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ポーク・バファットPork Buffath レシピ

Buffathバファット

地域
南インド(カルナータカ州・アングロ・インディアン)
分量
6人分
公開
白いほうろうの皿に盛ったポーク・バファット。脂身のついた豚肉、じゃがいも、にんじん、くたっと煮えたキャベツが赤みのある汁に浸り、青唐辛子とベイリーフ、黒こしょうがのっている。奥に金属の皿にのせた薄切りのパン

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ポーク・バファットは、脂身のついた豚肉を、酢と唐辛子とスパイスで下味して、にんじん、じゃがいも、キャベツと一緒に煮込む料理です。南インドで生まれ育ったアングロ・インディアンの料理書の著者が、おばあちゃんの味として紹介しているレシピで、肉と同じくらいか、それより多い量の野菜が入ります。

材料を炒めずに、下味をつけた豚肉と野菜を圧力鍋に重ねて入れ、水を注いで30分煮るだけです。酢の酸味と唐辛子やこしょうの辛みのある煮汁で、野菜も一緒に煮えます。

ポーク・バファットとは

アングロ・インディアンの家庭料理

英語版ウィキペディアは、アングロ・インディアン料理を、イギリスがインドを治めた時代に生まれ、21世紀まで残っている料理と説明しています。混血の少数派であるアングロ・インディアンのコミュニティの料理で、インドの料理をイギリス人の好みに合わせて作り変える中で生まれたとしています。

この記事のレシピを書いたのは、ブリジット・ホワイト=クマールです。インドの週刊誌 The Week の記事によると、ホワイト=クマールは、カルナータカ州の鉱山の町コーラール金鉱(KGF)のアングロ・インディアンの家に生まれ、いまはベンガルールに住んでいます。アングロ・インディアンの料理の本を何冊も書いていて、最初の本は2012年のグルマン世界料理本大賞で、インドの料理史の本として賞を受けています。

インドの新聞 The Hindu の記事(ホワイト=クマールのサイトに転載)で、ホワイト=クマールは、アングロ・インディアンの料理はその土地の味とスパイスが合わさったもので、地域によって違うと話しています。ベンガルのものは魚介とマスタードオイルが多く、海から遠いコーラールのものは肉料理が多いそうです。

おばあちゃんのポーク・バファット

ホワイト=クマールのサイトは英語で書かれています。この記事で使ったレシピの題は「Grandma’s Pork Buffath」(おばあちゃんのポーク・バファット)で、料理の名前を Buffath とつづっています。同じサイトでは、同じレシピの前の年の記事が Buffard、別の煮込みの記事が Baffarth と Buffarth とつづっています。The Week の記事には Duck Buffat(鴨のバファット)という料理名が出てきます。つづりは決まっていません。この記事では、使ったレシピの題に合わせて Buffath と書き、読みはバファットとします。

材料は、脂身のついた豚肉1kgに、にんじん3本、じゃがいも3個、小さなキャベツ1個です。玉ねぎ、青唐辛子、にんにく、しょうが、酢、パウダーのスパイスを豚肉に混ぜ、野菜と水を加えて圧力鍋で煮ます。油は入れても入れなくてもよい、としています。

同じサイトには、牛肉、羊肉、鶏肉、豚肉を合わせて、じゃがいもやにんじん、さやいんげんと煮る「Almorth or Baffarth」という煮込みも載っています。ホワイト=クマールは、昔はほとんどのアングロ・インディアンの家庭で、クリスマスの朝食に欠かせない料理だったと書いています。

名前の由来

ホワイト=クマールのサイトには、名前の由来の説明はありません。

英語版ウィキペディアによると、マンガロール(カルナータカ州の海沿いの町)とゴアのカトリックの家庭では、バファット(bafat。bafad、baffat ともつづる)は、スパイスを合わせた粉(マサーラー)の名前です。それを使った豚肉の煮込み「ポーク・バファット」がよく知られています。ウィキペディアも、名前の由来には触れていません。

