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パット・ガパオ・ガイ日本では「ガパオライス」ともPad Krapao Gai レシピ

ผัดกะเพราไก่パット・ガパオ・ガイ

地域
タイ(タイ各地)
分量
2人分
公開
青い縁のほうろうの皿に盛ったパット・ガパオ・ガイとご飯。刻んだ鶏肉がガパオの葉と赤唐辛子と炒め合わされ、ご飯に縁のかりっとした目玉焼きがのっている。奥にプリック・ナンプラー

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パット・ガパオ・ガイは、刻んだ鶏肉をにんにくと唐辛子で炒め、ガパオ(ホーリーバジル)の葉を加えるタイの炒め物です。ご飯にのせ、縁のかりっとした目玉焼きを添えて食べます。日本では「ガパオライス」の名で知られています。

ここでは、もも肉を包丁で粗く刻み、強火で手早く炒めて、ガパオは火を止めてから加えます。味つけはオイスターソースとナンプラー、タイの醤油2種類です。タイ出身の料理家パイリン・チョンチットナンのレシピとほぼ同じ組み合わせです。ささげや玉ねぎを入れる作り方と、オイスターソースを使わない古い作り方も、後半で紹介します。

パット・ガパオ・ガイとは

タイ語では「ผัดกะเพราไก่」と書きます。パットは「炒める」、ガパオはホーリーバジル、ガイは「鶏」です。ご飯にのせて目玉焼きを添えた一皿は、「カーオ・ガパオ・ガイ・カイダーオ」と注文します。カーオは「ご飯」、カイダーオは「星の卵」という意味で、目玉焼きのことです。

1953年のラジオ番組や1970年のレシピ集では、肉の名前を先にした「ガイ・パット・ガパオ(鶏のガパオ炒め)」の形の名前で載っています。タイの歴史・文化の雑誌『シンラパ・ワッタナタム』の記事の見出しには、「パット・プリック・バイ・ガパオ(唐辛子とガパオの葉の炒め物)」という呼び名も出てきます。

新しい料理とされるガパオ炒め

ガパオという植物そのものは、古くからタイで使われてきました。『シンラパ・ワッタナタム』で食文化について書いているクリット・ルアラマイは、ガパオに触れたおそらく最も古い記録として、1687年にアユタヤを訪れたフランスの使節ラ・ルーベールの記録を挙げています。香りのよい野菜の一つとして書かれているそうです。

一方で、炒め物としてのガパオは新しい料理だとされています。クリットは、古い料理書を調べてもこの炒め物の作り方は見つからなかったとして、世に出てから100年はたっていないと書いています。また、プラユーン・ウルチャーダが1988年の本で、ガパオと唐辛子の炒め物が流行りだしたのは30年あまり前からだと書いていることを紹介しています。プラユーンによると、それまでガパオは、おもにパット・ペット(汁けの少ない辛い炒め煮)やゲーン・パー(森のカレー)に入れていたといいます。プラユーンは、この炒め物は中国系の人がタイの料理を手直ししたもので、もとの作り方には豆みそも入っていた、としています。

1950年代のラジオ番組のレシピ

同じ雑誌の2025年の記事は、モム・ルアン・ティウ・チョンラマークピチャーンのレシピを紹介しています。ティウは1954年に王の食事をつかさどる役職の長になった人で、1952年に宮中に開かれたラジオ局の料理番組で、料理の知識を伝えていました。1953〜1954年の放送の原稿をまとめた本(ティウの葬儀の記念本)に、1953年9月22日放送の鶏のガパオ炒めと、1954年2月7日放送の牛肉のガパオ炒めが収められています。記事は、牛肉のレシピを、文字で残る最も古いガパオ炒めの作り方と言えるとしています。

記事が紹介する牛肉のレシピは、にんにくを塩とこしょうと一緒につき、2種類の唐辛子とガパオの花を加えて軽くつぶし、ラードで炒めてから肉を入れ、ナンプラーと砂糖で味をつけて、最後にガパオの葉を加えるものです。オイスターソースも醤油も使いません。クリットは、砂糖やオイスターソース、ナムプリックパオ(唐辛子の甘辛い練り調味料)をたっぷり使う作り方は、おそらく最近になってからのものだろうとしています。

ピブーン政権の料理コンテストの話

ネットでは、1947年ごろ、ピブーンソンクラーム首相の時代に開かれた料理コンテストで、パッタイに次ぐ評価を受けたのがガパオ炒めの始まりだ、という話も広まっています。この話を紹介したタイのビジネス情報サイト「センターン・セーティー」の記事(LINE TODAYに掲載)は、2019年の掲示板Pantipへの投稿をもとにしていて、本や記録は挙げていません。

