チキン・コーフターChicken Kofta レシピ
چکن کوفتہチキン・コーフター

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チキン・コーフターは、スパイスを練り込んだ鶏ひき肉の団子を、グレービー(ソース)で煮た料理です。インドとパキスタンでは、羊や牛のひき肉と並んで、鶏のひき肉でもコーフターが作られます。団子をグレービーで煮たものは、コーフター・カリー(コーフターのカレー)とも呼ばれます。
この記事では、パキスタンのウルドゥー語のレシピサイト「UrduPoint」のレシピと、パキスタンの英字紙エクスプレス・トリビューンのサイトに載った家庭のレシピにならって、団子を揚げずに、生のまま煮立ったグレービーに入れて煮ます。玉ねぎとトマトとヨーグルトのグレービーに、鶏のうまみが溶け出します。団子をくずさないこつは、入れてから15分は混ぜないことです。煮上がりは、色ではなく中心温度で確かめます。
チキン・コーフターとは
ウルドゥー語では「چکن کوفتہ」、ヒンディー語では「चिकन कोफ्ता」と書き、「チキン・コーフター」と読みます。チキンは英語の chicken から来た言葉で、インドの料理家ランヴィール・ブラールのレシピの題名も、パキスタンのUrduPointのレシピの分類も、この料理をチキン・コーフター(ウルドゥー語では複数形でチキン・コーフテー)と呼んでいます。コーフターは、たたいた肉を丸めた団子のことです。
どこから来た料理か
パキスタンのウルドゥー語の新聞ジャングに載ったサーディヤ・シャクールの記事は、コーフター作りはイランで始まり、そこから中東全体で好まれるようになったと書いています。記事は、その根拠を示していません。同じ記事は、コーフターは鶏、牛、羊など、あらゆる種類の肉で作られ、カレーにしてローティー(全粒粉の薄焼きパン)やナーンと食べるほか、米に加えてプラーオにもすると説明しています。
エクスプレス・トリビューンのサイトに載ったブログで、ブシュラー・ファーティマは、コーフターはインド亜大陸で生まれた料理ではないと書いています。ペルシア語の動詞から来た名前で、中東や中央アジア、トルコ、地中海の料理にも似た肉団子があるとしています。
インド側では、ヒンディー語版のウィキペディアが、コーフテー・キー・サブズィー(コーフターの煮込み)をアワド(現在のウッタル・プラデーシュ州のあたり)の料理に分類しています。今回読んだ情報源には、鶏のひき肉でコーフターを作るようになったのがいつからかを書いたものはありませんでした。
パキスタンの家庭のコーフター・カリー
ファーティマは、パキスタンのコーフター・カリーはふつう羊か鶏か牛のひき肉で作り、改まった夕食の席にはコーフター・カリーが欠かせない、と書いています。紹介しているのは母親のレシピで、生の団子をグレービーに入れたら、混ぜたりスプーンを使ったりせず、ふたをして15分ほど煮るとしています。UrduPointの「チキン・コーフター」の分類に載っているグリーンピースを包むコーフターのレシピ(材料欄に肉の種類は書いていません)も、グレービーが煮立ったら団子を入れ、最初は混ぜずに煮るように書いています。
この記事の配合
今回の調べでは、ヒンディー語で書かれた鶏のコーフターのレシピは見つけられませんでした。参考にしたレシピは、UrduPointのウルドゥー語のレシピ3件と、パキスタンとインドの書き手が英語で書いたレシピです。
骨格は、ファーティマのレシピです。玉ねぎをきつね色に炒め、トマトとヨーグルトを加えてとろりとするまで煮たグレービーに、生の団子を入れて煮ます。この記事では、次の点を変えたり加えたりしました。
- 肉:ファーティマのレシピは、羊、牛、鶏のどのひき肉でもよいとしています。この記事では鶏ひき肉で作ります。
- つなぎ:ファーティマのレシピは、炒った割り豆の粉とケシの実をペーストにしてたねに加えます。ジャングの記事のコーフターも、炒ったひよこ豆の粉を加えます。この記事では、UrduPointのチーズを包む鶏ひき肉のコーフターのレシピにならってベサン(ひよこ豆の粉)を使います。量はファーティマのレシピの豆の粉と同じ大さじ2にし、ファーティマのレシピとジャングの記事にならって、手順1で炒ってから加えます。ケシの実は使いません。