ポルトガルから来た料理だとする説もあります。ムンバイの食の書き手カリヤン・カルマカルは、自分のブログで、バファド(baffad)はヴィンダールーやソルポテルと同じくポルトガルから来た料理だとし、かっこの中に baffado と書き添えています。カルマカルは、これらの料理を受け継いだのは、マンガロール、ゴア、イースト・インディアン(ムンバイ周辺)のカトリックのコミュニティだとしていて、アングロ・インディアンには触れていません。この記事で読んだ情報源のうち、ポルトガル由来と書いていたのは、カルマカルのブログだけでした。

アングロ・インディアンのバファットと、ゴアやマンガロールのバファットがどうつながるのかは、この記事で読んだ情報源には説明がありませんでした。

この記事の配合

この記事は、ホワイト=クマールの Grandma’s Pork Buffath の材料と分量にならっています。人数も同じ6人分です。次の点は、この記事で決めたものです。

  • 塩:ホワイト=クマールのレシピの塩は小さじ2(約12g)です。この記事では、30g(小さじ5)に増やしています。煮汁ごと食べる量の多い煮込みなので、小さじ2では全体の味がかなり薄くなるためです。
  • 豚肉:脂身のついた豚肉(pork with the lard)を、豚肩ロース700gと豚バラ300gにしています。
  • 野菜の重さ:にんじん、じゃがいも、キャベツ、玉ねぎは、本数や個数を、日本で売られている大きさの重さに直しています。
  • カップ:酢1/2カップと水3カップは、1カップを240mlとして計算しています。
  • 油:入れても入れなくてもよいとされているサラダ油は、入れています。
  • 洗わない:ホワイト=クマールは豚肉をよく洗うとしていますが、この記事では洗わずに水気をふきます。生の肉を洗うと、水はねで肉の汁が流しのまわりに飛び散るためです。

ポーク・バファットのレシピ:材料(6人分)

下ごしらえ 30分 加熱 1時間(圧力が下がるのを待つ時間を含む)

スパイスの配合 6人分で計16.8g
  • 赤唐辛子5g
  • ターメリック3g
  • 黒こしょう2.4g
  • クミン2g
  • コリアンダー2g
  • ガラム・マサーラー2g
  • ベイリーフ0.4g

豚肉の下味

  • 豚肩ロース(かたまり)700g
  • 豚バラ(かたまり)300g
  • 玉ねぎ(薄切り)600g(中3個)
  • 青唐辛子(縦に切り目を入れる)6本(18g)
  • にんにく(すりおろし)5g(小さじ1)
  • しょうが(みじん切り)5g(小さじ1)
  • ターメリック(パウダー)(Amazon|楽天)3g(小さじ1)
  • レッドチリパウダー(唐辛子だけの粉)(Amazon|楽天)5g(小さじ2)
  • 黒こしょう(パウダー)(Amazon|楽天)2.4g(小さじ1)
  • クミン(パウダー)(Amazon|楽天)2g(小さじ1)
  • コリアンダー(パウダー)(Amazon|楽天)2g(小さじ1)
  • ガラム・マサーラー(Amazon|楽天)2g(小さじ1)
  • ベイリーフ(ホール)(ローリエでよい)(Amazon|楽天)2枚(0.4g)
  • 酢(穀物酢)120ml
  • サラダ油13g(大さじ1)
  • 塩(出典の小さじ2より多い)30g(小さじ5)

一緒に煮る野菜

  • にんじん300g(中2本)
  • じゃがいも(男爵いもなど)450g(中3個)
  • キャベツ500g(1/2個弱)

煮る

  • 水720ml

道具

  • 圧力鍋(容量8L以上が目安。4.5〜6Lの鍋なら、すべての材料を半量にして作る。ない場合は「手に入りにくい材料の代用」を参照)(Amazon|楽天)
  • 大きめのボウル(豚肉に下味を混ぜる)
  • 料理用温度計(肉に刺して中心の温度を測るもの。なければ肉を切って確かめる)(Amazon|楽天)

