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ティル・ワーレー・アールーTil Wale Aloo レシピ

तिल वाले आलूティル・ワーレー・アールー

地域
北インド(北インド)
分量
4人分
公開
ステンレスの皿に盛ったティル・ワーレー・アールー。黄色く色づいた角切りのじゃがいもに白ごまとクミンがまぶされ、赤唐辛子と輪切りの青唐辛子、パクチーがのっている。奥に重ねたローティー

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ティル・ワーレー・アールーは、ゆでたじゃがいもをスパイスの香りの油で炒め、煎った白ごまをからめた、北インドの家庭のおかずです。この記事の作り方では、汁気はほとんどありません。ほっくりしたじゃがいもに、香ばしいごまの粒がまとわりつきます。

味の決め手は、ごまを煎る香りです。この記事では、煎ったごまの半分を粗くすってじゃがいもにまとわせ、残りの半分は粒のまま、火を止めてから加えます。ごまの香ばしさと、ぷちぷちした歯ざわりの両方を残すためです。

ティル・ワーレー・アールーとは

ヒンディー語では「तिल वाले आलू」(ティル・ワーレー・アールー)などと書かれる料理です。ティルはごま、ワーレーは「〜の入った」、アールーはじゃがいもで、「ごまの入ったじゃがいも」という意味です。インドのレシピサイト「アルチャナズ・キッチン」のヒンディー語のページは「ティル・ケー・アールー」(ごまのじゃがいも)と書いています。インドの料理研究家タルラー・ダラールのサイトの見出しは「ティルワーレー・アールー」です。この記事では、今回読んだ情報源でいちばん多い「ティル・ワーレー・アールー」の名前を使います。

北インドの家庭のおかず

タルラー・ダラールのサイトは、サイト内の分類で、このレシピをパンジャーブ料理のサブズィー(野菜のおかず)に入れています。料理ブログ「ウィスク・アフェア」のネーハー・マートゥルは、北インド風のサブズィーとして紹介し、毎日の食事で、ダールとご飯、またはダールとローティー(全粒粉の薄焼きパン)に添えるとしています。アルチャナズ・キッチンのヒンディー語のページは、昼ごはんのおかずとし、弁当に詰めてもよいとしています。

料理ブログ「サフラン・トレイル」のナンディター・アイヤルは、このレシピをサンギーターという書き手のブログ「バナーラス・カー・カーナー」(バナーラスの料理)で見つけたと書いています。バナーラスは、ウッタル・プラデーシュ州の都市ヴァーラーナシーの別名です。アイヤルによれば、サンギーターのブログでは、断食の日に食べる料理で、ギーで作るとされています。この断食の日の話はアイヤルの記事に書かれていることで、この記事ではサンギーターのブログの記事そのものは確認できていません。なお、アイヤル自身のレシピは、ギーではなくマスタードオイルで作ります。

アイヤルは、料理ブロガーの企画「#TheKitchenDivas」のその月のテーマ、ウッタル・プラデーシュ州の料理に合わせて、このレシピを載せています。

今回読んだ情報源には、いつ、どこで作られ始めたかを書いたものはありませんでした。

インドとごま

ごまはインドで古くから使われてきた作物です。インドの科学史の学術誌『インディアン・ジャーナル・オブ・ヒストリー・オブ・サイエンス』に載ったN・C・シャーの論文は、インドでのごまの栽培をハラッパー(インダス文明)の時代までさかのぼるとしています。同じ論文は、サンスクリット語で油を意味する「タイラ」がごま(ティル)から来た言葉だとされることにも触れています。

シャーの論文によれば、ごまは冬の祭りの食べ物でもあります。北インドでは、1月14日ごろのマカル・サンクラーンティ(太陽の祭り)の時期に、菓子屋にごまのラッドゥー(丸い菓子)が並ぶとしています。その前日の祭りローリーでは、たき火を囲み、ごまなどを火に投げ入れ、ごまの菓子を分け合うと紹介しています。

