マサーレ・ドーセ日本では「マサラドーサ」ともMasale Dose レシピ
ಮಸಾಲೆ ದೋಸೆマサーレ・ドーセ

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マサーレ・ドーセは、米とウラド豆の生地をひと晩発酵させて薄くパリッと焼き、スパイスで炒めたじゃがいもを包んだ南インドの料理です。南インドでは朝食の定番で、ココナッツのチャトニやサーンバールを添えて食べます。
生地は米と豆を水に浸してから挽いて作ります。カルナータカ州ウドゥピ出身の書き手による料理サイト「ヘッバールズ・キッチン」は、生地を挽く電動のグラインダーがなければ、家庭のミキサーで作れるとしています。ここではその配合をもとに、日本の家庭のミキサーと室温で作れるように、挽き方と発酵時間の目安をまとめました。
マサーレ・ドーセとは
カンナダ語では「マサーレ・ドーセ」(ಮಸಾಲೆ ದೋಸೆ)と呼びます。ヘッバールズ・キッチンのカンナダ語のレシピのように「マサーラ・ドーセ」(ಮಸಾಲ ದೋಸೆ)と書くこともあります。タミル語では「マサーラー・ドーサイ」(மசாலா தோசை)、英語では「マサラ・ドーサ」(Masala Dosa)と呼ばれます。英語版ウィキペディアによると、テルグ語でもドーセと呼ぶほか、「アットゥ」とも呼びます。マサーレはスパイスを合わせたもの(ヒンディー語のマサーラー)のことで、この料理名ではスパイスで調味したじゃがいもの具を指します。
ドーセの歴史
薄焼きのドーセそのものは、マサーレ・ドーセよりずっと古い料理です。英語版ウィキペディアによると、インドの食物史家K・T・アーチャヤは、古代タミルのサンガム文学の記述から、1世紀ごろのタミル地方にはドーセがあったとしています。同じく英語版ウィキペディアによると、今のカルナータカ州を拠点とした12世紀の王ソーメーシュヴァラ3世が編んだサンスクリット語の百科事典『マーナソーッラーサ』にも、ドーセの作り方が載っています。
一方、歴史家のP・タンカッパン・ナーイルは、ドーセはウドゥピで生まれたとしています。ウドゥピはカルナータカ州の沿岸の町です。ウドゥピ式の料理を出す食堂は「ウドゥピ・ホテル」「ウドゥピ・レストラン」と呼ばれ、英語版ウィキペディアによると、1930年代にムンバイにもこうした店ができて、ドーセが伝わりました。
じゃがいもの具が加わったのはいつか
マサーレ・ドーセの発祥には複数の説があります。
ヘッバールズ・キッチンは、ウィキペディアによるとして、マサーレ・ドーセはウドゥピで生まれたとしています。そのうえで、ウドゥピのある食堂がドーセにじゃがいもの具を添えて出し、ココナッツのチャトニを減らし始めたと書いています。当時はココナッツを使う料理が高いとされていた、という説明です。レストランチェーン「アディガス」も自社のサイトで、マサーレ・ドーセは20世紀にウドゥピ地方で生まれたとし、16世紀にポルトガル人がもたらしたじゃがいもが安く腹持ちがよかったことを理由に挙げています。
マドラス(今のチェンナイ)の店と結びつける説もあります。チェンナイの新聞「DTネクスト」に載った歴史家の寄稿によると、ウドゥピ県カダンダレ生まれのK・クリシュナ・ラオは、マドラスのマウント・ロードに「ウドゥピ・スリ・クリシュナ・ヴィラース」を開き、のちにウッドランズのホテルを始めました。この寄稿は、マドラスの人々のマサーレ・ドーセ好きはこの店から始まったとされる、と書いています。英語版ウィキペディアは、ラオを1930年代にマサーレ・ドーセを考案して広めた人物としています。
マサーレ・ドーセのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 17時間30分(浸水5時間と発酵12時間を含む) 加熱 1時間15分
- マスタードシード3.5g
- フェヌグリーク1g
- ターメリック0.8g
- 赤唐辛子0.3g
- ヒング0.3g
生地(12枚分)
じゃがいもの具(12枚分)
- じゃがいも500g(中3〜4個)
- 水(じゃがいもをゆでる用)1.5L
- 植物油26g(大さじ2)
- マスタードシード(ホール)(ブラウンまたはブラック)(Amazon|楽天)3.5g(小さじ1)
- ウラド・ダール(Amazon|楽天)5g(小さじ1)
- チャナー・ダール(Amazon|楽天)5g(小さじ1)
- 赤唐辛子(ホール)(2つにちぎる)(Amazon|楽天)1本(0.3g)
- カレーリーフ(Amazon|楽天)10枚
