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カーオ・マン・ガイ日本では「カオマンガイ」ともKhao Man Gai レシピ

ข้าวมันไก่カーオ・マン・ガイ

地域
タイ(バンコク)
分量
4人分
公開
青い縁のほうろう皿に盛ったカーオ・マン・ガイ。ご飯の上に皮つきのゆで鶏の切り身が並び、タオチアオのタレの小皿ときゅうり、パクチーを添えている。奥に冬瓜のスープ

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カーオ・マン・ガイは、ゆでた鶏肉を、鶏のゆで汁と鶏の脂で炊いたご飯にのせたタイの料理です。タイでは国じゅうどこにでも店がある、身近な一皿料理です。日本では「カオマンガイ」の名で知られています。中国の海南島から渡ってきた人々が伝えた料理で、シンガポールやマレーシアの「海南鶏飯(ハイナン・チキンライス)」と同じ流れをくんでいます。

タイのカーオ・マン・ガイを特徴づけるのは、タオチアオ(大豆の発酵調味料)に、しょうが、唐辛子、にんにく、酢、砂糖を合わせたタレです。鶏は沸騰させずに静かにゆで、ご飯は鶏の脂でにんにくと米を炒めてから、ゆで汁で炊きます。スープには、ゆで汁で冬瓜を煮たものを添えます。

カーオ・マン・ガイとは

タイ語では「ข้าวมันไก่」と書きます。カーオはご飯、マンは脂(あぶら)、ガイは鶏のことで、「鶏の脂のご飯」という意味です。名前のとおり、鶏の脂とゆで汁で炊いたご飯がこの料理の要です。

店の名前やレシピの名前では、「カーオ・マン・ガイ・ハイラム(海南のカーオ・マン・ガイ)」と書くこともあります。ハイラムは、「海南」の読みがタイ語の発音で変化した呼び名です。ゆでた鶏のほかに、揚げた鶏をのせる「カーオ・マン・ガイ・トート」もあり、両方を一皿で頼むことを「ガイ・ソーン・シー(二色の鶏)」と呼ぶ店もあります。

海南島の鶏から

英語版ウィキペディアは、この料理のもとを、海南島の文昌(ぶんしょう)の鶏を使った料理だとしています。海南島から東南アジアに移った人々が、移った先でそれぞれの形に変えていったとされます。

タイ南部ハートヤイの海南系の鶏飯店を調べた論文(タクシン大学の学術誌、2023年)は、ハートヤイの店が使う「ボンシアオ」という名が、文昌の海南の言葉での読みから来ていると書いています。論文は、明の時代に海南出身の役人がこの鶏を皇帝に献上した、という言い伝えも紹介しています。

タイへ渡った海南の人々

いつ、誰がタイに伝えたのかについて、この記事で参照した情報源には、はっきりした年や人物は書かれていません。タイの新聞「ネーオナー」に食のコラムを書くスタット・スクンラッタナメーティーは、20世紀の初めに多くの海南の人々が、チャオプラヤー川沿いの製材所や家具の工房などの会社で働くためにタイに来て、使用人や給仕、ホテルの仕事についた人もいたと書いています。そのうちの一部は外国人の料理人の助手として西洋料理を覚え、カーオ・マン・ガイなどの海南の料理も広めた、というのがこのコラムの見立てです。

ハートヤイについて、先の論文は、1912年に南部への鉄道が通ってから中国系の人が増え、海南の人々も移ってきたとしています。論文によると、ハートヤイでカーオ・マン・ガイが作られるようになったのは、第二次世界大戦のあとだとされています。

タイのタレが生まれるまで

同じ論文によると、海南の鶏飯のタレは、もとは醤油やタオチアオをもとにした、辛くない塩味のものでした。ハートヤイでは、そこにしょうが、小粒の唐辛子(プリック・キーヌー)、にんにくを加え、ライムの汁、砂糖、塩で味を調えるようになり、南部の人の好みに合わせて味が濃くなったとされています。