- たねの玉ねぎ:ファーティマのレシピは、ひき肉500gに玉ねぎ1個半を刻んで加えます。UrduPointの鶏ひき肉のレシピ2件は、玉ねぎ1個です。この記事では、たねがゆるまないよう80gに減らしました。
- ホールスパイス:ファーティマのレシピは黒こしょうだけです。この記事では、UrduPointのグリーンピースのコーフターのレシピの材料欄にならって、ベイリーフとホールのガラム・マサーラーも加えます。ガラム・マサーラーのホールは、この記事ではグリーンカルダモンとクローブにしました。
- 水と仕上げ:ファーティマのレシピは、団子を返したあとに水を足し、ふたをしたまま弱火で、表面に油が浮くまで煮ます。この記事では、UrduPointのグリーンピースのコーフターのレシピにならって、水は団子を入れる前に加えます。最後はふたを外して中火で煮て、ファーティマのレシピと同じく表面に油が浮いたら仕上げます。
チキン・コーフターのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 30分 加熱 1時間(たねを冷やす間にグレービーを作る)
- コリアンダー6g
- 赤唐辛子3.8g
- ガラム・マサーラー2g
- ターメリック0.7g
- グリーンカルダモン0.4g
- テージ・パッター0.3g
- 黒こしょう0.3g
- クローブ0.2g
コーフターのたね
グレービーの油とホールスパイス
グレービー
作り方
ベサンを炒る
乾いたフライパンにベサン15gを入れ、弱火で3〜4分、絶えず混ぜながら炒る。粉くささが消えて香ばしい香りが立ち、ほんのり色づいたら皿に広げて冷ます。
下ごしらえをする
たね用の玉ねぎ80gは、できるだけ細かいみじん切りにする。青唐辛子2本はへたを取ってみじん切り、パクチー6gもみじん切りにする。グレービー用の玉ねぎ200gはみじん切りにし、トマト200gはすりおろす。グリーンカルダモン2粒は、さやに切り目を入れる。
たねを練る
ボウルに鶏ひき肉500g、たね用の玉ねぎ、しょうが5g、にんにく5g、青唐辛子、パクチー、レッドチリパウダー1.25g、コリアンダーパウダー2g、ガラム・マサーラー1g、塩4g、炒ったベサンを入れる。手で2〜3分、押しつぶすようにして練る。粘りが出て、たねがボウルの内側にはりつくようになればよい。生の肉に触れた手とボウルの縁は、そのつど洗剤で洗う。
丸めて冷やす
たねを16等分する(1個約38g)。植物油4.5gを、16個を丸める間に数回に分けて手のひらに薄く塗り、1個ずつ両手で転がして、表面にひびのない丸い団子にする。皿に並べてラップをかけ、冷蔵庫で30分冷やす。
ホールスパイスを炒める
コーフターを冷やしている間にグレービーを作る。浅めの鍋に植物油39gを入れて中火で熱し、テージ・パッター1枚、グリーンカルダモン2粒、クローブ2本、黒こしょう6粒を入れて、30秒ほど、香りが立つまで炒める。
玉ねぎを炒める
グレービー用の玉ねぎ200gを加え、ときどき混ぜながら中火で10〜12分、全体がきつね色になるまで炒める。濃い茶色になるまでは炒めない。
パウダースパイスとトマトを炒める
しょうが5gとにんにく5gを加えて1分炒める。弱火にし、ターメリック0.7g、コリアンダーパウダー4g、レッドチリパウダー2.5gを加え、焦げないように混ぜながら30秒炒める。トマト200gと塩6gを加える。熱い油に水分の多いトマトが入ると油がはねるので、鍋から顔を離して加える。中火にしてふたをし、6〜8分煮る。ふたを外し、混ぜながら2〜3分、ぽってりとして鍋の縁から油がにじみ出るまで煮詰める。
ヨーグルトを加える
プレーンヨーグルト150gをボウルでなめらかになるまで混ぜる。鍋を弱火にし、ヨーグルトを3回に分けて加え、そのつど混ぜてなじませる。中火に戻し、混ぜながら3〜4分、再び鍋の縁から油がにじみ出るまで煮る。
水を加えて煮立てる
水250mlを加えて混ぜ、中火で煮立てる。
生のコーフターを入れて煮る
冷蔵庫から出したコーフターを、煮立ったグレービーにスプーンで1個ずつ静かに入れ、重ならないように並べる。再びふつふつと煮立ったらふたをし、弱めの中火で15分煮る。この間は混ぜない。鍋底が焦げつきそうなときは、鍋の取っ手を持って軽くゆすり、弱火にする。生の肉に触れたスプーンは、使い終えたら洗剤で洗う。
