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ケーララ・チキン・シチューChicken Stew レシピ

ചിക്കൻ സ്റ്റ്യൂチッカン・ステュー

地域
南インド(ケーララ)
分量
4人分
公開
素焼きの器に盛ったケーララ・チキン・シチュー。白いココナッツミルクの汁に鶏肉、じゃがいも、にんじん、青唐辛子が入り、シナモン、カルダモン、カレーリーフ、黒こしょうがのっている。奥にアッパム

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ケーララのチキン・シチューは、骨つきの鶏肉とじゃがいも、にんじんを、ココナッツミルクで煮た料理です。辛みは青唐辛子と黒こしょう、香りはシナモンやクローブ、カルダモンといったホールスパイスでつけます。レッドチリパウダーもターメリックも使わないので、白っぽい、やさしい色に仕上がります。

ケーララ州観光局のページやケーララの料理人のレシピでは、米粉の生地を発酵させて薄く焼いたアッパムと組み合わせる料理として紹介されています。薄いココナッツミルクで鶏肉とじゃがいもを煮て、最後に濃いココナッツミルクを加えます。煮えたじゃがいもの一部をつぶして混ぜ、汁に軽いとろみをつけるのが、この記事の作り方の要です。

ケーララ・チキン・シチューとは

マラヤーラム語では「チッカン・ステュー」(ചിക്കൻ സ്റ്റ്യൂ)と書きます。英語の chicken stew の音を、そのままマラヤーラム文字で書いた形です。ケーララ州観光局のマラヤーラム語のページや、マラヤーラム語のニュースサイト「アジアネット・ニュース」のレシピの見出しにも使われています。綴りには揺れがあります。

英語の情報源には、話し言葉での別の呼び名を挙げるものがあります。ケーララの新聞マラヤーラ・マノーラマの英語版「オンマノーラマ」にレシピを寄せた料理人スレーシュ・ピッライは、北マラバール(ケーララ北部)ではこの料理を ishtoo と呼ぶとしています。インドのニュースサイト「ザ・ニューズ・ミニット」で、書き手のスシーラ・ナーイルは、話し言葉では ishtew と呼ばれると書いています。

英語の stew との関係

由来については、読んだ情報源のあいだで説明が違います。

  • ケーララ州観光局(マラヤーラム語):イスラム教徒の食文化を紹介するページで、シチューはもともとヨーロッパの料理から来たものだが、ココナッツミルクと土地のスパイスを使うことで、文化が混じり合ったよい例になっているとしています。
  • ケーララ州観光局(英語):キリスト教徒の料理を紹介するページで、外国人の宣教師が神学校を開くとヨーロッパ風の献立が持ち込まれ、台所を預かる料理人を通じて、英国とポルトガルの影響が献立に入ったとしています。豚肉のヴィンダールーや鶏肉のマッパス、フィッシュ・モーリと並んで、シチューもこうして広まったとしています。
  • スレーシュ・ピッライ:オンマノーラマのレシピで、この料理はシリア・キリスト教徒(使徒トマスの布教にさかのぼると伝えるケーララのキリスト教徒)がケーララに持ち込んだものとしています。
  • スシーラ・ナーイル:ザ・ニューズ・ミニットの記事で、英国に起源があるかもしれない、と書いています。

ケーララ州観光局のマラヤーラム語のページは、イスラム教徒の食文化の紹介の中でチキン・シチューを取り上げ、特別な機会や宴でも出されるとしています。キリスト教徒の料理として紹介されることもありますが、州観光局はイスラム教徒の食文化の紹介にもこの料理を入れています。

アッパムと一緒に

アッパムとの組み合わせも、何人かが書いています。ケーララ州観光局のマラヤーラム語のページは、朝食の料理としてアッパムとチキン・シチューの作り方を並べて載せ、この組み合わせは名前を聞いただけでマラヤーリ(マラヤーラム語を話す人々)が食べたくなるものだ、と書いています。同じ州観光局のイスラム教徒の食文化のページは、アッパムのほか、米粉の生地を押し出して蒸したイディヤッパムや、米粉の薄焼きパンのパッティリと一緒に出すとしています。スレーシュ・ピッライは、アッパムやイディヤッパムのような朝食の料理によく合うとしています。アラブ首長国連邦の新聞ガルフ・ニュースに寄稿した、ムンバイに住み、ケーララの伝統的な料理を動画で紹介しているソーバ・ヴァルギースは、ココナッツミルクのチキン・シチューとパーラッパム(アッパムの一種)を、ケーララの伝統的な朝食としています。スシーラ・ナーイルも、シチューはよくアッパムと組み合わされると書いています。