タイのニュースサイトSanookの2024年の記事は、ラーマ7世の時代(1925〜1935年)ごろ、中国系の人が注文に応じて料理を作る店で売り出したのが始まりではないか、と書いています。

目玉焼きをのせるのは

目玉焼きをのせる食べ方について、クリットは『シンラパ・ワッタナタム』の記事で、注文料理の店でよく見られるものとして触れ、子どものころの思い出として、目玉焼きを1個のせて小皿のプリック・ナンプラー(刻んだ唐辛子入りのナンプラー)と食べたことを書いています。ただ、その記事でクリットが紹介している古いレシピの材料には、卵は入っていません。クリットが2018年にタイの新聞マティチョンのサイトに書いた海鮮のガパオ炒めでは、ご飯にのせて、縁をかりっと焼いたアヒルの卵の目玉焼きを添えています。

パット・ガパオ・ガイのレシピ:材料(2人分)

下ごしらえ 20分 加熱 15分

鶏肉と香味

  • 鶏もも肉(皮なし・骨なし。包丁で粗く刻む)300g
  • にんにく20g(4片)
  • 生の赤唐辛子(タイの小さな唐辛子(プリック・キーヌー)。辛さを抑えるときは4本にする)(Amazon|楽天)8本(4g)
  • サラダ油26g(大さじ2)

合わせ調味料

  • オイスターソース18g(大さじ1)
  • ナンプラー(Amazon|楽天)10ml(小さじ2)
  • シーイウ・カーオ(タイの薄口の醤油)(Amazon|楽天)10ml(小さじ2)
  • シーイウ・ダム(タイの甘みのある黒い醤油)(Amazon|楽天)5ml(小さじ1)
  • 砂糖4.5g(小さじ1と1/2)
  • 水30ml(大さじ2)

ガパオ

  • ガパオの葉(ホーリーバジル。茎から摘んだ葉の重さ)(Amazon|楽天)30g

目玉焼き(カイダーオ)

  • 卵2個
  • サラダ油(揚げ焼き用)150ml

盛りつけ

  • ジャスミンライス(炊いたもの)(タイの香り米)(Amazon|楽天)400g

道具

  • 石臼(タイのクロック。すり鉢や包丁でたたいてもよい)(楽天)
  • 中華鍋(直径26cm以上のフライパンでもよい)
  • 小さなフライパン(直径16〜18cm。目玉焼き用)
  • 網じゃくし(穴あきのお玉でもよい)

作り方

  1. 鶏肉を刻む

    鶏もも肉300gは余分な脂と筋を除き、1cm角に切る。包丁で全体を粗く刻み、米粒からあずき大の粒が残るくらいにする。

  2. 合わせ調味料を作る

    小さな器にオイスターソース18g、ナンプラー10ml、シーイウ・カーオ10ml、シーイウ・ダム5ml、砂糖4.5g、水30mlを入れ、砂糖が溶けるまで混ぜる。

  3. 唐辛子とにんにくをつぶす

    石臼に生の赤唐辛子8本を入れて粗くつき、皮をむいたにんにく20gを加えて、粒が残る粗いペーストにする。ガパオの葉30gは茎から摘んで洗い、キッチンペーパーで水けをしっかりふく。

  4. 目玉焼きを揚げ焼きにする

    卵2個は1個ずつ小さな器に割る。小さなフライパンにサラダ油150mlを入れ、強めの中火で熱する。菜箸を入れて細かい泡が勢いよく出るようになったら、器を油面に近づけて卵1個を静かに入れる。油が大きくはねるので、顔と手を離し、ふたを盾のように構える。お玉で油を白身にかけながら1分30秒〜2分、白身の縁がきつね色に縮れてかりっとするまで揚げ焼きにし、網じゃくしで取り出して油をきる。残りの卵も同じように焼く。焼き終えたら火を止め、油は冷めるまでフライパンごとコンロの奥に置いておく。

  5. 唐辛子とにんにくを炒める

    換気扇を強にする。中華鍋にサラダ油26gを入れて中火で熱し、つぶした唐辛子とにんにくを入れて、にんにくが薄く色づくまで20〜30秒炒める。唐辛子から目や喉を刺激する煙が立つので、鍋の上に顔を出さない。

  6. 鶏肉を炒める

    強火にして鶏肉を加え、鍋に広げて30秒ほど動かさずに焼く。ほぐしながら1〜2分炒め、肉の色がほぼ白くなったら合わせ調味料を加える。汁けがほとんどなくなり、つやが出るまで2〜3分炒める。大きめの塊を1つ割って、中までピンク色の部分がなく、出る汁が透明なら火が通っている。

