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トゥミス・カンクン・トゥラシTumis Kangkung Terasi レシピ

Tumis Kangkung Terasiトゥミス・カンクン・トゥラシ

地域
東南アジア(インドネシア)
分量
3人分
公開
青い縁のほうろうの皿に山盛りにしたトゥミス・カンクン・トゥラシ。空心菜の茎と葉に、唐辛子とエシャロットの赤いサンバルがからんでいる。奥に竹かごに入ったご飯

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トゥミス・カンクン・トゥラシは、唐辛子とエシャロット、にんにく、焼いたトゥラシ(えびの発酵ペースト)をすりつぶしたサンバルを炒め、空心菜を強い火で手早く炒め合わせる、インドネシアの家庭のおかずです。トゥラシのうま味と香ばしさに、唐辛子の辛さが重なります。

作り方は、インドネシアの女性向けウェブメディア Fimela、経済紙 Kontan の生活情報サイト MomsMoney などに載ったインドネシア語のレシピをもとにしました。ペーストを油がにじむまで炒めてから、空心菜を入れて1分あまりで仕上げます。トゥラシを焼くとき、唐辛子を炒めるとき、強火で空心菜を入れるときの注意もあわせて書きました。

トゥミス・カンクン・トゥラシとは

インドネシア語で Tumis Kangkung Terasi と書きます。トゥミスは「炒める」、カンクンは「空心菜」、トゥラシは「えびなどの発酵ペースト」です。

英語版ウィキペディアは、インドネシアでは空心菜の炒め物をトゥミス・カンクン、またはチャ・カンクンと呼び、トゥラシを使ったチャ・カンクン・トゥラシは海の東南アジア(島々の多い地域)でよく知られた料理だとしています。同じ記事によると、マレーシアではカンクン・ゴレン(ゴレンは「炒める・揚げる」)とも呼ばれ、えびのペーストを使ったものはマレーシアでもシンガポールでもカンクン・ブラチャンと呼ばれます。

トゥミスとチャの違い

インドネシアのウェブメディア Hipwee の記事は、空心菜の料理を3つに分けて説明しています。チャは中国から来た料理で、にんにくやしょうが、醤油、魚醤、オイスターソースで味をつけ、本来の作り方ではごま油を加え、うま味があって辛さは控えめ。トゥミスはインドネシアの料理と東洋風(記事の言葉ではオリエンタル)の料理が混じったもので、にんにく、エシャロット、小さな唐辛子と少しの砂糖で味をつけ、塩けと甘みと、唐辛子の量に応じた辛さがある。プレチンはロンボク島とバリ島の料理で、ゆでた空心菜にトマト、唐辛子、トゥラシのサンバルをのせる、という説明です。同じ記事は、いまはトゥミスにもオイスターソースを加えることが多い、とも書いています。

トゥラシとブラチャン

インドネシア語版ウィキペディアは、トゥラシを、魚かルボン(小さなえび)を発酵させて作る、黒っぽい茶色の調味料で、着色料を加えて赤みを帯びさせることもある、と説明しています。同じ記事によると、トゥラシはマレーシア、シンガポール、ブルネイではブラチャン、タイではカピと呼ばれます。また、マレーシアではブラチャンを焼いて味をよくすることがあるが、焼いたトゥラシはにおいが強くなる、とも書いています。

一方、MomsMoney のトゥミス・カンクン・ブラチャンの記事は、ブラチャンはトゥラシの一種だとしたうえで、トゥラシは塩漬けの魚から、ブラチャンはルボンから作るのが違いだと説明しています。ただし、同じ記事に載るレシピの一つは、えびから作るトゥラシ(トゥラシ・ウダン)を使っています。トゥラシとブラチャンの違いは、説明する人によって分かれます。

トゥラシとチルボンの伝承

トゥラシは、ジャワ島西部の港町チルボンの始まりと結びつけて語られます。インドネシアのウェブサイト GNFI に載った寄稿記事は、チルボンを最初に治めたチャクラブアナ王子がよくルボンをとってトゥラシに加工していた、と書いています。そのうえで、チルボンの国立イスラム宗教大学(IAIN シェク・ヌルジャティ)の講師オパン・サファリの話を、ニュースサイト detik から引いて紹介しています。オパン・サファリによると、チャクラブアナ王子のトゥラシ作りの腕前によって、チルボンはトゥムングン(地方の長官)の治める地に格上げされました。また、中国の鄭和(チェン・ホー)は、国に帰るときにいつもトゥラシを持ち帰った、とも話しています。どちらも、この寄稿記事が紹介するオパン・サファリの説明です。