この記事の配合

ケーララ州観光局のマラヤーラム語のレシピは、鶏肉500gに、シナモン、クローブ、カルダモン、ベイリーフ、つぶした黒こしょうを使い、じゃがいもとにんじんを入れます。圧力鍋で煮てから、ココナッツミルク1カップを加える作り方です(濃いものか薄いものかは書かれていません)。アジアネット・ニュースのレシピと、ケーララ料理のブログ「アニシャズ・キッチン」のレシピは、薄いココナッツミルク2カップで煮て、濃いココナッツミルク1カップで仕上げます。

この記事では、スパイスと野菜はケーララ州観光局のレシピを中心にし、ココナッツミルクの使い方はアジアネット・ニュースとアニシャズ・キッチンにならいました。仕上げに生のココナッツオイルとカレーリーフを加えるのは、ケーララ州観光局のイスラム教徒の食文化のページの説明によります。煮えたじゃがいもを濃いココナッツミルクに混ぜてとろみをつけるのは、スレーシュ・ピッライのレシピのヒントにならいました。ピッライは煮えたじゃがいも1切れを一番搾りと一緒にミキサーにかけるとしていますが、この記事では2切れをフォークでつぶして混ぜます。

ケーララ・チキン・シチューのレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 25分(ココナッツミルクを搾る時間を含む) 加熱 45分

スパイスの配合 4人分で計4.7g
  • シナモン2g
  • 黒こしょう1.5g
  • グリーンカルダモン0.6g
  • クローブ0.3g
  • テージ・パッター0.3g

ココナッツミルク

  • ココナッツ(すりおろし)(生または冷凍)(Amazon)250g
  • ぬるま湯(一番搾り用)100ml
  • ぬるま湯(二番搾り用)460ml

スパイスと香味野菜

  • ココナッツオイル(Amazon|楽天)26g(大さじ2)
  • シナモン(ホール)(Amazon|楽天)2本(各3cm・計2g)
  • クローブ(ホール)(Amazon|楽天)4粒(0.3g)
  • グリーンカルダモン(ホール)(Amazon|楽天)3粒(0.6g)
  • テージ・パッター(インドのベイリーフ)(Amazon|楽天)1枚(0.3g)
  • しょうが15g
  • にんにく15g(3片)
  • 青唐辛子5本(15g)
  • 玉ねぎ200g(中1個)
  • カレーリーフ(Amazon|楽天)10枚(1枝)

煮る

  • 鶏もも肉(骨つきのぶつ切り)500g
  • じゃがいも(男爵いもなど粉質のもの)250g(中2個)
  • にんじん100g(中2/3本)
  • 黒こしょう(ホール)(粗くつぶす)(Amazon|楽天)1.5g(小さじ1/2)
  • 塩14g(小さじ2と1/3)

仕上げ

  • ココナッツオイル(Amazon|楽天)4.5g(小さじ1)
  • カレーリーフ(Amazon|楽天)10枚(1枝)
  • パクチー(コリアンダーの葉)5g(大さじ2)

道具

  • ミキサー
  • さらし(目の細かいざるでもよい)
  • 厚手の鍋(直径20〜22cm。ふたのあるもの)
  • 中心温度計(なければ切って確かめる)(Amazon|楽天)

作り方

  1. 一番搾りをとる

    ミキサーにココナッツ250gとぬるま湯100mlを入れ、1分回す。さらしで包んで固く搾り、濃いココナッツミルク(一番搾り、約200ml)をとる。使うまで冷蔵庫に入れておく。

