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ボーティー・カバーブBoti Kabab レシピ

بوٹی کبابボーティー・カバーブ

地域
パキスタン(パキスタン、北インド)
分量
4人分
公開
金属の皿に盛ったボーティー・カバーブ。焦げ目のついた角切りの肉が金串に刺さり、薄切りの紫玉ねぎと搾ったレモンが添えてある。奥に緑のチャトニー

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ボーティー・カバーブは、一口大に切った羊肉をスパイスに漬けて、串に刺して焼く料理です。今回読んだパキスタンのウルドゥー語のレシピの多くは、すりおろした青いパパイヤを肉にもみ込んで下味をつけます。青いパパイヤに含まれる酵素が、肉を柔らかくします。

家庭では、炭火の代わりにオーブンの最高温度で短く焼きます。パパイヤの酵素は働きが強いので、漬ける時間は合わせて3時間までにします。焼き上がりは、色ではなく肉の中心温度で確かめます。

ボーティー・カバーブとは

ウルドゥー語では「ボーティー・カバーブ」(بوٹی کباب)と書きます。ウルドゥー語・ヒンディー語の辞書レフター・ディクショナリーによると、ボーティーは小さく切った肉、肉のかたまりのことです。同じ辞書には、羽の生えていないひな鳥という意味も載っています。パキスタンで鶏肉をクリームに漬けて焼く「マラーイー・ボーティー」のボーティーも、同じ言葉です。

パキスタンと北インドの串焼き

パキスタンのウルドゥー語のポータルサイト UrduPoint には、ボーティー・カバーブの名前のレシピがいくつか載っています。山羊か羊の肉と指定するものもあれば、肉の種類を書かず、羊肉と牛肉の両方の分類に入れているものもあります。インドでは、ヒンディー語のニュース局アージ・タクのサイトが、マトン(この記事では山羊の肉)を買うときの部位の選び方として、脂の少ない柔らかいもも肉(ラーン)が骨なしの肉に使われ、ゴール・ボーティー(丸いボーティー)やカバーブになると紹介しています。肩の肉はグリルには向かない、とも書いています。

北インドのラクナウの地域の話題を扱うヒンディー語のサイト Prarang(プラーラング)は、ラクナウを中心とするアワド地方の料理の記事で、アワドのカバーブの種類としてボーティー・カバーブの名前を挙げています。同じ記事は、肉を柔らかくする材料としてパパインを加えて肉に火を通す「ガラーワト」という技法も紹介しています。パパインは、青いパパイヤに含まれる、たんぱく質を分解する酵素です。

カバーブの由来をめぐる話

ボーティー・カバーブそのものが、いつ、どこで生まれたのかを書いた情報源は、今回は見つかりませんでした。カバーブ全般については、インドのヒンディー語のニュース局 GNT(グッド・ニューズ・トゥデイ)のサイトが、いくつかの説を紹介しています。

この記事によると、カバーブはペルシア語で「揚げる」「焼く」を意味する言葉から来たとされ、ペルシアで生まれたと一般に考えられています。モロッコの旅行家イブン・バットゥータは、インドの王家の食事にカバーブがあったことを書き残しているとされ、ムガル帝国より前からインドの台所にあったと記事は書いています。アフガン人の侵入とともにインドに入り、ムガル帝国の時代にスパイスやドライフルーツで柔らかく、汁気の多いものに洗練された、とする説も紹介しています。同じ記事の中で、料理人のマルト・シッカは、インドはもともと菜食の伝統が強く、カバーブの発祥の地ではないと話し、インドで最も古い肉料理として、カバーブに近い「スーラ」を挙げています。

この記事の配合

UrduPoint の3つのレシピと、パキスタンの新聞ジャングのウルドゥー語の料理記事を土台にしました。UrduPoint の「マトン・アフガーニー・ボーティー・カバーブ」と「チャトカーレーダール・シーク・ボーティー・カバーブ」、ジャングの「フライ・マサーラー・ボーティー」は、肉1kgに、すりおろしたパパイヤを25g、または大さじ2加えています。UrduPoint の2つは、熟していない青いパパイヤと指定しています。この記事では、肉600gに大さじ1(15g)にしました。