インドネシアのニュースサイト TIMES Indonesia は、トゥラシの由来に3つの話があると紹介しています。15世紀からチルボンにあり、チャクラブアナ王子が作ったとする歴史の話、チルボンという地名が「水(チャイ)」と「ルボン」から来たとする伝説、そしてパンゲラン・スライマン・スレンドラニンラットの『ババッド・タナ・スンダ(ババッド・チルボン)』に書かれた話です。同じ記事は、この3つとは別に、鄭和がトゥラシを中国に持ち帰ったという話が『プルワカ・チャルバン・ナガリ』という写本に出てくる、と書いています。どの話が正しいかは、ここでは決めません。インドネシア語版ウィキペディアも、スンダ語の名づけでは、チルボンの名は「チ(水)」と「ルボン」を合わせたものだ、とする説明を載せています。

この記事の作り方

この記事で読んだインドネシア語のレシピは、トゥラシを唐辛子やエシャロットと一緒にすりつぶしてペーストにするものと、刻んだ香味野菜と一緒に炒めるものに分かれました。この記事では、ペーストにする作り方(Fimela の2022年と2023年の記事、MomsMoney に載った2つのレシピ、Orami)にならい、トゥラシは Fimela の2022年と2025年の記事のように焼いてから使います。オイスターソースやうま味調味料は入れず、唐辛子とトゥラシの味を中心にしました。トゥラシを焼く時間、ペーストを炒める時間、空心菜を炒める時間は、読んだレシピに数値がなかったので、家庭のコンロを前提にしたこの記事の目安です。においや色、油のにじみ方を見て加減してください。

トゥミス・カンクン・トゥラシのレシピ:材料(3人分)

下ごしらえ 15分 加熱 10分

空心菜

  • 空心菜(インドネシア語・マレー語でカンクン。根元を切る前の重さ)350g

サンバルのペースト

  • 赤唐辛子(生)(細長い赤唐辛子)20g
  • 小さな赤唐辛子(生)(インドネシアのチャベ・ラウィッ)(Amazon|楽天)5本(5g)
  • エシャロット(インドネシアのバワン・メラ(赤い小玉のエシャロット)と同じ仲間)(Amazon)40g
  • にんにく15g(3片)
  • トゥラシ(インドネシアのえびの発酵ペースト。日本では「テラシ」の名前で売られていることが多い。リンクの商品は1袋4gの小分け)(Amazon|楽天)5g(小さじ1)
  • サラダ油26g(大さじ2)

味つけと仕上げ

  • 砂糖3g(小さじ1)
  • 塩2g(小さじ1/3)
  • 水100ml

道具

  • 中華鍋(直径26cm以上の鉄のフライパンでもよい)
  • 鍋に合うふた(炎が上がったときにかぶせる)
  • 小さなフライパン(トゥラシを焼く)
  • ハンドブレンダー(すり鉢でもよい)(Amazon|楽天)
  • サラダスピナー(野菜の水切り器。ざると清潔なふきんでもよい)

作り方

  1. 空心菜を切る

    空心菜350gの根元の硬い部分を2〜3cm切り落とし、6cm長さに切る。茎と葉に分け、指より太い茎は縦半分に割る。

  2. 洗って水けを切る

    茎と葉をそれぞれボウルに入れ、水を替えながら2〜3回洗って、底に沈んだ泥や砂を流す。サラダスピナーで回して水けを切る。ないときは、ざるに上げてから清潔なふきんで包み、軽く押さえて表面の水を取る。水が残っていると、熱い鍋に入れたときに油がはね、鍋の温度も下がる。茎と葉は別々の器に入れておく。

  3. トゥラシを焼く

    換気扇を回す。トゥラシは焼くと強いにおいと煙が出る。トゥラシ5gを小さなフライパンにのせ、へらで厚さ3〜4mmに押し広げる。油をひかずに弱火にかけ、片面1〜2分ずつ(時間はこの記事の目安)、香ばしいにおいが立ち、表面が乾いてぽろぽろとくずれるようになるまで焼いて、火を止める。

  4. ペーストを作る

    赤唐辛子20gはヘタを取ってざく切りにする。小さな赤唐辛子5本はヘタを取る。エシャロット40gとにんにく15gは皮をむいて半分に切る。これらと焼いたトゥラシ、サラダ油26gを背の高い容器に入れ、ハンドブレンダーで粗めのペーストにする。すり鉢を使うときは、油以外の材料をすりつぶしてから油を混ぜる。

