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カスーリー・メーティーKasuri Methi

कसूरी मेथीカスーリー・メーティー

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スパイスと基本
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真鍮の皿にのせた金属の器に、山盛りのカスーリー・メーティー。細かく砕けた乾いた葉と細い茎が見え、皿に葉のかけらと粉が散っている。奥に銅の器に盛ったカレー

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カスーリー・メーティーは、メーティー(フェヌグリーク)の葉を干したものです。北インドやパキスタンの料理で、トマトとクリームのグレービー(カレーのソース)や、豆・野菜・肉の料理に、手のひらでもみくだいて加えます。インドの料理家サンジーヴ・カプールは、バターを使ったマクニーのグレービーの香りの決め手だとしています。

名前は、パキスタンのパンジャーブ州にある町、カスールに由来すると説明されます。いまの主な産地として、インドのニュースや農業研究者の論文が挙げるのは、インドのラージャスターン州のナーガウルです。日本でも、インド食材店や通販で袋入りのものが手に入ります(Amazon|楽天)。

カスーリー・メーティーとは

ヒンディー語では「कसूरी मेथी」、ウルドゥー語では「قصوری میتھی」と書きます。英字では Kasuri Methi のほか、Kasoori Methi ともつづられます。

メーティーは、フェヌグリークという植物のことです。ウルドゥー語・ヒンディー語の辞書「レフター・ディクショナリー」は、メーティーを、葉を青菜として料理する小さな植物と、スパイスや薬に使うその種子の両方の意味で説明しています。カスーリー・メーティーは、その葉を干したものです。

名前の由来:パキスタンのカスール

カスーリーは「カスールの」という意味です。由来の説明は、情報源によって少しずつ違います。

  • サンジーヴ・カプール:カスールは、ラホールの近くにある小さな町で、メーティーで知られている、と説明しています。
  • クナール・カプール:インドの料理家クナール・カプールのサイトは、カスールを、パキスタンのパンジャーブ地方の町で、スーフィー(イスラーム神秘主義)の詩人ブッレー・シャーが眠る町として紹介しています。そこで育つメーティーは当時もっとも良いものの一つで、カスール産のメーティーは、干したものも生のものもカスーリー・メーティーと呼ばれた、という説明です。1947年の分離独立のあとは、同じメーティーがインド側のパンジャーブのマーレールコートラーや、パキスタンとの国境に近いラージャスターンで育てられるようになったとしています。また、干したメーティーの葉ならどれもカスーリー・メーティーと呼ぶというのはよくある誤解で、カスーリー・メーティーを売る多くのブランドが名前の意味を説明しないためだ、とも書いています。
  • アージ・タク:インドのヒンディー語のニュース局アージ・タクのサイトは、分離独立の前、カスールの一帯は香りの強い良質なメーティーで知られていた、としています。分離独立のあと栽培は主にラージャスターンに移り、カスーリーという名前だけが残った、という説明です。
  • インドの研究者:インドの研究者が2026年に学術誌『プラント・アーカイブズ』に書いた論文は、ほかの論文を引いて、カスーリー・メーティーという名前はパキスタンのカスールの地名を示すもの、としています。

二つの植物

料理のレシピや食材の解説には、カスーリー・メーティーを、ただ乾燥したフェヌグリークの葉と説明するものがあります。インドのベジタリアン料理のサイト「ダサナーズ・ヴェジ・レシピズ」や、ヒンディー語の農業情報サイト「ケーティーワーディー」がそうです。

一方、今回読んだ4本の研究論文は、カスーリー・メーティーやナーガウリー・メーティーの学名を、ふつうのメーティーとは別の Trigonella corniculata としています。レフター・ディクショナリーがメーティーの学名として挙げるのは Trigonella foenum-graecum です。ラージャスターン州ジョードプルの農業大学などの研究者による『インディアン・ジャーナル・オブ・アグリカルチュラル・サイエンシズ』の2021年の論文は、題でナーガウリー・メーティーの学名を Trigonella corniculata とし、キーワードには「ナーガウリー・メーティー(カスーリー・メーティー)」と書いています。2014年の『ジャーナル・オブ・ファーマコグノシー・アンド・ファイトケミストリー』の論文は、干したメーティー(T. foenum-graecum)の葉・茎と、カスーリー・メーティー(T. corniculata)を、別々の試料として分析しています。

