが振れる、またはピンが上がる)弱火にして、高圧で8〜10分加熱する。笛のつく圧力鍋なら、中火で笛が3回鳴るまで(8〜10分)加熱する。

  3. 圧が下がるのを待つ

    火を止め、圧が自然に下がるまで10〜15分おく。おもりを動かしたり、ふたを無理に開けたりして急に圧を抜かない(熱い汁と泡が吹き出す)。

  4. 湯でのばす

    ふたを開け、豆を数粒取り出して指で押す。簡単につぶれなければ、ふたをせずに弱めの中火で5〜10分煮る。全体をよく混ぜ、熱湯450mlと塩10gを加えて中火で煮立て、3〜4分煮て弱火にする。

  5. ジンブをギーで炒める

    小さなフライパンにギー13gを入れて中火で熱する。ギーが溶けて表面がゆらいできたら(煙が出る前)、ジンブ0.3gを入れる。ジュッと泡が立ち、香りが出て葉の色が濃くなるまで、30秒〜1分炒める。葉が黒くなる前に火から下ろす。煙が出たら火を弱め、換気扇を回す。

  6. ダールに流し入れる

    すぐにギーごとダールに流し入れる。ジュッと音を立てて油がはねるので、顔を近づけない。ふたをして1分おいてから混ぜ、火を止める。

ご飯にたっぷりかけて、タルカーリ(野菜のおかず)やアチャール(漬物)を添えて食べます。

料理科学:圧力鍋で豆を煮る時間

100℃より高い温度で煮える

ふたをしない鍋では、湯は100℃前後で沸騰し、それより熱くなりません。圧力鍋は、ふたを密閉して鍋の中の圧力を高めるので、100℃より高い温度で豆を煮られます。そのぶん、豆は早く柔らかくなります。ネパールの食品通販サイト、フードサンサールのブログにあるムスロのダールは、圧力鍋なら笛が3〜4回鳴るまで、普通の鍋なら45〜55分煮るとしています。

皮のある豆は時間がかかる

マースの割り豆には、黒い皮が残っています。皮のある豆は、皮をむいたムスロより煮るのに時間がかかります。ジーナも、ムスロは浸水しないで笛2〜3回、マースは1時間ほど浸水してもよいとして、笛3回で煮ています。このレシピで30分浸水するのは、豆に水を吸わせて、煮えむらを減らすためです。

圧は自然に下げる

火を止めても、圧が下がるまで、鍋の中は高い温度が続きます。この余熱で豆はさらに煮えるので、圧が下がるのを待つ時間も煮る時間の一部です。ジーナも、急いで圧を抜かず、10〜15分おくよう書いています。急に圧を抜くと、熱い汁や豆を煮たときに出る泡が、蒸気の出口から吹き出すことがあります。

オンラインカバルの台所の小技の記事は、ダールを煮るときに、水と一緒にギーをスプーン1杯入れると泡が吹きこぼれないとしています。手順2でギー4.5gを入れるのはそのためです。

塩はあとで入れる

このレシピでは、塩を加圧のあとに入れます。あとから加える湯の量で濃さが変わるので、最後に決めたほうが味を合わせやすいからです。ジーナも塩は最後に加えています。

料理科学:ジンブをギーで手早く炒める理由

ギーは焦げにくい

ギーは、バターを煮て水分を飛ばし、乳の固形分をこした油です。バターをそのまま熱すると、乳の固形分がすぐに焦げますが、ギーは焦がさずに熱い油にできます。ジンブの香りを短い時間で引き出すには、熱い油が必要です。

乾いた葉は香りが出るのも焦げるのも速い

乾燥したジンブは薄い葉なので、熱いギーに入れるとすぐに香りが出ます。そのぶん焦げるのも速く、焦げると苦く、えぐい香りになります。ジーナもオンラインカバルの記事も、炒める時間は1分ほど、または赤みがかるまでと短めです。手順5で、葉の色が濃くなったら、黒くなる前にすぐダールに流し入れるのはそのためです。

最後に加える理由

ジンブの香りは、長く煮ると湯気と一緒に抜けていきます。ジンブを豆と一緒に煮ないで、最後にジャーンヌで加えるのはそのためです。

家庭や地域による違い

  • タライのチャウンカ:タパの記事によると、ネパール南部の平野のタライでは、ジャーンヌのことをチャウンカと呼びます。ヒンディー語ではタルカーです。
  • ジンブの代わりに、にんにくやクミン:タパの記事のダールのスープは、にんにく、ジンブ、クミンのどれかを少量のギーで赤みがかるまで炒めて、煮えたダールに加えます。
  • 玉ねぎとトマトを炒めて加える:フードサンサールのダールは、ギーまたはマスタードオイルでクミンとフェヌグリークをはぜさせ、玉ねぎ、しょうが、にんにく、トマト、乾燥唐辛子を炒めてダールに加えます。オンラインカバルの記事で紹介された俳優ボララージ・サプコタのダールも、ギーでクミンと赤唐辛子をはぜさせ、玉ねぎ、にんにく、トマトを炒めて加えます。サプコタは、ジンブを入れると味がさらに引き締まると話しています。
  • ホテル風のダール・カリー:ネパールの日刊紙ジャナサワールは、ホテルの味として、ムスロとラハルなどの豆を半分ずつ混ぜて煮て、クミン、ヒング(アサフェティダ)、乾燥唐辛子をはぜさせ、玉ねぎとトマトと粉のスパイスを炒めて合わせる作り方を紹介しています。

手に入りにくい材料の代用

  • ウラド豆(皮付きの挽き割り):インド食材店で「ウラド・ダール(皮付き)」「ブラック・ウラド(スプリット)」などの名前で売られています。手に入らなければ、ムスロ(皮なしのレッドレンズ豆)150gで作れます。浸水はせず、普通の鍋でふたを少しずらして、弱めの中火で15〜20分、形が崩れるまで煮ます。笛のつく圧力鍋なら、笛2〜3回です。水の量を同じにすると、このレシピと同じさらりとした汁になります。ジーナのラート・ダールは、豆に対する水がこのレシピの半分ほどで、とろりとした仕上がりです。
  • 圧力鍋がないとき:手順1の浸水を2時間にし、手順2の水を900mlにします。厚手の鍋でふたを少しずらし、ときどき混ぜながら弱めの中火で50〜70分、豆が指で簡単につぶれるまで煮ます。そのあとは手順4から同じです。
  • ジンブ:にんにくの薄切り10g(2片)か、クミン(ホール)2g(小さじ1)で代用できます。手順5で、にんにくなら薄いきつね色になるまで、クミンなら泡が立って香りが出るまで炒めます。ジンブとは別の香りになります。
  • ギー:ジーナは植物油で代用できるとしています。仕上げのギー13gの代わりに、植物油12g(大さじ1)を使います。バターは乳の固形分が焦げやすいので、この仕上げには向きません。

保存

  • 冷蔵:保存容器に入れて2日。冷えるととろみが強くなるので、熱湯100mlを加えて温め直します
  • 冷凍:手順4まで終えた状態で1か月。解凍して温め直してから、手順5から行います

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。