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ナーン日本では「ナン」ともNaan レシピ

नानナーン

地域
北インド(パンジャーブ、デリー)
分量
6人分
公開
金属の皿にのせたナーン2枚。焦げ目のついた生地にカロンジーと刻んだパクチーが散り、1枚は裂けて中の気泡が見えている。奥に鉄のフライパン

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ナーンは、小麦粉の生地を発酵させ、タンドゥール(炭火などで熱する壺型の窯)の内側の壁に貼りつけて焼く、北インドやパキスタンのパンです。高い温度で短い時間に焼くので、ところどころが大きく膨らみ、焦げ目のついた香ばしいところと、もちっとした柔らかいところが混ざります。

家庭では、タンドゥールの代わりに鉄のフライパンを十分に熱して焼きます。生地はヨーグルトと牛乳でこね、イーストで発酵させます。読んだヒンディー語のレシピ2件は、どちらもイーストを使わずにベーキングパウダーと重曹で膨らませる作り方でした。その作り方も後半に分量つきで載せています。

ナーンとは

ヒンディー語では「ナーン」(नान)と書きます。英語版ウィキペディアによると、もとはペルシア語でパン全般を指す言葉です。インドのウルドゥー語の詩と文学のサイト、レフターが載せているプラッツの辞書でも、ペルシア語から来た言葉で、意味はパン(ひとかたまりのパン)とされています。

タンドゥールの壁に貼りつけて焼く

インドの料理家サンジーヴ・カプールのレシピでは、丸めた生地を直径15cmほどに広げ、片側を引きのばして三角に近い形にします。それを布のパッドにのせて、熱したタンドゥールの内側の壁に貼りつけ、焼けたら串で外します。この記事でも、片方の端を引きのばしてしずく形にします。

ウルドゥー語のニュースサイト、ウルドゥー・ニューズは、分離独立の前のペシャーワルで、モーティー・マハルのクンダン・ラール・グジュラールがヨーグルトをつけた鶏肉を入れるまで、そのタンドゥールはローティー(パン)を焼くためだけに使われていた、と伝えています。分離独立のあとデリーで開いたモーティー・マハルが、初代首相ネルーの公邸にタンドゥールを据え、店の人がそこでナーンとカバーブを作っていた、という話も紹介しています。パキスタンの新聞ジャングの料理記事は、クルチャ、ナーン、パラーターを、パンジャーブで好まれる食べ物としています。

宮廷のパンから

英語版ウィキペディアは、インド亜大陸でナーンが出てくる最も古い記録は、インド・ペルシアのスーフィー詩人アミール・フスローの書き残したものだとしています。そこでは、軽い、あるいは薄いパンの「ナーネ・トゥヌク」と、タンドゥールで焼く重いパンの「ナーネ・タヌーリー」が書き分けられています。

インドの料理ライター、マドゥリカー・ダーシュは、雑誌『フォーブス・ライフ・インディア』で、フスローの1300年ごろの記録を挙げたうえで、ムガル朝を開いたバーブルがこの平たいパンをペルシアと中央アジアのフェルガナ盆地からインドに持ち込んだ、と書いています。アクバル帝の治世を記録した『アーイーニ・アクバリー』には、アクバルがナーンでカバーブやキーマー(ひき肉)を巻いて食べた話があるとしています。ダーシュによれば、生地にはヨーグルトとイーストからなる「カミール」を加え、一晩おいて発酵させていました。

英語版ウィキペディアは、ムガル朝の1520年代には、発酵させたパンは作るのに時間がかかり、作れる人も少なかったため、ナーンは貴族や王族だけが食べるごちそうだったとしています。1700年代までには、ムガル文化の中心地で一般の人にも広まった、としています。

ナーンのレシピ:材料(6人分)

下ごしらえ 2時間45分(発酵を含む) 加熱 25分

スパイスの配合 6人分で計1.5g
  • カロンジー1.5g

生地

  • 牛乳120ml
  • 砂糖6g(小さじ2)
  • インスタントドライイースト3g(小さじ1)
  • 中力粉(マイダー(インドの精製小麦粉)の代わり)300g
  • 塩4g(小さじ2/3)
  • プレーンヨーグルト(無糖。室温に戻す)100g
  • サラダ油13g(大さじ1)

発酵・成形

  • サラダ油(ボウルに塗る)2g(小さじ1/2)
  • 中力粉(打ち粉)20g
  • カロンジー(ニゲラシード)(Amazon|楽天)1.5g(小さじ1/2)