漬け方は、UrduPoint の「チャトカーレーダール・シーク・ボーティー・カバーブ」にならって2段階にします。先にパパイヤとしょうがと塩を肉にもみ込み、そのあとでほかのスパイスを加えるレシピです。パキスタンのテレビ局 Masala TV のサイト(英語)にも、先にパパイヤと塩、次にヨーグルトとスパイスに漬けるレシピがあります。

ヨーグルトとレッドチリパウダーとレモン汁は、UrduPoint の「ボーティー・カバーブ」と、Masala TV の料理家ズバイダ・ターリクのレシピの両方にあります。ローストしたクミンはズバイダ・ターリクのレシピから、ガラム・マサーラーは UrduPoint の「ボーティー・カバーブ」と「マトン・アフガーニー」から、黒こしょうは「マトン・アフガーニー」から加えました。オーブンで焼くので、ヨーグルトは水切りした濃いものを使います。

ボーティー・カバーブのレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 3時間20分(漬け込みを含む) 加熱 30分

スパイスの配合 4人分で計7.2g
  • 赤唐辛子4g
  • 黒こしょう1.2g
  • クミン1g
  • ガラム・マサーラー1g

下味(1回目)

  • ラムもも肉(骨なしのかたまり)(Amazon|楽天)600g
  • 青パパイヤ(すりおろし)(熟していない緑色のパパイヤ)(Amazon|楽天)15g(大さじ1)
  • しょうが(すりおろし)10g(小さじ2)
  • にんにく(すりおろし)10g(小さじ2)
  • 塩4.5g(小さじ3/4)
  • レモン汁15ml(大さじ1)

下味(2回目)

  • ギリシャヨーグルト(水切りした濃いヨーグルト)60g
  • レッドチリパウダー(唐辛子だけの粉)(Amazon|楽天)4g(小さじ1と1/2)
  • クミンパウダー(ロースト)(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)
  • ガラム・マサーラー(Amazon|楽天)1g(小さじ1/2)
  • 黒こしょう(粉)(Amazon|楽天)1.2g(小さじ1/2)
  • サラダ油13g(大さじ1)

焼く

添える

  • 紫玉ねぎ(薄い輪切り)1/2個(100g)
  • レモン(くし形に切る)1/2個

道具

  • おろし金(青パパイヤ、しょうが、にんにくをすりおろす)
  • 金串(長さ20〜25cmを6〜8本。竹串なら水に浸してから使う)(Amazon|楽天)
  • 網つきの天板
  • アルミホイル(天板に敷く)
  • 刷毛
  • 料理用温度計(肉に刺して中心の温度を測るもの)(Amazon|楽天)

作り方

  1. 羊肉を切る

    ラムもも肉600gの表面の厚い脂と筋を除き、2.5cm角に切る。キッチンペーパーで水気をふいて、ボウルに入れる。生の肉をさわった手と包丁、まな板は、すぐに洗剤で洗う。

  2. 青パパイヤをすりおろす

    青パパイヤの皮をむき、種と種のまわりのわたを除く。白い果肉をおろし金ですりおろし、汁ごと15gを量る。しょうが10gとにんにく10gもすりおろす。

  3. 1回目の下味をつける

    羊肉に、青パパイヤ15g、しょうが10g、にんにく10g、塩4.5g、レモン汁15mlを加え、手でよくもみ込む。ふたをして冷蔵庫で1時間おく。

  4. 2回目の下味をつける

    別のボウルにギリシャヨーグルト60g、レッドチリパウダー4g、クミンパウダー1g、ガラム・マサーラー1g、黒こしょう1.2g、サラダ油13gを混ぜる。1の羊肉をボウルにたまった汁ごと加えてよくからめ、ふたをして冷蔵庫で1〜2時間おく。1回目と合わせて3時間を超えないようにし、一晩はおかない。

  5. オーブンを予熱して串に刺す

    換気扇を回し、オーブンを最高温度(250℃前後)で15分以上予熱する。天板にアルミホイルを敷いて網をのせる。羊肉を金串に、1切れずつ5mmほど間をあけて刺し、網に並べる。ギー13gを小さな器に入れて溶かしておく。