『プラント・アーカイブズ』の論文によると、T. corniculata は香りの強い一年草で、マールワーリー・メーティーやチャンパー・メーティーとも呼ばれます。さやは鎌の形に曲がり、中の種は小さく、香りがあるとしています。アージ・タクの記事も、ナーガウルのメーティーの特徴として、小さな種と鎌の形のさやを挙げています。

クナール・カプールは、インドでは年を追って交配の品種が多く育てられるようになり、パキスタンのもとのカスーリー・メーティーは、インドで育つものとは風味が少し違うとしています。そのうえで、ナーガウルで育てられたカスールの品種を自分で味わい、風味が強いと感じた、と書いています。この記事では、料理の情報源にならい、どちらもカスーリー・メーティーとして扱います。

産地:ラージャスターン州ナーガウルの「パーン・メーティー」

ラージャスターンの新聞やインドの研究者は、ナーガウルのこの作物を「ナーガウリー・パーン・メーティー」と呼んでいます。ナーガウルについての報道は、次のように伝えています。

  • 栽培の始まり:ラージャスターンの新聞「パトリカー」の2023年の記事は、パーン・メーティーの栽培は1970年ごろ、ナーガウルのタウサルで始まったとしています。はじめは農家が家で使うスパイスとして、いくつかの畝で育てていました。それが地元の市場に出るようになり、県内の十あまりの村に広がったという説明です。
  • 栽培の広さ:同じ記事は作付けを4,000〜4,200ヘクタールとし、小見出しで、国内ではナーガウル県の地理的な条件だけがパーン・メーティーに向いている、としています。アージ・タクの2026年の記事は、ナーガウル県でだけ育てられ、その広さは7,000ヘクタールあまりとし、主な地域としてムーンドワー、ナーガウル、メールター、ジャーヤル、デーガーナー、キーンワサルを挙げています。
  • 育て方と干し方:アージ・タクの記事によると、葉を何度も刈り取る作物で、1シーズンに約10回刈り取ります。刈った葉は日に干してから売られます。2024〜25年のシーズンには、干した葉が約3万トンとれたとしています。
  • 品種の登録:アージ・タクの記事によると、インドの植物品種・農家の権利保護機構が、「ナーガウリー・パーン・メーティー」を農家の共同体の品種として登録しました。このことは、2026年2月2日発行の『植物品種ジャーナル』に載っています。ナーガウルのムーンドワーの農家の共同体が、法的な保護者で権利を持つ者として認められています。記事は、これを地理的表示(GI)の認定に向けた一歩としています。記事の中で、ジョードプルの南アジア・バイオテクノロジー・センターの所長は、カスーリー・メーティーという名前で長く続いてきた誤った認識が正された、と話しています。
  • スパイスとしての扱い:パトリカーの2025年3月の記事によると、ラージャスターン州の農業局は、州の農産物市場法(1961年)の品目表で、パーン・メーティーを「雑品」から「スパイス」の区分に移しました。同じ記事は、GI の申請も進められているとしています。アージ・タクの2026年の記事は、その前の年に、インドのスパイス委員会の品目表(付表I)にも加えられたとしています。

インドの国立種子スパイス研究センター(アジメール)の研究者らの論文も、T. corniculata は国内では主にナーガウル県で、干した葉をとるために広く育てられているとしています。一方、『プラント・アーカイブズ』の論文は、ほかの論文を引いて、インドの主な栽培地をマハーラーシュトラ、ラージャスターン、グジャラート、ウッタル・プラデーシュ、マディヤ・プラデーシュ、ハリヤーナー、パンジャーブの各州としていて、ナーガウルの名前は挙げていません。