仕上げ

  • 食塩不使用バター20g

道具

  • 鉄のフライパンかタワー(インドの鉄の平鍋)(直径24〜26cm)(Amazon|楽天)
  • めん棒
  • トング
  • 鍋つかみ
  • 刷毛

作り方

  1. イーストを牛乳に溶かす

    牛乳120mlを35〜40℃(人肌)に温めてボウルに入れる。砂糖6gとインスタントドライイースト3gを加えて混ぜ、10分おく。表面に細かい泡が出ていればよい。牛乳を熱くしすぎない。

  2. 生地をまとめる

    別のボウルに中力粉300gと塩4gを入れて混ぜる。プレーンヨーグルト100gと手順1の牛乳を加え、指先で粉に水分を吸わせるように混ぜて、ひとまとめにする。

  3. こねる

    台に取り出し、手のひらで押しのばしては折りたたむようにして10分こねる。サラダ油13gを3回に分けて加え、そのつど生地にもみ込む。表面がなめらかになり、指で押すとゆっくり戻るくらいになればよい。

  4. 発酵させる

    ボウルの内側にサラダ油2gを塗り、生地を丸めて入れる。ぬれ布巾かラップをかけ、25〜30℃の暖かい場所に1時間半〜2時間おいて、2倍くらいの大きさにする。

  5. 分けて休ませる

    生地を軽く押してガスを抜き、6等分(1個約90g)にして丸める。打ち粉の中力粉20gの一部を台にふって並べ、ぬれ布巾をかけて15分休ませる。

  6. のばす

    台と生地に打ち粉をふり、めん棒で長さ20cm・幅12cm・厚さ5mmほどの楕円にのばす。片方の端を手で引っぱって、しずく形にする。カロンジー1.5gを6等分して表面に散らし、めん棒で軽く押さえる。

  7. フライパンで焼く

    換気扇を回し、鉄のフライパンを強めの中火で3分ほど熱する。生地を1枚のせ、表面に大きな泡がふくらみ、底に焼き色がつくまで1分〜1分半焼く。トングで裏返し、焼き目がつくまで1分焼く。もう一度返し、ふくらんだ部分に焦げ目がつくまで20〜30秒焼く。フライパンと持ち手はとても熱くなるので、鍋つかみを使う。

  8. バターを塗る

    食塩不使用バター20gを溶かし、焼きたてのナーンの表面に刷毛で塗る。残りの5枚も手順7と同じように焼いてバターを塗り、焼けたものは乾いた布巾で包んで冷めないようにする。

バター・チキンやダール・マクニー、パニールのカレーなど、汁けのある北インドのカレーに添え、ちぎってすくうようにして食べます。

こねて、発酵させる理由

こねて、気体を抱え込む生地にする

小麦粉に水分を加えてこねると、グルテンができて、よく伸びる生地になります。発酵で出た気体をこの生地が抱え込むので、生地が膨らみます。手順3で10分こねるのは、そのためです。

イースト(酵母)は、生地の糖を使って気体を出します。手順1で砂糖を入れるのは、イーストがすぐに使える糖を与えるためです。熱すぎる牛乳に入れるとイーストが働かなくなるので、牛乳は人肌までにとどめます。

分けたあと15分休ませる理由

こねたばかりの生地や、丸め直したばかりの生地は、のばしてもゴムのように縮みます。しばらく休ませると、のばしやすくなります。手順5で15分休ませるのは、手順6で薄く、しずく形に引きのばせるようにするためです。手順3で油を後から加えるのは、先に生地をある程度まとめておくためです。

高温で一気に膨らませる

タンドゥールの壁や、十分に熱したフライパンにのせると、生地に一気に熱が入り、中の気体や水分がふくらんで、ところどころが大きく膨らみます。温度が低いと、大きな膨らみができにくくなります。手順7でフライパンを3分ほどしっかり熱してから生地をのせるのはそのためです。生地は5mmほどの厚さにのばします。ヘッバールズ・キッチンも、厚すぎず薄すぎずにのばすよう書いています。

