シムラー・ミルチ・ベサンShimla Mirch Besan レシピ
शिमला मिर्च बेसनシムラー・ミルチ・ベサン

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シムラー・ミルチ・ベサンは、角切りのピーマンに、乾煎りしたベサン(ひよこ豆の粉)をまぶして炒め、ふたをして短く蒸し焼きにするインドの家庭のおかずです。煎ったベサンの香ばしさが、ピーマンの青い香りとほろ苦さを包みます。汁気はなく、ピーマンには歯ごたえを残します。
ここでは、ヒンディー語と英語で料理のレシピを発信しているニシャー・マドゥリカーが、ラージャスターン風として紹介しているレシピにならいます。フェンネルとアムチュール(青いマンゴーの粉)で甘い香りと酸味を足すのが特徴です。インドのシムラー・ミルチ3個の分量を、日本のピーマン9個に置き換えています。
シムラー・ミルチ・ベサンとは
ヒンディー語では「शिमला मिर्च बेसन」と書きます。シムラー・ミルチは、ピーマンやパプリカの仲間の野菜(カプシカム)のヒンディー語の名前です。ベサンは、ひよこ豆の粉のことです。インドの料理サイト「ヘッバールズ・キッチン」のヒンディー語のレシピは「シムラー・ミルチ・ベサン・サブズィー」と題し、「カプシカム・ベサン・バージー」という呼び方も挙げています。サブズィーもバージーも、野菜のおかずのことです。
ニシャー・マドゥリカーのヒンディー語のレシピは、「ベサン・ワーリー・シムラー・ミルチ」(ベサンを使ったシムラー・ミルチ)と題しています。料理名の語順は情報源によって分かれます。今回読んだヒンディー語のレシピ2件では、シムラー・ミルチ・ベサンの順と、ベサンを先に置く順が1件ずつでした。インドの人が英語で書いたレシピ3件を合わせた5件では、シムラー・ミルチ・ベサンの順が3件、ベサンを先に置く順が2件でした。
ラージャスターン風として
ニシャー・マドゥリカーのレシピは、題や紹介文ではなく、作り方の見出しで、この料理をラージャスターン風のベサンのシムラー・ミルチとしています。ナンディター・アイヤルの料理ブログ「サフラン・トレイル」も、ラージャスターンやグジャラートの料理にならった一品だとしています。同じページは、もとになったのはベサンを詰めたピーマンの料理で、それを手軽にしたものだと書いています。
ヒンディー語のニュースサイト「ザ・インディア・ムーブズ」のラージャスターン料理の記事は、ラージャスターンでは新鮮な野菜が少ないぶんをベサンで補うとしています。ただし、この記事はシムラー・ミルチ・ベサンそのものには触れていません。
一方で、ヘッバールズ・キッチンは冒頭の紹介文で北インドの汁気のないおかずとし(同じページのレシピカードでは南インド料理に分類しています)、インドの料理サイト「ダサナーズ・ヴェジ・レシピズ」はマハーラーシュトラの料理に分類しています。今回読んだ情報源には、この料理がいつ、どこで生まれたかを書いたものはありませんでした。
この記事の作り方
ニシャー・マドゥリカーのレシピは3〜4人分で、シムラー・ミルチ3個(300g)にベサン大さじ2を使います。ベサンを先に乾煎りし、クミンとヒングを入れた油で、ターメリックとコリアンダーのパウダー、しょうがのペーストを炒めます。そこにピーマン、塩、レッドチリパウダー、フェンネル、アムチュール、ガラム・マサーラー、煎ったベサンを加えてまぶし、ふたをして弱火で2〜3分、2分、2分と加熱して、そのつど様子を見ます。この記事はこの流れにならっています。
アムチュールは、ニシャー・マドゥリカーのレシピでは作り方にだけ出てきて、量が書かれていません。ヘッバールズ・キッチンとサフラン・トレイルは小さじ1を使いますが、この記事では、ほかのスパイスの量との釣り合いを考えて、控えめに小さじ1/2にしました。煎ったベサンを3回に分けて振り入れるのは、ダサナーズ・ヴェジ・レシピズが少しずつ加えているのにならった、この記事の手順です。ニシャー・マドゥリカーは一度に加えます。パクチーは、ニシャー・マドゥリカーのレシピでは材料欄にだけ出てくるので、この記事では仕上げに散らします。
ヘッバールズ・キッチンのヒンディー語のレシピは、ピーマン2個に、煎ったベサン1/4カップ(大さじ4)を使います。この記事のベサンの量は、2つのレシピの間をとって大さじ3にしました。水は、ニシャー・マドゥリカーのレシピでは加えませんが、ヘッバールズ・キッチンは、混ぜたものが乾いていれば大さじ2を加えるとしています。この記事では、ヘッバールズ・キッチンの量にならって、いつも大さじ2を加えます。
シムラー・ミルチ・ベサンのレシピ:材料(3人分)
下ごしらえ 10分 加熱 20分