  2. 二番搾りをとる

    搾りかすをミキサーに戻し、ぬるま湯460mlを加えて1分回す。同じように搾り、薄いココナッツミルク(二番搾り、約450ml)をとる。搾りかすは使わない。

  3. 材料を切る

    じゃがいもは皮をむいて3cm角、にんじんは1.5cm角に切る。玉ねぎは縦に薄切り、しょうがは細切り、にんにくは薄切りにする。青唐辛子5本は縦に切り目を入れる。カルダモンは指で押してさやを軽く割る。黒こしょう1.5gは、すりこぎや瓶の底で粗くつぶす。鶏肉は水気をキッチンペーパーで拭く。

  4. ホールスパイスを油で温める

    鍋にココナッツオイル26gを中火で熱し、シナモン、クローブ、カルダモン、テージ・パッターを入れる。カルダモンがふくらんで香りが立つまで、20〜30秒混ぜる。焦がすと苦くなるので、色が濃くなる前に次に進む。

  5. 香味野菜を炒める

    しょうが15g、にんにく15g、青唐辛子5本を加え、生の香りが消えるまで1分炒める。玉ねぎ200gとカレーリーフ10枚を加える(カレーリーフは油がはねやすいので、ふたを盾にして入れる)。4〜5分、玉ねぎがしんなりして透き通るまで炒める。色をつけないようにする。

  6. 鶏肉とじゃがいもを炒める

    鶏肉500gとじゃがいも250gを加え、2〜3分、鶏肉の表面が白くなるまで炒め合わせる。

  7. 二番搾りで煮る

    二番搾り(約450ml)を全量、黒こしょう1.5g、塩14gを加え、底からひと混ぜして中火で煮立てる。煮立ったら弱火にし、ふたを1〜2cmずらしてのせ、表面が静かにふつふつする火加減で15分煮る。途中で1〜2回、底から混ぜる。

  8. にんじんを加えて煮上げる

    にんじん100gを加え、同じ火加減でさらに10分煮る。いちばん大きい鶏肉を1切れ取り出し、骨の近くのいちばん厚いところに温度計を刺し(骨には当てない)、75℃以上になっていれば煮えている。温度計がないときは、骨まで切って、身にピンク色が残っておらず、出てくる汁が透明なことを確かめる。足りなければ鍋に戻し、同じ火加減で3分ずつ煮て、そのつど確かめる。じゃがいもに竹串がすっと通ればよい。

  9. じゃがいもで一番搾りにとろみをつける

    煮えたじゃがいもを2切れ(約30g)取り出してボウルに入れ、フォークで細かくつぶす。冷蔵庫から出した一番搾り(約200ml)を3回に分けて加え、そのつど混ぜてなめらかにのばす。

  10. 一番搾りで仕上げる

    いちばん弱い火にして、手順9の一番搾りを回し入れ、鍋をゆすってなじませる。縁がふつふつしはじめたら、煮立てる前に火を止める。ココナッツオイル4.5gを回しかけ、カレーリーフ10枚とパクチー5gを散らす。ふたをして5分おく。

アッパムやイディヤッパムと一緒に食べます。

料理科学:じゃがいもでとろみをつける

粉質のじゃがいもは煮ると崩れやすい

日本のじゃがいもでいえば、男爵いものような粉質のものは煮崩れしやすく、メークインのような粘質のものは形が残りやすい、という違いがあります。この記事で粉質のじゃがいもを使うのは、煮ているうちに角が少し崩れて汁に散らばり、軽いとろみがつくからです。

煮えたじゃがいもをつぶして、一番搾りに混ぜる

手順9では、煮えたじゃがいもをつぶして、濃いココナッツミルク(一番搾り)に混ぜてから鍋に戻します。つぶしたじゃがいもが汁全体に散らばって、汁がさらりとしすぎず、具にからむようになります。

ほかのレシピでは、とろみに別の材料を使うものもあります。アジアネット・ニュースのレシピは、汁が薄ければ米粉かコーンフラワーを小さじ1加えるとしています。オンマノーラマに載ったビンシー・レーニンのレシピと、ソーバ・ヴァルギースのレシピは、カシューナッツのペーストを加えます。じゃがいもを使うと、ほかの材料を足さずにとろみがつきます。