作り方

  1. 野菜を切る

    にんじんは皮をむき、3cm長さに切って、太いところは縦半分にする。じゃがいもは皮をむいて4つに切る。キャベツは芯をつけたまま、3つのくし形に切る。玉ねぎは薄切りにし、青唐辛子は縦に1本切り目を入れる。

  2. 豚肉に下味を混ぜる

    豚肩ロースと豚バラを4cm角に切り、キッチンペーパーで水気をふく。大きめのボウルに入れ、玉ねぎ600g、青唐辛子6本、にんにく5g、しょうが5g、ターメリック3g、レッドチリパウダー5g、黒こしょう2.4g、クミン2g、コリアンダー2g、ガラム・マサーラー2g、ベイリーフ2枚、酢120ml、サラダ油13g、塩30gを加え、手でよく混ぜる。生の肉をさわった手とボウルのまわりは、すぐに洗剤で洗う。

  3. 圧力鍋に入れる

    2を下味ごと圧力鍋に移し、上ににんじん、じゃがいも、キャベツをのせる。水720mlを注ぐ。中身が鍋の内側にある最大の目盛り(ふつうは2/3の線)を超えないことを確かめる。超えるときは押し込んで詰めず、「手に入りにくい材料の代用」にある厚手の鍋の方法で煮る。

  4. 加圧して煮る

    ふたをする前に、パッキンと蒸気の出口(おもりや安全弁)に汚れや詰まりがないことを確かめる。ふたをして強火にかける。圧力がかかったら(おもりが揺れる、またはピンが上がる)、すぐに弱火にして30分加熱する。

  5. 圧力が下がるのを待つ

    火を止め、圧力が自然に下がるまで15〜20分おく。ピンが下がる前にふたを開けたり、おもりを動かして蒸気を抜いたりしない。ふたを開けるときは、蒸気が顔にかからないように、向こう側を持ち上げるように開ける。

  6. 火の通りを確かめて仕上げる

    いちばん大きい肉を1切れ取り出し、竹串がすっと通るほど柔らかいことを確かめる。半分に切り、中まで火が通って赤い肉汁が出ないことを確かめる(料理用温度計なら中心が75℃以上)。足りなければ、ふたをせずに弱めの中火で5分ずつ煮て、そのつど確かめる。ベイリーフを除き、キャベツの芯を切り落としてから、野菜をくずさないように大きく混ぜて器に盛る。

ホワイト=クマールは、熱いうちに出すとだけ書いています。この記事では、ご飯かパンを添えます。

圧力鍋で、野菜と一緒に30分煮る

圧力鍋の中は100℃より熱くなる

ふつうの鍋で煮るとき、煮汁の温度は、水が沸騰する100℃前後より上がりません。圧力鍋は、ふたを密閉して中の圧力を高め、水が沸騰する温度を100℃より高くします。そのため、ふつうの鍋ではごく弱火で1時間以上かかる肩ロースやバラの煮込みが、圧力鍋なら30分で柔らかくなります(時間はこの記事の目安です)。ホワイト=クマールのレシピも、圧力鍋で煮ています。

野菜も肉と同じ時間煮る

このレシピでは、酢120mlを最初から豚肉に混ぜ、その酢が入った煮汁で、野菜を肉と同じ時間煮ます。ゴアの Pork Baffado のレシピは、じゃがいもを肉と一緒に煮ると、肉が柔らかくなる前に崩れるとして、終わりのほうで加えています。この記事では野菜を最初から入れて圧力鍋で30分煮るので、じゃがいもはかなり柔らかくなります。手順6で、野菜をくずさないように大きく混ぜるのはそのためです。

