サリー・キーモSali Kheemo レシピ

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サリー・キーモは、ひき肉をトマトとスパイスで煮て、砂糖と酢で甘酸っぱく仕上げ、細く揚げたじゃがいもをたっぷりのせた料理です。インド西部のパールスィー(ゾロアスター教徒のコミュニティ)の家庭で作られています。ひき肉のしっとりした煮込みと、パリパリのじゃがいもの食感の違いを一緒に味わいます。
レシピは、パールスィーの料理ブログ「ケンジーズ・キッチン・コーナー」のカイナーズ・ライター・ボクダワーラーの作り方を骨格にしています。ボクダワーラーは、細いじゃがいものフライ(サリー)はパールスィーにとって店で買うものだと書いていますが、日本ではあまり売られていないので、家庭で揚げる方法も一緒に紹介します。
サリー・キーモとは
キーモはひき肉のことで、北インドの「キーマー」と同じ言葉です。ボクダワーラーは、パールスィーはQeemaやKeemaとは言わず、KheemaやKheemoと呼ぶ、と書いています。
サリーという言葉
パールスィーの料理サイト「ParsiCuisine.com」は、サリーをグジャラーティー語でわらや棒を意味する言葉だと説明し、インドのパールスィーはじゃがいもの細切りのフライを「ポテト・サリー」と呼ぶとしています。同じサイトは、サリーを使う料理として、鶏肉のサリー・マルギー、卵をのせたサリー・パル・イーダー、ムンバイのレストラン「ブリタニア」の名物のサリー・ボーティーとともに、サリー・キーモを挙げています。
パールスィーの書き手メヘル・ミルザーはアメリカの料理雑誌『Saveur』で、サリーを皮のように薄いじゃがいもの細切りのフライと説明し、ソースで煮た鶏肉や羊肉に塩気と歯ざわりを足すものだと書いています。書き手のペルゼン・パテルは、ニュージーランドのウェブ雑誌『The Spinoff』に書いたサリー・ボーティーのレシピで、この料理をパールスィーの結婚式のごちそうの一つとして紹介しています。
パールスィーの料理として
ミルザーは、自分たちのコミュニティはイスラーム以前のイランのゾロアスター教徒に連なり、海を渡ってインド西部のグジャラートの海岸にたどり着いた、と書いています。英語版のウィキペディアは、1930年代のムンバイや南グジャラートの村々でのパールスィーの朝食を紹介しています。
ボクダワーラーは、サリー・キーモを典型的なパールスィーの料理とし、「カットー・ミットー・ティーコー」(酸っぱくて、甘くて、辛い)サリー・キーモという題をつけています。そして、料理によってはこの三つの味を組み合わせるのがパールスィーの好みだとしています。パテルも、インドの羊肉のカレーの多くは甘い、酸っぱい、辛いのどれかだが、サリー・ボーティーは三つすべてを備えている、と書いています。ただし、今回読んだ情報源には、サリー・キーモがいつ、どこで生まれたのかを書いたものはありませんでした。
この記事の配合
ボクダワーラーのレシピは、ひき肉1kgの分量です。この記事では、ひき肉500gの4人分にしています。流れは次のとおりです。
- ホールスパイス、青唐辛子、しょうが、にんにくを油で炒め、玉ねぎをきつね色に炒める
- パウダースパイスを炒め、すりおろしたトマトを油がにじむまで炒める
- 生のひき肉をこのマサーラーに加えて炒め、水を加えて煮る
- 最後に砂糖と酢で甘酸っぱく仕上げ、サリーをのせる
先にひき肉だけを炒めて色づけてからトマトを加える作り方とは違い、できあがったトマトのマサーラーの中でひき肉を炒めて煮ます。
配合の調整は次のとおりです。
- 玉ねぎとトマト:ボクダワーラーのレシピは、ひき肉1kgに玉ねぎ6個、大きいトマト7〜8個を使います。ParsiCuisine.comの「パールスィー・キーモ」は、ひき肉900g(2ポンド)に大きい玉ねぎ2個とトマト2個です。この記事では、両方の間をとって、玉ねぎ300gとトマト300gにしています。
- 辛さ:ボクダワーラーは、ひき肉1kgにデギー・ミルチ(インドの唐辛子の粉)を山盛りの小さじ4〜5使います。ParsiCuisine.comの「パールスィー・キーモ」は、レッドチリパウダーの量を書いていません。この記事では、色がよく辛さが穏やかなカシュミーリー・チリパウダーを、ひき肉500gに小さじ2にしました。