一番搾りを最後に加えて煮立てないのは、同じケーララのフィッシュ・モーリと同じ理由です。脂肪の多い一番搾りを長く煮ると、脂が分かれやすくなります。

料理科学:白く仕上げる香りのつけ方

ホールスパイスの香りを先に油に移す

手順4でホールスパイスを最初に油で温めるのは、香りを油に移しておくためです。

ホールスパイスは、粉と違って汁に色がつきません。ケーララ州観光局のイスラム教徒の食文化のページは、シチューにはレッドチリパウダーを使わず、青唐辛子としょうが、黒こしょうで辛みをつけるとしています。野菜のシチューについても、レッドチリパウダーもターメリックも入れないので白くなる、と書いています。

玉ねぎは色をつけずに炒める

玉ねぎの焼き色と香ばしさは、アミノ酸(たんぱく質を形づくる成分)と糖が反応するメイラード反応によるものです。玉ねぎに水分が多く残っているうちは、表面の温度が100℃前後にとどまり、色がつきにくくなります。手順5で中火のまま4〜5分で止めると、色がつく前にしんなりします。こうすると、玉ねぎの甘みは出ても、汁の色は白いままです。

家庭による違い

  • 圧力鍋で煮る:ケーララ州観光局のマラヤーラム語のレシピは、鶏肉と野菜を水1/2カップと一緒に圧力鍋で3分煮てから鍋に移し、ココナッツミルク1カップと残りのココナッツオイルを加えて2分煮ます。ココナッツミルクは1回だけ加え、濃さは書かれていません。
  • カシューナッツ:ビンシー・レーニンとソーバ・ヴァルギースのレシピはカシューナッツのペーストを加えます。アニシャズ・キッチンのレシピは、仕上げにギーかココナッツオイルで炒めたカシューナッツ10粒とカレーリーフをのせます。
  • スターアニスとフェンネル:スレーシュ・ピッライのレシピはスターアニスとフェンネルシードを、ソーバ・ヴァルギースのレシピはスターアニスとフェンネルの粉を使います。ケーララ州観光局のイスラム教徒の食文化のページも、スターアニスを挙げています。
  • ドラムスティックとフェヌグリーク:アジアネット・ニュースのレシピは、ドラムスティック(ワサビノキのさや)を入れ、最初にフェヌグリークを油で炒めます。
  • マトンのシチュー:ケーララ州観光局のマラヤーラム語のマトン・シチューのレシピは、コリアンダーシードとけしの実のペースト、トマトを使い、肉を煮てから最後にココナッツミルクを加えます。この記事の作り方とはかなり違う系統です。

野菜で作る

ケーララ州観光局のイスラム教徒の食文化のページは、肉の代わりにじゃがいも、にんじん、グリーンピース、さやいんげんを使う野菜のシチューを紹介しています。分量は書かれていないので、ここではこの記事の目安を示します。

鶏もも肉500gの代わりに、じゃがいもを150g増やして400g、にんじんを50g増やして150gにし、さやいんげん150g(3cm長さ)とグリーンピース(冷凍)100gを用意します。手順6はじゃがいもだけを炒め、手順7で10分煮ます。手順8でにんじんとさやいんげんを加えて8〜10分煮て、グリーンピースを加えてさらに3分煮ます。塩はそのまま14gです。

手に入りにくい材料の代用

  • ココナッツ(すりおろし):ココナッツミルクの缶(400ml)1缶で代用できます。缶を振らずに開け、上の濃い部分200mlを一番搾りの代わりに、残り200mlに水250mlを加えて二番搾りの代わりにします。ぬるま湯100mlと460mlは使いません。乾燥したココナッツファイン125gを使う場合は、一番搾りのぬるま湯を熱湯220mlに替えて15分浸してから、手順1と同じようにミキサーにかけて搾ります。
  • テージ・パッター:インドのベイリーフです。ローリエ1枚で代用できます。香りは少し変わります。
  • カレーリーフ:さわやかな香りのある、ミカン科の木の葉です。代わりになるものはないので、手に入らなければ入れずに作ります。
  • 青唐辛子:ししとう5本で代用できます。辛みはほとんどなくなります。
  • ココナッツオイル:サラダ油で代用できます。仕上げのココナッツの香りは弱くなります。

保存

  • 冷蔵:保存容器に入れて2日。温め直すときは弱火にかけ、煮立てないようにします
  • 冷凍:じゃがいもの食感が変わり、ココナッツミルクも分離しやすくなるため、おすすめしません

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。