トップ / タイ

セン・ヤイ・パット・キーマオ・ガイ日本では「パッキーマオ」ともSen Yai Pad Kee Mao Gai レシピ

เส้นใหญ่ผัดขี้เมาไก่セン・ヤイ・パット・キーマオ・ガイ

地域
タイ(タイ各地)
分量
2人分
公開
青い縁のほうろうの皿に盛ったセン・ヤイ・パット・キーマオ・ガイ。幅広の米麺と鶏肉に、ヤングコーン、房のままの生のグリーンペッパー、細切りの赤唐辛子、ガパオの葉が混ざっている。奥に刻んだ唐辛子入りのナンプラー

この記事はAmazonアソシエイト・楽天アフィリエイトのリンクを含みます。

セン・ヤイ・パット・キーマオ・ガイは、生の太い米麺と鶏肉を、たっぷりのにんにくと唐辛子、ガパオ(ホーリーバジル)の葉で強火で炒めるタイの麺料理です。料理名をそのまま訳すと「太麺の、酔っぱらいの炒め物、鶏肉」となります。料理名に「酔っぱらい」と入っていますが、お酒は使いません。

タイでは、客の注文を受けてその場で作る「アーハーン・タームサン(注文料理)」の店の定番です。辛さとガパオの香りが主役で、生のグリーンペッパー(若いこしょうの実)とこぶみかんの葉が、さわやかな香りを重ねます。

セン・ヤイ・パット・キーマオ・ガイとは

タイ語では「เส้นใหญ่ผัดขี้เมาไก่」と書きます。センは麺、ヤイは大きい、パットは炒める、キーマオは酔っぱらい、ガイは鶏のことです。キーは「〜しがちな人」をつくる言葉で、マオ(酔う)につけると「酔っぱらい」になります。麺を使わず、肉や野菜を香草と炒めてご飯のおかずにする「パット・キーマオ」もあり、麺のほうを「クアイティアオ・パット・キーマオ(米麺のパット・キーマオ)」とも呼びます。

「酔っぱらい」の名前の由来

なぜ「酔っぱらい」なのかについては、いくつかの説明があり、どれかに決まってはいません。

タイのポータルサイト Kapookの料理ページで、パット・キーマオの記事を書いているカノックオーンは、お酒を飲む人がつまみになる料理を求めたことから来た名前だろう、と推測しています。セン・ヤイ、鶏肉、牛肉のパット・キーマオの3本の記事で同じ推測を書き、そうした人が冷蔵庫に残っていた野菜や肉をまとめて炒めた、と続けています。

一方、タイ語の料理情報サイト reviewsaroi.com の記事は、「キーマオ」は乾燥したプリック・キーヌー(小さな唐辛子)を香りが立つまで炒めたときのツンとした匂いを指す、と説明しています。どちらの記事も、この説明の根拠となる資料は示していません。

タイ料理と中国系の料理から

Kapookのセン・ヤイ・パット・キーマオの記事は、この料理を、タイの料理と、タイに移り住んだ中国系の人々の料理が混ざり合って生まれたものと推測しています。一皿の中に、中華鍋で炒める調理法やオイスターソース、醤油の味つけと、タイの唐辛子や香草が同居しています。

麺は、米粉の生地を薄く蒸して切った幅の広いセン・ヤイが定番ですが、細い米麺のセン・レックや、ビーフンで作ることもあります。この記事では、タイの料理サイトPholfoodmafiaを運営する料理家ポン・タンタサティエンの、セン・ヤイと鶏むね肉で作るレシピを軸にしています。

セン・ヤイ・パット・キーマオ・ガイのレシピ:材料(2人分)

下ごしらえ 25分(鶏肉の下味を含む) 加熱 10分

麺

  • セン・ヤイ(タイの生の太い米麺。幅2〜3cm)400g

鶏肉の下味

  • 鶏むね肉(皮なし)200g
  • シーイウ・カーオ(タイの薄口の醤油)(Amazon|楽天)5ml(小さじ1)
  • 水15ml(大さじ1)
  • コーンスターチ3g(小さじ1)

合わせ調味料

  • オイスターソース18g(大さじ1)
  • ナンプラー(Amazon|楽天)10ml(小さじ2)
  • シーイウ・カーオ(タイの薄口の醤油)(Amazon|楽天)5ml(小さじ1)
  • シーイウ・ダム(タイの甘みのある黒い醤油)(Amazon|楽天)10ml(小さじ2)
  • 砂糖3g(小さじ1)

にんにくと唐辛子のペースト

  • にんにく20g(4片)
  • 生の赤唐辛子(タイの小さな唐辛子(プリック・キーヌー)。辛さを抑えるときは3本にする)(Amazon|楽天)6本(3g)