  7. ガパオを加える

    火を止めてガパオの葉30gを加え、鍋の余熱で20〜30秒、葉がしんなりするまで混ぜる。

  8. 盛りつける

    器にジャスミンライスを200gずつ盛り、炒めたものを半量ずつのせ、目玉焼きを1個ずつ添える。

目玉焼きの黄身をくずして、炒め物とご飯に混ぜながら食べます。炒め物の味は、ご飯と一緒に食べてちょうどよい濃さにしています。タイでは、プリック・ナンプラーを卓上に置き、各自で足すこともあります。

料理科学:ガパオを火を止めてから加える理由

ガパオとホーラパーは、香りの成分が違う

ガパオ(Ocimum tenuiflorum)と、タイのスイートバジルのホーラパー(Ocimum basilicum)は、同じメボウキ属の別の種です。『シンラパ・ワッタナタム』の記事は、ガパオのほうが香りが強く鋭いこと、葉や茎に細かい毛があり、ホーラパーにはないことを見分け方に挙げています。タイの農業局の資料では、ガパオには茎と葉が緑で白い花の「白いガパオ」と、茎と葉が紫色でピンクがかった紫の花をつける「赤いガパオ」があります。

チェンマイ大学などの研究者が2018年に学術誌『Foods』に発表した論文は、タイでよく使われるバジル5種類の精油(香りの成分を集めた油)を分析しました。この論文では、ガパオは赤も白も、メチルオイゲノールがいちばん多い成分でした。赤いガパオにはβ-カリオフィレンも多く含まれていました。ホーラパーは、アニスに似た香りのエストラゴールと、レモンのような香りのゲラニアールとネラールが中心です。人が精油の香りをかいで評価した結果では、論文はガパオの赤と白が「木のような香り」が最も強かったとしています。ホーラパーは「ハーブ」の香りが5種類の中で最も強く、「柑橘」の香りも強く評価されました。ガパオの代わりにホーラパーで作ると香りが大きく変わるのは、こうした成分の違いによると考えられます。

香りを残すために、火を止めてから

ガパオの香りは、長く加熱すると弱まります。この記事では火を止めてからガパオを入れ、鍋の余熱で葉をしんなりさせます。シェフ・トン(ミシュランガイドで紹介されたバンコクのレストラン「バーン」のシェフ)のレシピも、ガパオは最後に加えてすぐに火を止めます。Hot Thai Kitchenのレシピも、鍋を火から下ろしてからガパオを加えます。

にんにくと唐辛子を石臼でつぶす

タイの料理サイトPholfoodmafiaの鶏のガパオ炒め2本と、1954年のラジオ番組のレシピは、にんにくと唐辛子をついてから炒めます。つぶしておくと、短い炒め時間でも香りが立ちます。辛さを抑えたいときは、唐辛子の本数を減らします。

料理科学:強火で、2人分ずつ炒める理由

肉の水分が出ると、焼き色がつかない

肉に焼き色と香ばしさがつくのは、メイラード反応によるものです。鍋に一度にたくさんの肉を入れると、鍋の温度が下がり、肉から出た水分がたまります。水分がある限り、温度は100℃前後までしか上がりません。肉は煮えたようになり、炒め物の香ばしさが出ません。家庭のコンロは火力に限りがあるので、一度に炒めるのは鶏肉300gまでにします。4人分作るときは、2回に分けて炒めます。肉を入れて30秒ほど動かさないのも、鍋に触れた面に焼き色をつけるためです。

目玉焼きを多めの油で揚げ焼きにする理由

熱い油に水分の多いものを入れると、水分が一気に蒸気になって泡立ちます。卵の白身は水分が多いので、熱い油に入れると縁が泡立ちながら乾いて、色づいてかりっとします。Hot Thai Kitchenのレシピも、小さなフライパンに深さ約1cmの油を入れ、よく熱してから卵を入れ、縁が色づいて泡立つまで焼きます。

同じ理由で、油は大きくはねます。卵は器に割ってから油面の近くで静かに入れ、ガパオの葉の水けもよくふいておきます。タイ語のレシピには、白身だけを先に入れ、固まり始めたら黄身を中央にのせるやり方もあります。白身はしっかり揚がり、黄身はとろりと残ります。

