バルワーン・シムラー・ミルチBharwan Shimla Mirch レシピ
भरवां शिमला मिर्चバルワーン・シムラー・ミルチ

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バルワーン・シムラー・ミルチは、スパイスで炒めたじゃがいもをピーマンに詰めて、ふたをしたフライパンで焼く北インドの家庭のおかずです。焼けたピーマンは皮にしわが寄って柔らかくなり、中のじゃがいもにピーマンの香りが移ります。
インドのシムラー・ミルチは、日本のピーマンよりひと回りもふた回りも大きな野菜です。この記事では、日本のスーパーで買える中くらいのピーマンで作れるように、個数と焼き時間を組み立て直しています。
バルワーン・シムラー・ミルチとは
ヒンディー語では「भरवां शिमला मिर्च」と書きます。バルワーンは「詰め物をした」という意味で、「満たす、詰める」という意味の動詞バルナーから来た言葉です。シムラー・ミルチは、ピーマンやパプリカの仲間の野菜(カプシカム)のヒンディー語の名前です。ミルチは唐辛子のことで、「シムラーの唐辛子」という意味になります。インドのレシピには「バルワー・シムラー・ミルチ」と書くものもあります。
「シムラー・ミルチ」という名前
シムラーは、ヒマーチャル・プラデーシュ州の山あいの町です。英語では Simla とも綴られ、インドの料理研究家タルラー・ダラールのサイトのように「シムラー」を Simla と書くレシピもあります。
ベンガルールの美術館「ミュージアム・オブ・アート・アンド・フォトグラフィー」(MAP)は、展示の解説で名前の由来を次のように説明しています。カプシカムをインドに持ち込んだのはポルトガル人だという見方が、最も広く受け入れられている。イギリスの統治のもとでカプシカムは広まり、英領インドの夏の首都だったシムラーの丘で盛んに育てられた。その斜面を覆う畑から、ヒンディー語の名前がついた。
一方、テランガーナ州の農業大学の学術誌に載った、カプシカムの栽培試験の論文の要旨は、シムラー地方で最初に栽培されたからおそらくこう呼ばれるようになったのだろう、と推測の形で書いています。この要旨はイギリスの統治には触れていません。
ヒンディー語版のウィキペディアは、シムラー・ミルチを南アメリカ原産の野菜と説明していますが、名前の由来には触れていません。今回読んだヒンディー語のレシピにも、名前の由来を説明したものはありませんでした。
パンジャーブ風のサブズィーとして
タルラー・ダラールのサイトは、トマトのグレービー(ソース)で煮る作り方をパンジャーブのごちそうだと紹介し、サイト内の分類でパンジャーブ料理のサブズィーに入れています。インドの料理サイト「ダサナーズ・ヴェジ・レシピズ」も、じゃがいもを詰めて焼く作り方をパンジャーブ風の作り方とし、料理の分類を北インド、パンジャーブとしています。
パンジャービー語の情報源も探しましたが、今回はこの料理のレシピを見つけられませんでした。
この記事の作り方
この記事は、ヒンディー語で料理のレシピを発信しているニシャー・マドゥリカーのサイトのレシピにならっています。4人分で、シムラー・ミルチ5〜6個に、ゆでたじゃがいも300gの具を詰めるものです。具には、クミン、ヒング、ターメリック、コリアンダー、レッドチリパウダー、ガラム・マサーラー、アムチュールを使います。ヒンディー語の新聞パトリカーのサイトにも、同じ材料と分量のレシピが載っています。
ピーマンは丸ごと使い、へたの部分を切り取って具を詰め、切り取った部分をふたとして戻します。焼くときは、フライパンにふたをして、ときどき開けてピーマンを転がし、すべての面に火を通します。オーブンは使いません。
バルワーン・シムラー・ミルチのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 25分 加熱 60分(じゃがいもをゆでる時間と、具を冷ます時間を含む)
- コリアンダー2g
- ターメリック1.5g
- クミン1.3g
- 赤唐辛子0.6g
- アムチュール0.6g
- ガラム・マサーラー0.5g
- ヒング0.3g
下ゆで用
- 水1L
具
- じゃがいも(男爵いもなど)300g(中2個)
- 塩5.5g(小さじ1弱)
パウダースパイス
ピーマンを焼く
- ピーマン(日本の中くらいのもの。インドのシムラー・ミルチなら5〜6個)420g(12個)
- 植物油39g(大さじ3)
道具
- ふたつきの厚手のフライパン(直径28cm前後。ピーマン12個を寝かせて並べられるもの。カラーイー(インドの丸底の鍋)でもよい)
- 小さじ(ピーマンの種を取り、具を詰める)
作り方
じゃがいもをゆでる
