ミルチー・カー・サーランMirchi ka Salan レシピ
مرچی کا سالنミルチー・カー・サーラン

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ミルチー・カー・サーランは、大きな青唐辛子を、炒って挽いたピーナッツとごまとココナッツのペーストで煮て、タマリンドで酸味をつけたハイダラーバードの料理です。ナッツのこくに、唐辛子の青い香りと辛み、タマリンドの酸味が重なります。ハイダラーバードでは、ビリヤーニーに添える定番の脇役です。
ここでは、テルグ語の料理サイトとニュースサイトのレシピにならって、唐辛子を先に油で揚げ焼きにし、マスタードシードとカレーリーフで香りを出した油でペーストを炒めてから煮ます。現地の唐辛子が手に入らない日本では、万願寺唐辛子かししとうで作れます。
ミルチー・カー・サーランとは
ウルドゥー語では「ミルチー・カー・サーラン」(مرچی کا سالن)と書きます。ミルチーは唐辛子、カーは「〜の」、サーランは汁気のあるおかずのことです。ウルドゥー語の辞書レフター・ディクショナリーは、サーランを、肉や魚や野菜をスパイスで煮た汁気のある料理で、ローティー(薄焼きパン)と一緒に、またはつけて食べるもの、と説明しています。テルグ語のレシピでも、料理名はそのまま「ミルチー・カー・サーラン」とつづられています。パキスタンの新聞ジャングのウルドゥー語の記事は、唐辛子を複数形にした「ミルチョーン・カー・サーラン」という呼び方をしています。
ビリヤーニーに添える脇役
ハイダラーバードでは、ミルチー・カー・サーランはビリヤーニーに添えるものとされています。英語版ウィキペディアは、ヨーグルトのチャトニー(ダヒー・キー・チャトニー)と並んで、ハイダラーバードのビリヤーニーに添えるのがふつうだとしています。結婚式や特別な日に作る料理だとも書いています。
ハイダラーバードの新聞スィヤーサトは、ムスリムの結婚式の献立を紹介した記事で、ミルチー・カー・サーランを、なすの料理「バガーラー・バイガン」と並べて取り上げています。主役ではないものの、これがないとハイダラーバードの結婚式は物足りない、という位置づけです。酸味と辛みとナッツのこくの釣り合いがとれた添え物として、ビリヤーニーと一緒に出されると説明しています。
ニザームの料理か、テルグの料理か
テルグ語の料理サイト、ヴィスマイ・フードの筆者は、この料理はニザーム(ハイダラーバードを治めた藩王)のレシピだと思われている、と書いています。そのうえで、テルグの人たちの味つけに、ニザーム風のテンパリングを合わせたレシピで、テルグの汁物「プルス」によく似ている、という自分の見方を示しています。テンパリングは、熱した油でホールスパイスをはじけさせて、香りを油に移す方法です。同じ筆者は、テランガーナの村では、同じような材料で卵を煮る料理も作られていると紹介しています。参考にしたほかの情報源には、この見方を裏づける記述も、否定する記述も見当たりませんでした。
スィヤーサトの記事は、結婚式の料理の多くがニザームの時代までさかのぼるか、ペルシャやトルコ、ムガルの料理の影響を受けている、と全体についてふれていますが、ミルチー・カー・サーランがいつ、どこで生まれたかは書いていません。
ミルチー・バッジーの唐辛子で
テルグ語のニュースサイト、ETVバーラトのレシピが使う唐辛子は、「バッジー・ミラパカーヤル」です。唐辛子を衣揚げにするミルチー・バッジーに使う、大きな青唐辛子のことです。ヴィスマイ・フードも同じ唐辛子を使い、ジャングの記事は大きくて太い青唐辛子を指定しています。
ミルチー・カー・サーランのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 30分 加熱 45分
- 赤唐辛子5.2g
- コリアンダー5g
- マスタードシード3.5g
- クミン2g
- ターメリック1.5g
- フェヌグリーク1g
- ガラム・マサーラー1g
ペースト
唐辛子
- 大きめの青唐辛子(長さ10〜12cmの太いもの。日本では万願寺唐辛子かししとう(代用の節を参照))250g(10本前後)
- 油(落花生油かサラダ油)45ml(大さじ3)
テンパリング
煮込み
作り方
タマリンドを浸す
タマリンド40gを小さくちぎってボウルに入れ、湯120mlを注いで15分おく。
唐辛子の下ごしらえをする
大きめの青唐辛子250gを洗い、キッチンペーパーで水気を完全にふき取る(水気が残ると、揚げ焼きにするときに油がはねる)。ヘタと先端を残して、縦に1本切り目を入れる。種はそのまま残す。
ペーストの材料を炒る