ミシュランガイドのタイ語版の記事は、タイのタレを、タオチアオに酢、しょうが、砂糖、黒い醤油、青唐辛子を合わせたものと説明し、シンガポールの穏やかな味に比べて、酸味と辛みがあり、味が複雑だとしています。

カーオ・マン・ガイのレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 40分(米の水きりを含む) 加熱 1時間15分

スパイスの配合 4人分で計0.3g
  • 白こしょう0.3g

鶏をゆでる

  • 骨つき鶏もも肉(皮つき)1.2kg(4本)
  • 塩(下処理用。洗い流す)12g(小さじ2)
  • 水2.5L
  • しょうが(皮つきのまま薄切り)30g
  • にんにく(皮をむいてつぶす)20g(4片)
  • パクチーの根(根元の茎を含む)10g(4株分)
  • 塩15g(小さじ2と1/2)
  • 冷水(氷水用)1L
  • 氷500g

鶏の脂

  • 鶏皮100g
  • サラダ油(鶏の脂が30gに満たないときに足す)0〜10g

ご飯(カーオ・マン)

  • ジャスミンライス(タイの香り米)(Amazon|楽天)400g
  • にんにく(みじん切り)15g(3片)
  • しょうが(みじん切り)10g
  • 鶏のゆで汁520ml
  • パンダンリーフ(生か冷凍。乾燥品なら2g)(Amazon)2枚
  • 塩4g(小さじ2/3)
  • 砂糖3g(小さじ1)

スープ

  • 鶏のゆで汁800ml
  • 冬瓜(皮と種を除いた重さ)300g
  • 塩2g(小さじ1/3)
  • 白こしょう(パウダー)(Amazon|楽天)0.3g(小さじ1/8)

タレ(ナム・チム・タオチアオ)

  • タオチアオ(タイの大豆の発酵調味料。豆の粒が残る)(Amazon|楽天)51g(大さじ3)
  • しょうが(みじん切り)20g
  • にんにく(みじん切り)10g(2片)
  • 生の唐辛子(みじん切り)(タイのプリック・キーヌー)(Amazon|楽天)5g(4本)
  • 酢(穀物酢)22.5ml(大さじ1と1/2)
  • 砂糖13g(大さじ1と1/2)
  • シーイウ・ダム(タイの甘みのある黒い醤油)(Amazon|楽天)12g(小さじ2)
  • 鶏のゆで汁30ml(大さじ2)

添え物

  • きゅうり100g(1本)
  • パクチー(コリアンダーの葉)10g

道具

  • 温度計(肉に刺して測れるもの)(Amazon|楽天)
  • 大きめの鍋(容量4L以上)
  • 厚手の鍋(ふたつき・直径18〜20cm。ご飯を炊く)

作り方

  1. 鶏の下処理をする

    鶏もも肉1.2kgの皮からはみ出した黄色い脂を切り取り、鶏皮100gと一緒にしておく。鶏肉に下処理用の塩12gをすり込んで10分おき、水でよく洗い流して、表面のぬめりと臭みを落とす。

  2. 米を洗う

    ジャスミンライス400gを水で2〜3回洗い、ざるに上げて30分おき、水けをよく切る。

  3. 鶏をゆでる

    大きめの鍋に水2.5L、しょうが30g、にんにく20g、パクチーの根10g、塩15gを入れ、強火で沸かす。鶏肉を入れて完全に沈め、再び鍋のふちに小さな泡が立ってきたら弱火にする。表面が静かに揺れ、鍋底からときどき小さな泡が上がる程度(85〜90℃)を保ち、ぐらぐら沸かさないようにして25〜30分ゆでる。浮いてきたアクはすくう。

  4. 中心温度を確かめる

    いちばん大きい1本を取り出し、骨に沿った最も厚いところに温度計を刺して、75℃以上になっていることを確かめる。75℃に届かないときは鍋に戻して5分ずつゆで、そのつど測る。温度計がないときは、最も厚いところを骨まで切って、出てくる汁が透明で、身にピンク色が残っていないことを確かめる。

  5. 氷水で冷やす

    ボウルに冷水1Lと氷500gを入れておく。鶏肉を引き上げて氷水に5分浸し、網やざるにのせて水けを切る。ゆで汁はざるでこし、ご飯用に520ml、スープ用に800ml、タレ用に30mlを取り分ける。