- ヒング(アサフェティダ)(Amazon|楽天)0.3g(小さじ1/8)
- 青唐辛子(みじん切り)2本
- しょうが(みじん切り)10g
- 玉ねぎ(薄切り)150g(中3/4個)
- ターメリック(パウダー)(Amazon|楽天)0.8g(小さじ1/4)
- 塩6g(小さじ1)
- 水(じゃがいもの具用)50ml
- パクチー(コリアンダーの葉)(みじん切り)5g(大さじ2)
- レモン汁15ml(大さじ1)
焼く(12枚分)
- 植物油(フライパンになじませる用)4.5g(小さじ1)
- 水(フライパンに振る用)(温度の確認に5ml、1枚ごとに5ml(小さじ1))65ml
- 食塩不使用バター(1枚ごとに5g。やわらかくしておく)60g
道具
- ミキサー(容量1L前後の家庭用。容量が足りなければ2回に分けて挽く)
- 鉄のフライパン(直径26cm以上。ドーセ用の鉄板(タワ)があればなおよい)
- 発酵用のボウル(容量3L以上。生地が2倍近くにふくらむため)
- お玉(容量80ml前後)
作り方
米を浸す
ソナ・マスーリ米300gを水を替えながら3回洗う。フェヌグリーク1gと一緒にボウルに入れ、水900mlに5時間浸す。
豆を浸す
米を浸し始めて2時間後に、ウラド・ダール100gとチャナー・ダール20gを水を替えながら3回洗い、水500mlに3時間浸す。これより長く浸すと匂いが出やすくなる。
豆を挽く
豆をざるに上げる(浸し水は捨てずにとっておく)。ミキサーに豆と水150mlを入れ、1分回して30秒〜1分休ませることを繰り返し、合わせて3〜5分挽く。ざらつきがなく、白っぽくふんわりとかさが増えたら発酵用のボウルに移す。ミキサーの容器が温かくなっていたら、長めに休ませる。水150mlは冷水か、とっておいた豆の浸し水を使う。
米を挽く
ポーハー30gをざるに入れ、水をかけてさっと洗う。米をフェヌグリークごとざるに上げ、ポーハーと一緒にミキサーに入れる。水200mlを加え、1分回して30秒休ませることを繰り返して2〜3分挽く。指でつまむと細かい砂のような粒を感じる程度で止める。豆の生地に加え、手でボウルの底から1分ほど混ぜ合わせる。
発酵させる
ラップをふんわりかけて暖かい場所に置く。時間の目安は、室温25〜30℃で8〜12時間、20〜25℃で12〜16時間。室温が20℃を下回るときは、オーブンの発酵機能を30℃にして8〜12時間おく。生地が1.5〜2倍にふくらみ、表面に細かい泡が見え、ほんのり酸っぱい匂いがすれば発酵完了。
塩を加えて濃さを整える
泡をつぶさないように、底からそっと混ぜて塩6gを加える。お玉ですくって落とすと、とろりと太い筋になって流れるのがちょうどよい。固ければ水を15mlずつ、合わせて60mlまで加えて調整する。
じゃがいもをゆでる
じゃがいも500gを皮つきのまま鍋に入れ、水1.5Lを注いで中火にかける。煮立ったら弱めの中火にし、竹串がすっと通るまで20〜25分ゆでる。熱いうちに皮をむき、ところどころにかたまりが残る程度に粗くつぶす。
スパイスを油で炒める
鍋に植物油26gを中火で熱し、マスタードシード3.5gを入れる。パチパチと弾け始めたら(30秒〜1分)、種が飛ぶのでふたを半分かぶせる。弾ける音が落ち着いたら、ウラド・ダール5g、チャナー・ダール5g、赤唐辛子1本、カレーリーフ10枚(油がはねるので注意)、ヒング0.3gを加え、豆がきつね色になるまで30秒〜1分炒める。
じゃがいもの具を仕上げる
青唐辛子2本としょうが10gを加えて30秒炒め、玉ねぎ150gを加えてしんなりするまで3〜4分炒める。ターメリック0.8gと塩6gを加えて混ぜ、つぶしたじゃがいもと水50mlを加える。水けがなくなるまで2〜3分、全体を混ぜながら炒め合わせる。火を止め、パクチー5gとレモン汁15mlを混ぜる。12等分しておく。
フライパンを準備する
換気扇を回す。鉄のフライパンを中火で3〜4分熱し、植物油4.5gを入れて、たたんだキッチンペーパーを菜箸で持って全体に薄くのばし、余分をふき取る。フライパンに振る用の水5mlから数滴をたらし、ジュッと音を立ててすぐ蒸発すれば焼きはじめの温度になっている。
生地を薄く広げる
フライパンに水5mlを振り、すぐに水でぬらしてたたんだキッチンペーパーを菜箸で持ってふき広げる(湯気が上がるので顔を近づけない)。生地を底から軽く混ぜ、お玉1杯(約80ml)をフライパンの中央に流す。すぐにお玉の底で、中心から外へうず巻きを描くように、直径22〜24cmまで薄く広げる。
焼く