炒める

  • サラダ油26g(大さじ2)
  • ヤングコーン(生か水煮)60g(6本)
  • 水100ml
  • 生のグリーンペッパー(タイのプリック・タイ・オーン(房についた若いこしょうの実))(Amazon|楽天)10g(3房)
  • カフィアライムリーフ(こぶみかんの葉)(Amazon|楽天)4枚(1.5g)
  • 生の赤唐辛子(大)(タイのプリック・チーファー(赤)。辛さの穏やかなもの)10g(1本)
  • ガパオの葉(ホーリーバジル。茎から摘んだ葉の重さ)(Amazon|楽天)20g

道具

  • 中華鍋(直径26cm以上のフライパンでもよい)
  • 石臼(タイのクロック。すり鉢でもよい)(楽天)

作り方

  1. 鶏肉に下味をつける

    鶏むね肉200gを、繊維を断つように厚さ5mmのそぎ切りにする。シーイウ・カーオ5ml、水15ml、コーンスターチ3gを加えてよくもみ込み、10分おく。

  2. 麺をほぐす

    セン・ヤイ400gを常温に戻す。冷蔵庫から出したばかりで硬く、曲げると割れるときは、耐熱皿に広げてラップをかけ、電子レンジ(600W)で1分〜1分30秒温める。まだ硬いときは30秒ずつ追加する。温かいうちに1枚ずつはがし、くっついている麺をほぐしておく。

  3. 合わせ調味料を作る

    小さな器にオイスターソース18g、ナンプラー10ml、シーイウ・カーオ5ml、シーイウ・ダム10ml、砂糖3gを入れ、砂糖が溶けるまで混ぜる。

  4. ペーストと具の下ごしらえをする

    石臼ににんにく20gと生の赤唐辛子6本を入れ、粒が残る程度に粗くつぶす。ヤングコーン60gは斜め半分に切る。生のグリーンペッパー10gは房ごと3〜4cmに切る。カフィアライムリーフ4枚は太い筋を除いて手でちぎる。生の赤唐辛子(大)1本は斜め薄切りにする。ガパオの葉20gは茎から摘む。

  5. 鶏肉を炒める

    唐辛子を炒めると刺激の強い煙が出るので、換気扇を強にして回す。中華鍋にサラダ油26gを入れて強めの中火で熱し、にんにくと唐辛子のペーストを10〜20秒、色づく前の香りが立つまで炒める。鶏肉を広げ入れて1分焼き、返して1〜2分炒める。ヤングコーンを加えて1分炒める。

  6. 麺を炒め合わせる

    強火にし、麺を加える。水100mlを鍋肌から回し入れ(油がはねるので顔を近づけない)、合わせ調味料を加える。麺を切らないように、鍋底から大きく返しながら2〜3分炒め、麺がやわらかくなって調味料を吸い、水分がほぼなくなったら止める。いちばん厚い鶏肉を1切れ取り出して切り、中まで白く、ピンク色が残っていないことを確かめる。

  7. 香りの材料を加えて仕上げる

    生のグリーンペッパー、カフィアライムリーフ、生の赤唐辛子(大)を加えて30秒炒める。火を止めてガパオの葉20gを加え、葉がしんなりするまで余熱で混ぜて、すぐに皿に盛る。

皿に盛ったら、麺が冷めて硬くならないうちに、熱々を食べます。

料理科学:冷えたセン・ヤイを温めてからほぐす理由

冷えると硬くなる

セン・ヤイは、米粉と水の生地を薄く蒸して作ります。蒸した米粉の生地は、冷えると硬くなります。冷蔵庫から出したばかりのセン・ヤイが硬く、曲げると割れるのはこのためです。温め直すと、ふたたびやわらかくなります。

手順2で電子レンジで温めてからほぐすのは、硬いまま無理にはがして、麺がちぎれるのを防ぐためです。温める時間は、麺の量と電子レンジの出力から見積もった、この記事の目安です。手順6で水100mlを加えるのも、鍋の中で麺に水分と熱を行き渡らせて、やわらかさを戻すためです。Wongnai のレシピも、麺を入れるときに水を少し足して、麺が固まるのを防いでいます。

麺どうしをくっつけない油

Kapookの記事は、セン・ヤイを手作りするとき、蒸し上がった生地の表面に油を塗り、重ねるたびにも塗って、くっつかないようにしています。炒めるときは、麺を鍋に押しつけず、底から大きく返します。麺が鍋肌に長く貼りつくと、焦げて切れやすくなるからです。

にんにくと唐辛子をつぶしてから油で炒める

この記事で参照したタイ語のレシピの多くは、にんにくと唐辛子を石臼で粗くつぶしてから炒めています。つぶしておくと、短い時間で辛みと香りが出ます。最初に油で炒めると、その香りが油に移り、その油が麺と鶏肉を包みます。

唐辛子を熱い油で炒めると、刺激で咳が出ることがあります。手順5で換気扇を強にして回すのはそのためです。

ガパオは火を止めてから加える

タイのチェンマイ大学の研究者が2018年に発表した論文は、タイでよく使われるバジル5種類の精油(香りの成分を集めた油)を分析しました。この論文では、ガパオは赤も白も、メチルオイゲノールがいちばん多い成分でした。ガパオの香りは、長く加熱すると弱まります。手順7で火を止めてから葉を加え、余熱でしんなりさせるのは、香りを残すためです。

