チキン・カラーヒーChicken Karahi レシピ
چکن کڑاہیチキン・カラーヒー

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チキン・カラーヒーは、骨付きの鶏肉を、たっぷりのトマトと一緒にカラーヒー(両手の鍋)で炒め煮にする、パキスタンの料理です。汁はほとんど残しません。トマトが煮詰まって鶏肉にからみ、表面にギーがにじんだところで仕上げます。
主役はトマトです。鶏肉とほぼ同じ重さのトマトを丸ごと蒸し煮にしてから、鍋の中で皮を取り除き、つぶして煮詰めたものが、そのままソースになります。この記事の作り方では玉ねぎを使わず、トマトに青唐辛子、しょうが、黒こしょう、クミンを合わせて味をつけます。
チキン・カラーヒーとは
ウルドゥー語では「チキン・カラーヒー」(چکن کڑاہی)と書きます。カラーヒーは、中華鍋に似て側面が急な、両手のついた鍋の名前です。英語版ウィキペディアによると、この鍋の名前はプラークリット語のカターハから来た言葉です。料理は鍋の名前で呼ばれ、英語では karahi、kadai、kadahi などとつづられます。
レシピ投稿サイト、クックパッドに投稿されたウルドゥー語のレシピでは、この料理名がそのまま使われています。この記事で読んだ7件は、すべて名前に「チキン・カラーヒー」が入っていました。うち4件はその名前だけで、ほかの3件は「ペシャーワリー(ペシャーワル風)」や「ミール・アフザルの有名な」などの言葉が付いています。7件のうちの1件で、クシャーブのシーネー・ハーンは、カラーヒーの料理はマトン、牛肉、ラム、鶏肉など、どの肉でも作れると書いています。
クックパッドのヒンディー語版で検索すると、インドのレシピの多くは、語順を入れ替えた「カラーイー・チキン」という名前です。この記事で読んだヒンディー語のレシピ2件は、どちらも玉ねぎを使う作り方でした(後半の「地域による違い」を参照)。
由来の説明
パキスタンの英字新聞ドーンの記事で、書き手のビスマー・ティルミズィーは、肉のカラーヒー(カラーヒー・ゴーシュト)は、ハイバル・パフトゥーンハー州(旧北西辺境州)の料理とされていると書いています。そのうえで、自分で調べた結果として、アフガニスタンとの境のハイバル峠にある町、ランディ・コータルを挙げ、この町が肉のカラーヒーのふるさとと考えられていると紹介しています。そこからパンジャーブへ、さらに世界へ広まった、というのが彼女の説明です。
同じ記事は、本『Street Food of the World』の一節も引いています。その一節は、チキン・カラーヒーをラホールの食べ物通りの名物とし、鶏肉をトマト、青唐辛子、しょうが、にんにくとカラーヒーで炒める料理と説明しています。マトンで作るカラーヒー・ゴーシュトは、チキン・カラーヒーの変わり種だとしています。英語版ウィキペディアは、ドーンの記事などを典拠に、チキン・カラーヒーはパンジャーブ地方で生まれた可能性があり、ラホールで有名だとしています。
玉ねぎを使わない作り方
英語版ウィキペディアは、この地域のほかのカレーとの違いとして、チキン・カラーヒーは伝統的には玉ねぎを土台に使わず、トマト、しょうが、にんにくで作る、と書いています。ただし、この文の典拠はレシピサイトです。
この記事で読んだ情報源では、ドーンのビスマー・ティルミズィーのマトン・カラーヒーと、Google Arts & Culture に掲載された SOCH Outreach Foundation の記事が紹介するパンジャーブの作り方は、玉ねぎを使いません。SOCH の記事は、玉ねぎで少し甘みを足す人もいるものの、多くは少ない材料で作る簡素なソースを好む、と書いています。クックパッドのウルドゥー語のレシピ7件では、4件が玉ねぎを使わず、3件が使います。
この記事の作り方
配合の骨組みにしたのは、クックパッドのウルドゥー語のレシピのうち、シャグフタによる「ペシャーワリー・チキン・カラーヒー」です。鶏肉をギーで焼いてから、しょうがとにんにくのペーストと塩を加え、丸ごとのトマトを蒸し煮にして皮をむき、つぶして炒めます。トマトの水分がとんだら、煎ってつぶしたクミンと黒こしょうを加え、ギーが分かれたら、せん切りのしょうがと青唐辛子をのせて仕上げます。