中火のまま、バター5gを生地の表面とふちに散らす。裏返さずに2〜3分、裏面がこんがりときつね色になり、ふちがフライパンから浮いてくるまで焼く。
具をのせて巻く
じゃがいもの具を1/12量ずつ生地の中央に一列にのせ、両側から折りたたむ(または半月形に折る)。皿に移してすぐに出す。2枚目からは毎回、火を弱めて30秒おいてから、手順11の水5mlを振ってふく作業から繰り返す。同じように12枚焼く。
焼きたてを手でちぎり、具と一緒にココナッツのチャトニやサーンバール(豆と野菜のスープ)につけて食べます。
料理科学:生地がふくらむのは乳酸菌の発酵
乳酸菌が泡と酸っぱさをつくる
ドーセの生地には、イーストもベーキングパウダーも入れません。生地をふくらませるのは、生地の中で自然に増える乳酸菌です。
1965年に米国の微生物学の学術誌『アプライド・マイクロバイオロジー』に載ったムカルジーらの研究は、ドーセと同じ米とウラド豆の生地を蒸すイドゥリの生地を調べ、ロイコノストック・メセンテロイデスという乳酸菌が生地をふくらませる役目を担っていると報告しました。タミル・ナードゥ農業大学のタミル語のページも、発酵でできる二酸化炭素が生地をスポンジ状にするとしています。乳酸菌の名のとおり、発酵が進むと乳酸もできて、生地はほのかに酸っぱくなります。発酵の終わりを「泡」と「酸っぱい匂い」で見分けるのはこのためです。
菌の働きは温度に左右され、涼しいほどゆっくりになります。インドの料理家のレシピでも、発酵時間はヘッバールズ・キッチンで8〜12時間、スワスティズ・レシピで6〜16時間と幅があり、どちらも寒いときは温かいオーブンに入れるよう勧めています。日本の冬の室温では一晩おいてもふくらまないことがあるので、オーブンの発酵機能を使います。逆に暑い時期に長くおきすぎると、酸っぱくなりすぎます。
ウラド豆を米と分けて挽く理由
生地のふくらみと柔らかさを支えるのはウラド豆です。タミル・ナードゥ農業大学のページは、イドゥリの生地の柔らかさにはウラド豆のたんぱく質(グロブリン)と多糖類(アラビノガラクタン)が関わるとしています。この記事でウラド豆を米と分けて、ふんわりかさが増すまでなめらかに挽くのは、ヘッバールズ・キッチンの挽き方にならい、このウラド豆の働きを生かすためです。
家庭のミキサーは長く回すとモーターと刃の熱で生地が温まります。スワスティズ・レシピは、ミキサーを休ませながら挽いて過熱を防ぐよう書いています。この記事ではさらに、挽く水に冷水を使います。
塩を発酵のあとで加えるのは、ヘッバールズ・キッチンが、塩が発酵を止めるとしているのにならったものです。スワスティズ・レシピも、暑い地域では塩を発酵のあとに加えるよう勧めています。
料理科学:鉄板の温度と打ち水
熱すぎると広がらず、冷たいとパリッとしない
ドーセの生地は、熱い鉄に触れたところからすぐに固まります。テルグ語のテレビ局TV9テルグのレシピは、鉄板が熱すぎると生地を広げにくく、冷たいとパリッと焼けないと注意しています。ヘッバールズ・キッチンも、強火では生地を広げにくいとして中火を勧めています。
1枚ごとに水を振ってふくのは、ヘッバールズ・キッチンやダサナーのレシピにある方法です。水が蒸発するときに鉄板の熱を奪うので、表面の温度が一時的に下がり、生地を薄く広げる時間ができます。2枚目からは鉄板が熱くなりすぎやすいので、毎回この作業を挟みます。
薄く焼くほどパリッと色づく
生地に水分が残っているあいだは、生地の温度は100℃前後にとどまり、焼き色はなかなかつきません。生地を薄く広げると水分が早く抜けて温度が上がり、メイラード反応(アミノ酸と糖が反応して色と香ばしい香りが生まれる反応)で色づいて、パリッと香ばしく焼けます。厚く焼くとやわらかく仕上がるのはこのためです。ヘッバールズ・キッチンは、バターが風味と焼き色をよくするとしています。
地域による違い
- マイスール・マサーレ・ドーセ:カルナータカ州マイスール(英語名マイソール)の名がつく形です。ヘッバールズ・キッチンのレシピでは、チャナー・ダール、カシュミーリー唐辛子、にんにく、玉ねぎ、しょうがで作る赤いチャトニを生地にたっぷり塗ってから、じゃがいもの具をのせます。
- タミル・ナードゥ式:英語版ウィキペディアによると、タミル・ナードゥのドーサイは伝統的にやわらかく厚めで、薄くパリッとした形は今のカルナータカで生まれたとされています。ベンガルール在住の書き手のブログ「チトラズ・フード・ブック」のタミル・ナードゥ式は、イドゥリと兼用の生地で焼き、じゃがいもの具ににんじんを加えることもあるとしています。一部の店ではにんじんの代わりにゆでたグリーンピースを使う、とも書いています。
