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テージ・パッターTej Patta

तेज पत्ताテージ・パッター

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金属の皿に盛った乾いたテージ・パッター。くすんだ緑の細長い葉に、付け根から先まで3本の葉脈が走っている。右手前に緑のローリエの葉とシナモンのかけら、奥に溶かしたギーの入った両手鍋

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日本でベイリーフ(bay leaf)といえば、ふつうはローリエのことです。ローリエは、地中海原産の月桂樹(Laurus nobilis)の葉です。ところがインド政府のスパイス・ボード(Spices Board)は、月桂樹はインドでは商業作物として栽培されていないと説明しています。インドの国立のスパイス研究所(ICAR-IISR)は、「ベイリーフ(テージパト)」の項目で、別の木 Cinnamomum tamala の葉を説明しています。インドのレシピの bay leaf は、この葉のことがあります。

この葉が、ヒンディー語でテージ・パッターと呼ばれるスパイスです。ローリエと同じクスノキ科ですが属が違い、葉の形も香りの成分も違います。IISR は、この葉をビリヤーニーやプラーオ(炊き込みご飯)、カレーにホールのまま入れ、食べる前に取り出すと説明しています。

テージ・パッターとは

ヒンディー語ではテージ・パッター(तेज पत्ता)と呼びます。パッターは「葉」、テージは「鋭い」「強い」という意味の言葉です。

綴りは書き手によって少し違います。この記事のために読んだヒンディー語のニュースサイト5件の見出しと本文で数えると、アージ・タク、パトリカー、DNA ヒンディー、ナヴバーラト・ライブの4件は、2語に分けた形(तेज पत्ते などの語形変化を含む)を、1語につなげた形より多く使っていました。ザ・クイントのヒンディー語版は、1語につなげた形(तेजपत्ता、तेजपत्ते)だけを使っていました。ベンガル語の辞書アマルコーシュは、ヒンディー語の対応語として तेजपत्ता や तेजपात などを挙げています。ウルドゥー語の辞典レフター辞典の見出し語は तेजपात(テージパート)です。スパイス・ボードは、ヒンディー語の名前を英字で Tejpat と書いています。

学名は Cinnamomum tamala です。キュー王立植物園の植物データベース(Plants of the World Online)は、クスノキ科の木とし、自生地としてアッサム、バングラデシュ、中国の中南部、ヒマラヤの東部と西部、ラオス、ミャンマー、ネパール、ベトナムを挙げています。スパイス・ボードは、主にヒマラヤの熱帯・亜熱帯の地域に育ち、標高2,000mほどまでのインド北東部にも広がり、ネパール、バングラデシュ、ミャンマーにもあるとしています。Cinnamomum はシナモン(ニッケイ)と同じ属の名前で、スパイス・ボードの名前の一覧では、日本語名が Tamara-nikkei Tezipatto となっています。

主な産地は、資料によって挙げ方が違います。IISR はウッタラーカンド州とヒマーチャル・プラデーシュ州を主な産地とし、インド食品加工省の下にある NIFTEM(国立食品技術起業・経営研究所)の手引きは、葉の生産量がいちばん多いのはメーガーラヤ州としています。スパイス・ボードによると、葉の収穫は木が樹齢10年ほどになってから始まり、成熟した葉を10月から3月に摘みます。

ローリエとは別の植物

日本でローリエと呼ばれる葉の学名は Laurus nobilis です。スパイス・ボードは、地中海地方の原産で、ヨーロッパ、アメリカ、アラブの国々で広く栽培されているとしています。名前の一覧の日本語名は Gekkeiju(月桂樹)です。

どちらもクスノキ科ですが、テージ・パッターはニッケイ属(Cinnamomum)、ローリエはゲッケイジュ属(Laurus)です。IISR は、テージ・パッターは地中海の月桂樹とは植物学的に別のもので、料理での使い方が似ていると説明しています。

葉の見分け方

見分けるときは葉脈を見ます。NIFTEM の手引きと、ホテルのシェフのモバシル・ハサン(hassanchef.com)は、どちらも葉脈の数の違いを挙げています。IISR も、テージ・パッターの特徴に3本の葉脈を挙げています。

テージ・パッター ローリエ
学名 Cinnamomum tamala Laurus nobilis
葉の長さ 10〜15cm(NIFTEM) 2.5〜7.5cm(スパイス・ボード)
葉脈 3本が付け根から先まで走る(NIFTEM) 太い葉脈が1本、葉の長さに沿って走る(NIFTEM)