トマトの量は、クックパッドのファークラ・ルバーブのレシピ4件にならいました。4件とも、鶏肉1kgにトマト1kgを使います。加熱したトマトの皮を取り除く工程は、ファークラ・ルバーブの「ミール・アフザルの有名なチキン・カラーヒー」と、インドの料理家ランヴィール・ブラールのペシャーワル風のレシピにも出てきます。シャグフタのレシピは塩とギーの量を書いていないので、塩9gとギー65gは、この記事で決めた量です。ギーは、ミール・アフザルのレシピ(鶏肉1kgにギーか油1カップ)、バリーラーのレシピ(鶏肉1kgに油1/2カップ)、ランヴィール・ブラールのレシピ(鶏肉900gに油1/4カップ)の間で、やや少なめにしました。
シャグフタのレシピは、鶏肉1kgに、粗くつぶした黒こしょう大さじ2、煎ってつぶしたクミン大さじ1、青唐辛子10本を使います。この記事では、黒こしょう5g、クミン3g、青唐辛子6本と、それより少なめにしています。
手順8の中心温度は、アメリカ農務省(USDA)の食品安全検査局が鶏肉の安全な最低の中心温度とする74℃(165°F)に、余裕をみた値です。
チキン・カラーヒーのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 15分 加熱 45分
- 黒こしょう5g
- クミン3g
鶏肉を焼く
トマトのマサーラー
仕上げ
- しょうが(せん切り)15g
- 青唐辛子(縦半分に切る用)2本(6g)
- パクチー(コリアンダーの葉)10g
作り方
材料の下ごしらえをする
鶏もも肉900gに皮が残っていれば取り除き、キッチンペーパーで水気をふく。大きいものは5cmほどに切る。完熟トマト900gはへたを取り、へたのあった側に浅い十字の切り込みを入れる。青唐辛子(小口切り用)4本は小口切りにする。青唐辛子(縦半分に切る用)2本は縦半分に切る。しょうが15gは皮をむいてせん切りにする。パクチー10gは刻む。
クミンを煎り、黒こしょうとつぶす
換気扇を回しておく。乾いたカラーヒーにクミン(ホール)3gを入れ、弱めの中火で1〜2分、絶えず混ぜながらから煎りする。色が少し濃くなって香りが立ったら、すぐにすり鉢に移す。冷めたら黒こしょう(ホール)5gを加え、すりこぎで粒が残る程度に粗くつぶす。
鶏肉を焼きつける
換気扇は回したままにする。カラーヒーにギー65gを入れて強めの中火で熱し、鶏肉を入れる。熱いギーに水気の残る肉が入るので、油はねに気をつける。ときどき返しながら6〜8分、表面の色が変わり、ところどころきつね色になるまで焼く。中まで火が通っていなくてよい(あとでトマトと煮て仕上げる)。
しょうがとにんにくと塩を加える
中火にし、しょうが(すりおろし)10g、にんにく(すりおろし)10g、塩9gを加える。鶏肉にからめながら3分、生のにおいがなくなるまで炒める。
トマトを丸ごと蒸し煮にする
完熟トマト900gを、切り込みを上にして鶏肉の上に並べる。ふたをして弱めの中火で10〜12分、トマトが柔らかくなり、切り込みから皮がめくれてくるまで蒸し煮にする。
トマトの皮を除いてつぶし、煮詰める
トングでトマトの皮をつまんで取り除き、捨てる。木べらでトマトをつぶし、小口切りにした青唐辛子4本を加える。ふたをせずに中火で12〜15分、ときどき鍋底から混ぜながら、トマトの水分がとんでソースがぽってりと鶏肉にからむまで煮詰める。後半は鍋底が焦げやすいので、混ぜる回数を増やす。
スパイスを加え、油が分かれるまで炒める
手順2でつぶしたクミンと黒こしょうを加え、鶏肉にからめながら中火で2〜3分炒める。鍋の縁やソースの表面にギーがにじみ出てくればよい。
鶏肉の火の通りを確かめる
いちばん大きい1切れを取り出し、骨の近くのいちばん厚いところに温度計を刺す(骨には当てない)。75℃以上あればよい。温度計がないときは、骨まで切って、身に生の透明感がなく、出てくる汁が透明なことを確かめる。色だけでは確実に判断できないので、足りないときも迷ったときも、鍋に戻し、ふたをして弱火で3分ずつ加熱して、そのつど確かめる。
しょうがと青唐辛子をのせて仕上げる
しょうが(せん切り)15gと、縦半分に切った青唐辛子2本を全体にのせる。ふたをして弱火で2分おき、火を止める。刻んだパクチー10gを散らし、カラーヒーごと食卓に出す。
焼きたてのナーンや、チャパーティー(全粒粉の薄焼きパン)と一緒に食べます。