手に入りにくい材料の代用
- ソナ・マスーリ米:日本のうるち米で代用できます。ソナ・マスーリより粘りのある米なので、焼き上がりの食感は少し変わることがあります。
- ウラド・ダール:生地の泡を支える豆なので、ほかの豆には置き換えられません。インド食材店や通販で「ウラド・ダール」「ウラッド・ダール(スプリット、皮なし)」として売られています。
- チャナー・ダール:生地からは省いても作れます。ヘッバールズ・キッチンのミキサーで作る生地には入っていません。じゃがいもの具のチャナー・ダールも、スワスティズ・レシピでは入れなくてもよい材料です。
- ポーハー:省いても作れます。ヘッバールズ・キッチンは、ポーハーを入れるとドーセがやわらかくなるとしています。
- カレーリーフ、ヒング:代わりになるものはありません。省いて作れます。
- 青唐辛子:日本の青唐辛子で代用できます。手に入らなければ省きます。
- 鉄のフライパン:フッ素樹脂加工のフライパンでも焼けます。その場合は手順10の植物油は使わず、手順10・11・13で水を振る作業もしません。スワスティズ・レシピも、水を振って温度を確かめる方法は鉄のフライパン向けで、フッ素樹脂加工のフライパンでは試さないようにとしています。空のまま長く熱するのも避けます。ダサナーのレシピは、フッ素樹脂加工のフライパンでは、温めたあと火を弱めてから生地を広げるとしています。
保存
- 生地:塩を入れる前の発酵した生地を、保存容器に入れて冷蔵で3〜4日。日がたつほど酸っぱくなり、パリッと焼けにくくなるので、翌日までに使うのがおすすめです。使う分だけ取り分けて、生地1,050gあたり塩6gの割合で塩を加えます。
- 冷凍:塩を入れる前の生地を2週間。冷蔵庫で解凍してから使います
- じゃがいもの具:冷蔵で2日
- 焼いたドーセ:時間がたつとしんなりするので、焼きたてを食べます
南インドのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Hebbar's Kitchen「ಮಸಾಲ ದೋಸೆ ರೆಸಿಪಿ | masala dosa in kannada | ಕ್ರಿಸ್ಪಿ ಮಸಾಲ ದೋಸ」(カンナダ語)
- Hebbar's Kitchen「ದೋಸೆ ಪಾಕವಿಧಾನ | dosa in kannada | ಮಿಕ್ಸಿಯಲ್ಲಿ ದೋಸೆ ಹಿಟ್ಟು」(カンナダ語)
- Hebbar's Kitchen「ಮೈಸೂರು ಮಸಾಲಾ ದೋಸೆ ರೆಸಿಪಿ | mysore masala dosa in kannada」(カンナダ語)
- TNAU Agritech Portal(タミル・ナードゥ農業大学)「அறுவடை பின்சார் தொழில் நுட்பம்」(タミル語)
- TV9 Telugu「Dosa Recipe: పిల్లల కోసం హోటల్ స్టైల్ చీజ్ మసాలా దోస.. ఈ ట్రిక్స్ పాటిస్తే పిజ్జా, బర్గర్లకు గుడ్ బై చెప్పాల్సిందే!」(テルグ語)
- Chitra's Food Book「South Indian Masala Dosa Recipe – Tamil nadu Style Masala Dosa」(英語)
- Dassana's Veg Recipes「Masala Dosa Recipe」(英語)
- Swasthi's Recipes「Masala Dosa Recipe」(英語)
- DT Next「Krishna Rao of Woodlands — Man who took iconic Udupi cuisine to global palate」(英語)
- Adigas「From Batter to Bliss: The Story of Masala Dosa」(英語)
- Applied Microbiology(PubMed)「Role of Leuconostoc mesenteroides in leavening the batter of idli, a fermented food of India」(英語)
- Wikipedia「Masala dosa」(英語)
- Wikipedia「Dosa (food)」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。