- パールスィーのサーンバール・マサーラー:ボクダワーラーのレシピでは入れても入れなくてもよい材料なので、この記事では使っていません。
- ひき肉を洗うかどうか:ボクダワーラーはひき肉をざるで洗ってから使いますが、生の肉を洗うとシンクのまわりに水が飛び散るので、この記事では洗わずに使います。
- サリーの量:ボクダワーラーはひき肉1kgに市販のサリー200〜250g、パテルはサリー・ボーティーの肉1kgに150gを使います。この記事では、じゃがいも300gを揚げて、ひき肉500gにのせます。
サリー・キーモのレシピ:材料(4人分)
下ごしらえ 30分(じゃがいもを水にさらす時間を含む) 加熱 1時間30分(サリーを揚げる時間を含む)
- カシュミーリー・チリ5g
- クミン1.5g
- 黒こしょう1.5g
- ターメリック1.5g
- シナモン1g
- コリアンダー1g
- ガラム・マサーラー1g
- クローブ0.2g
サリーの下ごしらえ
- じゃがいも(男爵・メークインのどちらでもよい)300g(中2個)
- 水(じゃがいもをさらす)1L
- 塩(さらす水に溶かす)5g(小さじ1弱)
- 水(じゃがいもをすすぐ)1L
サリーを揚げる
- 揚げ油(植物油)800ml
- 塩(揚げたてに振る)1.5g(小さじ1/4)
ホールスパイス
香味野菜と玉ねぎ
- 青唐辛子(みじん切り)2本(6g)
- しょうが(みじん切り)5g
- にんにく(みじん切り)5g(1片)
- 玉ねぎ(みじん切り)300g(中1個半)
ペーストとパウダースパイス
トマトと香草
- トマト(すりおろす(皮は使わない))300g(中2個)
- パクチー(コリアンダーの葉)(刻む)10g(大さじ3)
- ミントの葉(刻む)2g(約10枚)
ひき肉を煮る
- ラムひき肉(羊または山羊のひき肉)(楽天)500g
- 水150ml
作り方
じゃがいもを細く切る
じゃがいも300gの皮をむき、スライサーで1〜2mm厚さの薄切りにしてから、1〜2mm幅の細切りにする(せん切りの刃があればそれを使う)。ボウルに水1Lと塩5gを入れて溶かし、切ったそばから浸けていく。全部切ったら、そのまま10分おく。
すすいで水気をよく取る
じゃがいもをざるに上げ、別のボウルに入れた水1Lの中でほぐすようにすすぎ、ざるに上げる。両手で軽くしぼってから、清潔なふきんかキッチンペーパーに広げ、上からも押さえて水気をしっかり拭き取る。水気が残っていると、揚げるときに油がはねる。
揚げ油を170〜180℃にする
換気扇を回す。深い鍋に揚げ油800mlを入れ(鍋の深さの1/3以下にする)、中火にかける。揚げ物用の温度計の先を鍋底に当てないように油の中ほどに入れて測り、170〜180℃になったら火加減を保つ。温度計がないときは、よく乾いた菜箸の先を油に入れて鍋底につけ、菜箸全体から細かい泡がすぐにシュワシュワと上がれば170〜180℃。先から小さな泡がゆっくり上がるだけなら、まだ低い(150〜160℃前後)。濡れた菜箸を入れると油がはねるので、必ず乾いたものを使う。
サリーを揚げる
じゃがいもの1/4量(約70g)を、鍋の縁から油の表面にすべらせるように静かに入れる。入れた直後は大きな泡が勢いよく上がるので、顔を近づけない。菜箸でほぐしながら3〜4分揚げ、泡が小さくなってじゃがいもが薄いきつね色になり、菜箸で触ると軽くカサカサと音がしたら、網じゃくしで引き上げる。キッチンペーパーを敷いたバットに広げ、熱いうちに塩1.5gの1/4量を振る。油の温度を170〜180℃に戻してから次を入れ、残りも同じように3回に分けて揚げる。揚げている間は鍋のそばを離れない。煙が出てきたら温度が上がりすぎているので、すぐに火を止める。万一油に火がついたら、水は絶対にかけず、火を止めて鍋より大きいふたをかぶせ、火が消えてもしばらくふたを取らない。火が大きいときは無理に消そうとせず、その場を離れて119番に通報する。揚げ終えたら火を止め、油は完全に冷めてから動かす。
ホールスパイスと香味野菜を炒める
青唐辛子2本、しょうが5g、にんにく5g、玉ねぎ300gはみじん切りにする。トマト300gは横半分に切り、切り口をおろし金でおろして、手に残った皮は捨てる。厚手の鍋に植物油36gを入れて中火で熱し、クミン(ホール)1g、シナモン2.5cm、黒こしょう(ホール)5粒、クローブ2個を入れて、クミンがはじけて香りが立つまで20〜30秒炒める。青唐辛子、しょうが、にんにくを加えて30秒炒める。