ネパールのアール・コ・アチャールとの違い

ネパールのアール・コ・アチャールも、じゃがいもとごまを使う料理です。このサイトのアール・コ・アチャールの記事で紹介した作り方は、ゆでたじゃがいもを、塩とレモン汁、すって水でのばしたごまのたれで和え、マスタードオイルでフェヌグリークなどを炒めた熱い油をかけて、室温でなじませてから食べる和え物です。この記事のティル・ワーレー・アールーは、ゆでたじゃがいもをフライパンで炒め、ごまを炒め合わせて、熱いうちに食べるおかずです。ごまはたれにせず、じゃがいもにまぶすように使います。

ただし、どちらにも別の作り方があります。ティル・ワーレー・アールーには、ごまのペーストと水を加えて煮る作り方があります(「作り方の違い」の節)。アール・コ・アチャールにも、和えずに、じゃがいもをスパイスと炒めてから冷ます作り方があります(アール・コ・アチャールの記事の「家庭や地域による違い」の節)。

この記事の作り方

タルラー・ダラールのレシピは、ゆでて皮をむいたじゃがいもを、クミンなどのホールスパイスを入れた油と、しょうがと青唐辛子で炒め、ターメリックと塩で味をつけます。火を止めてから煎ったごまとレモン汁を混ぜます。この記事はこの流れにならっています。

ごまの量と、クミン・ヒング・赤唐辛子・コリアンダーパウダーの組み合わせは、4人分のウィスク・アフェアのレシピを参考にしました。ヒングはウィスク・アフェアの半分にしています。ウィスク・アフェアは、煎ったごまを粗くすって、じゃがいもと一緒に炒めます。この記事では、ごまの半分をウィスク・アフェアのようにすってじゃがいもにまとわせ、残りの半分をタルラー・ダラールのように火を止めてから粒のまま加えます。

タルラー・ダラールは、マスタードシードとカレーリーフも油に入れます。今回読んだほかのレシピには入っていないため、この記事では使っていません。

ティル・ワーレー・アールーのレシピ:材料(4人分)

下ごしらえ 15分 加熱 50分(じゃがいもをゆでて冷ます時間を含む)

スパイスの配合 4人分で計9.3g
  • コリアンダー4g
  • クミン2.5g
  • ターメリック1.5g
  • 赤唐辛子1g
  • ヒング0.3g

下ゆで用

  • 水1.5L

じゃがいも

  • じゃがいも(メークインなど煮くずれしにくいもの。中4個)500g

ごま

  • 白ごま(皮つきの洗いごま、またはいりごま)36g(大さじ4)

香りの油

  • 植物油26g(大さじ2)
  • クミン(ホール)(Amazon|楽天)2.5g(小さじ1)
  • ヒング(パウダー)(アサフェティダ)(Amazon|楽天)0.3g(小さじ1/8)
  • 赤唐辛子(ホール)(乾燥)(Amazon|楽天)2本(1g)
  • しょうが(すりおろし)10g(小さじ2)
  • 青唐辛子(小口切り)2本(6g)

炒め合わせる

  • ターメリック(パウダー)(Amazon|楽天)1.5g(小さじ1/2)
  • コリアンダー(パウダー)(Amazon|楽天)4g(小さじ2)
  • 塩5g(小さじ1弱)
  • 水30ml(大さじ2)

仕上げ

  • レモン汁15ml(大さじ1)
  • パクチー(コリアンダーの葉)(刻む)10g

道具

  • すり鉢またはスパイスグラインダー(ごまを粗くする)(Amazon|楽天)
  • 厚手のフライパン(直径26cm前後。カラーイー(インドの丸底の鍋)でもよい)
  • 小さなフライパン(ごまを煎る用)

作り方

  1. じゃがいもをゆでる

    じゃがいもを皮ごとよく洗い、丸ごと鍋に入れて水1.5Lを注ぐ。強火にかけ、沸いたら中火にして20〜25分ゆでる。竹串がすっと通れば、ゆで上がり。

  2. ごまを煎る

    じゃがいもをゆでている間に、乾いた小さなフライパンに白ごま36gを入れて弱めの中火にかける。フライパンをゆすりながら3〜4分、薄いきつね色になって、ぱちぱちとはねはじめるまで煎り、すぐ皿に移す。粒が飛ぶので、顔を近づけない。