ささげや玉ねぎを入れるか

ガパオ炒めにささげ(タイのトゥア・ファックヤーオ。ジュウロクササゲとも呼ばれる、さやの長い豆)を入れるかどうかは、タイでも話題になります。Sanookは2024年に「ささげを入れるべきか」をテーマにした記事を出しています。記事は、どちらが正しいかの結論は出していません。玉ねぎについては、読んだタイ語の資料に論争として取り上げたものはありませんでしたが、入れるレシピと入れないレシピがあります。

  • 入れるという資料:Sanookの記事と、クリットの『シンラパ・ワッタナタム』の記事に2021年に加えられた追記は、1970年の葬儀の記念本(タイでは故人をしのんでレシピ集を配ることがあります)に、1インチ(約2.5cm)に切ったささげを入れる鶏のガパオ炒めがあることを紹介しています。追記は、この本をフェイスブックのページが見つけたものとして紹介しています。パイリンのサイトHot Thai Kitchenのレシピは、ささげと玉ねぎの両方を入れます。料理サイトPholfoodmafiaに載っているナクン・カウィンラットの豚肉のガパオ炒めは、ささげにヤングコーンとにんじんまで入れます。
  • 入れないという資料:1954年のラジオ番組のレシピ、Pholfoodmafiaを運営するタイの料理家ポン・タンタサティエンの鶏のガパオ炒め2本、シェフ・トンのレシピには、ささげも玉ねぎも入りません。クリットによると、1976年の料理書では、牛肉のガパオ炒めをご飯と炒め合わせ、生のささげを添えて食べます。
  • 玉ねぎ:クリットは、2006年に出た宮廷料理の本に、牛肉を玉ねぎと炒めてホーラパーを入れる料理があることを紹介しています。ガパオではなくホーラパーを使う、似た別の料理です。

ささげと玉ねぎを入れるときは、パイリンのレシピの量にならって、ささげ50gを3cm長さに、玉ねぎ50gを1cm角に切り、手順6で合わせ調味料を加えたあとに入れて、鶏肉と一緒に火を通します。日本ではささげの代わりにさやいんげんを使えます。調味料の量は変えません。

家庭による違い

  • ナンプラーと砂糖だけで味をつける:Pholfoodmafiaの「おばあちゃんのガパオ炒め」は、オイスターソースもタイの醤油も使いません。大きな唐辛子を塩と一緒につき、にんにくとガランガル、パクチーの根を加えたペーストで炒め、ナンプラーと砂糖で味をつけます。1954年のラジオ番組のレシピも、ナンプラーと砂糖と塩で味をつけます。
  • ガパオの選び方:クリットはマティチョンの記事で、スーパーで売っている葉の大きな柔らかいものより、葉が小さく厚みがあり、茎が紫がかった香りの強いものを好むと書いています。また『シンラパ・ワッタナタム』の記事では、自分の経験では赤いガパオが白いガパオより辛いわけではなく、赤いものを使うと料理の色が濃くなると書いています。

手に入りにくい材料の代用

  • ガパオ(生):タイ食材店や通販で、冷凍のガパオの葉が売られています。解けると葉が黒ずんで柔らかくなるので、冷凍の葉30gは凍ったまま手順7で加えます。葉の表面の氷が溶けて油がはねるので、必ず火を止めてから入れます。
  • 乾燥ガパオ:香りは生や冷凍より弱くなります。乾燥ガパオ3gを手順6で合わせ調味料と一緒に加え、汁けで戻しながら炒めます。
  • ホーラパー・スイートバジル:どちらもないときは、同じ重さの葉で作れます。香りは別のものになります。Hot Thai Kitchenのレシピは、イタリア料理に使うスイートバジルのほうが、ホーラパーよりガパオに近い味だと書いています。
  • ガパオを育てる:ガパオ(ホーリーバジル)の種は日本でも売られています。寒さに弱いので、気温が上がってから種をまき、夏から秋に収穫します。
  • 生の赤唐辛子:乾燥の赤唐辛子(鷹の爪)3本を水に10分浸し、水けをきって使えます。
  • シーイウ・カーオ:日本の薄口醤油10mlで代用できます。
  • シーイウ・ダム:色をつける役目です。たまり醤油5mlに砂糖1gを足して代用できます。
  • ジャスミンライス:日本の米でも作れます。水をいつもより1割ほど減らして炊くと、粘りの少ない炊き上がりになります。

保存

  • 作りたてがいちばん香ります。目玉焼きは食べる直前に作ります
  • 冷蔵:炒め物だけを保存容器に入れて1日
  • 生のガパオの葉:傷みやすいので、買ったらなるべく早く使います
  • 冷凍:ガパオの香りが弱まるので向きません

タイのほかのレシピ

もっと知りたい人へ

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。