  6. 鶏の脂をとる

    鶏をゆでている間に進めてよい。厚手の鍋に鶏皮と切り取った脂を入れ、弱めの中火で10〜15分、ときどき返しながら、脂が出て皮がきつね色に縮むまで焼く。皮を取り出し、鍋に残った脂を計って30gにする。多いときは取り分け、足りないときはサラダ油を足して30gにする。

  7. 米を炒める

    鍋の脂を中火で温め、にんにく(みじん切り)15gとしょうが(みじん切り)10gを入れて、色づく直前まで30秒〜1分炒める。米を加え(水けが残っていると油がはねるので、よく切っておく)、底から返しながら2〜3分、粒の表面が白っぽくなり、全体に脂が回るまで炒める。

  8. ご飯を炊く

    鶏のゆで汁520ml、塩4g、砂糖3g、結んだパンダンリーフ2枚を加え、中火で煮立てる。底から一度大きく混ぜ、ふたをして弱火で15分炊く。火を止め、ふたをしたまま10分蒸らす。パンダンリーフを取り出し、鍋底にたまった脂をご飯全体に混ぜる。

  9. スープを作る

    冬瓜300gを3cm角に切る。小鍋に鶏のゆで汁800mlと冬瓜を入れて中火にかけ、煮立ったら弱火にして10〜15分、冬瓜が透き通ってやわらかくなるまで煮る。塩2gと白こしょう0.3gで味を調える。

  10. タレを作る

    ボウルにタオチアオ51g、しょうが(みじん切り)20g、にんにく(みじん切り)10g、生の唐辛子5g、酢22.5ml、砂糖13g、シーイウ・ダム12g、鶏のゆで汁30mlを入れ、砂糖が溶けるまで混ぜる。4つの小皿に分ける。

  11. 切って盛りつける

    鶏肉を骨ごと、または骨を外して1.5cm幅に切る。きゅうり100gは斜め薄切りにする。皿にご飯を盛って鶏肉をのせ、きゅうりとパクチー10gを添える。スープとタレを添えて出す。

鶏肉にタレをつけ、ご飯と交互に食べます。スープは、合間に飲んで口を整えます。

料理科学:鶏を沸騰させずにゆでる理由

ぐらぐら沸かさない

湯をぐらぐらと沸騰させてゆでると、鶏の外側は100℃近い湯にさらされ続け、中心に火が通るころには、外側の身が硬くなりがちです。この記事では、湯を85〜90℃に保って静かにゆで、中心温度を測って火の通りを確かめます。

タイの新聞クルンテープ・トゥラキットの記事は、1970年からカーオ・マン・ガイだけを売るバンコクの店を取り上げ、湯を激しく沸かさないことを海南式のゆで方として紹介しています。店主も、湯を沸かしすぎないようにと話しています。英語版ウィキペディアも、沸騰させない温度でゆでると書いています。

ゆで汁はご飯とスープにも使います。ぐらぐら沸かすとゆで汁が濁りやすいので、静かにゆでて、浮いてきたアクをすくいます。

氷水で冷やす理由

ゆで上がった鶏をすぐ氷水に入れると、余熱で火が通り続けるのを止められます。英語版ウィキペディアは、氷で冷やして皮をゼリーのような食感にすると書いています。

ただし、氷水を使わない店もあります。上で触れたバンコクの店の店主は、ゆでたあと氷水で締めない作り方だと話しています。

中心温度は75℃以上

鶏肉はカンピロバクターなどの食中毒菌がついていることがあります。日本の厚生労働省は、肉の中心部を75℃で1分間以上加熱することを目安にしています。手順4で、骨に沿った最も厚いところを測るのはそのためです。骨のきわは最後に火が通る場所です。