  3. 湯気を飛ばして切る

    じゃがいもをざるに上げ、そのまま10分おいて湯気を飛ばす。熱いので、ふきんで持って皮をむき、2.5cm角に切る。

  4. ごまを半分すって、ほかの材料を用意する

    ごまが冷めたら半分の18gをすり鉢に入れ、粒の形がところどころ残る程度の粗い粉にする。残りの18gは粒のままとっておく。しょうがはすりおろし、青唐辛子は小口切りにする。赤唐辛子は半分に折る。パクチー10gは刻む。

  5. クミンとヒングを油に入れ、香味野菜を炒める

    換気扇を回しておく。フライパンに植物油26gを中火で熱し、クミン(ホール)2.5gを入れる。細かい泡が立ち、クミンの色が濃くなって香りが出るまで20〜30秒加熱する。ヒング(パウダー)0.3gと赤唐辛子(ホール)2本を入れてすぐに、しょうが(すりおろし)10gと青唐辛子6gを加え、30秒炒める。しょうがは水分が多く、油がはねるので、顔を近づけない。

  6. じゃがいもを炒める

    じゃがいも、ターメリック(パウダー)1.5g、コリアンダー(パウダー)4g、塩5gを加え、油とスパイスを全体にからめる。中火で5〜6分、ときどき返しながら、じゃがいもの面に薄く焼き色がつくまで炒める。

  7. すったごまをからめる

    すったごま18gを全体に振り入れ、水30mlを鍋肌から回し入れる。油がはねるので、顔を近づけない。大きく返しながら1〜2分炒め、水気がなくなって、ごまがじゃがいもにまとわりつけばよい。

  8. 火を止めて粒のごまを加える

    火を止めて、粒のごま18g、レモン汁15ml、パクチー10gを加え、じゃがいもをくずさないように混ぜる。熱いうちに盛りつける。

ローティーやパラーター(重ね焼きのパン)、ダールとご飯に添えて食べます。

料理科学:ごまを煎ってから使う理由

煎ると、香ばしい香りが生まれる

N・C・シャーの論文によれば、ごまの種は重さの50〜60%ほどが油です。乾いたフライパンで煎ると、種の表面でメイラード反応が進みます。メイラード反応は、アミノ酸と糖が反応して、焼き色と香ばしい香りができる反応です。

ごまは水分が少ないので、乾いたフライパンでは表面の温度がすぐに上がります。そのぶん、焦げるのも早くなります。焦げると苦みが出ます。手順2で弱めの中火にし、フライパンをゆすり続け、薄いきつね色になったらすぐ皿に移すのはそのためです。フライパンに残すと、余熱で色が進みます。ウィスク・アフェアも、ごまは混ぜ続けながら煎るようにと書いています。

すったごまは香りが早く逃げる

すったごまは、粒のままのごまより香りが立ちますが、そのぶん香りが抜けるのも早くなります。手順4で、炒める直前にごまをすっているのは、煎りたての香りをできるだけ残すためです。

すったごまは、粒よりもじゃがいもの面にまとわりつきやすく、ごまの風味が全体に回ります。ウィスク・アフェアが、ごまを粗くすってからじゃがいもと一緒に炒めるのはこの使い方です。

料理科学:すったごまと粒のごまを分けて入れる理由

すったごまは、水と一緒に入れる

すったごまは、粒よりも細かいぶん、熱い油の中ですぐに色が進みます。手順7で水30mlを一緒に回し入れるのは、水が残っているあいだ、鍋の中を100℃前後に保つためです。そのあいだに、ごまの粉がじゃがいもの面に張りつきます。ウィスク・アフェアも、すったごまを加えたあとに水を大さじ1〜2加えます。水気がなくなったら、すぐ次の手順に進みます。

粒のごまは、火を止めてから

タルラー・ダラールは、煎ったごまを火から下ろしてから加えると、香ばしい歯ざわりが残り、焦げるのも防げるとしています。同じページは、煎ったごまのかりっとした歯ざわりを楽しむために、できたての熱いうちに食べるよう勧めています。手順8で火を止めてから粒のごまを加え、すぐに盛りつけるのはそのためです。