- コリアンダー2g
- フェンネル2g
- クミン1.3g
- アムチュール1.3g
- ターメリック0.8g
- 赤唐辛子0.6g
- ガラム・マサーラー0.5g
- ヒング0.3g
ピーマン
- ピーマン(日本の中くらいのもの。インドのシムラー・ミルチなら3個)300g(9個)
パウダースパイスとしょうが
合わせる
蒸し焼き
- 水30ml(大さじ2)
仕上げ
- パクチー(コリアンダーの葉)(刻む)4g(大さじ2)
道具
- ふたつきの厚手のフライパン(直径24〜26cm。カラーイー(インドの丸底の鍋)でもよい)
- 木べら(ベサンを煎るときに鍋底から混ぜ続ける)
作り方
ピーマンを切る
ピーマン300gを洗い、キッチンペーパーで外側の水気をよくふく。縦半分に切って、へたと種、白いわたを取り除き、2cm角に切る。しょうがはすりおろす。パクチーは刻む。
ベサンを乾煎りする
フライパンを弱火で熱し、油をひかずにベサン22gを入れる。木べらで鍋底から混ぜ続けながら4〜5分、色がほんの少し濃くなり、香ばしい香りがするまで煎る。焦げやすいので火を強めない。煎り上がったらすぐに皿に移す。
クミンとヒングを油に入れる
換気扇を回しておく。フライパンに残った粉をキッチンペーパーでふき取り、植物油26gを中火で熱する。クミン(ホール)1.25gを入れ、細かい泡が立ってクミンの色が濃くなるまで20〜30秒加熱する。ヒング(パウダー)0.3gを入れて、すぐ次の手順に進む。
パウダースパイスとしょうがを炒める
弱火にして、ターメリック(パウダー)0.75gとコリアンダー(パウダー)2gを加えて混ぜる。しょうが10gを加え、30秒炒める。しょうがの水分で油がはねるので、顔を近づけない。
ピーマンにベサンをまぶす
ピーマンを加えて油をからめ、塩3g、レッドチリパウダー0.6g、フェンネル(パウダー)2g、アムチュール(パウダー)1.25g、ガラム・マサーラー0.5gを加えて混ぜる。煎ったベサンを3回に分けて振り入れ、そのつど全体を混ぜて、ピーマンにまぶす。中火にして1分炒め合わせる。
ふたをして蒸し焼きにする
水30mlを全体に振りかける。油がはねるので、顔を近づけない。ふたをして弱火で3分加熱する。ふたを取って鍋底から混ぜ、またふたをして2分加熱する。もう一度混ぜて、ピーマンを1切れ食べてみる。まだかたければ、ふたをしてさらに2分加熱する。柔らかくなりつつも、歯ごたえが残っていればよい。
仕上げる
火を止めて、パクチー4gを散らし、全体を混ぜる。
チャパーティー(全粒粉の薄焼きパン)やパラーター(ギーや油を塗って重ね焼きにした全粒粉のパン)、ご飯に添えて食べます。
料理科学:ベサンを先に乾煎りする理由
水分があると、焼き色がつく温度に届かない
煎ったベサンの香ばしさは、メイラード反応(アミノ酸と糖が反応して色と香りが生まれる反応)などによるものです。水分がたくさんあるうちは、水が沸く100℃前後より温度が上がりにくく、焼き色はつきにくくなります。
ピーマンと一緒に炒めると、ピーマンから出る水分のために、鍋の中は100℃前後にとどまりやすくなります。そこに生のベサンを入れても、香ばしい香りはつきにくくなります。手順2で、油も水分もない鍋でベサンだけを先に煎るのはそのためです。
煎りすぎて焦げると、苦みが出ます。手順2を弱火で混ぜ続けるのはそのためです。インドの料理ブログ「アーハーラム」のレシピは、熱いフライパンに残すと煎り続けてしまうので、すぐ皿に移すとしています。ニシャー・マドゥリカーのレシピも、煎ったベサンを器に取り出しています。
生の粉の味を残さない
ダサナーズ・ヴェジ・レシピズは、ベサンはあとでほとんど加熱しないので、生の味が残らないように煎っておく、としています。この料理でベサンに火を入れるのは、手順5と6の数分だけです。手順2で十分に煎っておけば、短い加熱でも粉っぽさが残りにくくなります。
料理科学:ピーマンを短い時間で仕上げる理由
歯ごたえを残す
加熱が長くなるほど、ピーマンは柔らかくなり、歯ごたえがなくなります。ニシャー・マドゥリカーのレシピは、ピーマンは少し柔らかくなればよく、歯ごたえが残るくらいにするとしています。手順6でふたをする時間を合わせて5〜7分ほどにし、途中で食べて確かめるのはそのためです。
緑の色を保つ
ピーマンの緑は、葉緑素(クロロフィル)の色です。緑の野菜は、酸と一緒に加熱したり、長く加熱したりすると、緑がくすみます。
この料理には、酸味のあるアムチュールが入っています。ふたをして加熱する時間を短くすることは、歯ごたえを残すだけでなく、ピーマンの緑をくすませすぎないことにもつながります。
日本のピーマンで作るとき