作り方の違い

  • 香草:Kapookの鶏肉のパット・キーマオは、ガパオに加えて、甘い香りのタイのバジル(ホーラパー)も入れます。
  • クラチャーイ:KRUA.CO のレシピと、Kapookの鶏肉のパット・キーマオは、しょうがの仲間の根茎クラチャーイ(フィンガールート)の細切りを加えます。
  • 揚げたガパオ:KRUA.CO、Wongnai、クックパッドの3件のレシピは、仕上げにカリカリに揚げたガパオの葉をのせます。
  • 野菜:ポン・タンタサティエンのレシピは、玉ねぎ、さやえんどう、ひらたけの仲間のきのこも加え、水の代わりにスープで炒めます。
  • 麺:KRUA.CO と Wongnai のレシピは細いセン・レックで作ります。Wongnai の投稿レシピには、スパゲッティで作るものもあります。

手に入りにくい材料の代用

  • セン・ヤイ:日本では、タイ食材店の店頭や通販で、冷蔵か冷凍の生のセン・ヤイが売られていることがあります。一般のスーパーではあまり見かけません。冷凍のものは、冷蔵庫に一晩おいて解凍し、手順2と同じように温めてからほぐします。
  • セン・ヤイの乾麺:生のセン・ヤイ400gの代わりに、幅8〜10mmほどの平たい米麺の乾麺150gを使えます。タイ食材店で「センヤイ」「Sen Yai」などと表示された乾麺や、幅の広いライスヌードルを選びます。乾麺の量と戻し方は、参照したタイ語のレシピには書かれていないため、一般的な米麺の扱いをもとにしたこの記事の目安です。袋に戻し方の表示があれば、そちらを優先します。
    1. ボウルにたっぷりの水(20℃前後)を張り、乾麺を30〜40分浸す。急ぐときは40〜50℃のぬるま湯に15〜20分浸す
    2. 麺が手で曲げられるやわらかさになり、切ると中心にまだ白い芯が残る状態で、ざるに上げて水けを切る。この記事では、炒めるうちに麺がちぎれにくいよう、熱湯でゆでずに戻す
    3. 手順6で加える水を150mlにし、3〜4分、芯がなくなるまで炒める
  • セン・ヤイを手作りする:Kapookの記事は、米粉1カップ、タピオカ粉1/2カップ、水350ml、油1/4カップで、約500gのセン・ヤイを作っています(カップの容量は書かれていません。この記事では240ml前後と見ています)。粉を混ぜて水を少しずつ加え、油を薄く塗った皿に薄く流して、中火で4〜5分蒸します。表面に油を塗り、温かいうちにはがして、油を塗りながら重ねてから切る、という作り方です。この記事の料理に使うときは、2〜3cm幅に切ります。
  • ガパオの葉:タイ食材店で、生か冷凍のものが手に入ります。冷凍の葉20gは、解けると黒ずむので、凍ったまま手順7で加えます。手に入らないときは、スイートバジル20gで作れますが、香りはガパオとは別のものになります。
  • 生のグリーンペッパー:タイ食材店で冷凍のものが手に入ることがあります。手に入らないときは、塩漬けや水煮の瓶詰めのグリーンペッパー10gを水で洗って使います。塩漬けのものは塩けが加わるので、ナンプラーを5mlに減らします。なくても作れます。
  • 生の赤唐辛子(プリック・キーヌー):日本の生の赤唐辛子3gで代用できます。辛さは品種によってちがうので、少しかじって確かめます。
  • 生の赤唐辛子(大):赤パプリカ10gを細切りにして、色どりに加えます。
  • シーイウ・カーオ:日本の薄口醤油を同じ量使えます。
  • シーイウ・ダム:たまり醤油8mlと黒砂糖2gを混ぜて代用できます。
  • カフィアライムリーフ:なくても作れます。こぶみかんのさわやかな香りはなくなります。

保存

  • 作りたてを食べるのがいちばんです。冷えると麺が硬くなります
  • 残ったら:保存容器に入れて冷蔵で1日。食べる前に、水大さじ1をふって電子レンジで温め直します
  • 生のセン・ヤイ:袋の表示に従います。すぐに使わない分は、1回分ずつラップで包んで冷凍し、1か月を目安に使い切ります

タイのほかのレシピ

もっと知りたい人へ

  • ハロルド・マギー『マギー キッチンサイエンス』食材と調理の科学を広く扱う、料理科学の定番Amazonで見る楽天で見る
  • Pailin Chongchitnant『Hot Thai Kitchen』(英語)タイ出身の料理家パイリン・チョンチットナンの本。タイの炒め物と麺料理の基本が詳しいAmazonで見る楽天で見る

出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。