NIFTEM は、テージ・パッターの葉は月桂樹の葉より長く、幅も広いとしています。ハサンも、テージ・パッターは平行に走る3本の葉脈、ローリエは中央の葉脈1本としています。

香りの違い

テージ・パッター

スパイス・ボードは、クローブのような味と、かすかにこしょうのような香りと説明しています。IISR はシナモンとクローブを思わせる香り、NIFTEM はカシア(シナモンの一種)の樹皮に似ていて、それより穏やかな香りと味としています。ハサンは、温かく、ほろ苦さと甘さのある香りで、シナモンとクローブに少しこしょうを合わせたようだと書いています。

香りのもとは、葉に含まれる精油(揮発性の油)です。IISR は、主な成分をオイゲノールとし、ほかにシンナムアルデヒド、メチルオイゲノール、リナロールを挙げています。

ただし、成分の割合は資料によって大きく違い、産地による違いが挙げられています。同じ種でも精油の主成分が違う系統を「化学型(ケモタイプ)」と呼びます。

  • NIFTEM の手引き:化学型が多くあるとしたうえで、精油の主成分をシンナムアルデヒドとしています。インド北東部の葉については、オイゲノールが精油の34〜94%を占める重要な成分だとしています。
  • チャノティヤとヤーダヴ(2010年):インドの CSIR-CIMAP(中央薬用・芳香植物研究所)の研究者が、ウッタラーカンド州のクマーオン地方の葉の精油を2年続けて調べました。主成分は (E)-シンナムアルデヒドで36〜62%、リナロールは6〜16%で、オイゲノールは検出されないか、ごくわずかでした。この論文は、これまでの研究から、オイゲノール型、シンナムアルデヒド型、シンナムアルデヒド・リナロール型、トランス-サビネンハイドレート型などの化学型があるとまとめています。
  • レーマら(2005年):テージ・パッターの精油の研究をまとめた総説で、化学型があることと、産地によって精油の量が大きく違うことを挙げています。

ローリエ

スパイス・ボードは、もむと繊細でよい香りがして、味は芳香があり苦いと説明しています。ハサンは、ハーブのような、少し花のような、ユーカリのような香りと書いています。

ブルガリアの月桂樹を調べたフィダンら(2019年)の論文は、これまでの研究での葉の精油の主成分を、1,8-シネオール(別名ユーカリプトール)が30〜70%としています。この論文が分析した葉の精油も、1,8-シネオールが41%で最も多く、次がα-テルピニルアセテート(14%)、サビネン(9%)でした。

NIFTEM は、月桂樹の生の葉は香りがとても穏やかで、摘んで乾かしてから数週間で香りが出そろうとしています。

まとめ

テージ・パッターの精油の主成分はシンナムアルデヒドやオイゲノールなどで、ローリエは1,8-シネオールが中心です。どちらも「ベイリーフ」と呼ばれますが、香りの成分の中心が違います。

インドで「ベイリーフ」と呼ばれているもの

上に書いたとおり、スパイス・ボードは、月桂樹はインドでは商業作物として栽培されていないとしています。IISR と NIFTEM は、Cinnamomum tamala の葉を英語で「Bay Leaf」「Indian bay leaf」と呼んでいます。ヒンディー語のニュースサイトのアージ・タクも、テージ・パッターに英語の bay leaf をかっこ書きで添えています。

一方で、名前の上では2つの葉が取り違えられることがあります。

  • WDRA の取引規格:インド政府の倉庫開発規制庁(WDRA)のサイトにある、テージ・パッターの取引用の品質規格の文書は、ヒンディー語名の欄をテージパター、英語名の欄を Bay leaves とし、学名の欄には Laurus nobilis と書いています。
  • デイリー・スター(バングラデシュ)のベンガル語版:テジパタの効用を栄養士に聞いた記事で、筆者のシャブナム・ジャビン・チョウドリーが、テジパタは主に Laurus nobilis の木の乾燥した葉だと書いています。
  • アマルコーシュ:ベンガル語の語義はシナモンに似た常緑樹の葉としていますが、英語の訳語には bay laurel と Laurus nobilis を挙げています。

英語名や学名の表示だけでは、どちらの葉かは決められません。前の節の葉脈の数が見分ける手がかりになります。

地域ごとの呼び名

インドの言葉での呼び名は、資料によって挙げる名前が違います。下の表の現地の文字は、辞書かニュースサイトにあったもの、または2つの資料で一致したものだけです。ほかは、資料にあったローマ字の綴りのままにしました。