じゃがいも300gを皮ごとよく洗い、丸ごと鍋に入れて水1Lを注ぐ。強火にかけ、沸いたら中火にして20〜25分ゆでる。竹串がすっと通ればゆで上がり。ざるに上げて5分おき、湯気を飛ばす。熱いので、ふきんで持って皮をむき、フォークで小さな粒が残る程度に粗くつぶす。
ピーマンの下ごしらえをする
じゃがいもをゆでている間に、ピーマン12個を洗い、キッチンペーパーで外側の水気をよくふく。へたのついた上の部分を1cmほど切り取り、ふたとしてとっておく。小さじで中の種とわたを取り除く。底に穴をあけないようにする。
クミンとヒングを油に入れる
換気扇を回しておく。フライパンに植物油13gを中火で熱し、クミン(ホール)1.25gを入れる。細かい泡が立ち、クミンの色が濃くなって香りが出るまで20〜30秒加熱する。ヒング(パウダー)0.3gを入れて、すぐ次の手順に進む。
パウダースパイスを炒め、じゃがいもを合わせる
弱火にして、ターメリック(パウダー)1.5g、コリアンダー(パウダー)2g、レッドチリパウダー0.6g、ガラム・マサーラー0.5g、アムチュール(パウダー)0.6gを加え、焦がさないように30秒混ぜる。つぶしたじゃがいもと塩5.5gを加え、中火にして2〜3分、全体が黄色くなじむまで炒め混ぜる。バットに広げて10分おき、手で触れるくらいまで冷ます。
ピーマンに具を詰める
冷めた具を12等分する(1個25gほど)。小さじでピーマンに詰め、スプーンの背で押して隙間なく詰める。切り取ったへたの部分をふたとしてのせる。
ふたをして転がしながら焼く
フライパンをペーパーでふき、植物油39gを弱めの中火で熱する。ピーマンを横に寝かせて並べる。ピーマンに残った水気で油がはねるので、顔を近づけない。ふたをして3分焼いたら、ふたを取ってピーマンを転がし、焼けていない面を下にして、またふたをする。3分ごとにこれをくり返し、合わせて10〜12分焼く。皮にしわが寄り、ところどころに焼き色がついて、竹串が果肉にすっと通ればよい。
盛りつける
油を切りながら器に盛り、熱いうちに出す。
パラーター(ギーや油を塗って重ね焼きにした全粒粉のパン)、ナーン、チャパーティー(全粒粉の薄焼きパン)を添えて食べます。
具とピーマンの火の入れ方
粉のスパイスは弱火で短く炒める
ニシャー・マドゥリカーのレシピは、クミンとヒングを入れた油で粉のスパイスを30秒炒めてから、じゃがいもを合わせます。粉のスパイスは焦げやすいので、手順4では弱火にしてから粉を入れ、30秒で次に進みます。
ふたをして、転がしながら焼く
ニシャー・マドゥリカーのレシピは、ふたをして2〜3分ごとにピーマンを返し、すべての面に火を通します。ふたをすると、ピーマンから出た水分が湯気になってこもり、油に触れていない面にも火が入ります。焼き色がつくのは、油に触れている下の面です。
手順6でピーマンを3分ごとに転がすのは、焼き色のつく面を順に変えて、全体にところどころ焼き色をつけるためです。じゃがいもの具はすでに火が通っているので、ピーマンが柔らかくなれば焼き上がりです。
日本のピーマンで作るとき
大きさの違い
パトリカーのサイトに載ったパニール(インドの生チーズ)を詰める作り方では、シムラー・ミルチ4個を400gとしています。1個100gほどの計算です。日本のスーパーで売られている中くらいのピーマンは、1個30〜40gほどです。重さで比べると、シムラー・ミルチ1個がピーマン約3個にあたります。
ニシャー・マドゥリカーのレシピのシムラー・ミルチ5〜6個は、この計算で500〜600gほどになります。ただし、小さなピーマンは重さのわりに中に入る具が少なくなります。この記事では、じゃがいも300gの具を詰めきれるように、ピーマンを12個(420g)にしています。1個に詰める具は25gほどです。
焼き時間
日本のピーマンは小さく、果肉も薄いので、インドのシムラー・ミルチより早く火が通ります。インドの料理サイト「ヘッバールズ・キッチン」も、小さく新鮮なピーマンを使うと早く火が通るとしています。
焼き時間は、情報源によって大きく違います。ニシャー・マドゥリカーのレシピは、ふたをして2〜3分ごとに返し、合わせて5〜8分ほどで柔らかくしています。火加減は書かれていません。ダサナーズ・ヴェジ・レシピズは、中くらいから大きめのシムラー・ミルチをふたをして弱火で焼き、焼き上がりまでに25分ほどかかったとしています。この記事では、12個を弱めの中火で3分ごとに転がし、合わせて10〜12分を目安にしています。火加減やピーマンの大きさで変わるので、竹串が果肉にすっと通るかで確かめてください。
パプリカやジャンボピーマンで作る