ニシャー・マドゥリカーのレシピでは、シムラー・ミルチ3個が300gです。1個100gほどの計算になります。日本のスーパーで売られている中くらいのピーマンは、1個30〜40gほどです。この記事では、重さを合わせて、日本のピーマン9個(300g)にしています。
ニシャー・マドゥリカーは、シムラー・ミルチを1.3〜2.5cm角(1/2〜1インチ角)に切ります。この記事では、日本のピーマンを2cm角に切ります。日本のピーマンは果肉が薄いので、インドのシムラー・ミルチより早く火が通ることがあります。手順6の時間は目安にして、食べて確かめてください。
作り方の違い
マスタードシードとフェンネルの粒で香りをつける
ヘッバールズ・キッチンのヒンディー語のレシピは、油にマスタードシード、クミン、フェンネルの粒、ヒングを入れ、青唐辛子を加えてから、ピーマンを炒めます。パウダースパイスは、ターメリック、カシュミーリー・チリパウダー、クミン、コリアンダー、アムチュールです。煎ったベサンを加えて混ぜ、ふたをして7分ほど加熱します。
カロンジーで香りをつけ、ベサンに焼き色をつける
サフラン・トレイルのレシピは、ベサンを煎ったあとにパウダースパイスと塩を混ぜておきます。油にはカロンジー(ニゲラ。黒くて小さい種)を入れ、細切りにしたピーマンをほとんど火が通るまで炒めてから、ベサンを合わせます。水を振ってふたをして加熱したあと、鍋肌から油をたらし、混ぜずに弱火で焼いて、ベサンをきつね色にします。好みでジャガリー(精製しない砂糖)も加えます。
マハーラーシュトラの作り方
ダサナーズ・ヴェジ・レシピズは、マラーティー語では、ピート(粉。ここではベサンのこと)という言葉を含む名前でも呼ばれるとしています。作り方は、マスタードシードとクミンを入れた油で玉ねぎとにんにく、青唐辛子、カレーリーフを炒め、ピーマンと水を加えてふたをして柔らかくしてから、煎ったベサンを少しずつ振り入れます。ダサナーズ・ヴェジ・レシピズは、読者のコメントへの返答で、この料理をズンカ(ベサンを使うマハーラーシュトラのおかず)の作り方のひとつだとしています。
アーハーラムのレシピも、マハーラーシュトラの料理として「カプシカム・ズンカ」と呼んでいます。油にはマスタードシードだけを入れ、ピーマンは水を加えずにふたもしないで炒め、煎ったベサンをまぶして1〜2分炒めます。
手に入りにくい材料の代用
- ヒング:セリ科の植物の樹脂を粉にしたもので、にんにくに似た強い香りがあります。省いても作れます。
- フェンネル(パウダー):ヘッバールズ・キッチンのレシピのように、粒のフェンネルでも作れます。この記事では、フェンネル(ホール)2g(小さじ1)を、手順3でクミンと一緒に油に入れます。
- アムチュール:この記事では、レモン汁2.5ml(小さじ1/2)で代えます。ダサナーズ・ヴェジ・レシピズのレシピは、アムチュールを使わず、仕上げに好みでレモン汁小さじ1/2〜1を加えています。酸と一緒に加熱するとピーマンの色がくすみやすいので、手順5では入れず、手順7で火を止めてから回しかけます。
- レッドチリパウダー:インドの唐辛子だけの粉です。一味唐辛子を同じ量使います。
保存
- 冷蔵:保存容器に入れて2日。フライパンか電子レンジで温め直します
- 冷凍:ピーマンが水っぽくなるので向きません
北インドのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Nisha Madhulika「बेसन वाली शिमला मिर्च - Besan Wali Shimlamirch recipe」(ヒンディー語)
- Nisha Madhulika「Besan Wali Shimlamirch recipe」(英語)
- Hebbar's Kitchen「शिमला मिर्च बेसन सब्ज़ी रेसिपी | shimla mirch besan sabji in hindi」(ヒンディー語)
- The India Moves「राजस्थान का देसी खाना जो पहली बाइट में दिल जीत ले」(ヒンディー語)
- Dassana's Veg Recipes「Capsicum besan bhaji | shimla mirch besan」(英語)
- Saffron Trail「Shimla Mirch Besan Subzi | Bell pepper Chickpea Flour Dry Curry」(英語)
- Aahaaram「Besan Shimla Mirch ki Sabzi | Capsicum Zunka」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。