じゃがいもは湯気を飛ばしてから炒める

ゆでたじゃがいもの表面がぬれていると、水が蒸発するあいだ温度が上がりにくく、焼き色がつきにくくなります。手順3でざるに上げて10分おくのはそのためです。

作り方の違い

生のじゃがいもから作る作り方

ウィスク・アフェアのレシピは、ゆでずに、皮をむいて1.3cmほどの角切りにした生のじゃがいもを使います。すったごまと水大さじ1〜2を加え、ふたをして弱火で10〜12分、柔らかくなるまで火を通します。この記事の材料で作るときは、じゃがいも500gの皮をむいて1.3cm角に切り、水にさらして、水気を切ってから手順6で加えます。すったごまと水30mlも一緒に加えて、ふたをして弱火で10〜12分、ときどき混ぜながら火を通します。ごまが鍋底に張りつきやすいので、焦げそうなら水を大さじ1ずつ足します。

ごまのペーストや、ほかの材料を使う作り方

アルチャナズ・キッチンのヒンディー語のレシピは、煎ったごまを水と一緒にすりつぶして濃いペーストにし、パクチー、青唐辛子、にんにく、ターメリックのペーストで炒めたじゃがいもにからめます。サフラン・トレイルのレシピも同じ考え方で、マスタードオイルで作り、ごまのペーストと水1/2カップを加えて弱火で4〜5分煮ます。汁気のある仕上がりで、英語の題でも、ごまのソースで煮るじゃがいものカレーと説明しています。料理共有サイト「クックパッド」のインド版にデリーの投稿者が載せたヒンディー語のレシピは、ごまを熱い油に入れてはじけさせ、赤唐辛子、レッドチリパウダー、ガラム・マサーラー、アムチュール(青いマンゴーの粉)で味つけし、水を加えて5〜7分煮ます。

アルチャナズ・キッチンの英語のレシピは、タマリンドとデーツの甘酸っぱいチャトニー(たれ)で味をつけます。料理家サンジーヴ・カプールのサイトには、グリーンピースを加え、煎ってひいたフェンネルやアナールダーナー(乾燥ざくろの種)で香りをつける「ティル・マタルワーレー・アールー」や、玉ねぎを炒めて白と黒のごまを使う作り方も載っています。

料理ブログ「ガヤトリズ・クック・スポット」のガヤトリ・クマールは、シッキム(インド北東部の州)の付け合わせとして、玉ねぎと一緒に炒めたじゃがいもに、煎ってひいたごまとレッドチリパウダーをからめる「ティル・コ・アールー」を紹介しています。シッキムの作り方を読んで作ったものとしています。

手に入りにくい材料の代用

  • ヒング:セリ科の植物の樹脂を粉にしたもので、にんにくに似た強い香りがあります。タルラー・ダラールのレシピのように、使わない作り方もあります。省くときは、ほかの材料はそのままで作ります。
  • 青唐辛子:手に入らないときは、この記事では赤唐辛子(ホール)を1本増やして補います。青い香りはなくなります。
  • ごまの種類:ウィスク・アフェアは、皮つきのごまのほうがよく、手に入らなければ皮をむいたごまでもよいとしています。日本の洗いごまといりごまは皮つきです。
  • いりごま(市販の煎ったごま):そのまま使えますが、袋を開けてから時間がたつと香りが弱くなっています。手順2と同じように、弱めの中火で1〜2分、香りが立つまで煎り直してから使います。

保存

  • 冷蔵:保存容器に入れて2日。フライパンで温め直します。粒のごまの歯ざわりは弱くなります
  • 冷凍:じゃがいもの食感が変わるので向きません

北インドのほかのレシピ

もっと知りたい人へ

  • ハロルド・マギー『マギー キッチンサイエンス』食材と加熱の仕組みを広く扱う、料理科学の定番Amazonで見る楽天で見る
  • J. Kenji López-Alt『The Food Lab』(英語)家庭料理の火の通し方や下ごしらえを、実験で確かめた本Amazonで見る楽天で見る

出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。