返してさらに煮る
スプーン2本で1個ずつそっとすくって上下を返し、上からグレービーをかける。ふたをして、弱めの中火で5〜7分煮る。
中心温度を確かめる
いちばん大きいコーフターを1個、皿に取り出す。料理用温度計を横から刺して先を団子の中心に届かせ、75℃以上になっていれば煮上がり。足りなければ鍋に戻し、ふたをして3分煮てから測り直す。温度計がないときは、そのコーフターを半分に切り、中心まで熱く、生の透明感がなく、押したときに出る肉汁が透明なことを確かめる。色だけでは確実に判断できないので、迷ったら3分煮足す。
油が浮くまで煮て仕上げる
ふたを外し、中火で3〜5分、グレービーの表面に油が浮いてくるまで煮る。ガラム・マサーラー1gを振り、刻んだパクチー5gを散らして火を止める。テージ・パッター、クローブ、カルダモンは食べないので、よけて盛りつける。
ご飯やローティー、ナーンを添えて食べます。
料理科学:生のコーフターを、混ぜずに煮る理由
塩で練ると、たねがつながる
手順3で、塩を最初から入れて粘りが出るまで練るのは、ひき肉の粒どうしをつなぐためです。
表面が固まるまでは、さわらない
肉は加熱すると固まります。生の団子を煮立ったグレービーに入れると、熱いグレービーに触れた外側から先に温まって固まり、中はしばらく生のまま柔らかく残ります。外側が固まりきらないうちに混ぜると、団子が割れたり、表面の肉がほぐれてグレービーに散ったりしやすくなります。
ファーティマのレシピは、団子を入れたら、混ぜたりスプーンを使ったりしないように書いています。UrduPointのグリーンピースのコーフターのレシピも、最初のうちは混ぜないように書いています。この記事でも、手順10で15分は混ぜずに、ふたをして蒸気でも上から温め、外側がしっかり固まってから、手順11で返します。返すときも、スプーン2本で1個ずつすくい、転がさないようにします。グレービーが強く沸き立つと団子が揺さぶられるので、ふたをしたらふつふつと煮立つ程度の火加減にします。
冷やしてから入れる
UrduPointのグリーンピースのコーフターのレシピは、たねを冷蔵庫で冷やし、丸めてからもう一度冷蔵庫に戻しています。手順4で丸めた団子を冷やすのも、たねを締めて、グレービーに入れたときに形がくずれにくくするためです。
料理科学:鶏ひき肉の火の通り
中まで75℃にする
ひき肉の団子は、中心までしっかり加熱する必要があります。アメリカ農務省(USDA)の食品安全検査局は、鶏肉はどの部分も、食品用の温度計で測って74℃(165°F)以上にすることを、安全な最低の中心温度としています。この記事では余裕をみて、団子の中心で75℃以上を目安にします。
色だけでは判断できない
USDAは、十分に加熱した鶏肉でも、色は白からピンク、薄い茶色までさまざまで、安全のためには温度計で中の温度を確かめるようにとしています。このレシピでは、レッドチリとターメリックのグレービーで団子の表面も色づくので、色だけではさらに見分けにくくなります。手順12で温度計を使うのはそのためです。インドの料理家のレシピサイト「アルチャナズ・キッチン」の鶏のコーフターのレシピも、生の団子をグレービーで煮て、1個を切って火の通りを確かめています。
もものひき肉と、煮すぎないこと
この記事では、胸肉より脂の多い、もも肉のひき肉をすすめます。ランヴィール・ブラールの「ムルグ・マラーイー・コーフター」のレシピは、鶏ひき肉にパン粉と角切りのバターを混ぜ込んでいます。この記事では、胸肉のひき肉で作るときに、これにならってバターを加える方法を、代用の節で紹介しています。
煮上がったらすぐに火の通りを確かめ、必要以上に煮続けないことも、ぱさつかせないためのこつです。
地域や作り手による違い
今回読んだレシピだけでも、団子の火の通し方とグレービーに、次のような違いがありました。
- ゆでてから焼き、グレービーで煮る:ランヴィール・ブラールの「チキン・コーフター・カリー」は、鶏ひき肉にゆでたじゃがいもと食パンを加えて、ミキサーでなめらかにします。団子は、ホールスパイスとレッドチリパウダーを入れた湯で7〜8分ゆで、バターと油で焼き色をつけてから、玉ねぎ・トマト・カシューナッツのグレービーで煮ます。ゆで汁もグレービーに加えます。