「カストゥーリー」とは別の言葉

カスーリーとよく似た言葉に、カストゥーリー(कस्तूरी)があります。レフター・ディクショナリーによると、カストゥーリーは麝香(じゃこう)のことです。シカの仲間の動物のへそからとれる香料で、語源はサンスクリット語です。カスールの地名とは関係がありません。

二つの言葉は、ヒンディー語のつづりでも、英字の Kasuri と Kasturi でも、t の音があるかないかの違いしかありません。そのため、取り違えた例も見られます。インドの通販サイト「フナル・セートゥ」には、商品名を「Kasturi Methi」としながら、説明文では「Kasuri Methi」は干したフェヌグリークの葉だと書いている商品があります。このサイトでは、干したフェヌグリークの葉の名前を、カスーリー・メーティーと書きます。

香りの特徴

カスーリー・メーティーの香りについて、インドの情報源は次のように書いています。

  • 『プラント・アーカイブズ』の論文は、T. corniculata を香りの強い草とし、カスーリー・メーティーの香りはインドじゅうで知られているとしています。
  • アージ・タクの2026年3月の記事は、ナーガウルのメーティーのいちばんの特徴として、強く独特の香りを挙げ、その香りは葉を干したあとも長く残るとしています。
  • アージ・タクのカスーリー・メーティーを使ったじゃがいもの炒め物のレシピは、カスーリー・メーティーの香りを、ほのかな香りと表しています。同じレシピは、スパイスと一緒に炒めると、香ばしいよい香りが立つとも書いています。
  • クナール・カプールは、メーティーは種も葉も苦みがあるが、料理全体の味の釣り合いをとる、と書いています。ダサナーズ・ヴェジ・レシピズは、品質によっては苦みの強い葉もあるとしています。

使い方

手のひらでもんで、仕上げに入れる

使い方の一つは、料理の仕上げに、手のひらでもみくだきながら加える方法です。パキスタンの新聞エクスプレスのウルドゥー語のひき肉料理のレシピは、最後にガラム・マサーラーと青唐辛子と一緒にカスーリー・メーティーを加えて混ぜます。ケーティーワーディーは、香りと味を残すために、料理の最後に入れるのがよいとしています。

このサイトのレシピでも、バター・チキンやチキン・ティッカー・マサーラーでは、ソースの仕上げに手のひらでもみながら加えます。もむと葉が細かく砕け、ソースに散らばりやすくなります。

ほかにも、次のような使い方があります。

  • スパイスと一緒に油で炒める:アージ・タクのじゃがいもの炒め物のレシピは、クミンや粉のスパイスなどを焦がさないように弱火で炒めたところに、カスーリー・メーティーを手で軽くもんで加え、スパイスと一緒に30〜40秒炒めます。
  • 煮込みに2回に分けて加える:サンジーヴ・カプールのキーマー・メーティー(ひき肉とメーティーの料理)のレシピは、マトンのひき肉を煮る途中で15ml(小さじ3)を加えて2〜3分煮ます。そのあとふたを取り、炒ってから砕いてふるったもの5ml(小さじ1)を加え、肉に火が通るまで煮ます。
  • 漬け込みやスパイスの粉に混ぜる:このサイトのタンドゥーリー・チキンでは、ヨーグルトの漬け込みにもみながら混ぜます。チョーレーでは、ホールのスパイスを炒る最後の30秒に加え、一緒に粉にします。

量の目安

このサイトでは、カスーリー・メーティーの量を、ml と小さじ・大さじで書いています。小さじ1は5ml、大さじ1は15mlです。葉はとても軽く、大さじ1(15ml)でも約1gしかないので、1g単位の台所のはかりでは量りにくく、計量スプーンで量ります。

このサイトのレシピで1か所に加える量は、4〜6人分で5〜15ml(小さじ1〜大さじ1)です。バター・チキンやチキン・ティッカー・マサーラーのソースの仕上げでは、4人分で15ml(大さじ1)を使います。