フライパンを弱火で熱し、油をひかずに材料をひとつずつ炒って、そのつど皿に取り出す。ピーナッツ35gは4〜5分、薄皮に焦げ色の点が出て香ばしくなるまで。コリアンダー5gとクミン1gは一緒に1〜2分、香りが立つまで。白ごま18gとけしの実8gは一緒に1〜2分、ごまがはじけてうっすら色づくまで。最後に乾燥ココナッツ10gを30秒〜1分、薄いきつね色になるまで。ココナッツとごまは焦げやすいので、混ぜ続ける。
玉ねぎを炒める
玉ねぎ100gを薄切りにする。同じフライパンに油15mlを中火で熱し、玉ねぎを8〜10分、きつね色になるまで炒めて、炒った材料の皿に移す。そのまま10分おいて冷ます。
ペーストにする
冷めた材料をハンドブレンダーの容器に入れ、水150mlを加えて、粒が見えなくなるまでなめらかにする。
タマリンドの汁をこす
タマリンドを浸した湯の中でよくもみほぐし、目の細かいざるでこす。ざるに残った筋と種は捨てる。
唐辛子を揚げ焼きにする
フライパンに油45mlを中火で熱し、唐辛子を並べ入れる(油がはねるので、ふたを盾にしながら入れる)。ときどき転がしながら3〜4分、皮のところどころがふくれて白っぽくなるまで焼き、皿に取り出す。油はフライパンに残しておく。
テンパリングをする
残った油を中火で熱し、マスタードシード3.5gを入れて、ふたをしてはじけさせる。はじける音がおさまってきたら、クミン1g、フェヌグリーク1g、赤唐辛子4本を加えて10秒炒め、カレーリーフ15枚を加える(油がはねるので顔を離す)。赤唐辛子から煙が出やすいので換気扇を回す。しょうが10gとにんにく10gを加え、30秒〜1分、生の香りがなくなるまで炒める。
ペーストを炒める
弱火にしてターメリック1.5g、レッドチリパウダー4g、ガラム・マサーラー1gを加え、20秒炒める。ペーストを加え、鍋底から混ぜながら弱めの中火で5分、香ばしい香りになって、縁に油がにじんでくるまで炒める。焦げつきやすいので、へらを止めない。
タマリンドと水で煮る
タマリンドの汁、水300ml、塩7.5gを加えて中火で煮立て、表面に浮いた泡をすくう。弱火にして、ふたをせずに10分煮る。ときどき鍋底から混ぜる。
唐辛子を加えて煮る
唐辛子を加えて煮汁をからめ、ふたをして弱火で8分煮る。ふたを取ってジャガリー3gを加え、さらに2分、表面に油が浮いてくるまで煮て火を止める。
チキン・ビリヤーニーに、ヨーグルトのチャトニーと一緒に添えて食べます。ETVバーラトによれば、ごはんやチャパーティーにも合います。
ペーストの材料を別々に炒る理由
粒の大きさで色づく速さが違う
ピーナッツやごまを炒ると、焼き色と香ばしい香りがつきます。ただ、粒の大きいピーナッツと、小さく薄いごまやココナッツとでは、色づくまでの時間が違います。一緒に炒ると、ピーナッツに火が通るころには、ごまやココナッツが焦げてしまいます。焦げると苦みが出て、ペースト全体の味を損ねます。ヴィスマイ・フードも、材料をひとつずつ弱火で炒り、ココナッツを最後に加えています。炒り終えたものをフライパンに残さず皿に移すのは、余熱で色が進みすぎないようにするためです。
油が浮くまで煮る
読んだテルグ語のレシピ2件は、どちらも表面に油が浮くまで煮ることを目安にしています。ピーナッツやごまは油の多い材料で、煮詰めて水分が減ってくると、ペーストの油が表面ににじみ出てきます。ここまで煮れば、ペーストに火が通っています。
唐辛子の下ごしらえ
種を残すか、取るか
ETVバーラトのレシピは種を取り除き、辛くしたいときは種を残すとしています。インドの料理サイト、ヘッバールズ・キッチン(カンナダ語版)も、辛さを抑えたいときは種を取るとしています。この記事では、辛みの弱い日本の唐辛子で作ることを考えて、種を残しています。辛さを抑えたいときは、切り目から小さじの柄を入れて、種と白いわたをかき出します。
先に揚げ焼きにして取り出す
唐辛子を油で焼くと、皮のところどころがふくれて白っぽくなり、表面に焼き色と焼いた香りがつきます。ETVバーラトとヘッバールズ・キッチンのレシピも、唐辛子は先に油で焼いてから取り出し、タマリンドを加えるときに煮汁へ戻しています。
縦に切り目を入れておくのは、ヴィスマイ・フードやヘッバールズ・キッチンと同じです。切り目から中の蒸気が抜けるので、焼いているあいだに唐辛子がはじけて油が飛ぶのを防げます。
地域や家庭による違い
- ペーストの材料:ヴィスマイ・フードとジャングの記事はけしの実を入れ、ETVバーラトと料理家サンジーヴ・カプールのレシピは入れません。ヴィスマイ・フードは、けしの実がなければピーナッツとごまを増やせばよい、としています。