料理科学:トマトを煮詰めて、ギーが分かれるまで炒める理由
水分が残っているうちは、温度が上がりにくい
トマトの大部分は水分です。鍋の中に水が多く残っているうちは、ソースの温度は、水の沸点の100℃前後から大きくは上がりません。食べものの糖とアミノ酸が反応して色と香ばしい香りが生まれるメイラード反応などの変化は、温度が高いほど速く進みます。
手順6でふたを取り、トマトの水分をとばしながら煮詰めるのはそのためです。水分が減るにつれて、鍋底に触れているソースの温度が上がり、トマトの色が濃くなって、生のトマトの青い香りが、煮詰めたトマトのこくのある香りに変わっていきます。温度が上がるぶん焦げやすくなるので、後半は混ぜる回数を増やします。この記事で読んだレシピでも、シャグフタのレシピはトマトの水分がとびはじめてから、ミール・アフザルのレシピは水分がとんでから、次の工程に進みます。
「ギーがにじむ」のは、水分がとんだ合図
この記事で読んだウルドゥー語のレシピ7件のうち5件は、仕上がりの目安を、ギーや油が分かれる、または上に浮いてくるまで、と書いています。
水分が多いうちは、ギーはトマトの水分と混ざり合っていて、あまり目立ちません。水分がとんで少なくなると、混ざりきらなくなったギーが、鍋の縁やソースの表面ににじみ出てきます。ギーがにじむのは、ソースの水分が十分にとんだことの目印です。まだ水っぽいうちに火を止めると、トマトの酸味と青い香りが残りやすくなります。
料理科学:クミンと黒こしょうを直前につぶし、後半に加える理由
スパイスの香りのもとになる成分の多くは、飛びやすい性質をもっています。ホールのスパイスは、つぶすと香りが立つ一方で、つぶしたあとは時間とともに香りが抜けていきます。手順2で、クミンと黒こしょうを使う直前に粗くつぶすのはそのためです。
シャグフタのレシピは、煎ってつぶしたクミンと、粗くつぶした黒こしょうを、トマトの水分がとびはじめた後半に加えます。この記事もそれにならい、手順7で加えます。長く煮るほど香りは飛んでいくので、炒める時間は2〜3分にとどめます。
手順2でクミンを先にから煎りするのも、シャグフタのレシピにならったものです。煎ると、生のクミンにはない香ばしい香りが加わります。焦がすと苦くなるので、色が少し濃くなったらすぐに鍋から出します。
地域による違い
この記事で読んだレシピは、作り手によって細かいところが違います。
- 羊肉と山羊肉のカラーヒー:アラブ・ニュースのパキスタン版が載せた AFP の記事は、ペシャーワルの中心部ナマク・マンディーの店ニサール・チャルスィー・ティッカーのカラーヒーを、羊のお尻から切り出した白い脂の塊をたっぷり使って羊肉を鍋で焼き、青唐辛子とトマトを控えめに加える料理として紹介しています。ドーンのビスマー・ティルミズィーのマトン・カラーヒーは、山羊のもも肉と、その半分の重さのトマト、青唐辛子、塩で作ります。油は1/2カップで、犠牲祭でさばいたばかりの肉なら、肉の脂で足りるとしています。
- パンジャーブの作り方:Google Arts & Culture に掲載された SOCH Outreach Foundation の記事は、パンジャーブのカラーヒーを、熟したトマト、青唐辛子、しょうが、控えめなスパイス、塩、溶かした動物の脂で羊肉を煮る、汁気の少ない料理として紹介しています。
- 粉の唐辛子とガラム・マサーラー:ファークラ・ルバーブの「ミール・アフザルの有名なチキン・カラーヒー」は、赤唐辛子の粉とガラム・マサーラーを加え、にんにくのペーストを溶いた水1/2カップを加えて煮ます。
- 玉ねぎとヨーグルト:ファークラ・ルバーブのレシピの1件と、バリーラーのレシピは、玉ねぎを炒めてから鶏肉を入れます。ファークラ・ルバーブのもう1件は、揚げ玉ねぎ大さじ2を使います。バリーラーのレシピはヨーグルトも加え、仕上げに炭の煙で香りをつけるとさらにおいしくなる、と書いています。
- カラーヒー用の配合スパイス:ファークラ・ルバーブのレシピのうち2件は、市販のチキン・カラーヒー・マサーラーを1袋使います。シーネー・ハーンのレシピも、カラーヒー用のマサーラー大さじ4で鶏肉を1時間漬けてから炒め、トマトペースト1カップで煮ます。