  6. 焼いて、返してギーを塗る

    上段で6分焼く。天板は熱いので、厚手のミトンで取り出す。串を返し、溶かしたギーの半量を刷毛で塗って、さらに5分焼く。

  7. もう一度ギーを塗って焼き上げる

    残りのギーを塗り、2〜4分、ところどころに濃い焼き色がつくまで焼く。脂が焦げて煙が出やすいので、換気扇は回したままにする。いちばん大きい1切れの中心に、横から温度計を刺す(先が金串に当たらないようにする)。63℃以上(より安全側にするなら75℃以上)になっていれば取り出す。足りなければ2分ずつ焼いて、測り直す。温度計がないときは、いちばん大きい1切れを中心で切り、中まで熱くなっていて、押したときに出る肉汁に赤みがないことを確かめる。

  8. 休ませて盛る

    串のまま3分おいてから、串から外して器に盛る。紫玉ねぎ1/2個(100g)を薄い輪切りにし、レモン1/2個をくし形に切って添える。

焼きたてにレモンを搾り、ミントやパクチー(コリアンダーの葉)と青唐辛子で作るグリーン・チャトニーを添えて食べます。

料理科学:青いパパイヤで肉が柔らかくなる仕組み

パパインが肉のたんぱく質を切る

青いパパイヤの果肉や汁には、たんぱく質を分解する酵素パパインが含まれています。オーストラリアの食肉業界団体 MLA(ミート&ライブストック・オーストラリア)がまとめた、肉を柔らかくする酵素の研究報告によると、パパインは筋肉の繊維をつくるたんぱく質も、筋肉を束ねる結合組織のコラーゲンも分解します。肉の硬さには、主にこの2つが関わります。

羊のもも肉は、ロースに比べると歯ごたえのある部位です。ボーティー・カバーブは、長く煮込まずに高温で短く焼く料理です。パパインで先にたんぱく質を分解しておくと、短い加熱でも柔らかく感じられます。

いちばん働くのは、焼いている途中

酵素の働きは温度で大きく変わります。MLA の報告では、調べた温度の範囲(最高75℃)で、パパインは温度が高いほど強く働きました。測定のしかたによって、75℃で最も強くなったものも、調べた中では55℃がいちばん強かったものもあります。ある測定のしかたでは、5℃では働きを検出できなかったとしています。また報告は、パパインを含む植物由来のたんぱく質分解酵素が完全に働かなくなるには、80℃を超える高温が必要だとしています。

このことから、冷蔵庫で漬けている間の働きはゆっくりで、焼いて肉が温まっていく途中で強く働くと考えられます。オーブンを最高温度にして短く焼くのは、焼き色をつけるためだけでなく、酵素が集まっている表面近くの温度を早く上げて、酵素が強く働く時間を短くするためでもあります(MLA の数値をもとにした、この記事の考え方です)。低い温度でゆっくり焼くと、その間も酵素が働き続けます。

漬けすぎない

青いパパイヤに長く漬けすぎると、肉の表面が柔らかくなりすぎて、崩れた食感になることがあります。今回読んだパキスタンとインドのレシピのうち、漬け時間を書いているものは、短いもので1時間、長いもので4〜5時間でした。この記事では、パパイヤを肉にもみ込んでから焼くまでを合わせて3時間までにし、一晩はおきません。パパイヤを増やしたり、室温で漬けたりすると、酵素の働きはさらに早く進みます。

レモン汁とヨーグルト

この記事でレモン汁を使うのは風味のためです。ヨーグルトは、スパイスを肉の表面にとどめる衣になります。肉を柔らかくする役目は、この記事ではパパインに任せています。

高温で短く焼き、中心温度で確かめる

63℃で取り出し、3分休ませる

アメリカ農務省(USDA)の食品安全検査局は、牛・豚・子牛・ラム(羊)のステーキ、チョップ、ローストの安全な最低の中心温度を63℃(145°F)とし、そのあと少なくとも3分休ませるとしています。ひき肉は71℃(160°F)です。

ボーティー・カバーブは、かたまりの肉を一口大に切ったものです。この記事では、ひき肉ではなくかたまり肉の基準に合わせて、中心が63℃以上になったところで取り出し、串のまま3分休ませます。ただし、USDA の表は、パパインで表面が崩れるほど柔らかくなった肉や、串に刺した小さな角切りについては分けて書いていません。不安なときや、より安全側にしたいときは、中心75℃を目安にしてください。

切り分けた肉は小さく、熱がすぐに中まで伝わります。焼き色がついた頃には中心の温度も上がっていることが多いので、まず一度測り、足りないときだけ2分ずつ焼き足します。