玉ねぎをきつね色に炒める
玉ねぎ300gを加え、ときどき混ぜながら中火で12〜15分、全体がきつね色になるまで炒める。焦げそうなら弱めの中火にする。
ペーストとパウダースパイスを炒める
弱火にし、しょうが(すりおろし)10g、にんにく(すりおろし)10g、カシュミーリー・チリパウダー5g、ターメリック1.5g、コリアンダーパウダー1g、クミンパウダー0.5g、黒こしょう(パウダー)1.2g、ガラム・マサーラー1g、塩8gを加える。粉が焦げないように混ぜながら1分炒める。
トマトを油がにじむまで炒める
おろしたトマトを加える。熱い油に水分の多いトマトが入ると油がはねるので、鍋から顔を離して加える。中火で8〜10分、トマトの青くささがなくなり、油が鍋肌ににじみ出てくるまで炒める。刻んだパクチー10gとミントの葉2gを加えて30秒炒める。
ひき肉を加えて炒める
ラムひき肉500gを加え、木べらでかたまりをつぶしてほぐしながら、中火で5〜6分炒める。肉の赤い色がなくなり、かたまりが残らず、マサーラー(スパイスと野菜を炒めたもの)が肉の粒に全体にからむまで炒める。
水を加えて煮る
水150mlを加えて混ぜ、煮立ったらふたをして弱火で20分煮る。途中で1〜2回、鍋底から混ぜる。
火の通りを確かめて煮詰める
ふたを外し、中火で5〜8分、混ぜながら汁気がほとんどなくなるまで煮詰める。ひき肉の大きめの粒を2〜3個割り、中まで色が変わって赤い部分が残っていないことを確かめる。料理用温度計があれば、鍋の中央のひき肉に刺して75℃以上あることを確かめ、そのまま混ぜながら1分以上加熱する。足りなければ、混ぜながら2〜3分加熱して、もう一度確かめる。
砂糖と酢で仕上げる
砂糖6gとサトウキビ酢15mlを加えて混ぜ、1〜2分炒め煮にする。刻んだパクチー10gを加えて混ぜ、火を止める。シナモンは食べないので、よけておく。
サリーをのせて盛りつける
器にキーモを盛り、食べる直前に、揚げたサリー全量をたっぷりのせる。
ボクダワーラーにならって、目玉焼きや薄切りの玉ねぎ、ライム、バターで焼いたパーウ(柔らかい丸パン)を添えて食べます。ParsiCuisine.comのように、ロートリー(全粒粉の薄焼きパン)を添えてもよいです。
料理科学:サリーをカリッと揚げる
水にさらして、水気を拭く理由
じゃがいもを切ると、切り口にでんぷんが出ます。手順1と2でじゃがいもを水にさらしてすすぐのは、ParsiCuisine.com の「ホームメイド・サリー」の作り方にならったもので、表面のでんぷんを洗い流し、細切りどうしがくっつきにくくします。
すすいだあとは、水気をしっかり拭き取ります。170〜180℃の油に水滴が入ると、水は一瞬で沸騰して水蒸気になって膨らみ、周りの油を一緒にはね飛ばします。水気が残っていると、油の温度も下がり、揚がるまでに時間がかかります。
泡が小さくなったら揚げ上がり
じゃがいもを入れた直後に大きな泡が勢いよく上がるのは、じゃがいもの水分が水蒸気になって出ていくためです。細いじゃがいもは、水分が抜けるにつれて泡が小さく、少なくなり、色づき始めます。泡が小さくなり、薄いきつね色になったら、水分が抜けてカリッとしたしるしです。
一度にたくさん入れると、油の温度が大きく下がり、揚がるまでに時間がかかって、サリーがしんなりと仕上がります。この記事で4回に分けて揚げ、そのつど170〜180℃に戻してから次を入れるのはそのためです。ParsiCuisine.com も、サリーは少量ずつ揚げるとしています。
料理科学:サリーを食べる直前にのせる理由
揚げたサリーは、水分がほとんど抜けてパリパリしています。乾いてカリッとした食べ物は、周りの水分を吸うと柔らかくなります。
キーモの上にのせたサリーは、煮込みの水分を少しずつ吸って、時間がたつほどしんなりします。ParsiCuisine.comのサリー・ボーティーのレシピも、サリーは盛りつけるときに最後にのせるように書いています。手順13でサリーを食べる直前にのせるのはそのためです。サリーを保存するときに密閉容器に入れるのも、空気中の湿気を吸わせないためです。