言語 呼び名 資料
ヒンディー語 तेज पत्ता(テージ・パッター)、तेजपात(テージパート) ニュースサイト・ハサン、レフター辞典
ウルドゥー語 تیج پات(テージパート)/Tejpat レフター辞典/スパイス・ボード
ベンガル語 তেজপাতা(Tejpata、テジパタ) デイリー・スター・バングラ、アマルコーシュ、スパイス・ボード、ハサン
カシミール語 Tejpata スパイス・ボード
パンジャービー語 Tejpat/Tej Patta スパイス・ボード/ハサン
マラーティー語 तमालपत्र(Tamalpatra)/Darchini WDRA・ハサン/スパイス・ボード
グジャラーティー語 Tamalapatra/Tamalpatra スパイス・ボード/ハサン
マラヤーラム語 Tamalapatram/Vayana Ila スパイス・ボード・WDRA/ハサン
タミル語 Talishappattiri/Brinji Ilai スパイス・ボード/ハサン
テルグ語 Talisapatri/Biryani Aku(Aaku) スパイス・ボード/WDRA(ハサン)
カンナダ語 Biryani Ele ハサン
サンスクリット語 Tamalaka(Tejpatra)/Tamalapatram スパイス・ボード/ハサン

使い方

ホールのまま、最初に油へ入れる

読んだ2つの資料は、どちらもテージ・パッターを炒め始めに、熱い油やギーに入れています。

  • ハサン:調理のいちばん初めに、玉ねぎより前に、熱した油かギーに入れ、15〜20秒、ジュッと音がして細かい泡が出るまで加熱します。乾いた葉は、先に軽くもむかちぎっておくとしています。
  • ヘッバールズ・キッチン(ヒンディー語のシャーヒー・プラーオ):ナッツを揚げたあとのギーに、テージ・パッター1枚とシナモン、クローブ、カルダモン、シャーヒー・ジーラーを入れ、弱火で香りが立つまで炒めます。

このサイトのチョーレーでは、テージ・パッター1枚をクミンと一緒に20秒炒めてから玉ねぎを加えます。ネパールのククラ・コ・マースでは、フェヌグリークシードを炒めたあとに、クミンシードとテージ・パッター2枚を加えます。熱い油を使うので、煙が出たら火を弱めて換気扇を回します。

煮汁やミックスに入れる

油で炒めるほかに、煮る水に入れる使い方もあります。チョーレーでは、ひよこ豆を煮る水にもテージ・パッターを1枚入れます。アージ・タクは、俳優のパンカジ・トリパーティーがマサーラー・チャーイにテージ・パッターを入れると紹介し、沸いた湯にスパイスとテージ・パッターを加えて2〜3分煮立てる作り方を載せています。

IISR と NIFTEM は、テージ・パッターをガラム・マサーラーの材料にも挙げています。

量の目安と、取り出すこと

ハサンは、毎日のダールやカレーで1〜2枚、4人分のビリヤーニーやプラーオで2〜3枚としています。デイリー・スターのベンガル語版は、料理に使う1〜2枚なら、ふつうは安全だとしています。

葉は食べません。IISR と NIFTEM は、食べる前に取り除くと説明しています。デイリー・スターのベンガル語版は、乾いた葉は最後までかみ切るのが難しく、のどにつかえるおそれがあるので、調理が終わったら取り出すほうがよいとしています。ハサンは、ビリヤーニーでは葉を上に見えるように残し、食べる人がよけられるようにしています。

日本で手に入るものと代用

日本のスーパーのスパイス売り場で「ローリエ」として売られているのは、月桂樹の葉です。テージ・パッター(Amazon|楽天)は、インドやネパールの食材を扱う店や通販で手に入ります。英語の Tej Patta や Indian bay leaf の名前でも探せます。届いたら、葉脈が縦に3本あるかを見て確かめます。

この記事のために読んだ資料には、テージ・パッターの代わりに何を使えばよいかを示したものはありませんでした。ハサンは、ヨーロッパの料理には地中海のベイリーフを、インドの料理にはテージ・パッターを使うよう勧め、インドの料理では2つの葉は入れ替えられないとしています。

このサイトのレシピでは、手に入らないときはローリエで代わりにする案内をしています。ただし、上の「香りの違い」の節のとおり精油の主成分が違うので、同じ香りにはなりません。

保存

ハサンは、プラスチックの袋ではなく、密閉できるガラスのびんに入れ、コンロの上のような熱と湯気の当たる場所を避けて、暗く涼しい場所に置くとしています。乾燥した葉は、きちんと保存すれば1年までもつとし、自分では8〜10か月ごとに買い替えるそうです。1枚もんでみて、シナモンとクローブの香りが強くすれば、まだ使えるとしています。

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。