焼きすぎると縮んで固くなる

2.5cm角の小さな肉は、焼きすぎるとすぐに縮んでぱさつきます。パパインで柔らかくしても、焼きすぎた肉は固くなるので、温度計で測ってから取り出します。

測るときは、いちばん大きい1切れを選び、温度計を横から刺して、先を肉の中心に置きます。金串は熱くなっているので、温度計の先が串に触れると、肉より高い温度が出ます。数字が止まるまで待ってから読みます。

地域による違い

鍋で火を通してから焼く

炭火やオーブンで焼かずに、鍋で火を通すレシピもあります。UrduPoint の「ボーティー・カバーブ」は、漬けた肉を中華鍋に似た鍋カラーヒーで油と炒め、最後に赤く熾した炭を入れて、煙で香りをつけます。ジャングの料理記事の「フライ・マサーラー・ボーティー」も、炒めた玉ねぎと一緒に鍋で火を通し、炭の煙で仕上げます。

インドの料理家サンジーヴ・カプールの「カッター・ボーティー・カバーブ」は、青いパパイヤのペーストに加えて、青いマンゴーのピュレとアムチュール(青いマンゴーの粉)で酸味をつけたボーティーです。漬けた肉を圧力鍋で半分ほど火を通してから、グリルパンでバターを塗りながら焼きます。

アフガーニー・ボーティー

UrduPoint の「マトン・アフガーニー・ボーティー・カバーブ」は、ヨーグルトもレッドチリパウダーも使わず、たっぷりの黒こしょうとレモン汁、しょうが、にんにくで漬けます。小さく切った脂(チャルビー)を、肉2切れごとに1切れずつ串に刺して、炭火で焼きます。

魚焼きグリルで焼く

オーブンがないときは、魚焼きグリルでも焼けます。換気扇を回し、網にアルミホイルを敷いて、羊肉を並べます。金串が庫内に入らないときは、串に刺さずに並べます。

下の時間は、情報源にない、この記事の目安です。グリルの火力は機種によって違うので、時間ではなく中心温度で焼き上がりを決めます。

  • 両面焼きのグリル:中火で7〜9分焼きます。途中で一度、溶かしたギーを塗ります
  • 片面焼きのグリル:中火で5〜6分焼き、返してギーを塗り、さらに4〜5分焼きます

熱源が近いので、オーブンより焦げやすくなります。ギーが熱源にたれると煙が出るので、塗るのは刷毛で薄くします。焼き上がりは、オーブンと同じように、いちばん大きい1切れの中心が63℃以上(より安全側にするなら75℃以上)になっていることを確かめ、3分休ませます。

手に入りにくい材料の代用

  • 青パパイヤ:熟していない緑色のパパイヤです。冷凍の青パパイヤを使うときは、半解凍の状態ですりおろします。今回読んだレシピの多くは、熟していないパパイヤを指定しています。熟した黄色いパパイヤは、この記事では代わりに使いません。手に入らなければ省いて作れますが、肉は歯ごたえのある焼き上がりになります。そのときは、ラムもも肉の代わりに、より柔らかいラムロースを使います。
  • ラムもも肉:マトン(成長した羊の肉)や山羊の肉でも作れます。Masala TV のズバイダ・ターリクのレシピのように、牛もも肉でも作れます。どの肉も、この記事ではラムもも肉と同じ中心温度で取り出し、3分休ませます。
  • ギリシャヨーグルト:プレーンヨーグルト120gを、キッチンペーパーを敷いたざるにのせて冷蔵庫で2〜3時間水切りすると、約60gの濃いヨーグルトになります。
  • レッドチリパウダー:一味唐辛子を同じ量使います。辛さを抑えたいときは、カシュミーリー・チリパウダーに替えます。
  • クミンパウダー(ロースト):ふつうのクミンパウダー1gを、油をひかないフライパンの弱火で、香りが立つまで30秒〜1分から炒りします。
  • ギー:食塩不使用バターを溶かして使います。

保存

  • 漬けた生の肉は、漬けすぎを防ぐため、その日のうちに焼きます
  • 冷蔵:焼いたものを串から外して保存容器に入れ、2日。温め直すときは、アルミホイルをかぶせて180℃のオーブンで6〜8分、中まで熱くなるまで温めます
  • 冷凍:焼いたものを1切れずつラップで包み、1か月。冷蔵庫で解凍してから、冷蔵と同じように温め直します

パキスタンのほかのレシピ

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。