家庭による違い
サリー・キーモはパールスィーの家庭料理なので、作り方の幅が広い料理です。今回読んだレシピには、次のような違いがありました。
- ケチャップとウスターソース:ParsiCuisine.comの「パールスィー・キーモ」は、トマトと一緒にケチャップを加え、仕上げに砂糖とウスターソースを足します。クミンのホールは、最初に炒めずに仕上げに加えます。
- サリーをのせるかどうか:同じレシピは、サリーをのせるのは食べ方の一つとし、さいの目に切って揚げたじゃがいもを添えたり、じゃがいもとグリーンピースを一緒に煮たりする食べ方も挙げています。
- 卵をのせる:同じレシピは、煮上がったキーモに卵を割り入れたり、溶き卵を流したりして、火を通す食べ方も紹介しています。『The World of Parsi Cooking』の著者ニルーファー・マヴァルヴァーラーは、ひき肉に卵とサリーをのせた料理の写真に、Kheema per edu nay saliという名前を添えています。
- じゃがいもを混ぜ込む:インドの料理家サンジーヴ・カプールの「パールスィー・キーマー・パーウ」は、刻んで揚げたじゃがいもを、煮上がったひき肉に混ぜ込みます。砂糖と酢は使いません。
手に入りにくい材料の代用
- サリー:揚げる時間がないときは、塩味のポテトチップス100gを手で粗く砕いて、同じように食べる直前にのせます。ペルゼン・パテルは、サリーが手に入りにくいときは、塩と酢の味のポテトチップスを砕いて使うように書いています。
- ラムひき肉:牛ひき肉でも作れます。ボクダワーラーのレシピは山羊や牛のひき肉でもよいとしています。ParsiCuisine.comのレシピは、鶏ひき肉で作ることもでき、羊や牛より早く火が通るとしています。鶏ひき肉で作るときも、手順11で火の通りを確かめます。
- カシュミーリー・チリパウダー:パプリカパウダー4g(小さじ2弱)と一味唐辛子1g(小さじ1/2)で代用できます。
- サトウキビ酢:穀物酢かりんご酢を同じ量使います。ボクダワーラーも、白い酢や茶色い酢で代用できるとしています。
- 青唐辛子:手に入らないときは省き、手順7で一味唐辛子0.5g(小さじ1/4)を足します。
保存
- キーモ:冷蔵で2日、冷凍で1か月。サリーをのせる前の状態で保存します。温め直すときは、鍋に入れて水30mlを足し、混ぜながら中火で中心まで十分に温めます
- サリー:完全に冷ましてから密閉容器に入れ、常温で保存します。ParsiCuisine.comは15日ほどもつとしています。湿気るとパリパリ感がなくなるので、袋や容器の口はしっかり閉じます
西インドのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Kenzy's Kitchen Korner「Khatto Mittho Tikho Sali Kheemo – A (Tiny) Twist In The Tale – The Kheema Chronicles – 2」(英語)
- ParsiCuisine.com「Parsi Kheemo」(英語)
- ParsiCuisine.com「Homemade Sali」(英語)
- ParsiCuisine.com「Salli Boti」(英語)
- The Spinoff(Perzen Patel)「Recipe: Salli Boti, one of the stars of the traditional Parsi wedding feast」(英語)
- Saveur(Meher Mirza)「The Festive Parsi Pantry」(英語)
- Finelychopped「The importance of being an egg…sali par eendu」(英語)
- World History Encyclopedia(Niloufer Mavalvala)「Ground Meat with Egg and Matchstick Potatoes」(英語)
- Sanjeev Kapoor「Parsi Keema Pav」(英語)
- Wikipedia「Parsi cuisine」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。