- 玉ねぎ:ヴィスマイ・フードは玉ねぎを使いません。ETVバーラトは、きつね色に炒めた玉ねぎをペーストと一緒に挽きます。サンジーヴ・カプールはすりおろした玉ねぎを炒めます。この記事はETVバーラトの方法にしています。
- 北インドの作り方:ヴィスマイ・フードによれば、北インドではカロンジー(ニゲラ。黒くて小さい種)を入れ、ジャガリーとカレーリーフは使いません。ジャングの記事も、カロンジーを入れています。
- 唐辛子に詰め物をする:ジャングの記事では、種を除いた唐辛子に、クミンと塩と酸味の粉を合わせたものを詰めてから揚げます。
- 同じ汁でほかの野菜を:同じペーストで、揚げたなすを煮ればバガーラー・バイガン、オクラならビンディー・カー・サーラン、玉ねぎならピャーズ・カー・サーランになる、とヴィスマイ・フードは書いています。英語版ウィキペディアは、トマトで作るタマーテー・カー・サーランも挙げています。
手に入りにくい材料の代用
- 大きめの青唐辛子:日本では、大きさと形が近い万願寺唐辛子がいちばん向きます。同じ250g(13本前後)を使い、作り方も同じです。万願寺唐辛子はほとんど辛くないので、辛さはレッドチリパウダーと赤唐辛子が頼りになります。現地の辛さに近づけたいときは、手順7で、縦に切り目を入れた青唐辛子(細くて辛いもの)2本を一緒に焼いて加えます。
- ししとう:250g(50本前後)を使います。小さくて皮が薄いので、手順2の切り目は1cmほどで十分です。手順7の揚げ焼きは1〜2分、手順11の煮る時間は、ふたをして弱火で4分、ジャガリーを加えて2分にします。ししとうには、ときどき辛い実が混じります。
- 伏見甘長唐辛子:250gを使います。肉が薄いので、手順11は、ふたをして弱火で5分、ジャガリーを加えて2分にします。
- ピーナッツ:生のものがなければ、無塩の素焼きピーナッツを使い、手順3では1〜2分温めるだけにします。塩味つきのピーナッツは塩加減が変わるので使いません。
- けしの実:製菓材料として売られている白いけしの実でかまいません。手に入らなければ、ヴィスマイ・フードにならって、ピーナッツと白ごまを5gずつ増やします。
- 乾燥ココナッツ:製菓用のココナッツファインを使います。ココナッツミルクパウダーは別のものなので代わりになりません。
- タマリンド:手に入らなければ、レモン汁30mlと水90mlを合わせて、タマリンドの汁の代わりにします。酸味はつきますが、タマリンドの果実らしいこくと色は出ません。
- カレーリーフ:冷凍の生葉が手に入ります。乾燥した葉は香りが弱いので、30枚に増やします。
- ジャガリー:さとうきびなどの汁を煮詰めた、精製しない砂糖です。黒砂糖を同じ量で代用できます。
- 赤唐辛子(ホール):日本の鷹の爪はインドの乾燥唐辛子より辛いものが多いので、2本に減らします。
保存
- 冷蔵:粗熱を取って清潔な保存容器に入れ、3日
- 冷凍:1か月。冷蔵庫で解凍し、水30mlを加えて弱火で温め直します
南インドのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Vismai Food「మిర్చీ కా సాలన్ | హైదరాబాదీ స్పెషల్ మిర్చీ కా సాలన్」(テルグ語)
- Vismai Food「Mirchi Ka Salan | Hyderabadi Mirchi Ka Salan | Biryani Salan」(英語)
- ETV Bharat「హైదరాబాద్ స్టైల్ "మిర్చి కా సాలన్" - అన్నం, చపాతీ, బిర్యానీల్లోకి అద్దిరిపోతుంది!」(テルグ語)
- Jang「حیدرآبادی قورمے، کباب اور مرچوں کا سالن」(ウルドゥー語)
- Hebbar's Kitchen「ಮಿರ್ಚಿ ಕಾ ಸಾಲನ್ ರೆಸಿಪಿ | mirchi ka salan in kannada | ಮಿರ್ಚಿ ಸಾಲನ್」(カンナダ語)
- Sanjeev Kapoor「Mirchi Ka Salan」(英語)
- Siasat Daily「Inside the signature menu of a Hyderabadi Muslim wedding」(英語)
- Rekhta Dictionary「Meaning of saalan in English, Hindi & Urdu」(英語)
- Wikipedia「Mirchi ka salan」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。