焦げ目の斑点

ナーンの表面にできる茶色や黒の斑点は、高温で生地が色づいたものです。膨らんだ部分が先にフライパンや火に触れて色づくので、全体が均一には焼けず、斑点になります。

膨らませ方の違い:イースト、ヨーグルト、重曹

ナーンを膨らませる方法は、情報源によって違います。

  • イースト:インドの料理家ニシャー・マドゥリカーのレシピはイーストで発酵させます。料理家スワスティ・シュリーカントのレシピは、イーストか、ベーキングパウダーと重曹のどちらかを選べます。ジャングのレシピは、イーストにベーキングパウダーも加えます。ダーシュが書いている昔の作り方は、ヨーグルトとイーストです
  • ベーキングパウダーと重曹:インドの料理サイト、ヘッバールズ・キッチンのヒンディー語版と、ヒンディー語のニュース局アージ・タクのサイトのレシピは、イーストを使わず、ベーキングパウダーと重曹とヨーグルトで膨らませます。ヘッバールズ・キッチンは、ナーンはふつうイーストで作ると書いたうえで、この方法をとっています。カプールのレシピは重曹(手順ではベーキングパウダーも)とヨーグルトを使い、卵も加えます

重曹とベーキングパウダーは、生地の水分やヨーグルトの酸、焼くときの熱で気体を出すので、時間をかけて発酵させなくても膨らみます。そのぶん早く作れますが、イーストが作る発酵の香りはつきません。

イーストを使わない作り方

  1. 中力粉300g、塩3g(小さじ1/2)、砂糖6g(小さじ2)、ベーキングパウダー3g(小さじ3/4)、重曹1.2g(小さじ1/4)をボウルに入れて混ぜます。重曹とベーキングパウダーにはナトリウムが含まれるので、塩はイーストの場合より1g減らしています
  2. プレーンヨーグルト100gと、35〜40℃に温めた牛乳120mlを加えてまとめ、手順3と同じようにこねて、サラダ油13gをもみ込みます
  3. 手順4と同じようにボウルに入れて、暖かい場所で1時間休ませます。イーストの生地のように2倍にはなりません
  4. 手順5から同じように分けて、のばして焼きます

オーブンで焼く

カプールのレシピは、タンドゥールがなければ200℃のオーブンで焼くとしています。この記事では、上の「高温で一気に膨らませる」の理由から、家庭のオーブンの最高温度で焼きます。

  1. 天板を裏返してオーブンの上段に入れ、最高温度(250℃前後)で20分以上予熱します
  2. 手順6でのばした生地を、オーブンシートにのせます
  3. 鍋つかみをして天板を引き出し、生地をシートごと天板にすべらせてのせます。2枚まで並べられます
  4. 4〜6分、大きく膨らんで、ところどころに焦げ目がつくまで焼きます。焼けたら手順8と同じようにバターを塗ります

直火で仕上げる(タワーを返す方法)

ヘッバールズ・キッチンとアージ・タクのレシピは、インドの家庭の鉄の平鍋「タワー」を使い、次のように焼きます。ガスの火で、鉄のフライパンかタワーを使うときだけできる方法です。IH ではできません。換気扇を回して行います。フッ素樹脂加工のフライパンは使えません。ヘッバールズ・キッチンは、裏返すときに生地がすべり落ちるため、アージ・タクは、生地がうまく貼りつかないためとしています。

  1. 手順6でのばした生地の裏側(カロンジーのない面)に、刷毛で水を薄く塗ります(6枚で水15mlほど)
  2. 十分に熱したフライパンに、水を塗った面を下にしてのせ、手で軽く押さえて貼りつけます
  3. 1分ほどして表面に泡が出たら、鍋つかみをしてフライパンを裏返し、ナーンの表面を直接ガスの火にかざします。フライパンを動かしながら、全体に焦げ目がつくまで30秒〜1分あぶります
  4. へらで生地をはがして取り出し、バターを塗ります

ガーリック・ナーン

スワスティ・シュリーカントのレシピにならい、手順6でカロンジーを散らすときに、にんにく(みじん切り)15g(3かけ)とパクチー(コリアンダーの葉、みじん切り)5gも6等分して散らし、めん棒で押さえてから焼きます。塩は変えません。

手に入りにくい材料の代用

  • カロンジー(ニゲラシード):黒くて小さな、ほろ苦い種です。手に入らなければ省きます。ジャングのレシピのようにごま1.5gを散らすこともできますが、香りは別のものになります。
  • 中力粉:マイダー(インドの精製小麦粉)に近い粉として使っています。強力粉150gと薄力粉150gを混ぜて代用できます。打ち粉も同じものを使います。

保存

  • 常温:焼いた当日中。乾かないように布巾かラップで包みます
  • 冷凍:1枚ずつラップで包んで1か月。凍ったまま、熱したフライパンで両面を30秒〜1分ずつ温めます
  • 生地:手順4の発酵を冷蔵庫で一晩(8〜12時間)にしてもよい。焼く1時間前に冷蔵庫から出して室温に戻し、手順5から続けます

北インドのほかのレシピ

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。