- 揚げ焼きにして、ヨーグルトのグレービーで煮る:ブラールの「ムルグ・マラーイー・コーフター」は、鶏ひき肉にパン粉を混ぜた団子を、少量の油で5〜6分、半分ほど火が通るまで揚げ焼きにし、玉ねぎ・カシューナッツ・ヨーグルトのグレービーで4〜5分煮ます。仕上げに生クリームを加えます。
- トマトと生クリームのグレービー:アルチャナズ・キッチンのレシピは、生の団子をトマトのグレービーで煮て、最後に生クリームとはちみつを加えます。
- 詰め物をする:UrduPointには、鶏ひき肉の団子にチェダーチーズを包み、ほうれん草のグレービーで煮るレシピがあります。同じサイトのグリーンピースのコーフターのレシピは、炒めたグリーンピースを包みます。ファーティマは、ゆで卵を包む作り方もあると書いています。
- スパイスを詰めた青唐辛子と煮る:UrduPointの「アチャーリー・コーフター・ハーンディー」は、鶏ひき肉にアーモンドの粉を加えた団子を、ヨーグルトのグレービーで煮ます。団子をふたをして弱火で煮たあと、クミン、フェンネル、カロンジー(ニゲラシード)、フェヌグリークシードなどを詰めた青唐辛子を加えて、ふたをしたまま蒸らします。
手に入りにくい材料の代用
- ベサン:パン粉15g(大さじ5)で代用できます。ランヴィール・ブラールのレシピは、パン粉や食パンをつなぎにしています。パン粉は炒らずに、そのまま加えます。
- 鶏ひき肉(胸肉のひき肉しかないとき):手順3で、食塩不使用バター10gを1cm角に切って加え、混ぜ込みます。ランヴィール・ブラールの「ムルグ・マラーイー・コーフター」のレシピが、鶏ひき肉に角切りのバターを混ぜ込んでいるのにならった方法です。
- 青唐辛子:手に入らないときは省き、たねに一味唐辛子0.5g(小さじ1/4)を足します。
- テージ・パッター:インドのベイリーフです。ローリエ1枚で代用できます。香りは少し変わります。
- グリーンカルダモン:省いても作れます。
- レッドチリパウダー:一味唐辛子を同じ量使います。日本で「チリパウダー」として売られているものには、オレガノなどを混ぜたミックススパイスもあるので、原材料が唐辛子だけのものを選びます。
保存
- 冷蔵:保存容器に入れて2日。鍋に移し、水30mlを足してふたをし、弱火で温めます。コーフターは混ぜずに、途中で一度返します。手順12と同じように、中心が75℃以上になっていることを確かめます。
- 冷凍:グレービーごと保存容器に入れて1か月。冷蔵庫で一晩かけて解凍してから、冷蔵と同じように温め直します。
パキスタンのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- UrduPoint「مٹر بھرے کوفتے بنانے کی ترکیب - ترکیب نمبر 6328」(ウルドゥー語)
- UrduPoint「اچاری کوفتہ ہانڈی بنانے کی ترکیب - ترکیب نمبر 5201」(ウルドゥー語)
- UrduPoint「Chicken Cheese Kofta Palak Recipe In Urdu - Recipe No. 4944」(ウルドゥー語)
- Jang「کوفتہ اب بھی شاہی پکوان ہے」(ウルドゥー語)
- The Express Tribune「Pakistanis' love for the succulent kofta curry」(英語)
- Ranveer Brar「Chicken Kofta Curry चिकन कोफ्ता करी Perfect Chicken Kofta tips」(英語)
- Ranveer Brar「Creamiest Murgh Malai Kofta मलाईदार चिकन कोफ्ता करी Chicken Kofta secret tips」(英語)
- Archana's Kitchen「Chicken Kofta Curry Recipe」(英語)
- Wikipedia「कोफ्ते की सब्जी」(ヒンディー語)
- USDA Food Safety and Inspection Service「The Color of Meat and Poultry」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。