  5. ペーストを炒める

    換気扇を強で回す。唐辛子を炒めると、目やのどを刺激する蒸気が出る。コンロのまわりから、ふきん、キッチンペーパー、油の容器など燃えやすいものをどける。冷たいままの中華鍋にペーストを入れてから中火にかける。焦げないように絶えず混ぜながら5〜7分(時間はこの記事の目安)、水分がとび、色が濃くなって、縁に油がにじみ出るまで炒める。砂糖3gと塩2gを加えて混ぜる。

  6. 茎を強火で炒める

    強火にし、ペーストが全体にふつふつと泡立つまで20〜30秒待つ。空心菜の茎を、鍋の手前のふちから向こう側へすべらせるようにして一度に入れる(はねた油が自分に向かわないように)。顔を鍋に近づけない。ガスコンロでは、はねた油が火に触れて、鍋のふちに炎が上がることがある。炎が収まらないときは火を止めてふたをかぶせ、水はかけない。強火のまま、トングかへらで底から大きく返しながら1分炒める(時間はこの記事の目安)。

  7. 葉と水を加えて仕上げる

    空心菜の葉を加えて30秒返す。水100mlを鍋のふちから回し入れる。湯気が勢いよく上がるので、顔を離しておく。さらに30〜60秒(時間はこの記事の目安)、全体を返しながら炒め、葉がしんなりして、茎が鮮やかな緑色で歯ごたえが残るうちに火を止める。鍋に残すと余熱で火が通りすぎるので、汁ごとすぐに皿に移す。

白いご飯に、揚げた魚などほかのおかずと一緒に添えて、炒めたてを食べます。

作り方の要点:トゥラシを焼き、ペーストを油が出るまで炒める理由

トゥラシを焼いて、香ばしさを足す

トゥラシは、魚や小さなえびを発酵させて作るペーストです。油をひかない鍋で焼くと、焼き色がついて香ばしいにおいが立ちます。手順3で薄く押し広げて焼くのは、熱の当たる面を広くして、短い時間で全体を乾かすためです。

焼いて乾いたトゥラシはぽろぽろとくずれるので、手順4でほかの材料と混ざりやすくなります。インドネシア語版ウィキペディアが書くように、焼くとにおいも強くなります。焼くときは換気扇を回してください。

ペーストは冷たい鍋から、油が分かれるまで炒める

生の唐辛子やエシャロット、にんにくをすりつぶしたペーストは水分が多く、熱い油に入れると水が一気に水蒸気になって油がはねます。手順4でペーストに油を混ぜておき、手順5で冷たい鍋から火にかけるのは、油と水分を一緒に少しずつ温めて、はねを抑えるためです。

生のエシャロットやにんにくの刺激の強い香りは、炒めると和らぎます。手順5でしっかり炒めるのは、生の刺激を残さないためです(5〜7分はこの記事の目安)。

炒めているうちに水分がとぶと、ペーストの縁に油がにじみ出てきます。MomsMoney が紹介した、YouTube チャンネルで料理を紹介しているデフィナ・ヘルマワンのレシピも、トゥラシを加えたペーストを、油が出てくるまで炒めています。にじみ出た油が赤くなってきたら、炒め上がりの目安です。

作り方の要点:茎を先に、強火で短く

長く加熱すると緑がくすむ

緑の野菜は、長く加熱すると色がくすんでいきます。手順7で、茎が鮮やかな緑色のうちに火を止め、すぐ皿に移すのはそのためです。マレーシアのニュースサイト FMT に載った料理ブログ「ラサ・マレーシア」のロー・ビー・インのレシピも、炒めすぎると台無しになると注意しています。

茎を先に、太い茎は割る

空心菜は、薄い葉と、中が空洞になった太い茎でできています。薄い葉はすぐにしんなりし、厚い茎は火が通るのに時間がかかります。茎を先に炒め(1分はこの記事の目安)、葉をあとから入れるのは、両方を同じころに炒め上げるためです。マレーシアの料理雑誌『ラサ』のサイトに載ったロハ・アドリナのレシピも、茎を二つに割り、茎を先に、葉をあとから入れています。

鍋の温度を下げない

空心菜は水分の多い野菜です。一度にたくさん入れると鍋の温度が下がりやすく、出てきた水分が蒸発しきれずに、炒めるより蒸し煮に近くなりがちです。手順2で水けを切り、量を空心菜350g(根元を切る前)までにしているのはそのためです。倍の量を作るときは、2回に分けて炒めます。