カスーリー・メーティーそのものが主役の料理では、もっと多く使います。アージ・タクのじゃがいもの炒め物のレシピは、中くらいのじゃがいも4〜5個に45ml(大さじ3)を使います。

生の葉の代わりに使うときの換算

生のメーティーが手に入らないとき、カスーリー・メーティーで代わりにする方法を、インドのレシピがいくつか書いています。

  • ダサナーズ・ヴェジ・レシピズ:ぎゅっと詰めて1カップ(約40g)の生の葉の代わりに、30ml(大さじ2)を使うとしています。この割合なら、生の葉100gの代わりは75ml(大さじ5)ほどになります。苦みが強かったという読者には、15ml(大さじ1)に減らすよう返信しています。
  • シェ・シュチ:料理家シュチ・アグラワールのレシピサイト「シェ・シュチ」のヒンディー語のレシピは、細かく刻んだ生の葉3/4カップの代わりに、約45ml(大さじ3)を使うとしています。
  • ウィスク・アフェア:ネーハー・マートゥルの料理ブログ「ウィスク・アフェア」は、葉約150gを刻んだ2カップを使うメーティー・キーマーのレシピで、生の葉の代わりに、カスーリー・メーティー1/2カップ(120ml、大さじ8)を水に15分浸け、絞って使えるとしています。味は少し変わるとしています。

生の葉のようなかさは出ないので、葉物のおかずの見た目にはなりません。

逆に、仕上げに少しだけ使うカスーリー・メーティーを生の葉で置き換える換算は、今回読んだ情報源にはありませんでした。

冷凍のメーティー

日本では、インド食材店で、刻んで冷凍したメーティーが売られていることがあります。ウィスク・アフェアは、冷凍のメーティーなら生の半量を使うとしていますが、体積か重さかは書いていません。このサイトのレシピでは、冷凍のメーティーを冷蔵庫で解凍して水気を固く絞り、生と同じ重さを目安にしています。冷凍のメーティーの量を重さで示した情報源は見つからなかったので、解凍した葉の香りを見て加減してください。

このサイトでは、冷凍の葉は生の葉の代わりとして使い、仕上げの香りづけにはカスーリー・メーティーを使っています。

種(フェヌグリーク)とは別の材料

メーティーという言葉は、種子も指します。このサイトでは、種子を「フェヌグリーク(ホール)」(Amazon|楽天)と書き、葉を干したカスーリー・メーティーとは分けています。

種子と葉では、使う料理が違います。サンジーヴ・カプールは、種子(メーティー・ダーナー)を野菜のおかず、ダール(豆の煮込み)、カリー(ヨーグルトとひよこ豆の粉の汁物)などに使うとしています。クナール・カプールは、種子と種子の粉を、青いマンゴーの漬物などに使うとしています。今回読んだ情報源には、葉の代わりに種子を使う換算は見当たりませんでした。

保存

クナール・カプールは、完全に乾いた葉を密閉できるびんに入れて保存するよう勧めています。干した葉は湿気をすぐに吸い、湿気を吸うと日持ちがかなり短くなるので、ふたを開けたまま長くおかないように、としています。

サンジーヴ・カプールは、旬に自分で干した葉を、厚手の紙にはさんで冷蔵庫に入れておくとしています。使う前には、少しの水に浸して戻すよう勧めています。

家で干す

生のメーティーが手に入れば、家で干すこともできます。クナール・カプールのサイトの方法は、次のとおりです。

  1. 葉を茎から摘む。
  2. 冷たい水に浸けて泥を落とし、よく洗う。
  3. 水気をよく振り切る。
  4. きれいな布の上に広げる。
  5. 晴れた暑い日に、日陰で2〜3日、完全に乾くまで干す。部屋の中で扇風機の風に当てて乾かしてもよい。

完全に乾いたら、上と同じように密閉できるびんで保存します。

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出典

本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。