インドのシムラー・ミルチに近い大きさで作りたいときは、この記事では、パプリカやジャンボピーマン(1個150g前後)を4個使うことにしています。具は4等分して1個70gほど詰めます。手順6は弱火にして、ふたをして5〜6分ごとに転がし、竹串が果肉にすっと通るまで20〜25分焼きます。この焼き方と時間は、ダサナーズ・ヴェジ・レシピズの弱火で25分ほどという焼き方に合わせたものです。ダサナーズ・ヴェジ・レシピズは、大きなものはオーブンで焼かないと火の通りがむらになりやすいとしています。
作り方の違い
オーブンで焼く作り方
ダサナーズ・ヴェジ・レシピズのレシピは、具に玉ねぎと青唐辛子、パクチー(コリアンダーの葉)も加えます。焼き方は、フライパンのほかに、200℃のオーブンで20〜30分焼く方法も載せています。
ヘッバールズ・キッチンの英語のレシピは、具にじゃがいもとパニールを使い、玉ねぎとしょうが、にんにくのペーストで炒めます。弱火でふたをして30分焼くか、180℃のオーブンで40分焼き、最後にチーズをのせて溶かします(チーズは入れなくてもよいとしています)。ヘッバールズ・キッチンは、詰め物をしたピーマンはもともとチーズをのせて出すスペイン料理だとし、このレシピはそれにインドのスパイスを合わせたフュージョン(組み合わせ)の作り方だとしています。
パニールを詰める作り方
パトリカーのサイトには、じゃがいもの代わりに、パニールとグリーンピースを詰める作り方も載っています。焼くときは、油にターメリックと塩を加えてから、ピーマンを並べます。
グレービーと合わせる作り方
タルラー・ダラールのレシピは、シムラー・ミルチを縦半分に切って具を詰め、ベサン(ひよこ豆の粉)の衣を塗って焼いてから、トマトとカシューナッツのグレービーで煮ます。料理家クナール・カプールのサイトも、じゃがいもとパニール、とうもろこしを詰めたピーマンを平らな鉄板(タワー)で焼き、玉ねぎとトマトのマサーラー(スパイスの効いたソース)の上に盛るレシピを載せています。
手に入りにくい材料の代用
- ヒング:セリ科の植物の樹脂を粉にしたもので、にんにくに似た強い香りがあります。省いても作れます。
- アムチュール:ダサナーズ・ヴェジ・レシピズは、アムチュール小さじ1/2をレモン汁小さじ1/4で代えてもよいとしています。この記事では同じ割合で、レモン汁0.6ml(小さじ1/8)を使います。手順4でじゃがいもを炒め終えたら火を止めて加え、混ぜてからバットに広げます。
- レッドチリパウダー:インドの唐辛子だけの粉です。一味唐辛子を同じ量使います。
保存
- 冷蔵:保存容器に入れて2日。ふたをしたフライパンで温め直します
- 冷凍:じゃがいもの食感が変わり、ピーマンも水っぽくなるので向きません
北インドのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Nisha Madhulika「Stuffed ShimlaMirch भरवां शिमला मिर्च」(ヒンディー語)
- Nisha Madhulika「Stuffed Shimla Mirch - Stuffed Capsicum Recipe, Bharawan Capsicum」(英語)
- Patrika「आलू के साथ बनाएं भरवां शिमला मिर्च」(ヒンディー語)
- Patrika「सर्दी में लें पनीर भरवां शिमला मिर्च का आनंद」(ヒンディー語)
- Wikipedia「शिमला मिर्च」(ヒンディー語)
- Tarla Dalal「Bharvan Simla Mirch」(英語)
- Dassana's Veg Recipes「Stuffed Capsicum | Bharwa Shimla Mirch」(英語)
- Hebbar's Kitchen「stuffed capsicum recipe | bharwa shimla mirch | bharleli shimla mirch」(英語)
- Chef Kunal Kapur「Bharwa Capsicum Masala | Shimlamirch Masala」(英語)
- Museum of Art & Photography (MAP)「Capsicums: the edible globetrotters」(英語)
- The Journal of Research「Effect of Different Drip Irrigation Level on Yield Attributes of Coloured Capsicum Hybirds (Capsicum annuum var. grossum L.) Under Shade net」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。