鶏の脂で米を炒めてから炊く理由

米に脂と香りをまとわせる

ハートヤイの論文は、にんにくを脂で炒めてから米を入れ、米に油と香りをまとわせてから、ゆで汁で炊くと説明しています。カーオ・マン・ガイの「マン(脂)」は、この鶏の脂のことです。この記事で参照したタイ語の情報源では、ハートヤイの論文と、レシピやコラムの4件が、にんにくなどを脂で炒めて米を加えてから炊いています。一方で、炒めずに炊く作り方もあります。マティチョン・オンラインのコラムで、食について書くクリット・ルアラマイは、昔からの家庭のレシピを集めた2014年刊の本にある海南式として、脂を使わず、炒めずにスープだけで炊く作り方を紹介しています。

パンダンの葉を入れる

この記事で参照したタイ語のレシピでは、Shopee のブログのレシピが、パンダンの葉を入れて炊いています。英語版ウィキペディアも、パンダンの葉を入れて炊くと書いています。香りづけのためのもので、入れなくても作れます。

古いジャスミンライスを使う

この記事で参照したタイ語のレシピのうち2件は、新米ではなく、収穫から時間のたった「古い」ジャスミンライスを使っています。ハートヤイの論文も、古い米や、ある程度時間のたった米が炊くのに向くとしています。

地域による違い

  • タイとシンガポール:ミシュランガイドのタイ語版の記事によると、鶏とご飯の作り方は似ていて、おもな違いはタレです。シンガポールでは酸味のあるチリソース、刻んだしょうが、とろみのある黒い醤油を添え、タイではタオチアオのタレを添えます。同じ記事によると、タイでは鶏の内臓や血を添えることもあります。英語版ウィキペディアは、鶏の血を固めたものを添えることがあると書いています。
  • ハートヤイの海南系の店:去勢した大きな雄鶏を丸ごとゆで、ゆでる途中で1〜2回引き上げて、腹の中の湯を出し、内側と外側の温度をそろえる、と先の論文は伝えています。
  • スープ:この記事では冬瓜を煮ています。タイ語のレシピには、鶏をゆでる湯に大根を入れるものもあります。ハートヤイの論文によると、ゆで汁に鶏のあばら骨を加えてスープをとる店があり、冬瓜を入れる店も、鶏だけでとる店もあります。

丸鶏で作るとき

丸鶏1.3〜1.5kgを使うときは、水を3.5L、ゆでるための塩を21gにします。腹の中にしょうがとにんにくを入れ、胸を下にして湯に沈めます。85〜90℃を保って40〜50分ゆで、途中で一度引き上げて腹の中の湯を出します。中心温度は、ももの付け根の最も厚いところで測ります。

炊飯器で炊くとき

手順7で米を炒めたら、炊飯器の内釜に移し、鶏のゆで汁を480mlに減らして、塩4g、砂糖3g、パンダンリーフ2枚を加えて普通に炊きます。鍋で炊くより水分が蒸発しにくいため、ゆで汁を減らします。

手に入りにくい材料の代用

  • ジャスミンライス:日本の米400gで代用できます。手順8で加える鶏のゆで汁は450mlにします。粘りが強く、粒の立ち方は弱くなります。
  • タオチアオ:中国の黄豆醤(大豆のみそ)を同じ量使えます。手に入らないときは、淡色の米みそ45gで代用します。豆の粒の食感はなくなります。
  • シーイウ・ダム:たまり醤油10mlと黒砂糖3gを混ぜて代用できます。
  • 生の唐辛子(プリック・キーヌー):日本の生の青唐辛子5gで代用できます。辛さは穏やかになります。
  • パクチーの根:パクチー(コリアンダーの葉)の茎10gで代用できます。
  • パンダンリーフ:入れずに炊いてもかまいません。香りは弱くなります。
  • 冬瓜:大根300gで代用できます。手順9で、やわらかくなるまで15〜20分煮ます。
  • 鶏皮:手に入らないときは、サラダ油30gで炒めます。鶏の香りは弱くなります。

保存

  • 鶏肉とご飯:別々の保存容器に入れて冷蔵で2日。ご飯は電子レンジで温め直します
  • ゆで汁:残ったものは冷凍で1か月
  • タレ:生のにんにくと唐辛子が入っているので、冷蔵で3日

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もっと知りたい人へ

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。