アングロ・インディアン以外のバファットとの違い

名前の似た料理の作り方を、いくつか読み比べました。使うスパイスと野菜は、それぞれ違います。

  • マンガロールのポーク・バファット:マンガロールのニュースサイト Daijiworld に、マンガロールのヴィジャイ・ディシルヴァが寄せたレシピは、豚肉を玉ねぎ、にんにく、しょうが、青唐辛子、クローブ、シナモンと弱火にかけ、カシュミーリー・チリ、コリアンダー、クミン、ターメリック、黒こしょう、タマリンドを挽いたマサーラーを加えます。野菜は入りません。南アジアの食文化を扱うウェブ誌 GOYA で、マンガロールのカトリックのコミュニティ出身のシルパ・ノローニャは、家に伝わる「ドゥクラ・マース」(豚肉の料理)を、ビャーダギ(カルナータカ州の唐辛子)を使ったバファットのマサーラーで作ると書いています。
  • ゴアの Pork Baffado:ゴア料理のサイト Celebration In My Kitchen のレシピは、パクチー(コリアンダーの葉)、ミント、青唐辛子を挽いた緑色のマサーラーで豚肉を煮ます。酢とタマリンドで酸味をつけ、じゃがいもは終わりのほうで加えます。一緒に煮ると、肉が柔らかくなる前にじゃがいもが崩れるからだとしています。
  • カルマカルが食べたバファド:カルマカルは、マンガロールの店のポーク・バファドは、肉がとても柔らかく、煮汁がとろりとして、ホールのガラム・マサーラーが多く入っていたと書いています。ゴアの店のエビのバファドはココナッツミルクのカレーだったそうです。

この記事のアングロ・インディアンのバファットには、タマリンドもココナッツも入りません。スパイスはベイリーフのほかはパウダーで、酢で酸味をつけ、野菜と一緒に煮込みます。

家庭による違い

  • ほかの野菜:ホワイト=クマールは、カリフラワー、大根、かぶなど、ほかの野菜を使ってもよいとしています。この記事の配合で入れ替えるときは、にんじん、じゃがいも、キャベツと合わせて1250gまでにします。
  • 炒めてから煮る:同じサイトの「Almorth or Baffarth」は、玉ねぎとシナモン、クローブ、にんにくを油できつね色に炒めてから、肉とスパイスとトマトを加えて炒めます。ココナッツのペーストとミントも入れ、酢と野菜は肉が柔らかくなってから加えます。

手に入りにくい材料の代用

  • 圧力鍋:厚手の鍋(容量6L以上、ふたつき)で煮られます。時間はこの記事の目安です。手順3では野菜を入れずに、下味をつけた豚肉と水720mlを鍋に入れて中火にかけ、煮立ったらふたをして、ごく弱火で1時間煮ます。15分おきに鍋底から混ぜます。にんじん、じゃがいも、キャベツを加えてふたをし、さらにごく弱火で30〜40分、じゃがいもに竹串がすっと通るまで煮ます。ゴアの Pork Baffado のレシピの注意と同じく、じゃがいもを後から入れるのは、肉より先に崩れないようにするためです。そのあとは手順6と同じです。
  • レッドチリパウダー:インドの唐辛子だけの粉です。一味唐辛子を同じ量使います。
  • ガラム・マサーラー:ホワイト=クマールは、スパイスパウダーかガラム・マサーラーとしています。市販のガラム・マサーラーを使います。
  • 青唐辛子:ししとう6本で代用できます。辛みはほとんどなくなります。

保存

  • 冷蔵:保存容器に入れて2日。鍋で、肉の中心が75℃になるまで温め直します
  • 冷凍:じゃがいもが水っぽく、ぼそぼそになるので、じゃがいもを除いて1か月。冷蔵庫で解凍し、鍋で、肉の中心が75℃になるまで温め直します

南インドのほかのレシピ

もっと知りたい人へ

  • Bridget White『Anglo-Indian Cuisine – A Legacy of Flavours from the Past』(英語)(Amazon:ペーパーバック/楽天:電子書籍)この記事のレシピの書き手ブリジット・ホワイト=クマールによる、アングロ・インディアンの家庭料理の本Amazonで見る楽天で見る
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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。