- インドのカラーイー・チキン:この記事で読んだヒンディー語のレシピ2件は、どちらも玉ねぎを使います。ウッタル・プラデーシュ州デーオリヤーのアジター・シュリーワースタヴのレシピは、玉ねぎ3個に、ピーマン、ホールスパイス、カスーリー・メーティー(乾燥したフェヌグリークの葉)を加えます。ジャムシェードプルのサヌーバル・アシュラフィーの「ペシャーワル風ダーバー(街道沿いの食堂)のカラーイー・チキン」は、玉ねぎとヨーグルトで作ります。
- ランヴィール・ブラールのペシャーワル風:鶏肉に加えるのは、砂糖、塩、トマト、青唐辛子だけです。油を熱して砂糖を加え、そこに鶏肉を入れるのが、この記事で読んだほかのレシピにない点です。玉ねぎとピーマンは、黒こしょう、クミン、コリアンダーの種、ブラックカルダモンを粗くひいた「カラーイー・マサーラー」と一緒に別の鍋で炒めて、添えます。
このサイトのカラーイー・ジーンガー(えびのカラーイー)は、インドの作り方に近く、ピーマンと玉ねぎを使います。
手に入りにくい材料の代用
- ギー:植物油60g(大さじ4と1/2)で代用できます。ミール・アフザルのレシピも、ギーか油のどちらかを使うとしています。ギーの乳の香りはなくなります。
- カラーヒー:中華鍋か、直径26〜28cmの深めのフライパンで作れます。手順5でトマトを並べられる広さと、ふたが必要です。
- 青唐辛子:日本の青唐辛子で作れます。手に入らないときは、ししとうがらし6本を同じように切って使い、手順7で一味唐辛子小さじ1/4を加えます。青い香りは弱くなります。
- 骨付きの鶏もも肉のぶつ切り:手羽元900gで代用できます。骨なしの鶏もも肉で作るときは、600gを5cm角に切り、塩を8g(小さじ1と1/3)に減らします。手順5と6の時間は同じで、手順8で火の通りを確かめます。
- 完熟トマト:食塩不使用のトマトの水煮缶(ホール)2缶(800g)で代用できます。手順5で汁ごと加えてつぶし、ふたをして弱めの中火で10分煮てから、手順6の煮詰める工程に進みます。皮を取り除く必要はありません。
保存
- 冷蔵:保存容器に入れて2日。鍋で全体がふつふつするまで温め直してから食べます
- 冷凍:手順8で火が通っていることを確かめてから冷まし、保存容器に入れて1か月。冷蔵庫で解凍し、鍋で温め直してから、せん切りのしょうが、青唐辛子、パクチーをのせます
パキスタンのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Cookpad「پشاوری چکن کڑاھی」(ウルドゥー語)
- Cookpad「میر افضل کی مشہور چکن کڑاہی」(ウルドゥー語)
- Cookpad「چکن کڑاہی」(ウルドゥー語)
- Cookpad「چکن کڑاہی」(ウルドゥー語)
- Cookpad「چکن کڑاہی」(ウルドゥー語)
- Cookpad「مزیدار چکن کڑاہی - گھر والا ذائقہ」(ウルドゥー語)
- Cookpad「چکن کڑاہی」(ウルドゥー語)
- Cookpad「पेशावरी ढाबा कढ़ाई चिकन (peshawari dhaba kadai chickens recipe in Hindi)」(ヒンディー語)
- Cookpad「कढ़ाई चिकन(kadhai chicken recipe in hindi)」(ヒンディー語)
- Ranveer Brar「Peshawari Chicken Karahi पेशावरी चिकन कढ़ाई famous Kadhai Chicken recipe」(英語)
- Dawn「Food Stories: Mutton karahi」(英語)
- Google Arts & Culture(SOCH Outreach Foundation)「The Karahi Chronicles」(英語)
- Arab News Pakistan「Chewing the fat with Pakistan's BBQ masters」(英語)
- Wikipedia「Chicken karahi」(英語)
- USDA Food Safety and Inspection Service「Chicken from Farm to Table」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。