『ラサ』のサイトに載ったダプール・ラズのレシピも、空心菜を入れたら火を強くしてもよい、と書いています。水100mlを加えるのは、空心菜が鍋に入って油の温度が下がったあとです。煙が出るほど熱い油に、直接水が入らないようにしています。

インドネシアとマレーシアの違い

ここでは、この記事で読んだレシピの範囲で、それぞれの書き手が何を入れているかを紹介します。読んだのはインドネシアのトゥミス・カンクンのレシピ8つとチャ・カンクンのレシピ3つ、マレーシアのレシピ5つだけなので、両国の作り方を言い切るものではありません。

インドネシアのレシピ

  • 水とオイスターソース:Fimela の2025年と2022年の記事、MomsMoney の2つのレシピ、Orami は、空心菜1〜3束に水100mlを加えています。オイスターソースは、Fimela の2025年と2022年の記事、デフィナ・ヘルマワンのレシピ、Orami が大さじ1〜2を使います
  • トマトと砂糖:デフィナ・ヘルマワンのレシピは、トマトをペーストに入れ、さらに刻んだトマトも加えます。砂糖は空心菜250gに大さじ1です。MomsMoney に載った料理サイト「ダプール・ウマミ」のレシピもトマトを加えます
  • ククイナッツ:Orami のレシピは、ペーストにククイナッツ(インドネシアのクミリ)を1粒入れます
  • タウチョで炒める:CNN インドネシアのチャ・カンクンのレシピの一つは、トゥラシではなくタウチョ(大豆の発酵調味料)で味をつけます。英語版ウィキペディアも、西ジャワの中国系インドネシア人の作り方としてタウチョを使うものを挙げています

マレーシアのレシピ

この記事で読んだマレー語のレシピ4つは、どれもカンクン・ゴレン・ブラチャンという名前でした。

  • 干したえびや小魚:『ラサ』のサイトに載ったロハ・アドリナのレシピは、ブラチャンや唐辛子と一緒にイカン・ビリス(干した小魚)をすりつぶします。『ラサ』の動画のレシピは、干しえび大さじ3をペーストに入れます。ロー・ビー・インのレシピも干しえびを加え、干しえびはブラチャンと張り合わず脇で支える役なので、入れすぎないようにと書いています
  • ペーストをカリッとするまで炒める:ロハ・アドリナのレシピは、ペーストを水分がとんでカリッとするまで炒めます。フェイスブックの料理グループ「マサッ・アパ・ハリ・ニ」から『ラサ』が紹介したアズリザ・イッザのレシピも、カリッとさせるが、させすぎないようにと書いています
  • いかやえびを足す:アズリザ・イッザのレシピは、好みでえびかいかを加え、オイスターソースは少しで、入れなくてもよいとしています。ダプール・ラズのレシピは、いか2はいを4〜5分炒めてから空心菜を加えます
  • ナンプラーと乾燥唐辛子:ロー・ビー・インのレシピは、乾燥唐辛子を油と一緒にすりつぶして炒めたペーストを使い、最後にナンプラーで味をつけます

手に入りにくい材料の代用

  • トゥラシ:インドネシア語版ウィキペディアが同じ仲間とする、タイのカピやマレーシアのブラチャンを使えます。量は同じ5gが、この記事の目安です。どれも塩けが強く、塩分は商品によって違うので、量を増やすときは塩を減らします
  • 赤唐辛子(生):インドネシアでは、チャベ・クリティン(細長く、表面がよじれた赤唐辛子)などを使います。手に入らないときは、韓国の粗びき唐辛子5g(小さじ2)をペーストに加えます(量はこの記事の目安)。日本の鷹の爪は辛みが強いので、同じ量では使えません
  • 小さな赤唐辛子(生):タイ料理の「プリッキーヌー」と同じ仲間で、冷凍品を同じ本数使えます。手に入らないときは、一味唐辛子小さじ1/4(0.5g)をペーストに加えます(量はこの記事の目安)
  • エシャロット:赤玉ねぎ40gで代用できます
  • 空心菜:日本では主に夏に出回り、「エンサイ」の名前で売られていることもあります。アズリザ・イッザのレシピは、空心菜の代わりにカイラン(芥藍)やプチュッ・パク(シダの若芽)でも作れるとしています

保存

  • 炒めたてがいちばんおいしい料理です。時間がたつと色がくすみ、水が出ます
  • 残ったときは保存容器に入れて冷蔵で翌日まで(この記事の目安)。冷凍には向きません
  • 手順5まで炒めたペーストは、保存容器に入れて冷蔵で2日(この記事の目安)。使うときは中華鍋で温め直してから、手順6に進みます

東南アジアのほかのレシピ

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。